概要・あらすじ
連載漫画『ムーたち』が終了したエノモトの元へ、カドカワ書店『本の旅人』から仕事のオファーが来る。「エッセイ漫画を」と言われ、苦し紛れに「次回から回顧録チックになる」と書いて第1回を始めたエノモトは、川上未映子と対談した話など最近の出来事で脱線を続けながらも、映画少年だった中学生の頃から語り始めていく。
登場人物・キャラクター
榎本 俊二 (えのもと しゅんじ)
漫画家の男性で、作者である榎本俊二本人がモデル。年齢は連載当初で40歳だが、14歳の頃からの思い出も語られる。タイムマシンで時空を超え、友人のアベカズシゲと川上未映子が結婚したことに自分が貢献したように歴史を捻じ曲げるなどの漫画的な行動も行う。
耕野 裕子 (こうの ゆうこ)
エノモトの妻であり、ベテラン少女漫画家。モデルは漫画家の耕野裕子本人。出版社に原稿を紛失させられ、エノモトが代わりに原稿の取り立てを行うことになった時もある。
長女 (ちょうじょ)
エノモトの娘。当初は小学6年生だったが連載中に中学生に進級し、外見が大きく変わる。エノモトに対しては、「下品な漫画を描かないでほしい」と懇願している。
長男 (ちょうなん)
エノモトの息子で、保育園の年中組。エノモトに色々と吹きこまれているせいで、コバヤシやオリイといった編集者を非常に恐ろしい存在だと思い込んでいる。
コバヤシ
カドカワ書店に勤務する編集者の男性で、『本の旅人』誌で『思ってたよりフツーですね』の担当をしている。電話の声が無機質だったため、以降「ロボット」と言われるような四角四面のキャラ付けをされる羽目になっている。「タエりん」という妻がいる。
エンドウ
カドカワ書店に勤務する編集者の男性で、『思ってたよりフツーですね』が連載されている『本の旅人』誌の編集長。性格はアバウトで適当。『思ってたよりフツーですね』担当編集者のコバヤシが、「あまりに似てなくて編集部内が騒然とした」と語るほど、絵が実物と似ていない。後に他部署へ異動。
オリイ
漫画編集者の女性で、秋田書店『全部ホンネの笑える話』においてエノモトの連載『榎本俊二のカリスマ育児』を担当している。「美人だが怖い」と言われるタイプで、電話越しに怒りのオーラを伝えることが得意。特に、作中で家族ネタが使われると、「それは『カリスマ育児』で使ってほしい」と怒る。
F沢マナブ (えふさわまなぶ)
講談社の『モーニング』編集部で漫画編集者をしている男性。エノモトが89年に「アフタヌーン四季賞」を受賞したとき以来、20年以上にわたって担当となっている。年齢はエノモトの受賞時で26歳だが、その頃から老け顔。エノモトとの初対面時の第一声が「思ってたよりフツーですね」であったことが、本作のタイトルの由来となっている。
アベ カズシゲ
エノモトの、映画の専門学校時代からの友人である男性。小説家の阿部和重がモデル。後に川上未映子と結婚する。
アイカワ ヒロアキ
エノモトの友人である男性。エノモトとは高校の同期で映画研究部の仲間であり、後に同じ映画の専門学校に入学する。カメラマンの相川博昭がモデル。
本谷 有希子 (もとや ゆきこ)
劇作家、演出家、小説家の本谷有希子がモデルである女性。三白眼が特徴。エノモトの作品『えの素』の解説を本谷が書いたり、本谷のエッセイの挿絵をエノモトが描いているなどのつながりがある。
岸本 佐知子 (きしもと さちこ)
翻訳家、エッセイストの岸本佐知子がモデルである女性。F沢マナブやエノモトたちと飲んだ際に、「好きな映画は『あずみ』」と発言し、場の全員を騒然とさせる。異常なほど酒に強い。
川上 未映子 (かわかみ みえこ)
小説家の川上未映子がモデルである女性。『早稲田文学』の企画でエノモトと対談をし、直後に芥川賞を受賞する。後にアベカズシゲと結婚。
アダチ
カドカワ書店に勤務する編集者の男性で、『思ってたよりフツーですね』が連載されている『本の旅人』誌の、エンドウの後任となる編集長。少林寺拳法で鍛えており、タクシーを手刀で両断することができる。よく半裸になる。