塚原卜伝

塚原卜伝

戦国時代に実在した剣豪、塚原卜伝の少年時代をコミカルに描く伝記漫画。少年の塚原小太郎がいかにして剣の道を志したのか、そして剣豪になるまでどういう人生を歩んだのかが綴られている。「ビッグゴールド」1995年10月号から1996年1月号にかけて掲載された。

正式名称
塚原卜伝
ふりがな
つかはらぼくでん
作者
ジャンル
自伝・伝記
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概要・あらすじ

真夜中の夜叉ヶ嶽。そこに、一人足を踏み入れた少年がいた。彼の名は塚原小太郎。のちに塚原卜伝と名を改め、さまざまな逸話を残す人物である。小太郎は友を殺した狼を討つため夜叉ヶ嶽に来ていた。そして大声をあげ、それにおびき寄せられた2匹の狼をあっという間に切り殺す。小太郎は、これで無事に敵討ちができたと満足するが、父親である塚原土佐守は、小太郎の血気盛んな性格を心配し、友人である上泉秀綱に息子を預ける事にした。

こうして小太郎は13歳で、真影流の門弟となった。それから5年後、師匠である秀綱を超えた小太郎は、武者修行の旅に出る事を決意。そして小太郎は、行く先々でさまざまな人物と戦い、成長していく。

登場人物・キャラクター

塚原 小太郎 (つかはら こたろう)

戦国時代に実在した剣士。のちに「塚原卜伝」と名を改める。少年時代は血気盛んな性格で、8歳の時に友の敵(かたき)を取るため一人で夜叉ヶ嶽に足を踏み入れ、狼を切り殺した。だがその性格を心配した父親の塚原土佐守によって、13歳の時に上泉秀綱の道場に預けられる。そこでも剣の事しか学ぼうとしなかったため、3年間は雑用と稽古を見ているだけの生活が続いた。 そんな中、ようやく秀綱の許可が降り、剣の稽古に参加できるようになった。すると、毎日の稽古で兄弟子達の動きを見ていた小太郎は、彼らを圧倒する。そして2年後、小太郎が19歳になった時、ついに師である秀綱を超える。それからは武者修行を決意し、信濃丸円海との戦いや、神前奉納試合での戦い、そして戸澤白雲斎との修行を経て成長していく。 その後、父親の敵である佐竹弾正左衛門を倒し、また諸国を旅する事を続けていった。実在の人物、塚原卜伝がモデル。

塚原土佐守 (つかはらとさのかみ)

塚原小太郎の養父。落ち着いた性格で、小太郎思いの男性。小太郎を文武両道にさせようと努力してきたが、彼が剣の道ばかりに執着していたため、友人の上泉秀綱の道場に預ける事を決意する。そして5年後、小太郎が武者修行の旅に出る旨を報告しようと、家に立ち寄った際に再会。しかしそこで小太郎を勘当し、すぐに家を追い出した。 だがこれは、息子を甘やかさないためのものであった。それからしばらくたったある日の事、佐竹弾正左衛門の不穏な動きを知る。密かに情報を探っていたが、逆に佐竹弾正左衛門が放った刺客により命を落としてしまう。実在の人物、塚原安幹がモデル。

上泉 秀綱 (かみいずみ ひでつな)

塚原小太郎の剣の師匠。別名は「上泉信綱」。厳しい性格だが、弟子思いの男性。友人である塚原土佐守の手紙を読み、小太郎を弟子として道場に引き受ける事にしたが、彼の荒々しい性格や学問に対する不真面目な態度を理由に、3年間稽古に参加させなかった。ある時、小太郎が部屋で居眠りしていたところを不意打ちするが、小太郎がそれをかわした事で、改めて剣の才能を認め、稽古への参加を許可した。 それから2年後、小太郎が19歳の時に一対一で戦う。その戦いで小太郎が勝った事で、彼の武者修行の旅を了承した。実在の人物、上泉信綱がモデル。

信濃丸 円海 (しなのまる えんかい)

上泉秀綱の道場に他流試合を申し込んだ修験者の男性。道場主の秀綱は病に倒れていたが、それでも引き下がろうとしなかった。その結果、秀綱の道場の四天王達を次々と倒し、道場の評判を落とした。だが円海は秀綱に勝ったと嘯(うそぶ)き、ほかの道場から金を巻き上げていった。その後、師匠の仇討ちにやって来た塚原小太郎と戦う。 その際は負けてしまったが、反省して彼をもてなそうと酒を飲ませる。だが実際は、自分が負けた事を知らせないために酒に眠り薬を混ぜ、小太郎を木に逆さ吊りにした。しかし、白猿に助けられ戻って来た小太郎と再び戦い、最期は彼に首をはね飛ばされ死亡した。

白猿 (しろさる)

羽黒山に住む、全身真っ白の体毛をした猿。餌を求め集落に降りて来た際に村人につかまり、木に張りつけられていた。そこへやって来た塚原小太郎が、三両で猿を買ったため、彼に命を救われる。その後、恩を返すため信濃丸円海の策略によって逆さ吊りになっていた小太郎を助ける。そしてそのまま彼について行き、自身とその仲間達と共に信濃丸円海の門弟を撃退した。

亀井 新十郎 (かめい しんじゅうろう)

塚原小太郎が神前奉納試合で戦った男性。その際は偽名を使い「近江典膳」と名乗っていたが、本名は「亀井新十郎」といい、亀井流槍術の創始者である。さらに武芸者からは「西国の鳳凰」とも呼ばれている。小太郎との戦いでは一進一退の攻防を繰り広げたものの、途中で自身の不利を悟り、天狗飛び切りの術を使って姿をくらました。その後、小太郎と再会し、自身の術についての話をする。 この事が、小太郎が戸澤白雲斎のもとで修行するきっかけとなった。

佐竹弾正左衛門 (さたけだんじょうざえもん)

七万石を持つ佐竹家の男性。ある日、本家の当主である佐竹義重が死んだ事を知り、跡継ぎが幼少の少年であり、またそのお守り役である梅津内記も耄碌(もうろく)しているため、本家佐竹家の八十三万石を横領しようと企む。さらに、それを自分の息子に相続させようとした。その計画に邪魔な塚原土佐守を消すため、謀反の気配があると噓の報告を本家に伝えて、彼を討つための名目を得て、塚原土佐守とその長男を殺す。 さらに、父親と兄の危険を察知して帰って来た塚原小太郎を牢に入れた。そのまま計画は成功するかに見えたが、小太郎が牢から逃げ出した事で失敗。そのため、今度は小太郎の叔父を謀反の気配があるとし、小太郎をおびき出すための人質にする。多くの兵を従えて待ち構えていたが、逆に小太郎とその仲間達に次々と倒され、失敗に終わる。 それからしばらくたったある日の事、自分の息子の縁談に参加するため、手下を引き連れて屋敷を出る。だがその事が小太郎に復讐の機会を与えてしまい、再び彼と対峙する。そして最期は小舟に乗って逃げようとした際に、追って来た小太郎に首を落とされて死亡した。

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