概要・あらすじ
メジャーリーグ生涯打率記録の保持者であるタイ・カッブは、超人的な記録で賞賛を浴びる一方、激情的な性格ゆえの行動が常に球界の問題になっていた。周囲の喧騒を結果によって黙らせてきたタイ・カッブだったが、そんな彼にも弱点があった。ホロウズ投手の魔球「スピット・ボール」にだけは、手も足も出なかったのだ。そのことを観客に野次られたタイ・カッブは激昂し、暴力事件を起こしてしまう。
登場人物・キャラクター
タイラス・レイモンド・カッブ (たいらすれいもんどかっぶ)
エピソード「タイ・カッブ」に登場する。デトロイト・タイガーズ所属の野球選手で、メジャーリーグ史に残る記録を数々打ち立てた強打者。しかし、傲慢かつ暴力的な性格で、言動は常に人々の議論の的となった。常に拳銃を携帯する、スパイクの鋲をヤスリで磨いて凶器同然に扱うなど、次々に問題行動を起こす。苦手意識を持つホロウズ投手についての野次がきっかけで観客を殴打し、無期限出場停止に処されるも、チームメイトのストライキにより、1日で復帰。 ホロウズとの決戦に挑む。実在した人物、タイ・カップがモデル。
康 芳夫 (こう よしお)
エピソード「康芳夫」に登場する。「なにもない物を売る興行師」「虚業家」を名乗る。1937年、中国人の父親と日本人の母親の間に生まれる。人種差別や敗戦後の日本の価値観の激変などを目の当たりにして世間に絶望して以降、ヤクザとの仕事や見世物小屋の運営を経て「ウソを見る人間の目は本物」との思いを強くしていく。数々のハッタリ興行で大金を稼いだ後、39歳の時に、47本の染色体を持つチンパンジーらしき生物、オリバーを利用した世紀の興行を実現させようとする。 実在した人物、康芳夫がモデル。
メアリー・マロン (めありーまろん)
エピソード「腸チフスのメアリー」に登場する。1868年生まれのアメリカ人。幼い頃に母親に言われた「女は料理さえできれば」という言葉から、料理を作り続ければ幸せになれると信じ、賄い婦の仕事を始めた。しかし、行く先々で腸チフスの集団感染が起こり、その度にメアリー・マロンだけは感染を免れていたことから、腸チフス保菌者の疑いをかけられる。 「メアリー・マロンに賄いをさせてはいけない」という法律も制定され、「アメリカで最も危険な女」と呼ばれるようになる。しかし、保菌者であることを認めない彼女は監視がゆるむ度に姿を消し、アメリカ各地で賄い婦を続けていく。実在した人物、メアリー・マロンがモデル。
サラ・パーディー・ウィンチェスター (さらぱーでぃーうぃんちぇすたー)
エピソード「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」に登場する。1840年生まれ。22歳でウィリアム・W・ウィンチェスターと結婚。しかし、幼い子供と夫、両親に先立たれ、孤独になる。そんな時、路上で声をかけてきた霊媒師の「悪霊を追い払うために西の果ての地に美しい家を建て、完成させることなく建て続けよ」という言葉を信じサンフランシスコから南東の地に館を建てる。 それから、終わることなく増築を続けている。また、占い師に「誰にも顔を見せるな」と言われたため、常に顔をベールで覆っている。実在した人物、サラ・バーディー・ウィンチェスターがモデル。
チンピラたち
エピソード「コリヤー兄弟」に登場する。取材と偽ってコリヤー兄弟の豪邸についての情報を聞き出し、財産を狙って侵入する。しかし、ガラクタだらけの家を進むうちに、コリヤー兄弟の仕掛けたトラップで、弟分は命を落としてしまう。生き残った兄貴分は、後にコリヤー兄弟の兄、ホーマーの遺体を発見することとなる。
ニコラ・テスラ (にこらてすら)
エピソード「ニコラ・テスラ」に登場する。1856年生まれのアメリカ人発明家。かつてはトーマス・アルヴァ・エジソンの部下だったが、その才能に嫉妬したエジソンから目の敵にされるようになる。さらに、直流理論を信望するエジソンに対し、交流理論による発明品を制作していたため、のちにエジソンと決別。その後はエジソンの妨害のせいで貧困に陥り、人間嫌いと潔癖症が加速する。 しばらく業界から消えていたが、1893年、シカゴ産業博覧会の展示が絶賛され、カムバックを果たす。生涯独身を貫いた変人として知られる。実在した人物、ニコラ・テスラがモデル。
ホロウズ
エピソード「タイ・カッブ」に登場する。アスレティックス所属の投手で、エピソードの語り部も務める。全盛期のタイ・カッブ相手に対戦成績で優位に立った名選手。得意技は、ボールにヤスリで傷をつけて無軌道な回転を生み出す「スピット・ボール」だが、現在はこの行為はルール違反とされている。冷静沈着な人物だが、度を越したタイ・カッブの挑発に対してデッドボールをぶつけて応えるなど、強い精神力も併せ持つ。 実在した人物、ホロウズがモデル。
オリバー
エピソード「康芳夫」に登場する。人間より1本多く、チンパンジーより1本少ない、47本の染色体を持つ謎の生物。外見はチンパンジーのようだが、顔面に体毛がなく、口の出っ張りもない。康芳夫の計画により、人間かチンパンジーかを見極めるべく、人間の女性との性生活を報道されることになる。この時、人間の女性の裸を見て激しい性的興奮を露にした。 実在したチンパンジー、オリバー君がモデル。
女 (おんな)
エピソード「康芳夫」に登場する。19歳の新人映画女優で、本名は不明。康芳夫が募集したオリバーの花嫁に応募し、1千万円と引き換えにオリバーと性行為を持つことになる。しかし、彼女の目的では金でなく、純粋な好奇心と、自分を捨てた父親への復讐だと主張する。
ジェームズ
エピソード「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」に登場する。サラ・パーディー・ウィンチェスターの使用人。サラには従順で、常軌を逸したサラの増築命令にも、抵抗せずに現場を指揮している。サラを女性として愛しており、悪霊からサラを守るために影武者になることすらも厭わなかった。
霊媒師 (れいばいし)
エピソード「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」に登場する。家族に次々と死なれて失意に暮れるサラ・パーディー・ウィンチェスターに、悪霊の影を見て取り忠告を送る。その結果、サラは終わりのない増築と、素顔を晒さないことに固執するようになる。悪霊に襲われたジェームズから救いを求める電話を受けるが、悪霊に始末されてしまう。
コリヤー兄弟 (こりやーきょうだい)
エピソード「コリヤー兄弟」に登場する。兄ホーマーは1881年生まれ。弟ラングレーは1885年生まれ。豪邸に住む裕福な家庭に育ったが、父親の不貞や治安の悪化などに伴い、世の中への不信感を強くする。母親の死後は家にこもりきりとなり、目の不自由な兄を弟が介護しながら2人きりで世間と隔絶した生活を送っていた。自宅をガラクタで作ったバリケードやトラップで警護している。 実在した人物、コリヤー兄弟がモデル。
トーマス・アルヴァ・エジソン (とーますあるゔぁえじそん)
エピソード「ニコラ・テスラ」に登場する。世界史に名を刻む発明王だが、虚栄心と嫉妬心が強く、ニコラ・テスラの才能を恐れて彼を業界から締め出そうと画策する。ノーベル物理学賞に選ばれた際も、テスラとの同時受賞だったという理由からこれを辞退した。なお、テスラも同様の理由で受賞を辞退している。実在した人物、トーマス・アルヴァ・エジソンがモデル。