概要・あらすじ
昭和28年、寺田辰弥(田治見辰弥)はラジオの尋ね人広告で、法律事務所を訪ね、本当の父親は田治見要蔵であること、莫大な財産のある本家であること、生まれた村・八つ墓村のことを知らされる。法律事務所では祖父である井川丑松が、目の前で毒殺されてしまう。その後、遠縁にあたる森美也子が迎えに来て、辰弥は八つ墓村へ向かのだった。
八つ墓村には八つ墓明神という呪いの伝説があり、今も祟りを残しているという。次々と起こる殺人事件、複雑な血縁の謎。名探偵・金田一耕助がその真相を推理する。
登場人物・キャラクター
田治見 辰弥 (たじみ たつや)
空襲で父・寺田寅蔵を亡くし、2歳で母・鶴子を亡くした、天涯孤独に生きる青年。人探しの広告により、法律事務所を訪れ、本当の父親が田治見要蔵であること、莫大な財産や生まれた村のことを聞く。そこで初めて会った祖父の井川丑松は目の前で毒殺されてしまう。その後、井川丑松の代わりに八つ墓村から遠縁の森美也子が迎えに来る。 辰弥は八つ墓村に着くが、そこでは八つ墓明神の呪いのように次々と人が殺されていくのだった。
井川 丑松 (いかわ うしまつ)
諏訪法律事務所に依頼して、田治見要蔵の息子・田治見辰弥を探すために東京に出てきた。辰弥と会った後、毒殺され死んでしまう。
森 美也子 (もり みやこ)
多治見家の分家、森家の美しい未亡人。亡くなった井川丑松の代わりに、辰弥を八つ墓村へ連れていく役を受け、東京に迎えに来た。八つ墓村の呪われた伝説・八つ墓明神について話す。
濃茶の尼 (こいちゃのあま)
八つ墓村で辰弥に「帰れ」と叫んだ老婆。26年前の惨劇により、おかしくなってしまっている。
小竹・小梅 (こたけ・こうめ)
田治見家先代の兄弟。双子でそっくりな風貌のため、見分けがつかない。辰弥の大伯母にあたる。
田治見 春代 (たじみ はるよ)
辰弥の異母姉。病弱だが、ひとの良い性格。辰弥のことを気にかけている。
洪禅 (こうぜん)
田治見家の菩提寺、蓮光寺の住職。辰弥が運んだ御膳の精進料理を食べ、死んでしまう。
田治見 要蔵 (たじみ ようぞう)
辰弥の父親。早くに両親を亡くし、大伯母の小竹・小梅が甘やかして育てたからか我儘で、この村に自分の思い通りにならないものはないという傍若無人の生活をしていた。既にきさという妻がいたが、婚約者がいた鶴子に横恋慕し、自分の妾としてしまう。辰弥とともに逃げる鶴子を追いかけ、村人を次々と刀や猟銃で虐殺。 32人を殺していた。
田治見 慎太郎 (たじみ しんたろう)
辰弥のいとこ。八つ墓明神伝説の落ち武者・尼子が持っていたという軍資金を探して、地下の鍾乳洞を探検していた。
田治見 典子 (たじみ のりこ)
辰弥のいとこ。兄の田治見慎太郎が田治見家の居候として心苦しい思いをしていたことや、田治見春代が心優しい人であることを辰弥に話す。
金田一 耕助 (きんだいち こうすけ)
名探偵といわれる。5年前の毒殺事件と辰弥の目の前で殺された井川丑松の毒殺がつながっていると考え、調査を始める。八つ墓村の連続殺人事件は、同じような身分や職業の二人のうちどちらかが死ぬ、それはどちらでもかまわないという関連性から、八つ墓明神の祟りになぞらえた殺人計画だと推理する。
八墓明神 (やつはかみょうじん)
『八つ墓村』の伝説。戦国時代に、雲州富田城主の尼子義久が毛利元就との戦いに敗れ、近習(家来)7人とともに、八つ墓村へ落ちのびた。義久たちは荒地を耕すなどして生活。村人は快く迎え入れたのだったが、毛利氏の詮議が厳しくなっていくにつれ、村人たちは不安になっていく。尼子義久たち落ち武者には再起のための軍資金三千両があるという噂もあり、ある日村人は8人の落ち武者を襲い、殺害する。 刎ねられた首は無念の形相であったため、後に八つの墓を作って供養したのが八つ墓明神となる。その八つ墓明神の祟りで八つ墓村に血の雨が降るという伝説がある。
場所
八つ墓村 (やつはかむら)
岡山で山陽線から乗り換え数時間、バスで1時間、山道を徒歩で30分という場所にある集落。八つ墓明神の祟りと言われる伝説があり、過去2度にわたる虐殺事件が起きている。
クレジット
- 原作