概要・あらすじ
黒丸恵津子は全日本大学女子柔道の元チャンピオン。プロ選手になることを希望していたが、留学中に左ひじを故障したため、その夢を諦めた。時代は就職氷河期の真っただ中。恵津子は必死で就職活動をしている学友たちに励まされながら、共に厳しい就職活動に立ち向かうこととなる。そして「女子は使い物にならない」などと平気で口に出す面接官や、暴利主義のセミナー会社社長、内定をちらつかせて女子大生に淫行しようとするセクハラオヤジを、片っ端から投げ飛ばしていく。
登場人物・キャラクター
黒丸 恵津子 (くろまる えつこ)
夏目坂大学に通う3年生の女性で22歳。現在は就職活動中。全日本大学女子柔道の元チャンピオンであり、ドイツに留学していたという経歴を持っているが、左ひじの故障で柔道を諦めた。思い込みが激しい性格で、自分のことを美人だと勘違いしており、そのせいで過去に98回失恋している。正義感が強く、曲がったことが大嫌い。
大和 (やまと)
夏目坂大学に通う3年生の男性。新聞記者になるのが夢で、現在は就職活動中。美人で優しい佐々木京に憧れている。黒丸恵津子の性格には辟易しながらも、放っておけない面倒見のいい性格。
佐々木 京 (ささき みやこ)
夏目坂大学に通う3年生の女性。アナウンサーになるのが夢で、現在は就職活動中。美人で優しく、面倒見のいい性格。世間知らずの黒丸恵津子をなにかとサポートする。大和に告白されるも、他に好きな人がいると断った。
三好 さおり (みよし さおり)
夏目坂大学に通う3年生の女性。現在は就職活動中。かつて大手スポーツメーカーでアルバイトをしていた経歴がある。ライバルには有益な情報を流さずに蹴落とそうとする、自分のためだけに行動する人物。
小林
夏目坂大学のOGで、「リクルーターK子」の異名を持つ。現在は某大手証券の債務運用部に勤めている。泥沼最悪と言われる就職戦線において、13社もの内定を勝ち取った強者。頭の回転が速く、根気強さも兼ね備えている。
河合 進一 (かわい しんいち)
夏目坂大学のOBで、若くして就職セミナーの社長を務める。セミナーに来る学生たちに向かって口では耳当たりのいいことを言っているが、実体は暴利主義のインチキセミナー。就職に落ちた学生の名簿を入手し、勧誘している。
笹山 宗介 (ささやま そうすけ)
広告会社で人事部長をしているという触れ込みで就職活動中の女子大生を騙し、嘘の内定をダシにして肉体関係を求めようとするセクハラ中年男性。就職活動中に気分の悪くなった黒丸恵津子を心配し、声をかける。
その他キーワード
就職氷河期 (しゅうしょくひょうがき)
作中の舞台である1994年当時の就職状況を表現したもの。募集に対し希望者が殺到する状態で、たとえば大手出版社なら、K社は196倍、S館は141倍、S社は285倍などの狭き門となっている。航空3社ではフライトアテンダントの採用人数ゼロなど、女子を募集していない会社も多く、特に女子学生にとっては厳しい時期だった。