史上最強の大魔王、村人Aに転生する

史上最強の大魔王、村人Aに転生する

下等妙人の小説『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』のコミカライズ作品。孤独に苦しんだ魔王のヴァルヴァトスが、平凡な村人のアード・メテオールに転生し、新たな人生を謳歌(おうか)する姿を描いた学園ヒロイックファンタジー。「月刊ビッグガンガン」2019年Vol.03から掲載の作品。2022年4月に原作小説版がテレビアニメ化。

正式名称
史上最強の大魔王、村人Aに転生する
ふりがな
しじょうさいきょうのだいまおう むらびとえーにてんせいする
原作者
下等 妙人
漫画
ジャンル
転生
レーベル
ビッグガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

孤独なる魔王の未来世界転生

最強の力を持つゆえの孤独から平凡な生活にあこがれた魔王のヴァルヴァトスは、平凡な人間として生きることを求め、数千年後の遠い未来で村人のアード・メテオールに転生する。神話に名を刻む史上最強の大魔王としての人生をやりつくし、新たな人生が始まった彼の新しい目標は、人間と友情の絆(きずな)を結んで友達をたくさん作ることだった。しかし、不器用なアードは10歳を迎えても、友達を作るという目的をまったく達成できずにいた。そんな中、アードは森の中で孤立しながら魔物と戦っていたイリーナ・リッツ・ド・オールハイドと運命の出会いを果たす。助けたイリーナに気に入られて、彼女を初めての友達にすることができたアードは、15歳になった頃に自分の父親、ジャックとイリーナの父親、ヴァイスが英雄であったことを知り、二人に勧められてイリーナと共に王都の「ラーヴィル魔法学園」に通うことになる。学園生活が始まったアードは、いじめられていたクラスメイトのサキュバスであるジニー・フィン・ド・サルヴァンを助けようとするが、いじめっ子の生徒のエラルドが大切なイリーナを侮辱したことで強い怒りを覚える。アードがイリーナへの謝罪を要求すると、エラルドから決闘を申し込まれ、ほかのクラスメイトたちが見ている前で魔法での一本勝負をすることになる。様子見の魔法を放っていたアードだったが、想定を裏切ってあっという間に圧勝すると共に、彼が転生したのは魔法文明が衰退した世界で、その平均的な強さが低減しているという衝撃的な事実を知る。つまり、かつてヴァルヴァトスが生きた古代世界の基準において平均的な強さを持つ人間として生まれたアードにとっては、一般的な生徒でしかないエラルドの実力は遥かに低く、彼との魔法戦で苦戦するわけがなかったのだ。こうして、自分が望んだはずの「ふつう」とは遠い規格外の実力だと知らぬままで学園に入学してしまったアードは、ふつうではない青春の日々を送ることになった。あちこちから注目されるアードは学園生活や戦いを通してさまざまな人物に出会い、少しずつ交流を深めていく。

元・魔王様の初めてのデート

史上最強の大魔王、ヴァルヴァトスは村人のアード・メテオールへと転生し、平凡な学園生活を送ろうとラーヴィル魔法学園に入学したものの、魔法技術が弱まった数千年後の世界では規格外の存在になり、待っていたのは平凡やふつうとはほど遠い生活であった。アードは知らぬ間に名声を手に入れ、急に生徒たちからもてはやされるようになる。そしてアードは、前世の姉貴分であり、魔王と恐れられてからは関係に距離ができていた四天王のオリヴィア・ヴェル・ヴァインと出会う。彼女に興味を持たれたことや過去の確執に悩むアードはある日、ジニー・フィン・ド・サルヴァンに誘われ、初めてデートに出かけることになる。対抗心を燃やして割り込んできたイリーナ・リッツ・ド・オールハイドに対し、ジニーはそれをあっさり承諾。ジニーの異様な態度からかえって気を遣ったり警戒したりするイリーナに対して、ジニーはある野望を語るのだった。デートと呼べるかわからない板挟みのデート当日、街を散策していた三人はローブや仮面をまとった不審な集団に遭遇する。怪しく思ったアードはイリーナとジニーを連れて尾行し、下水道の奥にある地下施設で謎の集団「ラーズ・アル・グール」が妙な儀式を始めている現場に遭遇する。攻撃をあっさりと退けたアードの魔法を受けたとたんに、人間の姿をしていた敵は魔族の姿に変化する。アードは魔族の退治に成功するも、ラーズ・アル・グールの本当の目的はわからぬままだった。後日、学園長のゴルドに呼び出されたアードは、もうすぐ開催されるバトルイベントへの参加と派手な優勝劇を懇願される。オリヴィアに怪しまれている現状では受けるのも断るのもリスクが大きく、頭を抱えてしまったアードは、バトルイベント参加の回答を保留することになる。そんなアードのある一言が気になったオリヴィアは、彼を追いかけてある疑問を投げかける。

元・魔王様、女難の相あり

大魔王から村人へと転生したアード・メテオールは、ラーヴィル魔法学園内で多くの生徒や教師からも注目を集めるようになっていた。その名声は王宮にまで届き、アードはイリーナ・リッツ・ド・オールハイドと共に女王のローザへの謁見を許される。王宮の謁見ではイリーナがローザと友人であるという意外な事実が明らかになり、アードは街で魔族を討伐した褒賞を与えられるのだった。すっかり学園内で注目を浴びて目立つ生徒となり、ほかの女子からモテまくるアードを見るたびに嫉妬からのイライラが収まらないイリーナに対し、アードが機嫌を取る方法に悩んでいると、部屋に来たジニー・フィン・ド・サルヴァンがあられもない姿をさらけ出す。サキュバス族の持つ「誘惑の魔眼」と、大胆な衣装で猛烈なアプローチを仕掛けるジニーに対抗し、イリーナも大胆な格好でせまろうとしていた。アードを巡って一触即発の二人は、決闘にまで発展しかけるが、アードの説得によりなんとかケンカは収まった。平穏な学園生活プランがバトルイベントによってことごとく崩壊しかけていることに焦りを覚えたアードは、なんとか穏便にバトルイベント開催を妨害しようと奮闘を始める。しかしアードの努力もむなしく、悪い偶然が重なってイベントを止めることも参加を拒否するのも難しい状況になっていた。そしてバトルイベントが開催され、特別席で観戦するアードのとなりにはオリヴィア・ヴェル・ヴァインが座り、彼の正体を怪しんでいる彼女との会話には緊張が走り、戦っているわけでもないのに気を抜けない状況が続く。そんな中、勝ち進んだイリーナとジニーが激闘を始めたとたんに魔族が乱入し、イベントは中止になってしまう。アードたちはしばらくのあいだジェシカの指示どおりに行動することになるが、彼がイリーナとジニーのもとを離れて街の上空で行動しているあいだに、イベントの解説役として来ていた両親が戦いに巻き込まれピンチに陥っていた。一方、ジェシカと街中で行動するイリーナとジニーは、ピンチのところをヴァイスに助けられるも、ジェシカが後ろから彼を攻撃して倒してしまう。実はある企みによってジェシカに化けていたのは伝説の白龍、エルザードであり、彼女はこの騒動に乗じてイリーナを誘拐しようと目論んでいた。

少女の秘密

今世のかけがえのない友人であるイリーナ・リッツ・ド・オールハイドジニー・フィン・ド・サルヴァンが絶体絶命の局面に陥る中、アード・メテオールは闇組織「ラーズ・アル・グール」との戦いに巻き込まれた両親の救出にあたっていた。一方、イリーナはジニーを守るために自らの身を狂龍王のエルザードに差し出し、そのままどこかにさらわれてしまう。今回の騒動の黒幕であるエルザードは、世界を滅ぼすためにイリーナを生け贄として邪神の一柱を復活させようと目論んでいた。なぜイリーナが生け贄(にえ)に選ばれたのかわからぬままで状況を知ったアードは、救出したヴァイスから彼らこそがこの国の真の王族であった事実を知る。多少のことでは驚いていられないアードは、イリーナを救出するために女王のローザのもとへ向かい、前世であるヴァルヴァトスが残した武器「魔王外装」を携えてエルザードのもとへ一人急行する。魔王外装は万が一邪神が復活した時にそなえて、ヴァルヴァトスが各国で保管させていた特殊な魔装具であった。一方、イリーナを捕えたエルザードは彼女と化け物を供物とする儀式で、邪神を復活させて世界を再び混沌に陥れようと目論むが、化け物に襲われた彼女のピンチにアードが駆けつける。アードの前にはエルザードが従えた魔族たちが立ちふさがるが、アードは彼らの魔法攻撃をものともせずに、次々と敵を倒していく。イリーナを助け出したアードは、彼女やヴァイスが邪神の血を引いている一族だと知るが、同じように邪神の血を引く者に前世で会ってきたアードにとっては、大切な彼女に隠された秘密などどうでもいいことだった。イリーナを捕えて侮辱したエルザードが許せないアードは、強力な反面、吸収限界を持つ魔王外装を駆使しながらエルザードと死闘を繰り広げる。激闘の中で追い込まれたエルザードは白龍族としての真の姿を現し、防御魔法に余裕のなくなってきたアードには、初めての友人であるイリーナに本当の姿を明かす時が刻一刻とせまっていた。

元・魔王様の昔馴染み

狂龍王のエルザードとの死闘を終え、もとの日常が戻ったアード・メテオールたちは束(つか)の間の平穏を楽しんでいたが、そんな彼らのクラスに嵐のような少女が転校して来た。数千年の時を経て現代に現れたおてんば娘の名はシルフィー・メルヘヴンで、彼女は「激動の勇者」とも呼ばれている伝説的な人物でもあり、アードの前世であるヴァルヴァトスの知り合いでもあった。アードの正体をヴァルヴァトスと決めてかかり決闘を申し込むシルフィーが原因で、アードの周りはクラスメイトを巻き込んで大混乱に陥る。一方、剣王武闘会や演劇も開催される文化祭を控えるラーヴィル魔法学園には、魔族の闇組織「ラーズ・アル・グール」から、文化祭の中止を求める不気味な脅迫状が届いていた。その対応をせまられてクラスの代表を任されたアードが、演劇やクラスの出し物について話し合いを始めると、学園内で新たな騒動が巻き起こる。シルフィーとイリーナ・リッツ・ド・オールハイドは嫌味を投げかけてきたA組と揉(も)め事になり、文化祭の出し物を巡ってある約束事を交わす。そして文化祭が始まり、アードはイリーナと組んで、ゴルドに頼まれたとおり学園内の警邏に励んでいた。オリヴィア・ヴェル・ヴァインに剣王武闘大会に勝手にエントリーされ、ジニーが提案した「お色気メイド喫茶」では無理矢理もてなされ、頭を抱えるばかりで警邏(けいら)にあまり集中できず、文化祭初日からアードの悩み事はさらに増えていく。そんな中、イリーナ、ジニー、シルフィーは剣王武闘会の出場を決意する。まだ学園に来たばかりのシルフィーには、今回の優勝賞品に特別な思い入れがあり、彼女は本気で優勝を目指していた。

元・魔王様の逆転劇

ラーヴィル魔法学園の文化祭でアード・メテオールたちC組の出し物「お色気メイド喫茶」は、ジニー・フィン・ド・サルヴァンのアイディアによって大繁盛していた。以前A組と約束を交わした売り上げ競争にも勝ちが見えたかと思いきや、A組による嫌がらせで食料がダメになるという緊急事態が発生し、売り上げ競争に敗北する危機がせまる。見かねたアードはある秘策によって、ダメになった食料を活かした料理で売り上げを増やすことに成功し、A組との対決にも勝利を収めた。そして学園祭の目玉である演劇が始まり、魔王を演じるアードは邪神を演じるシルフィー・メルヘヴンを前にして、ふいに前世での邪神との決戦前夜の出来事を思い出す。当時のシルフィーは、親や姉のように慕っていたリディア・ビギンズゲートに必要とされていないと感じて劣等感を抱えていたが、ヴァルヴァトスはリディアの真意を伝えると共に、彼女が自由に戦うことを許可していた。アードと同じようにリディアのことを思い出していたシルフィーはある決意を胸にし、リディアの面影を持つイリーナ・リッツ・ド・オールハイドやアードと打ち解けていく。一方、学園祭の目玉である剣王武闘会では、アードが一番避けたいと思っていた相手であるオリヴィア・ヴェル・ヴァインとの対決が始まってしまう。オリヴィアに怪しまれながらもなんとか試合を乗り切ったアードだったが、次の試合ではイリーナとジニーが激突することとなる。観衆が試合に沸き立つ一方、距離が縮まったはずのシルフィーはなぜかよそよそしい態度を取り、いつもの明るさも消えていた。ジニーとの戦いに勝利したイリーナは勝ち進んでシルフィーと当たるが、シルフィーはあっさりとイリーナを倒してしまい、アードに宣言したとおり優勝して優勝賞品である聖剣「ヴァルト=ガリギュラス」のレプリカを手に入れる。シルフィーの様子がおかしいことに気づいていたアードは、試合開始前の約束どおりに剣王樹の前に向かうが、彼女は聖剣の力に囚われてますます様子がおかしくなっていた。

小説

本作『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』は、下等妙人の小説『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』を原作としている。原作小説版はKADOKAWA「ファンタジア文庫」から刊行され、イラストは水野早桜が担当している。

メディア化

テレビアニメ

2022年4月から6月にかけて、原作小説『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』のテレビアニメ版が、AT-Xほかで放送された。監督は湊未來、キャラクターデザインは野口孝行が務めている。キャストは、アード・メテオールを深町寿成が、ヴァルヴァトスを天﨑滉平が演じている。

登場人物・キャラクター

主人公

ラーヴィル魔導帝国にある村に生まれた少年。元・最強の魔王「ヴァルヴァトス」が数千年後の未来に転生した姿。吊(つ)り目気味の赤目と黒髪短髪のイケメンで、誰にでも敬語で話す。ジャックとカーラを両親に持つ平... 関連ページ:アード・メテオール

ヴァルヴァトス

かつて最強の魔王として、神話に名を刻むほどの力を誇った男性。アード・メテオールの前世に当たる。銀髪の美青年で、温厚な性格をしている。部下たちと共に勇敢に戦い、古代の世界を襲った邪神を封じた英雄でもあるが、その強さから魔王として周囲に畏怖され、次第に直属の部下からも距離を置かれて孤独を抱え続けていた。孤独の原因が、強過ぎる力を持つためだと考え、平凡な能力の人間に転生することを決意し、数千年後の未来で村人のアードとして新たな人生をスタートする。しかし、アードの能力の設定はあくまで古代における平均値であり、魔法文明や人間の魔法技術が衰退した現代の世界では規格外として扱われるほどのレベルなために目立ってしまい、孤独ではなくなったものの平凡とは程遠い生活をする羽目になる。もとは貧民の子供として生まれ、オリヴィア・ヴェル・ヴァインたちと共に反乱軍を築いて世界に宣戦を布告し、魔族を生み出す「外なる者達(アウター・ワン)」である邪神を封印して世界に平和をもたらした。しかし、ラーヴィル魔導帝国以外の国では、一部の強欲者によって「外なる者達」を正義とする神教派が圧政を強いたり魔王討伐を掲げたりしたため、邪神を封じたあとも反魔王派との戦いが続いていた。転生前に特殊な魔装具「魔王外装」をはじめとする武器を、万が一邪神が復活した時にそなえて各国に預けていたため、世界のあちこちにヴァルヴァトスが使っていた武器が保管されているが、その大半はアードにしか扱えない独特な代物である。

イリーナ・リッツ・ド・オールハイド

エルフの少女。銀髪のロングヘアで、長く尖(とが)ったエルフ耳と頭の白い花飾りが特徴の巨乳美少女。明るく活発で正義感あふれる性格で、困っている人のことは初対面であっても放っておけないタイプ。このようにアード・メテオールよりも人付き合いが得意な性格だが、わけあって友人はいない。ややプライドが高く、負けず嫌いな一面がある。森で魔物と戦っていたところを当時10歳だったアードに救われたのをきっかけに、自分から申し出て彼と友人となった。幼なじみにして友達1号でもあるアードを子犬のように慕い、転生したアードにとっては初めての友人でもある。父親のヴァイスはアードの両親と共に、英雄として活躍していた人物。のちにヴァイスやジャックの勧めでアードと共にラーヴィル魔法学園に入学するが、彼が学園で目立って女性にモテることをおもしろくないと思っている。ラーヴィル魔法学園ではアードと同じC組に在籍する。明るさと愛らしさでいつもアードを癒しているが、寂しがりやなところがある。アードに出会う前は、とある理由で人とのかかわりを避けていた。ジニー・フィン・ド・サルヴァンとは友人であり恋のライバルのような関係で、アードに積極的にせまる彼女には無意識に対抗心を抱き、いつも彼を巡ってケンカしており、時には決闘にまで発展することもある。しかし性知識などは子供なため、アードへの恋愛感情も自覚はなく、ジニーにはいつもお子様扱いされている。ケンカをしながらもジニーのことは友達として大切に思い、服装をさりげなく褒めたり、エルザードに襲われた際には彼女を守るために自ら人質になっていた。実はかつてヴァルヴァトスが封じた邪神の血を引く真の王族であるため、その正体を隠すために、アードに会うまでは人とかかわらないようにしていた。また、リディア・ビギンズゲートの末裔(まつえい)でもあるため、アードやシルフィー・メルヘヴンたちはイリーナ・リッツ・ド・オールハイドにリディアの面影を感じている。学園のバトルイベントの途中でエルザードに連れ去られて邪神復活の生け贄にされかけるが、間一髪のところでアードに救われる。文化祭の剣王武闘会ではジニーと剣を交えて勝利するも、シルフィーには敗北した。

ジニー・フィン・ド・サルヴァン

ラーヴィル魔法学園のC組に在籍するサキュバスの少女。桃色のセミロングヘアで、尖った耳と悪魔の羽根のような飾りがある。グラマラスな体型で、サキュバス族の特徴である「魅了の魔眼」を持つ。エラルドの家系に仕える従者であり、彼にいつもいじめられているいじめられっ子。エラルドのいじめから救ってくれたアード・メテオールを救世主のように思い、アードに熱烈な恋心を寄せるようになる。幼少期からエラルドに迫害され続けたことが原因で臆病になっているが、本来はサキュバスらしい妖艶な性格の持ち主で、アードに恋をしてからは積極的にアプローチしている。ひそかにアードを中心とするハーレム計画を推進しているため、イリーナ・リッツ・ド・オールハイドとは異なり、彼が女性にモテることを気にしていないが、彼の一番の座は誰にも譲りたくないと思っている。トラウマから自信をなくしていたが、本来は種族的にも優れた魔力や資質を持ち、学園で友人になったアードやイリーナと過ごすうちに自信を取り戻していく。イリーナとは友人であり恋のライバルのような関係で、アードと親しい彼女には対抗心を抱き、いつも彼を巡ってケンカしており、時には決闘にまで発展することもある。しかし、知識などが子供でしかないイリーナのことは、いつもお子様扱いしている。その一方で、イリーナのことは友達として大切に思い、彼女がエルザードにさらわれた事件などをきっかけに友情を深めている。文化祭のミスコンでは優勝を果たす。剣王武闘会ではイリーナと剣を交えるも、あと一歩のところで敗北した。

ジャック

アード・メテオールの父親。筋肉質な体格で、明るく豪快な性格をしている。アードからはふつうの魔導士だと思われていたが、実は神話級の戦いにも参加していた伝説的な大魔導士で、ヴァイスの友人でもある。アードが15歳を迎えた頃に初めてその事実を伝え、イリーナ・リッツ・ド・オールハイドといっしょにラーヴィル魔法学園に入学することを勧める。もとは同性愛者であったが、カーラとのあいだに生まれたアードを大切に育てた。ラーヴィル魔法学園のバトルイベントではカーラ、ヴァイスと共に解説役として参加する。

カーラ

アード・メテオールの母親で、ジャックの妻。おっとりした性格で、天然な一面を持つ。アードのことを非常にかわいがっている。もとは同性愛者であったが、ジャックとのあいだに生まれたアードを大切に育てた。また、ジャックたちと同様にかつては英雄として活躍していた有名人でもある。ラーヴィル魔法学園のバトルイベントではジャック、ヴァイスと共に解説役として参加する。

エラルド

ラーヴィル魔法学園に通う貴族の男子。ジニー・フィン・ド・サルヴァンの一族を従者として従えるが、彼女のことは昔から見下して馬鹿にしており、彼女が気弱になる要因となっている。ジニーをいじめていたのを見かねたイリーナ・リッツ・ド・オールハイドを侮辱したことでアード・メテオールの怒りを買い、彼と1対1の決闘をするもあっさりと敗れ、全裸にされてしまう。これ以来は学園に通わず自室に引きこもっていたが、文化祭の時に丸々太った姿で会場をうろついているところをアードに発見される。この際にジニーを見下して自信を喪失させたことに対する罪悪感を、アードに打ち明けていた。

オリヴィア・ヴェル・ヴァイン

かつて魔王軍四天王として活躍した英雄で、獣人の女性。生徒の能力を見極める厳しい先生で、数千年以上も魔王のヴァルヴァトスを捜し続けている。現在はラーヴィル魔法学園の特別講師を務めている。濃い茶髪のロングヘアで、狼のような獣耳と長い尻尾が生えた巨乳美女。ヴァルヴァトスからは幼少期から姉貴分として慕われていたが、彼が魔王として畏怖されるようになってからは姉弟のような関係から主従関係に変わっていったため、彼とのあいだには確執ができていた。アード・メテオールとエラルドの決闘の際に調停人を引き受けたが、アードが現代では失われたとされる魔法を使っていたのを目の当たりにしてからは、彼の正体がヴァルヴァトスの転生体ではないかと疑っている。アードの底知れない魔力に興味を抱き、何かとヴァルヴァトスの話を持ち出しては質問を投げかけたり揺さぶりをかけたりしながら、目立たないように気をつけている彼がボロを出す瞬間を引き出そうとしている。文化祭の剣王武闘会ではアードと剣を交えたが、彼に全裸にされたことで大会から棄権した。ふかし芋が大好物。

ジェシカ

ラーヴィル魔法学園の講師を務める女性。史上最年少で学園の講師職に就いた才女で、公爵家の令嬢でもある。新任講師として魔法錬成学を担当している。何かと規格外なアード・メテオールには早くから関心を示す。薄紫色のロングヘアをツインテールにまとめ、リボンを結んでいる。一人称は「ボク」で、少年のような口調で話す。実は本物のジェシカは、すでにエルザードに殺害されている。

シルフィー・メルヘヴン

伝説の勇者の少女。「激動の勇者」の異名を持つ。足元まである赤毛のロングヘアをポニーテールにまとめている。明るく快活な性格ながら子供っぽい一面がある。小柄で幼児体型なことにコンプレックスを抱いているが、幼い見た目に反して確かな剣術の腕を持つ。古代ではヴァルヴァトスと共に邪神と戦った英雄であったが、時の流れが異なるダンジョンで修行したためにうっかり数千年の時を超えてしまい、そのまま現代にやって来た。その後はヴァルヴァトスの転生体を追ってラーヴィル魔法学園に入学し、アード・メテオールたちと同じC組の生徒となる。学園では当初からアードのことを、ヴァルヴァトスの転生体と決めつけて決闘を申し込むなど、彼の周りでさまざまなトラブルを起こすお転婆娘と化している。古代では身寄りのない少女だったが、リディア・ビギンズゲートに育てられて勇者となった過去を持つ。現在でもリディアのことを親や姉のように慕っているため、彼女の面影を持つイリーナ・リッツ・ド・オールハイドのことも姉貴分として慕っている。文化祭の演劇で邪神役を務めたのち、剣王武闘会でリディアの聖剣「ヴァルト=ガリギュラス」のレプリカを手に入れるために優勝を果たす。しかし、剣王樹の中に封じられていた聖剣の力がレプリカを鍵にして解放されたため、その力に囚われて人格が変貌してしまう。

リディア・ビギンズゲート

かつて勇者として活躍した大英雄の女性。ヴァルヴァトスと対等に肩を並べて戦ったエルフで、ヴァルヴァトスの親友でもある。ロングヘアの美女で、男勝りな口調で話す。「聖剣」と呼ばれている神造兵器「ヴァルト=ガリギュラス」を持つ。ぶっきらぼうな性格で素直になれないが、本来は仲間思いで優しい一面を持ち、特にシルフィー・メルヘヴンのことは大切に思っていた。

ヴェーダ・アル・ハザード

かつて魔王軍四天王として活躍した英雄の女性。ヴァルヴァトスの部下だった。天才魔法学者でもあり、その知的好奇心や探究心の高さから、周囲にマッドサイエンティストと恐れられていた。ヴァルヴァトスやほかの四天王、リディア・ビギンズゲートたちと共に、邪神との決戦に参加した。

アルヴァート・エグゼクス

かつて魔王軍四天王として活躍した英雄。の男性ヴァルヴァトスの部下だった。四天王最強を誇る戦闘狂で、主人であるヴァルヴァトスに対しては並々ならぬ執着を見せたため、彼からは変態のように思われて恐れられていた。ヴァルヴァトスやほかの四天王、リディア・ビギンズゲートたちと共に、邪神との決戦に参加した。

エルザード

神話に名を残す白龍族の女性。「狂龍王」の異名を持つ。殺害したジェシカに化けてラーヴィル魔法学園に侵入し、闇組織「ラーズ・アル・グール」と手を組んで暗躍していた。魔族たちが街で騒ぎを起こした際にヴァイスを攻撃し、邪神の血を引くイリーナ・リッツ・ド・オールハイドを連れ去り、彼女を生け贄に捧げることで邪神を復活させて世界を滅ぼそうと目論む。口が大きく裂けた銀髪ロングヘアの女性の姿をしているが、本来の姿は巨大な白いドラゴンであり、驚異的な戦闘力と魔法技術を持つ。イリーナの救出に駆けつけたアードと死闘を繰り広げるが、魔王外装を解放した彼の力の前に敗北した。

ヴァイス

エルフの男性で、イリーナ・リッツ・ド・オールハイドの父親。愛娘のイリーナを大切に育て、彼女たちが15歳になった頃にはラーヴィル魔法学園への入学を勧める。イリーナと友達になったアード・メテオールにも好意的に接する。ジャックやカーラとは共に戦った戦友であり、今でも「英雄男爵」の異名で呼ばれることもある。実は邪神の血を引いている真の王族であるが、邪神が人々から忌み嫌われる存在であるため、表向きはローザの一族が王族ということになっている。同様の秘密を抱えるイリーナには正体を隠して生きるよう伝えており、イリーナがエルザードに連れ去られたのをきっかけにこれらの秘密をアードに明かした。ヴァルヴァトスの親友でもあったリディア・ビギンズゲートの血を引く一族の末裔でもあるが、カーラの不自然な出産や非常識な強さの数々からアードがヴァルヴァトスの転生体であることに気づいているため、二人の友情を守る目的でこちらの秘密はアードに話していない。

ゴルド

ラーヴィル魔法学園の学園長を務める貴族の男性。階級は伯爵。小太りな体型で、口ひげを生やした老人。当初からアード・メテオールの実力の高さに注目し、何かと彼を頼ってくる。学園の資金繰りのためにアードに行事の参加などを頼むことがあり、バトルイベントへの参加や文化祭の警邏などを任せている。

ローザ

ラーヴィル魔導帝国の女王。金髪のロングヘアを縦ロールにしている。露出の多い金色のドレスをまとい、扇を持っている。イリーナ・リッツ・ド・オールハイドとは友人関係で、「ローちゃん」の愛称で呼ばれているほどに仲がよく、彼女に対しては不遜な発言や態度も特別に許可している。ラーヴィル魔法学園で名声を得たアード・メテオールに注目して王宮に呼び出し、魔族討伐の報酬として彼とイリーナに第五格(ペンタゴン)の魔導士の資格を与えたほか、彼の要請どおりラーヴィル魔法学園の予算を増額した。単に魔導士としての実力が高いからというだけでなく、アードの人柄を非常に気に入っている。

クレジット

原作

下等 妙人

キャラクター原案

水野 早桜

書誌情報

史上最強の大魔王、 村人Aに転生する 7巻 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉

第1巻

(2019-08-09発行、 978-4757562455)

第7巻

(2022-09-24発行、 978-4757581647)

SHARE
EC
Amazon
logo