概要・あらすじ
男子高校生の小田切俊一は、人の心を読む能力を持っていた。人間の傍(かたわ)らには、俊一にしか見えない「心獣」という動物がいる。心獣は人間の本心そのものであり、彼らに話を聞くことによって本音がわかるのだ。ちなみに俊一の心獣は、電気ウナギであり、本音をもらさない心獣に、電気攻撃で口を割らせるということも可能である。俊一はこの能力を利用して、1回5000円で恋愛相談などを引き受けていた。しかし、俊一がこの力を周囲に話したのは金のためではなかった。「自分の力を何かに活用しないと、やってられない」という気持ちからだった。その結果、周囲は俊一を警戒するようになってしまったが、それは覚悟の上であった。人間の醜さ、傲慢さを知る俊一は、むしろずっと一人でいいと考えていたのだ。そんなある日、俊一は心獣を持たない美少女と出会う。彼女の名はしおり。しおりは、心獣を持っていないだけじゃなく、俊一の電気ウナギが見えていた。俊一は、自分と同じように心獣が見える人間がいたことに、たとえようもない開放感を覚え、世界に色が付いたように感じる。会うたびにしおりに惹かれていった俊一は、ある日、花束を彼女へプレゼントしようとする。しかし、しおりはその花束を受け取ろうとしなかった。感情的になった俊一は、しおりに触れようとするが、俊一の手は彼女の身体を通り抜けてしまう。しおりは心獣だったのだ。2年前、事故にあい、身体は植物状態になっているらしい。しかし、しおりは記憶をなくしているため、身体がどこにあるかわからないのだという。事情を知った俊一は、一晩悩んだ末にしおりと再会し、彼女の身体と記憶を一緒に捜すことを決めるのであった。
登場人物・キャラクター
小田切 俊一 (おだぎり しゅんいち)
男子高校生。3年前から、人間の本心が具現化した「心獣」が見えるようになる。自分の心獣である電気ウナギを通して、他人の心獣に語りかけ、本音を聞き出す能力を持つ。他人の本音が聞こえるようになって以来、人間の醜さ、傲慢さに嫌気が差し、孤独を愛するようになる。美少女の姿をした記憶喪失の心獣、しおりに好意を抱き、彼女の身体と記憶を一緒に捜す。しおりからは「しゅんちゃん」と呼ばれる。
しおり
魔法少女のコスプレをした美少女。記憶をなくして自分の身体を探している心獣。2年前事故に会い、身体は植物状態にあるらしいが詳細は不明。自分のことが見える男子高校生の小田切俊一と出会い、独りぼっちから解放される。俊一のことを「しゅんちゃん」と呼ぶ。
上尾 恵 (あげお めぐみ)
小田切俊一のクラスメートの女性。校内一の美少女で八重歯が特徴。極端に無口な心獣を持ち、本心が分かりにくい。実はヤクザの娘で、父を殺した仇(かたき)の殺害を計画していた。格闘能力が高い。
その他キーワード
心獣 (しんじゅう)
人間の本心が具現化したもので、すべての人が持っている。うさぎやカメ、猫といった動物の形をしていることが多い。また、心獣はその人間の本性を現しており、肝の小さい人間は心獣もショボい。心獣は、勝手に本音を語っており、会話するためには心獣で話しかけるのが基本。小田切俊一は、自分の電気ウナギを使って、他人の心獣から情報を得ている。
クレジット
- 原作
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桜井 竜矢