同居人はひざ、時々、頭のうえ。

同居人はひざ、時々、頭のうえ。

ミステリー作家の朏素晴は、野良猫の陽との出会いを機に、周囲の人々とかかわりを持つようになっていく。素晴と陽の、周囲の人々や動物たちとのほのぼのとした触れ合いと、日常を描くハートフルコメディ。「COMIC ポラリス」で2014年10月から配信の作品。

正式名称
同居人はひざ、時々、頭のうえ。
ふりがな
どうきょにんはひざときどきあたまのうえ
原作者
みなつき
作画
ジャンル
レーベル
ポラリスCOMICS(フレックスコミックス)
巻数
既刊10巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

未知との遭遇編

人気ミステリー作家の朏素晴は、自らの創作の邪魔をする他人が昔から苦手で、一人で家にこもって読書をしたり小説を書いたりする日々を送っていた。そんな素晴が両親の墓参り中に出会ったのは、1匹の目付きの悪い野良猫だった。その猫の不可解な行動を見ているうちに小説のネタが浮かんできた素晴は、勢いで猫を家に連れて帰り、今後の連載のネタ作りのために観察を続ける。順調に新作の着想を得られた素晴は、その後も連載の参考にしようと、その猫を飼い続けることにする。人と違って邪魔をすることもなく、想像をかき立ててくれる猫にありたがみを感じる素晴だったが、猫はエサをばらまいたり部屋の戸を引っかいたりと、予想外のトラブルを起こす。やっぱり猫も厄介者だと思いつつも同居を続ける素晴は、エサがないことに気づいて初めてペットショップに赴く。ふだん触れ合うことのない動物たちに囲まれて動揺する素晴は、店員の押守ななからエサを購入すると同時に、彼女からさまざまなアドバイスを受ける。その中で猫に名前を付けていないことに気づいた素晴は、試行錯誤しながら名前を考えるも、なかなか決まらずにいた。そんな時、自室で「月と太陽」という素晴の母との思い出の本を見つけた素晴は、本のタイトルから猫に「」と名づける。その後も陽の行動や担当の河瀬篤の訪問に四苦八苦しつつも、素晴は未知の同居人である陽との共同生活に、少しずつ楽しみを見出していく。一方、過酷な環境の中を生きてきた陽も親切にしてくれる素晴の心を理解するようになり、時には彼のことを心配しながらも、少しずつ互いの距離を縮めていく。

帰る場所編

不器用な朏素晴と彼のもとにやって来た野良猫のは、お互いに心の距離を縮めながら少しずつ仲を深めていく。しかしとある出来事をきっかけに、陽は素晴のもとを離れることを決意し、家から出て行ってしまう。素晴はそれが陽の意思で選んだことだとあきらめようとするが、河瀬篤たちにうながされて町に捜しに向かう。だが、陽を見つけることができず、肩を落として戻って来た素晴の家の庭には、陽が帰って来ていた。一度離れたことで、素晴はなんとなく小説のネタのために飼っていた陽が大切な存在であったことに気づく。一方、一度は素晴のもとを離れた陽も、不器用で孤独な素晴が自分にとって放っておけない人間だと、改めて自覚するのだった。そんな中、幼ななじみの矢坂大翔が素晴の家に居候するようになったことで、彼の周囲はますますにぎやかになり、自分だけの時間を過ごせないことも増えていく。そんなある日、陽に首輪が付いていないことに気づいた大翔は、以前のように迷子になった時でも安心だと、首輪を買ってやるべきだと提案する。言われるままにペットショップに向かった素晴は、再会した押守ななの案内のもとに、陽に似合いそうな首輪を探す。首輪を嫌がりストレスを抱え込んでしまう猫も多いというアドバイスを受けた素晴は、慎重に首輪を選んで赤いリボンの付いた首輪を購入。そこでほかの客との会話から、陽を動物病院に連れて行っていないことを指摘された素晴はキャリーバッグもいっしょに購入し、陽を検査に連れて行くことにする。

君に伝えたいこと編

のダイエットの秘訣を聞くために、押守ななを自宅に招いた朏素晴だったが、彼女が鍵を忘れていることに気づき、キーホルダーが爪に絡まったままの陽を連れて彼女を追う。なんとかななに忘れ物を届け、彼女の家に行くことになった素晴だったが、家の中に入った瞬間に陽の様子が一変。そこには陽のことを「お姉ちゃん」と呼ぶ子猫のはちが暮らしていたのだ。実ははちは野良猫時代にいっしょにいた陽の弟でもあり、長らく離れていた2匹は偶然にも再会を果たし、その喜びから部屋中を駆け回っていた。陽の様子に困惑する素晴の後ろには怖い顔をした大男が家に入って来たうえに、彼のことを変質者と疑うが、その男はななの弟の高校生、押守優伍だった。大柄な優伍の風貌に怯(おび)える素晴と陽はななの紹介を受け、彼がはちやろくと楽しそうに戯れる様子を見て一安心する。それでも他人の家が落ち着かずに、そろそろ帰りたいと思う素晴だったが、優伍のカバンの中に素晴の連載している「小説北極星」が入っていることに気づく。ななと優伍が「闇夜に光る」を愛読していることを知るも、素晴はその小説の作者だとは名乗れずにいた。それでも自分の作品を誰かが読んでくれていることを嬉しく思う素晴は、陽を連れて帰宅しながら、狭かった自分の世界が少しずつ広がっているのを感じるのだった。

思いの行方編

闇夜に光る」の単行本が発売されることになり、その記念として開催されるサイン会の話が朏素晴に舞い込む。河瀬篤に書店からの強い要望だと言われた素晴だったが、人付き合いが苦手な彼にとってサイン会に出るなどもってのほかだった。その話を断ろうとする素晴だったが、いくつかの出来事から思うところがあり、サイン会に出席する決意を篤に伝える。そしてサイン会の当日、着慣れないスーツ姿でおどおどしている素晴の姿を見て、は様子が違う彼のことをいつも以上に心配していた。何度も呼び留めようとする陽だったが、忙しそうな素晴はそそくさと出かけてしまう。家に残された陽は一気に怒り心頭となり、誰もいない家の中を1匹で暴れ回っていた。一方、初めてのサイン会に出席した素晴は、緊張で震えが止まらずに今にも逃げ出したい衝動にかられるが、ファンから嬉しい感想をもらったり、篤に励まされたことで落ち着き取り戻していく。そんな中、以前から「闇夜に光る」を愛読していた押守なながサイン会に駆けつけ、素晴が作家であることがななにバレてしまう。隠すつもりがなかったとはいえ、ななに対して罪悪感を覚える素晴だったが、次の瞬間にななが謝罪の言葉と共に頭を下げてきた。ななに改めて弁解と謝罪をした素晴は、彼女にお礼を告げてサイン会を無事に終える。疲労困憊(こんぱい)の体で帰宅した素晴だったが、家の中はなぜか空き巣が入ったかのように荒れていた。

君と出会ってからの僕編

借りていた本を返そうと朏素晴の家を訪れた矢坂渚は、素晴が家の前で見知らぬ女性と話しているのを目撃する。昔から素晴に淡い思いを寄せている渚は、その女性が素晴の恋人なのではと複雑な気持ちを抱き、会いづらくなってそのまま帰ってしまう。後日、家の本の整理をしていた素晴は、すっかり忘れていた河瀬篤との打ち合わせを始める。「闇夜に光る」の今後の展開と構想が固まっていく中、素晴の小説には恋愛要素が少ないことに気づいた篤は、恋愛要素を取り入れることを選択肢の一つとして提案する。だが、恋愛どころか人付き合いが苦手な素晴にとっては、自分の小説に恋愛要素を入れるのは困難なことだった。そんな中、渚の話を聞いて素晴に恋人ができたと勘違いした矢坂大翔が、素晴の家に押しかけて来る。結局、家の前で話していた女性は押守ななであったことが判明し、恋人ではなかったことを知った渚は安心して素晴に本を返す。社交的な両親とは正反対な素晴が、恋愛と無縁であることを嘆く大翔と、昔から両親と似ていないことを自覚する素晴を見た渚は、小学生の頃に素晴と素晴の母の世話になったある日の出来事を思い出す。

つながる思い編

朏素晴の家に突然、白猫のレオが迷い込んで来た。素晴に保護されたレオを見たは、彼が以前動物病院で遭遇した白猫であったことを思い出す。一方、知らない場所に怯えるレオの様子を見た素晴は、幼い頃に自分が迷子になった時の出来事を思い出す。あの時に自分を助けてくれた人のように、不安なレオのことを助けてやりたいと思った素晴は、陽といっしょにレオを飼い主のもとに帰そうと決意。レオをキャリーバッグに入れ、首輪に書かれていた住所まで連れて行った素晴は、レオを捜していた飼い主の香川ゆい香川としに遭遇。ゆいたちに感謝され、レオを無事に送り届けることができたことに安心した素晴は、他人に陽の話をたくさんしたのは初めてのことだと、今日の出来事を嬉しく思いながら帰宅する。陽もレオとの会話の中で、ふだんは頼りないけど優しくて思いやりのある素晴のことを、改めて誇らしく思うのだった。後日、素晴と河瀬篤はいつものように家で打ち合わせをする中で、外から子猫の鳴き声が聞こえることに気づく。縁の下では、母親がどこかへ行ってしまった4匹の子猫がお腹を空かせて鳴いていた。親猫が戻って来る気配もなく、急いで子猫たちを保護した素晴は篤の助言を受け、引き取ってくれる里親を探すことになる。

メディアミックス

TVアニメ

2019年1月から3月にかけて、本作『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』のTVアニメ版『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』が、AT-Xほかで放送された。監督は鈴木薫、キャラクターデザインは北尾勝が務めている。キャストは朏素晴を小野賢章、を山崎はるかが演じている。

登場人物・キャラクター

朏 素晴 (みかづき すばる)

人気ミステリー作家として活躍する青年。こぐま出版の小説誌「北極星」で連載を持つ。他界した両親と暮らしていた一軒家で、一人暮らしをしている。年齢は23歳で、ペンネームは「三日月」。小食なため痩せた体型で表情が乏しく、口下手で不器用な性格をしている。両親の墓参り中、偶然出会った野良猫の陽を見て着想を得た、「闇夜に光る」というミステリー小説を連載している。その後も連載のために陽を連れ帰って飼うようになるが、当初はあくまで小説のネタを得る目的であったため、猫の飼い方もよくわからないまま適当に世話をしていた。しかし、押守ななの親身なアドバイスをきっかけに猫の正しい飼育法を知っていくと同時に、陽のことを大事な家族として考えるようになり、すれ違いを重ねながらも少しずつ心の距離を縮めていく。幼少期から両親以外の他人を、創作や思考の邪魔になる存在として忌避してきたため、矢坂大翔以外の友人がおらず、人付き合いが大の苦手。デビューしたあとも担当編集者との接触すら嫌い、極力外に出ないで、家に引きこもりがちな生活を送っている。だが陽を飼い始めてからは、自然と周囲の人と交流したり外出したりする機会が増えていき、対人関係にも変化が生じるようになった。仕事の締め切りが近くなるといつも以上に集中力が高まり、飲食や睡眠を忘れることすらあるため、陽からは倒れてしまわないかといつも心配されている。趣味は読書で、ほぼ日課と化している。好きな食べ物はインスタントスープで、仕事中はコーヒーやチョコレートが欠かせない。好きな色は寒色系で、好きな場所は自宅・書斎・図書館など、静かで他人に邪魔されない場所。日課は素晴の母が手入れしていた庭の植物の世話で、今欲しいものは大容量の電子書籍を入れておけるタブレット。血液型はAB型で、誕生日は3月16日。

(はる)

朏素晴が両親の墓参り中に拾った、若いメスの野良猫。毛色は黒と白のハチワレ模様で、目付きが鋭い。素晴が買ってきた赤いリボンが付いた首輪をしている。かなり食い意地が張っているが、動物や人間に対しても面倒見がよく世話好きな性格で、不摂生になりがちな素晴のことをいつも心配している。過去の経験から人間への警戒心は強めで食への執念が強く、少々人見知りなところもあるが、気が強いため逃げずに立ち向かおうとする。「陽」という名前は、素晴が幼少期に読んでいた思い出の本のタイトルから付けられた。野良猫時代によくエサをもらっていた秋元奈津子が、娘の秋元春の名を呼ぶことが多かったため、当時は「ハル」という言葉をエサの合図だと思い込んで反応していた。だが、再会したはちに名前の概念を教えられてからは、「ハル」という言葉に対し、自分だけの特別な言葉という認識を抱くようになった。いっしょに暮すようになった素晴のことは、当初はエサや住処(すみか)を与えてくれる弟分程度に思い、特別な執着を持たなかった。しかし、食事をほとんど摂(と)らず孤独な身の上の彼を心配し、次第に放っておけない特別な人間と感じるようになり、猫なりの世話を焼くために離れないようにしている。元は弟妹といっしょに捨てられていた捨て猫で、弟妹やほかの野良猫と共に助け合いながら生きていた。しかし、弟妹が人間に拾われたりカラスに襲われたりしたことでバラバラとなり、はちも誰かに拾われていったことで長らく会えずにいた。趣味は昼寝と探検で、好きな場所は棚の上、段ボールの中、陽の差す窓辺、パソコンの上。食いしん坊でなんでも食べるが、特に好きなのは猫缶。苦手なものは大きな音。素晴の観察を日課としており、特に空腹で倒れていないかを気にしている。今欲しいものはごはん。

河瀬 篤 (かわせ あつし)

こぐま出版に勤務する編集者の男性。朏素晴の担当を務めている。年齢は27歳。猫が大好きな愛妻家で、眼鏡をかけている。穏やかな性格のおせっかい焼き。人付き合いが苦手な素晴に苦手意識を持たれたり邪険にされているが、めげずに世話をしている。打ち合わせと称して素晴の家にもよく出入りしているが、半分は彼が飼っている陽に会うのが目当てで、よく猫用のおもちゃやおやつなどをお土産として持参している。陽のことを溺愛しているがスキンシップが過剰なため、陽からは心底嫌がられて逃げられることも多く、愛情が空回りしがち。妻が猫アレルギー持ちのため自宅では猫を飼っていないが、妻も猫好きなため写真などをいっしょに見ることが多い。仕事のこと以外でも素晴に対して何かと世話を焼いており、トラブルや悩み事の多い彼に対して、相談相手になったり協力したりしている。趣味は写真と猫探しを兼ねた散歩。好きな場所は我が家と猫カフェ。好きな食べ物は妻の手料理で、愛妻弁当を毎日持参している。好きな色は新緑の色で、苦手なものはホラー映画。日課は猫の画像を検索することで、今欲しいものは圧力鍋。誕生日は10月22日で、血液型はA型。

矢坂 大翔 (やさか ひろと)

朏素晴の幼ななじみの青年。素晴の数少ない友人で、年齢は23歳。大手外資系企業に勤務している。素晴とは対照的に社交的でポジティブな性格で、運動部だったため体力に自信がある。実家は素晴の家の近くにあり、家族との仲は良好だがふだんは仕事で忙しいため、めったに実家には帰っていない。久しぶりに帰省した際、家が浸水したことでしばらく素晴の家に居候し、陽や河瀬篤と知り合った。その後も引きこもりがちな素晴のことが放っておけず、帰省するたびに彼のもとに顔を出しては、食べ物を冷蔵庫に入れていくなどおせっかいを焼いている。誰に対してもあまり遠慮がなく大雑把な性格に見えるが、両親を亡くした素晴のことを何かと気にかけるなど、優しいところがある。実家には年の離れた弟妹がいるため、昔から面倒見がよく、弟妹たちからも慕われている。素晴に何かあった時は相談に乗り、仕事で帰れない時でも弟妹に頼む形で彼に協力している。趣味は食べ歩き、旅行、サッカー。好きな食べ物は多国籍料理で、嫌いなものは細かい作業。好きな場所は空港や飛行機で、好きな色は原色。日課は弟妹たちと電話で話すことで、実家になかなか帰れない代わりにその日の出来事などを聞いている。今欲しいものは仕事でも趣味でも使える新しいスーツケース。誕生日は8月31日で、血液型はB型。

押守 なな (おうかみ なな)

朏素晴の家の近くにあるペットショップの店員をしている女性。年齢は21歳。ウェーブのかかった淡い桃色の髪をヘアゴムでまとめている。明るく朗らかな性格で、猫を中心とする動物全般が大好き。自宅は素晴の近所にあるマンションで、弟の押守優伍やペットのはち、ろくと共に暮らしている。陽を飼い始めたばかりで初めてペットショップを訪れた素晴と出会い、猫のことがわからずに悩む彼に対し、飼い方から接し方までさまざまなアドバイスを送るようになる。小説好きの優伍の影響で「闇夜に光る」を愛読しているが、作者の「三日月」が素晴であることや、彼が小説家であることもまったく知らなかった。しかし、素晴が初めてサイン会をしたことで、彼が小説家であることを知る。当初は驚いていたものの、その後も変わりなく素晴と交流を続け、何かと相談に乗ったり協力したりしている。猫と遊ぶのが得意で、特に猫じゃらしレベルが高く、どんな猫でも夢中に食いついてくる。好きな食べ物はカボチャと栗の入ったスイーツで、苦手なものは唐辛子系など辛い食べ物。趣味は野球観戦と猫グッズ集め。好きな場所はピクニックができるような自然の多い公園で、好きな色はオレンジ色。日課はいつも留守番させているはちとろくとたくさん遊んであげることで、今欲しいものははちとろくのためのキャットタワー。誕生日は7月7日で、血液型はO型。

素晴の母 (すばるのはは)

朏素晴の母親。世話好きで動物好きの女性で、近所に住むタローのこともかわいがっていた。息子の素晴とは対照的に、明るく社交的な性格をしている。クッキーなどのお菓子作りが得意で、ガーデニングを趣味としている。昔から人付き合いが苦手な素晴を心配し、彼でも行けそうな旅行先を探すなど、つねに思いやっていた。また、小説家デビューした素晴も全力で応援し、彼の作品の感想を近所の人に聞いて回ることもあった。素晴の父との旅行中、バスの交通事故に遭って亡くなる。素晴が陽を拾ったあとに幽霊の姿で現れ、彼を守ろうとする陽にお礼を告げて去っていった。

素晴の父 (すばるのちち)

朏素晴の父親。素晴の母と同様に動物好きで、家族思いの優しい性格をしている。妻との旅行中、バスの交通事故に遭って亡くなる。素晴が陽を拾ったあとに幽霊の姿で現れ、彼を守ろうとする陽にお礼を告げて去っていった。

秋元 奈津子 (あきもと なつこ)

秋元春の母親。夫と共に中華料理店「春来軒」を営んでいる。野良猫時代の陽にエサを与えていたことがある。動物好きで家族思いの優しい性格をしている。陽が来るたびに娘の春の名前を連呼していたため、「ハル」という言葉をエサをもらう時の合図だと、陽に勘違いさせることとなった。春の希望で、陽が次に来たら保護して飼うつもりでいたが、陽が来なくなったためにあきらめていた。のちに、朏素晴の家に出前に向かった際、彼に陽が飼われていることを知って安心する。

秋元 春 (あきもと はる)

秋元奈津子が営む中華料理店「春来軒」の一人娘。年齢は9歳。同級生の矢坂鳴海とは親友で、よくいっしょに遊んでいる。動物好きな優しい少女で、黒髪を二つのおさげにまとめている。よく店の前に来ていた野良猫時代の陽を気に入り、奈津子と共に世話をしていたことがある。次に陽が来たら家で飼うことが決まっていたが、来なくなったために早く引き取っておけばよかったと後悔しながら、陽の行方を心配していた。のちに奈津子と共に朏素晴の家に出前に行った際に陽と再会し、素晴のもとで幸せそうに暮らしている様子を見て安心する。ふだんから店の手伝いをしたり、奈津子から料理を教わったりしているため、一人でも料理を作ることができる。また、陽の食事作りに自ら挑戦していたため、猫の手作り食の作り方も奈津子から教わっている。鳴海といっしょに素晴の家に遊びに行った際、彼から猫の手作り食のレシピを聞かれ、鳴海といっしょにかわいいレシピ本を作ってプレゼントした。のちに素晴が家の下で拾った4匹の子猫のうち、茶色と白の毛色を持つ子猫を引き取って飼うようになる。趣味は料理。好きな食べ物は両親の作る餃子とラーメンで、苦手なものは体育。好きな場所は店のカウンター席の一番奥で、好きな色は黄色。日課は忙しい両親のために朝食の準備をすることで、今欲しいものは子猫用のおもちゃ。誕生日は4月25日で、血液型はO型。

はち

野良猫時代の陽といっしょに暮していたオスの子猫。陽の弟で、毛色は陽とよく似た黒と白のハチワレ模様。非常にやんちゃな性格で、陽のことを「お姉ちゃん」と呼んで慕っている。陽がエサを探しているあいだにカラスに襲われるが、押守ななに助けられて保護された。陽とは離れてしまったものの、ななの家で幸せに暮らしている。朏素晴がななの忘れ物を届けに陽を連れて訪問した際、偶然にも再会を果たし、先輩猫であるろくを紹介した。物知りで大人っぽいろくのことを、兄のように慕っている。好きな食べ物はなながくれるもの全部で、好きな場所はふかふかのクッションの上と押守優伍のカバンの中。

ろく

押守ななに飼われているオス猫。はちが拾われる前からななの家に住んでいる。毛色は茶色と白色で、つねにジト目のような目付きをしている。おとなしく落ち着いた性格で、面倒見もいい兄貴分的な存在ながら、溺愛しているななの前では少し意外な一面を見せる。元は野良猫だったため、当初はなかなか人間に懐かないこともあったが、現在ではすっかりななと押守優伍に慣れ、家猫生活にもなじんでいる。野良猫としても家猫としても経験豊富で、はちや陽よりも物知りで大人っぽいところがある。やんちゃでまだ幼いはちに対し、先輩猫としてさまざまなことを教えている。恐いもの知らずに見えるが、風呂は苦手。好きな食べ物はおやつの鰹節(かつおぶし)で、好きな場所はななのひざの上。日課は毛づくろいで、風呂に入らなくていいようにいつもきれいにしている。

押守 優伍 (おうかみ ゆうご)

押守ななの弟。高校2年生。ななとはち、ろくといっしょに暮している。大柄で厳(いか)つい風貌で、陽からは巨人扱いされている。目付きが鋭いために恐がられることも多いが、本来はななと同様に動物好きで優しく、非常にまじめで律儀な性格をしている。愛称は「ゆうくん」。ななの家に来ていた朏素晴のことを不審者だと誤解したが、誤解が解けたあとは深く謝罪した。小説好きで小説誌「北極星」を愛読しており、その中で知った「闇夜に光る」のファンになった。当初は作者の三日月の正体を知らなかったが、のちにサイン会に赴いたななを通して、素晴が小説家であったことを知る。知らないこととはいえ素晴に生意気なことを言ったと申し訳なく思い、謝罪のために素晴の家に赴くがなかなか話しかけられず、近所の人から不審者扱いされていた。素晴と再会し謝罪したあとは、その後もななと共に彼との交流を続けている。

矢坂 渚 (やさか なぎさ)

矢坂大翔の妹。女子高校生で、年齢は17歳。朏素晴とは大翔を通して幼少期から面識があり、彼が大の本好きであることも知っている。しっかり者で面倒見のいい性格をしており、両親や大翔の代わりに弟妹の面倒を見ている。幼少期から素晴に淡い思いを寄せているが、人付き合いが苦手な彼に話しかけてもあまりうまくいかず、空回りしがち。素晴の影響で読書に興味を持ち、学校では図書委員を務めている。幼少期に家の鍵をなくした際に素晴の母に世話になったことがあり、ほかの人からは似ていないと思われがちな彼女と素晴は、優しいところがそっくりだと思っている。

矢坂隼 翔 (やさか はやと)

矢坂大翔の弟。矢坂鳴海とは双子で、年齢は9歳。明るく活発でやんちゃな性格で、幼少期の大翔によく似た少年。時おり大翔に連れられて、朏素晴の家に遊びにやって来る。陽のことを非常に気に入っている。

矢坂 鳴海 (やさか なるみ)

矢坂大翔の妹。矢坂隼翔とは双子で、年齢は9歳。秋元春の同級生であり親友で、明るく活発な性格をしている。時おり大翔に連れられて、朏素晴の家に遊びにやって来る。陽のことを非常に気に入っている。大翔に頼まれて彼の代わりに、春といっしょに素晴の家に行くことが多い。のちに、素晴が拾った四匹の子猫の里親探しを春といっしょに手伝った。

矢坂 海空 (やさか みそら)

矢坂大翔の末の妹。年齢は3歳で、愛称は「みいちゃん」。切りそろえた前髪に、小さな赤いリボンを付けている。時おり大翔に連れられて、朏素晴の家に遊びにやって来る。陽のことを非常に気に入っている。

田辺 苑子 (たなべ そのこ)

朏素晴のとなりにある一軒家に住む初老の女性。愛犬のタローと夫と共に暮らしている。動物好きで優しくおっとりした性格で、タローのことを非常にかわいがっている。生前の素晴の母と親交があり、両親を亡くして一人暮らしをしている素晴のことを心配して気にかけている。

タロー

田辺苑子の愛犬。オスの大型犬で、毛色は白色、やんちゃで人懐っこい性格をしている。人にも動物にも物怖じや人見知りをすることなく、いつも元気で好奇心旺盛。散歩に行くことと遊ぶことが大好き。朏素晴に拾われた陽のことを気に入っており、いっしょに遊びたいと思っている。

トラ

野良猫時代の陽が世話になっていたメスの野良猫。クロの戦友。毛色は茶トラ模様で、姉御肌で面倒見がいい性格をしている。陽たちが捨てられていた場所の周囲を縄張りとしており、クロといっしょに工夫をこらして日々を生きている。野良猫になったばかりの陽たちに、食べ物の探し方から身の守り方まで、さまざまなことを教えた。陽からは「トラ姉さん」と呼ばれ、頼りにされている。襲ってきたカラスから仲間を守るために、自らがおとりになって陽たちを逃がした。好き嫌いはなく、生きるために食べられる物はなんでも食べる。好きな場所は周りが見える高い場所で、縄張りの見回りを日課としている。

クロ

陽が野良猫時代に世話になったオスの野良猫。トラとは戦友のような関係で付き合いが長く、彼女のことをひそかに気にしている。毛色は真っ黒で目付きが鋭く、左目に傷跡がある。ぶっきらぼうで口は悪いが面倒見がよく、情に厚い性格をしている。トラといっしょに、野良猫になったばかりの陽たちの面倒を見るようになる。好き嫌いはなく、生きるために食べられる物はなんでも食べる。好きな場所は静かな神社の境内で、縄張りに入って来た猫との勝負を日課としている。

レオ

陽が初めて動物病院に来た時に出会ったオス猫。毛色は白色で、臆病な性格をしているが見栄っ張りな一面があり、特に飼い主の香川ゆいの前では強がったりすることが多い。のちに朏素晴の家に偶然迷い込んで陽と再会するが、彼によって無事にゆいのもとへと帰された。ゆいのことが大好きで、香川としにはまだ慣れておらず、ゆいとの仲を邪魔する嫌な奴と思い込んで嫉妬している。当初は素晴のことを頼りないと思っていたが、ゆいのもとへ連れて行ってくれた彼のことを見直し、陽とも親しくなった。動物病院に行く時にはキャリーバッグに入れられるため、入ったら怖い場所に連れて行かれるというイメージがすっかり定着してしまい、キャリーバッグを大の苦手にしている。好きな食べ物はチーズで、好きな場所はエアコンの上。ゆいの見送りを日課としている。

香川 ゆい (かがわ ゆい)

レオの飼い主の女性。夫の香川としとマンションで暮らしている。レオが突然行方不明になったことで、としといっしょに捜し回る中、レオを連れて来てくれた朏素晴と知り合う。臆病なレオには少々手を焼いているが、非常にかわいがっている。レオが甘えてきた時は腹の毛に顔を突っ込みながら愛でるクセがあり、少々スキンシップの仕方が変わっている。

香川 とし (かがわ とし)

香川ゆいの夫。ゆい、レオと共にマンションで暮らしている。動物好きでゆいがもともと飼っていたレオのことをかわいがっているが、人見知りの激しいレオにはまだ懐かれておらず、嫉妬や警戒心を抱かれている。行方不明になっていたレオを連れて来てくれた朏素晴と知り合う。

こまち

野良猫時代の陽といっしょに暮していたメスの子猫。陽の妹で、毛色は陽とよく似た黒と白のハチワレ模様。恐がりで気弱な性格をしている。公園で出会った親子連れの一家に気に入られ、はやてといっしょに拾われていった。陽とは離れてしまったものの、拾ってくれた家で元気に暮らしている。好きな食べ物はマグロで、好きな場所は布団の中。布団の中に潜ることを日課にしている。

はやて

野良猫時代の陽といっしょに暮していたオスの子猫。陽の弟で、毛色は陽とよく似た黒と白のハチワレ模様。好奇心旺盛で甘えん坊な性格をしている。公園で出会った親子連れの一家に気に入られ、こまちといっしょに拾われていった。陽とは離れてしまったものの、拾ってくれた家で元気に暮らしている。好きな食べ物はマグロで、好きな場所は壁とソファーの隙間。飼い主といっしょに散歩することを日課にしている。

陽の弟 (はるのおとうと)

野良猫時代の陽といっしょに暮していたオスの子猫。陽の弟で、毛色は陽とよく似た黒と白のハチワレ模様。寂しがりでのんびりとした性格をしている。陽が食べ物を探しに行っているあいだにカラスに襲われ、陽が戻って来た時には命を落としていた。天国では素晴の母と素晴の父にかわいがられている。好きな食べ物は猫缶で、好きな場所はみんなのいるところ。陽に毛づくろいしてもらうことを日課にしていた。

その他キーワード

闇夜に光る (やみよにひかる)

朏素晴が「三日月」のペンネームで連載しているミステリー小説。素晴が墓地で遭遇した陽をモデルにした猫が主役。連載は好評で、大人から子供まで幅広いファンに愛読されている。のちに単行本も発売され、書店の強い要望で単行本発売記念のサイン会も開かれた。

クレジット

原作

みなつき

書誌情報

同居人はひざ、時々、頭のうえ。 10巻 フレックスコミックス〈ポラリスCOMICS〉

第9巻

(2022-12-15発行、 978-4866752587)

第10巻

(2023-12-15発行、 978-4866753287)

SHARE
EC
Amazon
logo