概要・あらすじ
未来、日本は「国民クイズ」というクイズ番組で合格した者だけが特権を与えられる「国民クイズ主義」を導入していた。「国民クイズ」は憲法よりも優先される絶対の権限を有し、番組の合格者は出場時に提示した希望がかなえられる。K井K一は、かつてこの番組に出場し失格したため、厳罰を受ける「戦犯」という立場にあった。
K井は天才的な素質があり、「国民クイズ」の司会者として国民の圧倒的な支持を受けている。大衆の歪んだ欲望がテレビ番組の過激な演出により誇張され、反体制勢力はK井の命を狙っている。「国民クイズ」担当省庁である国民クイズ省官僚同士のパワーゲームや、横暴の限りを尽くす日本に反発する諸外国の思惑などもあいまって、物語は混迷を深めていく。
登場人物・キャラクター
K井 K一 (けーい けーいち)
かつては売れない役者だったが、「国民クイズ」に出場し失格。現在はB級戦犯となり服役中だが、強制労働として「国民クイズ」の司会者に抜擢され、天才的な素質を開花させる。国民からの支持率は98%と圧倒的。本名は川井啓一。別名KK27331号。「国民クイズ」出場前に真部市子と離婚しており、市子との間に娘の真部麻里子がいる。
M田 A子 (えむた えーこ)
K井K一とペアを組み、番組「国民クイズ」の司会アシスタントをつとめる。元アイドル。別名MM2206号。K井と同じく、「戦犯」として服役中。K井が脱走した際など、K井不在の場合はK井に代わってメイン司会をつとめ、K井のポジションを狙っている旨の発言もある。
内藤 (ないとう)
国民クイズ省の内局である本選局制作部長。次期事務次官を狙う本選局局長森村茂三の片腕として暗躍する。フルネームは不明。有能な官僚として描かれており、上司である森村を担いではいるが、体制側の実権は内藤が握っている。
森村 茂三 (もりむら しげぞう)
国民クイズ省の内局である本選局の局長。次期事務次官を狙っており、現事務次官派と対立。感情的で無能な人物として描かれている。
村越 (むらこし)
国民クイズ省の内局である賞与局の賞罰施行委員会(通称SS)隊長。賞罰の演出のために過激な行動をとることが多く、番組「国民クイズ」でもお馴染みの顔になっている。主人公K井K一脱走時にK井の実の娘である真部麻里子に目をつけ、電気椅子による拷問を望むなど嗜虐的傾向の人物として描かれる。
D門 E吉 (でぃーもん いーきち)
架空の番組「国民クイズ」の番組ディレクター。番組スタッフから「ディー」と呼ばれている。番組関係者としてはK井K一にもっとも近い人物のひとりでK井を高く評価しているが、K井からは「そっち側」(体制側)として認識されている。
真部 市子 (まなべ いちこ)
主人公K井K一の元妻。K井が「国民クイズ」に出場する前にK井とは離婚している。父親が創立した大企業「真部物産」の社長として多忙な日々を送っている。K井とのあいだには娘真部麻里子がいる。
真部 麻里子 (まなべ まりこ)
主人公K井K一と、K井の元妻真部市子とのあいだの娘。市子に引き取られている。クラスメートたちにはK井との関係は隠している。「国民クイズ」番組ディレクターのD門E吉がメロメロになるほどの美少女。
憂木 響子 (ゆうき きょうこ)
架空の国家佐渡島共和国の国防軍特殊工作隊のエージェント。日本に潜入し、国民クイズ体制を動揺させるべく暗躍。K井K一暗殺計画をくわだてた反体制組織本格派のメンバーや、K井の元妻真部市子およびK井と市子の娘真部麻里子に接近。最終的にはK井本人に接触し、国民クイズ打倒計画へと引き込もうとする。 反体制派の中枢にいる人物。
集団・組織
国民クイズ省 (こくみんくいずしょう)
『国民クイズ』に登場する架空の省庁。国権の最高機関である「国民クイズ」を担う。本選局や地方予選局のほか、保安局、情報調査局、海外派兵局などからなる。本選局局長である森村茂三が次期事務次官の地位を狙っており、森村の右腕である本選制作部長の内藤とともに、現事務次官派と対立している。
本格派 (ほんかくは)
『国民クイズ』に登場する架空の組織。反国民クイズ統一戦線を標榜しているが、構成員は数名のみで国民クイズ省からは泡沫組織として認識されている。国民クイズの象徴としてK井K一を憎み、暗殺計画を実行するが失敗。国民クイズ打倒を目論む佐渡島共和国の国防軍特殊工作隊の憂木響子の接触を受け、その陰謀に加担する。
場所
佐渡島共和国 (さどがしまきょうわこく)
『国民クイズ』に登場する架空の国家。番組「国民クイズ」の決勝で合格し、国民クイズ体制に反対する人々のための国として日本から独立した。各国首脳と秘密裏にサミットを開催したり、秘密工作部隊を日本に送り込むなどして、日本の国民クイズ体制の転覆を目論む。