概要・あらすじ
「汚い戦争」により大気や土壌が汚染された日本。鳶職人の若頭・真中修二は、天顕祭を前にして、1年間現場を共にしてきた後輩の女鳶職人・大島咲の様子がおかしいことに気づく。やがて彼女に深く関わろうとするうちに、真中は咲が第三北山飛地の出身で、そこでの天顕祭において捧げものとなる「クシナダ姫」に選ばれていることを知る。
登場人物・キャラクター
木島 咲 (きしま さき)
初登場時17歳の少女。クラブで働いていた時に真中修二と出会い、鳶職人になることを勧められ、真中の属する組に入った。その際に偽名の「木島」を名乗ったため、真中らにはそう呼ばれる。実は第三北山飛地の出身で、天顕祭の大祭での生贄・「クシナダ姫」役を務めることになっており、その運命から逃れようとしていた。 真中のことが好き。小柄だが男勝りな雰囲気。
真中 修二 (まなか しゅうじ)
鳶職人で、組の若頭を務める20代の男性。クラブで働いていた大島咲を組に勧誘し、鳶として雇い入れた。父親を「汚い戦争」で汚染された地区での労働により亡くしている。咲の過去と運命を知り、それに抗うべく第三北山飛地の神主らと攻防を繰り広げる。元来無口で硬派な性格だが、咲と一緒に過ごす中で、少し物腰が柔らかくなっていった。
場所
第三北山飛地 (とびち)
『天顕祭』に登場する地区の名前。大島咲の出身地であり、天顕祭発祥の地。他の地域と異なり、ここでの天顕祭の大祭では、「クシナダ姫」に選ばれた女は、清浄な水や空気と引き換えに、その身を「オロチの君」と呼ばれる存在に捧げなければならないとされる。「飛地」は汚い戦争により汚染された土地に囲まれるようにして存在する、汚染を免れた土地のことを指す。
その他キーワード
天顕祭 (てんけんさい)
『天顕祭』に登場する用語。弥勒菩薩をモデルとして、「汚い戦争」の終結後に人々が作り出した仏である「天顕菩薩」を祀る祭り。毎年初夏に行われるほか、50年に一度の大祭では町から一人選ばれる「クシナダ姫」の行列がある。「てんけん」の語呂合わせから、職人たちが安全を祈願する祭りともなっている。
汚い戦争 (きたないせんそう)
『天顕祭』に登場する用語。物語の舞台となる時代よりかなり以前に起きたとされる、大きな戦争のこと。ここで使用された兵器の影響により、この世界は「フカシ」と呼ばれる有害物質で汚染された。汚染を免れた地域、除染が進んだ地域は「清浄指定都市」として、人の居住が正式に許可されている。