夜明けのブギーポップ

夜明けのブギーポップ

上遠野浩平の小説『夜明けのブギーポップ』のコミカライズ作品。本作は同シリーズの中心人物であるブギーポップと霧間凪のルーツ、そして二人に大きな影響を与えた黒田慎平の生き様を描く大いなる前日譚となっている。「電撃G's magazine」にて2018年12月28日から連載の作品。

正式名称
夜明けのブギーポップ
ふりがな
よあけのぶぎーぽっぷ
原作者
上遠野 浩平
作画
ジャンル
異能力・超能力
 
サスペンス
関連商品
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あらすじ

第1巻

統和機構のエージェントである黒田慎平は、探偵稼業を隠れ蓑にして、寺月恭一郎の調査を行っていた。黒田はその一環で病院に潜入していたところ、偶然、原因不明の難病で入院している霧間凪と出会う。原因不明の病で苦しむ凪が、自分の探していた「次なるもの」だと気づいた黒田は、彼女を統和機構に差し出すか思い悩む。だが黒田は凪との会話で、「正義の味方」になる事を決意。凪を救うため統和機構の施設から進化薬を盗み出す。しかし、それはすぐに統和機構に察知され、佐々木政則を差し向けられるのだった。黒田は凪を救う事に成功するが、進化薬は紛失して黒田自身も佐々木に瀕死の重傷を負わされて追い詰められてしまう。息も絶え絶えの中、黒田は一人の人物と邂逅。黒田は今際の際の中で、その人物をブギーポップと呼び、満足げな顔で息を引き取るのだった。そして凪の体調は快方に向かい、無事に退院する。しかし彼女を救った進化薬は、来生真希子の手に渡る。そして来生の好奇心は自らを邪悪な怪物へと変え、凄惨な事件を巻き起こす引き金となってしまう。

登場人物・キャラクター

黒田 慎平 (くろだ しんぺい)

「黒田探偵事務所」を営む黒ずくめの服を身につけた男性。ヘビースモーカーで、タバコが吸えない時はよくお菓子を口に含んでいる。統和機構の合成人間で、本来の名は「スケアクロウ」。探偵稼業を隠れ蓑にして、「探索」という任務を果たしている。対象の状態を一瞬で把握する能力を持ち、この能力で探索任務を行う。ただし、探索しているのは「まだこの世に存在していない可能性を秘めた者」で、黒田慎平自体、それが誰でどこにあるのかわかっておらず、あてもなく探索している。寺月恭一郎の調査の一環で病院を探索中、入院していた霧間凪と出会う。彼女が自分が探していた新しい可能性を秘めた「次なるもの」と気づく。しかし凪と交流を育むうちに、彼女を助けたいと思うようになる。統和機構の管理していた施設に忍び込み、進化薬を強奪。これをワクチンにして凪の治療を行う。しかし、抹殺命令を受けた佐々木政則に襲われてしまう。火葬場で死に瀕していたところ、謎の影と出会って対話する。影を「不気味な泡(ブギーポップ)」と呼び、ブギーポップに看取られながら死亡した。凪とブギーポップと過ごした時間は短いものの、二人に非常に大きな影響を与えている。

霧間 凪 (きりま なぎ)

髪を長く伸ばした女子中学生。死後も年間数十万部売り上げる人気作家。霧間誠一の娘。現在は原因不明の病に冒され入院生活を送っている。一人称は「オレ」で、男勝りな言動をする。病院に入院していたところ、偶然、寺月恭一郎の調査に訪れた黒田慎平と出会う。親から莫大な遺産を受け継いだが、それを狙う大人達に辟易していた。しかし、黒田がそんな大人達を一蹴したのを聞き、彼の影響を強く受けるようになる。黒田が「正義の味方」になりたいと言っていたのを知り、その手伝いを申し出たが、それが黒田との最後の会話になった。実は黒田が探していた「次なるもの」のなりそこない。進化に失敗した人類で、彼女の病はその副作用で訪れた成長痛のようなものだった。寝ているあいだに、黒田が盗んだ進化薬で治療を施したため、目覚ましい回復を遂げる。退院後は、タバコ型のお菓子を口をくわえたりと、黒田の影響を受けた行動を取っている。また黒田のような「正義の味方」として霧間凪自身の周囲で起きていた殺人事件にかかわっていく事になる。

ブギーポップ

宮下藤花の中に眠る別人格。佐々木政則に襲われて死に瀕した黒田慎平の前に現れ、彼の死を看取った。その際に、彼から「不気味な泡(ブギーポップ)」と呼ばれたのをきっかけにして、以降それを自分の名前とする。世界の危機を察知すると自動的に現れ、その元凶を排除するが、自身の存在理由などに関しては一切わかっていない。一人称は「ボク」で、藤花の肉体を使っているため肉体的には女性だが、母親は男の人格だと思っている。ただしブギーポップ自身は、男性とも女性ともいえる中性的な振る舞いをしており、実際の性別は不明。淡々と物事を話し、感情は希薄。来生真希子もブギーポップと対峙した際、恐怖の感情がまったく見えないと戸惑った。

佐々木 政則 (ささき まさのり)

統和機構の合成人間。表向きの顔は髪を七三分けにしたごくふつうの中年サラリーマンだが、裏の役目は統和機構の命令で人を闇に葬る暗殺者。統和機構では「モ・マーダー」の名で呼ばれる。尋常ではない身体能力と高い技量を持ち、「進化薬」を盗み出した黒田慎平を追跡する。霧間凪の父親、霧間誠一の死にもかかわっているらしく、黒田が凪に近づいた際には一瞬だけ戸惑ったが、黒田を殺してその死を確認した。

来生 真希子 (きすぎ まきこ)

病院の新人女医。髪をセミロングにセットした若い女性。霧間凪のカウンセリングを担当している。ふつうの一般人だったが、黒田慎平が凪に使った進化薬を偶然発見して回収する。ラットで薬の実験をしたところ、その異常性に気づくが、成果を横取りされるのを恐れて秘匿。その後、ラットに発現した不死身性に魅了されて、自身に進化薬を施す。進化薬によって進化し、超人的な身体能力と他者の心理状態を見抜く能力を手に入れた。彼女の能力は他者の恐怖に反応し、それを可視化するため、相手の弱点を見抜く事に特化している。また彼女の精神も大きく変貌しており、他人の恐怖を喰らう事を好む怪物へと変貌している。特に精神的に強い者の恐怖をなにより好み、その嗜好を満たすために近辺で少女達を襲い、生きたまま脳みそをすすって殺していた。同時に進化薬を製造した組織を脅威として見直しており、来生真希子自身の能力を利用して探っている。

宮下 藤花 (みやした とうか)

ショートカットの髪型をした中学生の少女。宮下藤花自身、自分でも気づかない内にブギーポップとして振る舞っていたが、それを母親に知られ病院に連れて行かれる。その際に来生真希子と出会い、彼女のカウンセリングを受けた。

ピジョン

統和機構の合成人間。ミドルティーンくらいの少女の姿をしている。連絡役として働いており、黒田慎平とは調査の報告を受け取る関係からよく会う。彼の作るコーヒーがお気に入りで、タバコの匂いが嫌い。そのためコーヒーを飲んでいる時に、黒田がタバコを吸うと、よく文句を言っている。黒田には好意を抱いているようで、「案山子と鳩(ピジョン)は相性が悪い」と軽口を叩かれた際には不機嫌な態度をあらわにした。

集団・組織

統和機構 (とうわきこう)

全世界で「監視」と「実験」を行う謎の集団。性質的に組織とは言いづらく、実質的には人の進化に関する研究を行う「システム」である。進化の生存競争の中で人類を守るため、人類の進化の先に存在する「次なるもの」に、既存の人類の性質をできる限り残す事を目的としている。世界的に巨大な影響力を持ち、合成人間と呼ばれるエージェントを各地に派遣している。また進化薬をはじめとした、さまざまな技術を開発し、秘匿している。

その他キーワード

進化薬 (しんかやく)

統和機構が作り出した薬品。人間の進化を促進する効能があり、服用すると驚異的な身体変化を引き起こす。来生真希子がラットで実験した際には、行動速も反射神経も倍以上になり、四肢が切断されてもすぐに再生するほどの進化を見せつけた。また進化をすでに起こしている対象に服用させると、「進化の可能性」に対するワクチン的な効果を及ぼす。黒田慎平は霧間凪の治療のため、統和機構の施設から進化薬を盗み出した。凪の治療に使われたあと、偶然、来生の手に渡る。

合成人間 (ごうせいにんげん)

統和機構が作り出した生体兵器。ふつうの人間と区別がつかない見た目をしているが、人間を超える身体能力を持つなど、用途に合わせてさまざまなタイプが作られている。基本的に黒田慎平やピジョンのように人間社会に溶け込み、エージェントとして働いているが、経済担当の寺月恭一郎のように特定の能力に特化しているタイプも存在する。ただし合成人間に生殖能力はないらしく、性交をしても子供を作る事はできない。

クレジット

原作

上遠野 浩平

キャラクターデザイン

緒方 剛志

その他

カワバタ ヨシヒロ

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