霊街奇譚 幽乃町1/2丁目探偵事務所

霊街奇譚 幽乃町1/2丁目探偵事務所

霊を見ることのできない心霊探偵の烏丸真澄と、霊は見えるがふつうの女子高校生の天白十和が、探偵事務所に持ち込まれる相談や事件を解決していく姿を描いたアクションホラー。「月刊コミックゼノン」2017年3月号から2019年10月号にかけて掲載された作品。

正式名称
霊街奇譚 幽乃町1/2丁目探偵事務所
ふりがな
れいまちきたん かすかのちょうにぶんのいっちょうめたんていじむしょ
作者
ジャンル
探偵
 
ホラー
関連商品
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あらすじ

第1巻

迷い猫捜しを依頼されていた心霊探偵の烏丸真澄とその助手の天白十和は、夕方5時を過ぎると霊が出るといわれている公園で、ジャングルジムの上から霊に突き落とされた少年に出会う。そこで少年から霊に関する噂の詳細を知った真澄と十和は、霊の正体や目的を探るため、地域の警官である蘇芳から情報を仕入れることにする。(エピソード「幽霊街の番傘探偵」。ほか、5エピソード収録)

第2巻

逃げ出したペットの猫を捜してほしいと依頼を受けた烏丸真澄天白十和は、猫の行動範囲をしらみつぶしに捜し始める。そんな中、二人は猫の集会所となっている寺の和尚から有益な情報を入手するが、目的地へ向かう途中、真澄の恩師を殺害したトレンチコートの霊に遭遇してしまう。(エピソード「探偵の探すモノ(前編)」「探偵の探すモノ(後編)」。ほか、5エピソード収録)

関連作品

本作『霊街奇譚 幽乃町1/2丁目探偵事務所』の関連作品として、徳間書店ゼノンコミックスから発売された泉ウラタの『幽乃町1/2丁目探偵事務所』がある。こちらは本作の前日譚で、烏丸真澄天白十和の出会いが描かれている。全1巻。

登場人物・キャラクター

烏丸 真澄 (からすま ますみ)

幽乃町で心霊探偵事務所を営んでいる男性。霊がかかわる怪事件の調査を請け負っている。熱血や雨宿りなどの漢字が書かれたTシャツに、裏地がストライプになったブレザーを身につけている。心霊探偵でありながら霊は見えないが、霊を見ることができる人物が半径5メートル以内にいる場合のみ、霊を見ることができる。そのため、生まれつき霊能力を持つ天白十和は、なくてはならない存在となっている。5年前に両親が亡くなり、祖父母に引き取られてグレていたところを恩師に見いだされ、探偵事務所の雑用係を任されていた。だがある日、トレンチコートの霊に恩師を殺害され、仇の霊を捜すために事務所を継いだ。恩師からゆずり受けた番傘を唯一の武器としている。

天白 十和 (あましろ とわ)

霊を見ることができる女子高校生。肩下までの金髪をおさげにしている。優しい性格でお人よしなところがあり、かわいそうな霊や困っている霊を見ると放っておけない。トラブルを避けるために霊能力のないふりをしていたが、ある事件をきっかけに、強引に烏丸真澄の助手にされた。現在は自分の霊能力が人助けの役に立つのならと納得し、彼に協力している。

ハイジ

幽乃町で「丘留都堂(おかるとどう)」という怪しい道具屋を経営している男性。丸顔の猫背で、つねにジャージを着ており、右目が前髪で隠れている。産まれた時から幽乃町で暮らしており、烏丸真澄よりも幽乃町に関しては詳しい。恩師とも旧知の仲であり、真澄の持っている番傘を欲しがっている。

蘇芳 (すおう)

幽乃町にある派出所に勤める男性警官。金色の短髪で、冗談が大好き。死亡事故などの情報を提供してくれることから、烏丸真澄からは最強の助っ人として認識されている。かつて恩師に何度か助けられたこともあり、被害者家族の個人情報なども真澄に提供している。

松葉 (まつば)

幽乃町の一丁目で商いをしている除霊師の男性。着物姿にスクエアタイプの黒ぶち眼鏡をかけ、短い黒髪をオールバックにしている。恩師に借りがあるため、烏丸真澄の呼び出しにたびたび応じているが、借りを真澄に返すのには未だに納得がいっていない。何事も効率を優先して協調性もないため、単独行動が多く見られる。どんな霊も放っておけば悪霊になるという理由から、すべての霊を害悪と考えている。そのため霊を友好的に受け入れている山吹千鶴とは犬猿の仲で、顔を合わせるとすぐに口論に発展する。

山吹 千鶴 (やまぶき ちづる)

幽乃町の二丁目で商いをしている霊媒師の女性。糸目でカジュアルな服装を身につけ、金髪をショートカットにしている。仲のいい霊なら、いつでも呼び出して口寄せを行うことができる。霊と友好的な関係を築くのが得意なため、どんな霊も害悪と考えている松葉とは犬猿の仲で、顔を合わせるとすぐに口論に発展する。恩師に借りがあるため、烏丸真澄の呼び出しにたびたび応じているが、恩師への借りを真澄に返すことには未だに納得がいっていない。

照柿 (てりがき)

照柿夕の父親で、サラリーマンの中年男性。妻に先立たれてからは多忙を極めており、夕に構う時間を捻出できていなかった。純粋な性格で、烏丸真澄が公園の状況を知るためについたウソを素直に信じている。夕に男らしくあることを望んでいたが、夕が孤独を感じていたことや、周囲をいじめていたことは知らなかった。

鶸田 (ひわだ)

最近になって幽乃町で仕事を始めた男性。前髪を逆立てた金色の短髪で、黒のTシャツの上から作務衣を着ている。変人のぼったくり除霊師が集まるといわれている一丁目に店を構えている。世見トンネルに肝試しに行った大学生のグループからお祓いを頼まれ、追加料金をふんだくって現地調査に乗り出した。しかし、鶸田自身は霊の存在がわかる程度の霊能力しかないため、人助けと称して無償で烏丸真澄と天白十和に仕事を丸投げしようとした。

鳶田 (とびた)

烏丸真澄の探偵事務所に相談に訪れたサラリーマンの男性。毎晩金縛りに遭ってうなされている。さわやかな雰囲気を漂わせて人当たりもよく、弁も立つ。同期であり能力も近いにもかかわらず、鳶田自身よりも評価されている水縹に嫉妬し、自殺に見せかけて川に突き落として殺害した。これにより、水縹の霊に取り憑かれていると思い込んでいたが、霊ではなく罪悪感からくる幻覚だった。

水縹 (みはなだ)

鳶田の同期で、自殺したとされている男性。他人と話すのが苦手で社交性には欠けるが、まじめな性格で仕事もそつなくこなし、気配りもできる。妻子もおり、家族を大切にしていた。妻子が手作りした四つ葉のクローバー柄のストラップを受け取ったその日に鳶田に殺害された。

恩師 (せんせい)

烏丸真澄がグレていた頃、ケンカに明け暮れていた真澄の面倒を見ていた男性。アロハシャツの上から白のスーツを身につけている。探偵事務所を営んでおり、真澄には雑用を任せていた。蘇芳、ハイジ、山吹千鶴、松葉からは、お節介だがちゃらんぽらんに見えると評されている。トレンチコートの霊に襲われた真澄をかばって、トレンチコートの霊に扼殺(やくさつ)された。

茅野 胡桃 (かやの くるみ)

原因不明の体調不良が続き、新婚の夫に連れられて烏丸真澄の探偵事務所を訪れた女性。黒髪で肩までのワンレンヘアで、頰にはそばかすがある。現在の夫と籍を入れる以前の6年前に、5歳だった娘の茅野阿栗が御久楽山で行方不明になっている。しかし実際は、シングルマザーとして生活していく中で生活に疲れ、わざと阿栗を置き去りにしていた。

照柿 夕 (てりがき ゆう)

公園のジャングルジムに取り憑いていた男子小学生の霊。夕方5時を過ぎてからジャングルジムにのぼると、オバケが出ると噂になっていた。最初は服を引っ張る程度だったが、次第にジャングルジムから突き落として骨折させるなど、危険な行為を繰り返すようになっていく。生前は父親の照柿が多忙なために孤独を感じていたが、照柿が男らしさを褒めてくれたことから、よりその孤独をさらけ出すことができなくなった。

藤村 紫苑 (ふじむら しおん)

交通事故で死亡した幼い少女の霊。誕生日プレゼントとしてオーダーメードした、自分と母親に似せた人形を店で受け取った直後に事故に遭った。それ以来、自分に似たぬいぐるみに取り憑き、行方不明の母親の霊を捜している。

東雲 (しののめ)

幽乃町のはずれにある、猫屋敷と呼ばれている家に暮らしていた老齢女性の霊。たくさんの野良猫の世話をしながら、孤独を埋め合わせていた。また、死んでからも集まってくる猫や、猫の霊を見守っている。

梔子 恵美 (くちなし めぐみ)

怪奇事件系をメインに扱うルポライターの女性の霊。心霊スポットとして名高い廃病院に取材に来たところ、霊たちに閉じ込められて追い回された結果、頭を強打して死亡した。その後、地縛霊となって5年ものあいだ死の間際をループし続けていた。恩師は梔子恵美に関する事件を探していた形跡がある。また恵美は、トレンチコートの霊に関する事件を記事にしていた。

茅野 阿栗 (かやの あぐり)

五歳の少女の霊で、茅野胡桃の娘。6年前、幽乃町にほど近い御久楽山に胡桃と遊びに行った際、行方不明になった。胡桃と御久楽山でかくれんぼをしている際に、その場に置き去りにされたため、ずっと胡桃の耳元で「もういいよ」と囁き続けていた。

トレンチコートの霊 (とれんちこーとのれい)

恩師を扼殺(やくさつ)した悪霊で、烏丸真澄が追っている仇。トレンチコートを着ているが、顔は黒い煙のようになっているために判別できない。恩師のほかにも五人の人物を扼殺しているが、どこにも指紋が検出されなかったため、警察やマスコミは一連の事件を連続不審死事件として扱っている。しかし、梔子恵美などの怪奇事件を扱う媒体ではオカルト的な注目を浴びていた。

場所

幽乃町 (かすかのちょう)

烏丸真澄が探偵事務所を構える、霊が集まる街。一丁目には変人のぼったくり除霊師が、二丁目には親切なインチキ霊媒師が集まるとされている。ちなみに真澄の事務所は幽乃町の一丁目と二丁目のちょうど境目にある。

世見トンネル (せみとんねる)

最近になってSNSで心霊スポットとして話題になっているトンネル。しかし、世見トンネルで何か事件があったわけではなく、噂が立った当初もSNS上で「霊が出そう」という呟きがあったのみ。しかしSNSで出回る噂や、話題作りのためにつけられた尾ひれを信じた人間の念によって、心霊現象が引き起こされるようになった。

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