概要・あらすじ
小説家山形鐘一郎は人気小説家。その暮らしぶりは独特の美学を貫いている。そんな彼の元には、職にあぶれた佐竹直二や若い銀行員和田、浪人生からプロボクサーになった青木、愛人志願の女子高生美子など様々な人が寄り集う。山形鐘一郎は彼らと共に酒や食を楽しみ、自らの哲学に基づいた持論を展開する。
登場人物・キャラクター
山形 鐘一郎 (やまがた しょういちろう)
長身で逞しい身体、口髭が特徴の男性。初登場時は45歳。人気小説家だが、自由を守るために素顔を発表していない。住まいは都心の3DKマンションだが、1DKのアパートを仕事場とし、ほぼそこで暮らしている。大食漢で、特にビールと寿司をこよなく愛する。執筆にはモンブランの万年筆を愛用し、トライアンフやアストンマーチンなどのクラシックスポーツカーを乗り継ぐなど独自の美学を貫き、時事問題や社会情勢について持論を展開する。 4人の妻と11人の子供(男の子ばかり)が居る。
佐竹 直二 (さたけ)
中年の男性。山形鐘一郎と同じアパートで、隣の部屋に住む。不動産会社の社長だったが、バブルがはじけて無一文になった。浪費癖が抜けず、ツケをためて追い掛け回されることもある。山形鐘一郎とは同じ年で、腐れ縁ともいえる仲となる。マンションの管理人、清掃会社、スナックなど職を転々としているがどれも長続きせず、度々山形鐘一郎に飯をたかりに来る。
青木 (あおき)
山形と同じアパートに住む浪人生。二浪して卑屈になっていたが、山形鐘一郎の一言をきっかけに、料理学校に進む。柏山真子に憧れていたが失恋し、これをきっかけにプロボクサーになる。
和田 (わだ)
山形鐘一郎と同じアパートに住むエリート銀行員。残業の日々に疲れ果て、よく山形鐘一郎に愚痴をこぼす。忙しさとストレスで部屋の中はゴミだらけ。
柏山 真子 (まこ)
山形がひいきにしていた温泉宿の一人娘。温泉宿を廃業するのをきっかけに上京し、山形鐘一郎と同じアパートに住むようになる。保母になるのが夢で、短大の保育科に入学する。のちに工藤にふられたことが原因で、カルト宗教にはまってしまう。
美子 (みこ)
染めた髪をポニーテールにした女子。初登場時は高校2年生。名門のA大付属高校に通っている。夜の六本木で出合った山形鐘一郎を慕って、愛人を志願し同じアパートに住むようになった。
工藤 (くどう)
身長180㎝で爽やかなルックス。有名私大生。柏山真子と知り合い、付き合い始める。
中井 (なかい)
元は名人と呼ばれた寿司職人だったが、山奥の洋館で一人暮らしをしている。
大山 筆夫 (おおやま ふでお)
ベストセラーを書く人気作家。焼肉屋で山形鐘一郎にキムチ勝負を挑む。
山田 (やまだ)
『マガジンフタバ』の編集者。携帯電話を使う際は、立ち止まって人に背を向けて話す。
進藤 (しんどう)
元ABC興産の部長だったがリストラされ、佐竹直二と同じ清掃会社働く。自らの境遇を嘆く。山形鐘一郎の著作の愛読者。
ファイト白山 (ふぁいとしろやま)
青木が所属するボクシングジムの会長。元日本チャンピオン。
美鈴 (みすず)
ウェーブのかかったロングヘアの女性。山形鐘一郎と佐竹直二が山奥で出会う。若くして温泉旅館のおかみをしていたが、旅館の建物が雪崩で倒壊してしまった。のちに山形鐘一郎と同じアパートに住むことになる。
双葉 アク子 (ふたば あくこ)
有名な小説家。きつい香水の香りを山形鐘一郎に叱り飛ばされ、彼に惚れてしまう。