夜がおわらない

夜がおわらない

生き物の感情を読み取る不思議な能力を持った少女が、謎の集団「赤い目」に怯える人々を救うため、仲間と共に立ち向かうパニックサスペンス。「ちゃお」1996年6月号から1997年8月号にかけて掲載された作品。

正式名称
夜がおわらない
ふりがな
よるがおわらない
作者
ジャンル
サスペンス
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概要・あらすじ

生き物の感情がわかるという特殊な能力を持った風見せれんは、アフリカで医師を務める両親と共に、野生の動物たちに囲まれて暮らしていた。しかし伝染病の発生により、医療チームに入ることになった両親のもとを離れて日本へ帰国。いとこの家に居候することになる。そんなせれんが新しく暮らす街では、いじめによる小中学生の自殺や死亡事故が多発しており、街中に怯えの感情が渦巻いていた。

せれんが新たに通い始めた中学校でも、いじめによる転落死が起こったばかりだった。それを目撃したミステリー研究会の齋藤俊樹は、当時現場にいた人物の目が赤く光っていたことに気付き、言い知れぬ恐怖を感じていた。それを感じ取ったせれんは、「赤い目」の正体を暴くため、ミステリー研究会の仲間と協力して調査を開始する。

しかし、せれんの周辺では次々と不可思議なことが起こり始め、次第に増えていく赤い目の人間は、せれんや仲間の命をも脅かしはじめるのだった。

登場人物・キャラクター

風見 せれん (かざみ せれん)

アフリカで生まれ育った少女。医師の両親のもと、大自然の中で動物に囲まれて育ったため、生き物の感情を読み取るという特殊な力を持つ。動物が大好きで、動物たちも彼女を慕う。ポジティブで明るく、行動力があり、人一倍優しい心の持ち主。日本に帰国後は東早紀の家で生活を共にし、緑野台中学校に通う。真柴慧矢に想いを寄せている。

真柴 慧矢 (ましば けいや)

緑野台中学校に通う男子生徒。ミステリー研究会部長の斉藤俊樹とは仲が良く、いつも行動を共にしている。風見せれんが感情を読むことができない数少ない人物。口は悪いが正義感が強く、気は優しい。ぱたや自宅付近の猫を始めとする、たくさんの動物に好かれている。「赤い目」の血液を飲まされ仲間にされそうになるが、なぜか効果がなかった。 母親はフィリピン人で占い師。

東 早紀 (あずま さき)

緑野台中学校に通う女子生徒。風見せれんのいとこ。せれんとは仲が良く、なんでも話せる姉妹のような関係。ミステリー研究会に所属しており、部長である斉藤俊樹に想いを寄せている。五代先生の手により「赤い目」の仲間となってしまうが、せれんの魔除けによって浄化され、元に戻ることに成功する。

斉藤 俊樹 (さいとう としき)

緑野台中学校に通う男子生徒。ミステリー研究会の部長を務めている。気弱で気が小さいが、東早紀とは互いに想いが通じている様子で、早紀に対しては積極的に行動することが多々ある。同級生が自殺した現場を目撃し、その時周囲にいた3人の女子生徒の目が赤く光っていたことに気付く。「暗くなると赤い目の人間が見える」と訴えた人が、次々に死んでいく事実を知り、恐怖心に駆られるようになる。

中司 聖 (なかつかさ せい)

私立中学校に通う男子学生。地域の女子学生の間では美男で有名。心優しく、情熱的な部分があり、風見せれんに想いを寄せている。幼い頃にフィリピン人の母親を亡くし、父親には捨てられたため、大きなお屋敷に妹の中司麗と2人だけで暮らしている。せれんが感情を読むことができない数少ない人物で、「赤い目」の血液を飲んでも、なぜか効果がない。

美樹本 彩 (みきもと あや)

緑野台中学校に通う女子生徒。目を引くほどの美人で、幼い頃からモデルとして活動している。女子生徒が自殺した際、一緒にいたと思われる「赤い目」。のちに、血を吸い取られた状態の遺体となって発見される。

五代 (ごだい)

緑野台中学校で保健室の養護教諭を務める女性。美樹本彩によって「赤い目」の仲間となる。その後は保健室に生徒を誘い込み、注射器を使って「赤い目」の仲間を増やしていく。

水口 可南 (みずぐち かな)

東早紀と同じ塾に通う女子学生。夜になると目が光る「赤い目」をした人間を、判別することができる。高めのツインテールがトレードマーク。ミーハーで、おしゃべりが大好き。

中司 麗 (なかつかさ れい)

中司聖の妹。わがままで勝気な少女。なぜか血を欲する体質で、兄の聖が病院からもらってきた血液を摂取している。人形を愛し、いつも何らかの人形を小脇に抱え歩いている。自分の血液を摂取させた相手を、意のままに動かすことが可能で、この状態の人間を「お人形」と呼んでいる。自分の手の内から東早紀を奪い返した風見せれんを嫌っている。

島本 由梨 (しまもと ゆり)

重い心臓病を患っている少女。何度も手術を受けてきたが治らず、長く続く入院生活に苦しんでいる。中司麗の血液が体内に入ったことで、一時的に病状が良くなったものの、心臓が強くなり過ぎて暴走を起こす。風見せれんの魔除けによって浄化を試みるも間に合わず、全身から出血を起こし、帰らぬ人となる。

二の宮 剛 (にのみや たけし)

中司聖と中司麗の父親。厚生大臣を務める官僚。研究者であり、病原菌「アスワング」を発見した張本人。聖に同調し、良い父親であるかのように振る舞うが、実際は上辺を取り繕っているだけである。街中の人間を実験台にしようと画策する。

ダディ、マミィ

風見せれんの父親と母親。アフリカで医者を務めている。アフリカ中部での伝染病の発生に伴って、医療チームに参加することになったため、せれんとは離れて暮らすことになる。また、「スマトラの吸血鬼退治」という名のプロジェクトの中心人物であり、「アスワング」に対する薬を開発していた。

その他キーワード

魔除け (まよけ)

風見せれんが身に着けているお守り。元々はせれんの父親が「スマトラ」の祈祷師からもらったという魔除けのお守り。三角形の枠に十字架が組み合わされた造りになっており、吸血鬼に血を吸われて操られている人間の心を呼び戻すために使われたと、言われている。十字架の先端を吸血鬼に突き刺し、反対側で自分を貫くことで自身の血液を流し込み、相手を浄化する仕組み。

アスワング

フィリピンに伝説として伝わる女性の吸血鬼。昔から夜に血を吸いに来ると恐れられていた。その実態は致死率90%以上の病原菌であり、代々女性に受け継がれるとされる。アスワングには宿主となる人間が存在し、感染者は宿主の意識に支配され、暗いところで目が赤く光るようになる。宿主自身は急激に感染者を増やそうとするため、感染者も同じ目的で動く。 また、感染者は治癒力が異常に高くなり、少々の傷でもあっというまに治ってしまう。感染者を倒すには、延髄や脳に傷を負わせる必要がある。

赤い目 (あかいめ)

暗いところで目が赤く光る、正体不明の人間のこと。「赤い目」の人間は、風見せれんが触れても感情が読み取れず、暗闇に触れたように感じる。彼らは自分たちの血液を相手に摂取させることで、「赤い目」の仲間を増やそうと行動する。また、「赤い目」を見分けることができる、ごく一部の人間を狙って殺害しようとする。ただし、せれんの魔除けを使えば、元に戻すことが可能。

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