卓上のアゲハ

卓上のアゲハ

古屋樹の初連載作品。愛知県の繚乱高校を舞台に、ドイツ帰りの卓球少年、花園アゲハが、師匠である大塚伊智葉から卓球の技術を継承すべく、自分以外の12人の「黄金の継承者」と熱戦を繰り広げる姿を描いた学園卓球アクション。卓球をこよなく愛する選手たちによるプライドをかけた激闘が、ダイナミックに描かれる。また、廃部状態だった繚乱高校卓球部が、アゲハの活躍によって強豪校になっていく過程も見どころとなっている。集英社「週刊少年ジャンプ」2014年30号に掲載の読み切り版を経て、2014年51号から2015年22・23合併号まで連載。

正式名称
卓上のアゲハ
ふりがな
たくじょうのあげは
作者
ジャンル
卓球
 
学園
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
全3巻完結
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天才卓球少年の誕生

アゲハはスポーツが大好きながら勝負に弱く、負けることを恐れて前に踏み出せない消極的な性格となっていた。そんな中、元卓球世界王者だった伊智葉に声をかけられ、彼の指導で卓球を始める。するとアゲハは瞬く間に卓球の魅力に取りつかれ、勢いのままに卓球ジュニア大会に出場するものの、大敗を喫してしまう。伊智葉はアゲハがショックで卓球も辞めてしまうのではないかと危惧するが、伊智葉の言葉に奮起したアゲハはがむしゃらに練習を重ね、「黄金の継承者」の一人として驚異的な反射神経と動体視力を身につける。

元卓球世界王者から指導を受けた「黄金の後継者」

1970年代の日本は卓球黄金期で、伊智葉や塔堂利明、江崎ふじ乃、深澤菜甫子、宇野誠治郎をはじめとする、実に13人もの世界王者を輩出している。彼らにはそれぞれ手塩にかけた弟子が一人存在し、その弟子は「黄金の後継者」と呼ばれている。黄金の後継者は、それぞれ師匠から現役時代に得意としていたプレーを受け継いでおり、アゲハは相手の動きを先読みする予測能力を、塔堂武虎は相手が反応できないほどのドライブを連発するスピードを身につけている。アゲハは黄金の継承者のトップとなった暁には、伊智葉自身の持てる技術をすべて伝授することを約束されており、ドイツから帰国してからは自分以外の黄金の継承者に勝利するため練習を重ねている。

問題児だらけの繚乱高校卓球部

かつて卓球部の部長だった宮地剛は、大塚リリカに気に入られるため自ら卓球部を廃部にしていた。だが、卓球をくだらないと言い放つ剛に勝負を挑んだアゲハは完膚なきまで剛を打ち負かし、卓球がかっこいいことを認めさせる。その後、敗北した剛は再び卓球への情熱を取り戻して再入部を決めるものの、部員不足によって卓球部の再建は難しい状態だった。そこで、アゲハと剛はリリカを強引に入部させ、もう一人の「黄金の後継者」である塔堂武虎や、リリカに匹敵する美貌を誇る女装男子の椿屋薫が入部したことで正式な部として認められる。だが、部員は例外なく性格に問題があり、特にリリカと武虎は教師からも問題児として認識されている。また、剛や薫は過去のトラウマで実力を発揮できずにいたが、卓球を何よりも愛するアゲハは、そんな彼らのコンプレックスに正面から向き合い、やがて卓球部を強豪チームへと導いていく。

登場人物・キャラクター

花園 アゲハ (はなぞの あげは)

ドイツから繚乱高校に転校してきた1年生の男子。黒髪短髪のスパイキーヘアで、黒縁眼鏡をかけている。「黄金の後継者」の一人で、かつて卓球の世界王者に君臨した伊智葉の弟子。相手選手の動きや視線、ラケットの面を予想することで相手が打つ前に反応することできるほか、伊智葉の決め球であるサーキュラースイングを見ただけで会得するなど、驚異の反射神経と並外れた運動神経の持ち主。師匠の伊智葉を尊敬しており、彼からの指導を受けるためにドイツのプロチームとの契約を断って帰国した。女性に免疫がなく、刺激的なシーンに遭遇すると瞬時に鼻血を吹き出すという悪癖を持つ。また、空気の読めない発言を繰り返したり、女子生徒から人気の武虎にあからさまな嫉妬心を見せるなど、俗っぽい一面を見せることも少なくない。ただし、卓球に関してはどこまでも真摯に向き合っており、卓球に興味を持っている人に出会うと、さまざまな手段を用いて卓球の魅力を伝えようとする。趣味は卓球で、特技も卓球。

大塚 リリカ (おおつか りりか)

繚乱高校に通う1年生の女子。元卓球世界王者の伊智葉の孫。小鳥すら魅了する学校一の完璧な美少女。自分の虜(とりこ)にならない男は存在しないと自負しており、小悪魔的なテクニックを駆使して男子生徒からの絶大な人気を誇る。卓球を「地味なスポーツ」と見下しているため、祖父の伊智葉から卓球場を継いでほしいと言われているが、一貫して拒否し続けている。また、伊智葉の独断でアゲハの許嫁(いいなずけ)にさせられたうえ、なし崩し的に卓球部のマネージャーとなる。しかし、部員たちの懸命に卓球に取り組む姿を通して、卓球の奥深さに魅せられるようになり、やがて悪感情を払しょくする。当初は卓球部の男子部員からチヤホヤされていたが、性格の悪さや卓球のルールすら知らなかったため、その後はぞんざいに扱われるようになり、実家が卓球場ながら卓球に興味がなかったことを後悔するようになる。

書誌情報

卓上のアゲハ 全3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2015-03-04発行、 978-4088803906)

第2巻

(2015-05-01発行、 978-4088804095)

第3巻

(2015-06-04発行、 978-4088804293)

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