夜廻り猫

『エデンの東北』『ハガネの女』などで知られる作家・深谷かほるが、2015年10月からツイッターで発表している8コママンガ。日々、夜の街をパトロールしている猫・遠藤平蔵が、学校や会社や家庭の中で報われず、辛い思いを抱えている人の涙の匂いを嗅ぎとり、話を聞いてそっと寄り添う。社会的弱者に温かい目を向け、寄り添うことの大切さを切々と描いた本作品は、「癒される」と口コミで人気となり、2016年6月にKADOKAWAで書籍化された。翌2017年3月には講談社から新装版として編集し直され、第2巻と同時に出版された。同年、第21回手塚治虫文化賞の『短編賞』を受賞し、話題になった。登場する猫やエピソードなどは実在するものも多い。

正式名称
夜廻り猫
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
ワイドKC(講談社)
巻数
既刊2巻
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概要・あらすじ

「泣く子はいねが~」と呼びかけながら、野良猫の遠藤平蔵は子猫の重郎を半纏の胸に抱き、心の中で泣いている人を探して、夜な夜なパトロールに出る。親の介護で疲れ切った人、いじめを受けている学生、小児病棟の子供、LGBTである自分を隠している若者、仕事を掛け持ちするシングルファーザー、自分の正義を通してリストラされ家族にも見捨てられたホームレス、50歳で無職になった独身女性。

平蔵は、そんな人たちの話を聞く。具体的な解決策などは出さずに、ただ寄り添い、「お前さんはよく頑張っている」と肯定する。雨の日も雪の日も、涙の匂いを探して、平蔵は街にでる。

登場人物・キャラクター

遠藤 平蔵

灰色の大猫。頭に魚の缶詰をのせ、半纏姿で夜の街をパトロールする。不細工なのを自覚しており、相手を励ましたり慰めたりしたい時、自分の笑顔では気持ちが伝わりにくいと思い、口で「にっこり」と言う。常に弱者に心を寄せ、話を聞いて寄り添う。

重郎

野良の子猫。生まれたばかりの時に姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、片目をとられる。野良猫のボスであった元・重郎から、片目の子猫では生き延びられないから死なせてやれと言われたが、遠藤平蔵が助けた。平蔵の半纏の中で、いつも一緒に夜廻りをしている。

元・重郎

地域一帯の野良猫のボスで、過去にはライバルの猫を千匹倒し、「中央線の牛」と呼ばれていたこともある。親も片目もなくして生き延びた重郎を祝福するため、自分の名前を与え、自らは名もない猫に戻った。

ニイ

自由を愛するニヒルな野良猫。白と黒のはちわれ。片目と片耳に大きな傷がある。縛られることを何より嫌い、名前をつけられることも拒否していたが、可愛がっている子猫の重郎から「兄さん」という意味の「にー」と呼ばれているうちに、それが通り名になった。メス猫に大変もてる。

動物思いの優しい夫婦。小型犬の永沢らぴを飼っている。傷ついた遠藤平蔵をゴミ置き場で見つけ、背中の傷を隠すために手作りの服を着せるなど、面倒見がいい。そのまま平蔵を飼おうとするが、本人に断られる。その代... 関連ページ:永沢夫妻

永沢 らぴ

永沢夫妻に飼われている小型犬。天真爛漫で、飼い主夫婦からの愛情を当然のように受け止めている。後から来た猫である永沢ラミーにも、お姉ちゃんとして振る舞い、可愛がっている。

永沢 ラミー

野良の子猫だったが、病気の身で雨に打たれているところを遠藤平蔵に見つけられ、永沢夫妻なら助けてくれるだろうと連れて来られた。永沢らぴのように自然に振る舞いたいが、遠慮が先に立ち、上手に甘えることができないのが悩み。

モネ

わがままな飼い猫。子供が独立して二人暮らしになった初老夫婦の家で飼われている。食事やお風呂など、細かい要求を次々に出しては甘える。しかし、それは飼い主夫婦の生活に張りを与えるためで、遠藤平蔵からは、「よく働いておる」と評価されている。飼い主以外の人間からの世話は、断固として拒否する。

シロー

飼い犬で、ゴールデンレトリバー。一家の父親がサブローという名のため、娘から「(太平)サブロー・シローでいいじゃん」と名付けられた。この一家は、かつて、ぶんか社から出版された深谷かほるの『かれんちゃん』というマンガの主人公だった。

宙さん

先生に飼われている猫。友達が多く、腹をすかせた猫がいると、先生に頼んで食べ物を振る舞ってもらう。遠藤平蔵とは古い友人。和風住宅の庭は、しばしば宴会場となる。

先生

宙さんの飼い主。古い和風住宅に1人で暮らしている学者。しばしば宙さんが友達の猫を招くので、その都度、食べ物を与えている。庭先には狸の親子も住み着くようになった。七輪でアンパンを焼き、中にバターをはさむのが好き。

ワカル

汚れた白い野良猫。「わかります~」が口癖。勝手に他人の家に上がりこんでは、住人の愚痴や悩みを聞いて、「大変ですよね~」「色々ありますよね~」と言い、その家の冷蔵庫を開けて料理を作り、ビールと一緒に出す。天然で、遠藤平蔵よりもノリが軽いが、癒し系キャラクターとして人気がある。

布美

オッドアイの美猫。92歳になる、日本舞踊の師匠に飼われている。飼い主である老女が、すでに買っている事を忘れて、たびたび豚まんを買ってくるため、夜になるとおこそ頭巾をかぶり、腹をすかせた野良猫や貧しい人達に豚まんを配って回る。ねずみ小僧的存在の猫。

親も名前もない野良猫だったが、猫集会に憧れ、1人で集会を開いては、見知らぬ誰かに呼びかけを続けていた。そのうちに遠藤平蔵とメロディが来るようになり、メロディと心を通わせ、「素敵な名前を全てあげたい」か... 関連ページ:ゼン

メロディ

裕福な家庭で飼われている、若いシャム猫。誰もいない広場で呼びかけを続ける、名もなき猫に惹かれ、集会に顔を出すようになる。その猫に恋をして、ゼンという名前をプレゼントする。姉のカラーにしばしば恋愛相談をしては、あきれられながらもアドバイスをもらう。

カラー

裕福な家庭で飼われている、太ったシャム猫。メロディの姉。サンドイッチが好物で、30回も試作させてレシピを作りあげたほどの美食家。頭がよく、皮肉屋だが、面倒見がいい。恋で周囲が見えなくなっている妹を、あきれながらも応援している。

書誌情報

夜廻り猫 既刊2巻 講談社〈ワイドKC〉 連載中

第1巻

(2017年3月23日発行、 978-4063378597)

第2巻

(2017年3月23日発行、 978-4063378603)

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