概要・あらすじ
高度経済成長の昭和の時代、雪深いりんごの国へと入り婿した伊岡雪之丞。ある日、偶然、見つけたりんごの実を、伏せっていた嫁の朝日に与えてしまった。そのりんごを食べた嫁は、おぼすな様と呼ばれる神様へ嫁入りするという。彼は60年前に途絶えたと言われる祭儀を復活させてしまったのだった。愛する妻を救うために伊岡雪之丞は、神と戦う決意をする。
登場人物・キャラクター
伊岡 雪之丞 (いおか ゆきのじょう)
赤ん坊のころ、雪の日に捨てられていたところを、伊岡家に拾われ育てられる。育ての父親は寺の住職。長内朝日と見合後、入り婿し、青森へ渡る。黒森と呼ばれる地域でりんごの木を見つけ、それを妻の朝日に食べさせたことが、村に伝わる古くからの祭儀を蘇えらせることになる。 その祭儀とは、りんごを食べた嫁を、おぼすな様と呼ばれる神に差し出すことだった。
長内 朝日 (おさない あさひ)
青森のりんご農園で生まれ育つ。人手の足りない実家のためもあって見合いをし、伊岡雪之丞と結婚。入り婿として迎える。伊岡雪之丞が持ってきたりんごを食べてしまい、以後、髪の毛や爪が長く長く伸び始め、体は小さく子どものようになっていく。60年ぶりに復活した祭儀を前に、なんとかしようと戦う伊岡雪之丞の愛を見て、この因習を断ち切る決意をする。
長内 実
朝日の実の父で、代々続くりんご農家で生計を立てている。りんごの木に学校をだしてもらったとよく言う。
長内 邦光
朝日の兄。長内家の長男だが、りんご農家では働かず、役所に勤めている。
長内 八千代
朝日の義理の姉で、長内邦光の妻。二人の子ども鉄と花がいる。
乃木 陸郎 (のぎ りくろう)
朝日の幼馴染。口は悪いが優しい。太郎という子供がいる。長内家から追い出されそうになった伊岡雪之丞を家に住ませる。古くからの因習の謎を解こうとする伊岡雪之丞の手伝いをする。
本家総代
本家と分家のうち、本家をまとめる総代。村にふたりいて、それぞれが蔵の鍵と帳箱の鍵を持っている。
雪之丞の義父
伊岡雪之丞の育ての父親。お寺の住職。
雪之丞の義母
伊岡雪之丞の育ての母親。
伊岡 夏行
伊岡雪之丞の義理の兄。寺に捨てられていた赤ん坊の雪之丞を見つけた。
場所
長内家のある村 (おさないけのあるむら)
青森県津軽をモデルとしている。時代背景は昭和40年代。国光と呼ばれるりんご種が大暴落を起し、品種を変える一挙更新を行っていた。
その他キーワード
メタテ祭
『千年万年りんごの子』の風習。かつて長内家のある地域で12年に1度執り行われた祭儀。各家ごとに1人ずつ既婚の女性を集め、その女性たちにりんごを食べさせ、1つだけ混じっているおぼすな様のりんごを食べた女性が、その嫁となる。嫁として選ばれた女性は、その1年後のオネリの際に、おぼすな様に連れられて行くという。 この60年間、この村では、メタテ祭は途絶えていたが、伊岡雪之丞が誤って、おぼすな様のりんごを妻の朝日に食べさせてしまったため、復活する。