概要・あらすじ
皇家の禁断の恋によって生まれた、純血の天馬であり、強大な異能力を持つアルトジン。チグル汗国の少女戦士として育った彼女は、若き国王のオルスボルトを慕い、激しい戦いと陰謀の渦中に身を投じて、新たな世界を切り拓く。
登場人物・キャラクター
アルトジン
チグル汗国で育った捨て子だが、その正体は皇位継承権を持つ、純血の天馬。体温が上がると、胸に牡丹の刺青が浮かび上がる。大きな気の力により、チグル一の兵士となる。帝に命を狙われ、オルスボルトたちと共に、何度も危難を乗り越えた。曲折を経てチグル軍を中心にした連合軍を率い、都軍と戦う。 最終的に開かずの扉を開け、御祖を消滅させた。一連の騒動が終わると、オルスボルトと結婚した。
オルスボルト
チグル汗国の王。イスマイルの異母兄。父王を殺して、王となり、父の第三王妃だったシヘラを妻とする。しかしシヘラが死んだ後は、しだいにアルトジンを意識するようになった。帝に操られる弟のイスマイルと、長き確執が続いたが、ついには助けることができた。チグル軍を中心とした連合軍を率いて都軍と戦うが、罠にかかって捕えられ、帝に龍の刺青を入れられる。 その後、アルトジンと共に開かずの扉を開けた。一連の騒動が終わると、アルトジンと結婚した。
イスマイル
オルスボルトの異母弟。都に行っている間に、帝に操られるようになった。胸に刻まれた龍の刺青を使って、帝に情報を送っている。また、シヘルを籠絡して、遂には死に追いやるなど、さまざまな策を弄する。兄のオルスボルトに複雑な愛憎を抱きながら、敵対行動を続けた。しかし最後には、アルトジンとオルスボルトによって助けられる。
帝 (みかど)
皇族。イスマイルに龍の刺青を施し操る。最も天馬の血が濃いとされているが、人魚の精を受けて生まれた結果であり、複雑な思いを抱いている。生きるためには、人魚の血が必要。純血の天馬であるアルトジンを憎み、何度も命を狙った。最終的に化け物のような姿になり、聖蓮台に別れを告げて、いずこかに消える。
シヘル
ラトゥヤの双子の妹。ビルゲ大汗の第三王妃だったが、ビルゲ大汗を殺した息子のオルスボルトの妻となる。しかし、イスマイルに利用され、壮絶な最期を遂げた。
ロト
アルトジンの乳兄妹。アルトジンに惚れており、常に見守っている。
サイード
オルスボルトの側近。オルスボルトに命を助けられてから、常に傍らに控えている。帝に操られたオルスボルトに刺されて死亡した。
アムマハル
商人の国といわれるパルミス国の王。策を弄する事を好み、オルスボルトも何度か翻弄された。都の状態を憂いており、最終的にチグル軍に味方した。
ラトゥヤ
斎宮司の家の巫女姫。シヘルの双子の姉。上皇を嫌い、騒動を経て、チグル汗国に逃げ、オルスボルトの世話になる。その後、都に戻り、ハルトフの王の屋敷で世話になるうちに、バトゥと恋仲になる。
聖蓮台 (しょうれんだい)
帝の妹。清らかな気を持つ、盲目の姫。最初の出会いのときから、アルトジンに好意を寄せる。帝の命によりセダカに降嫁し、共に苦難の道を歩むこととなる。
耶律 (やりつ)
本名不詳。焔族の預言者。子供の頃にアルトジンのことを予言している。チグル軍との戦いで死んだ老師の名を受け継ぎ、耶律と称する。アルトジンとの出会いを経て、チグル軍の軍師となる。
修多羅 (しだら)
巴紋の一族の総帥。ユルクの双子の兄。皇族の側近として、複雑な動きをしている。宮廷の奥で、御祖と開かずの間を見て、そのイメージをユルクに伝えて息絶えた。
ユルク
オルスボルトに仕える書記官。修多羅の双子の弟。チグル汗国全土の平穏を守り、正しい者に伝承を伝えることを目的にした安国老の一族に属する。クリルタイと呼ばれる部族会議を開くことができる。
諫早 (いさはや)
巴紋の小部族の長。帝の命令によりアルトジンの命を狙う。しかし、アルトジンを天馬と認め、付き従うようになる。猫の姿に化ける事が多い。
バトゥ
ハルトフ・ライ国の王子。軽薄なように見えるが、都の情勢を嘆いて、ひそかに活動している。都に来たアルトジンたちの力を見抜き、やがて味方になる。都に戻ったラトゥヤを屋敷に住まわせているうちに、恋仲になった。
セダカ
ウルシャイ国の王子。父王の死後、命を狙われたところを、オルスボルトに助けられる。気弱な性格だが、しだいに芯の強さを身に付けた。降嫁した聖蓮台を妻にするが、シラにより、ふたり一緒に軟禁される。聖蓮台に送られてきた人魚から話を聞き、シッダータのもとに送るべく奮闘する。
シッダータ
ダライラマ国の指導者。宗教留学していたセダカの師。セダカから、送り込まれた人魚の話を聞き、連合軍に協力する。
シラ
北の狼と呼ばれるウルシャイ国の実権を握っている将軍。帝の命によって行われたチグル軍、トルス・タイト国との三国合同北方夷狄征伐では、オルスボルトに振り回される。その後、連合軍と戦うが、帝に利用されていることに気づき、戦線を離脱する。
キリヤ
南の虎と呼ばれるトルス・タイト国の姫。帝の命によって行われたチグル軍、ウルシャイ国との三国合同北方夷狄征伐の時、オルスボルトを意識する。しかし恋心が拗れて、連合軍の敵に回った。その後、シラの口車に乗って、オルスボルトを罠にかけた事を悔やみ、連合軍に寝返る。
正太后 (しょうたいごう)
今上帝の曾祖母といっているが、もっと前の祖先の可能性が示唆されている。アルトジンを、人魚を使った皇族のシステムに組み込もうとするが失敗して死亡する。
ビルゲ大汗 (びるげはーん)
チグル汗国の王。横暴な振る舞いが多く、堪えかねた息子のオルスボルトによって殺された。
場所
チグル汗国 (ちぐるはんこく)
アルトジンが育った、騎馬民族の国。帝の支配を受けていないが、そのために狙われている。
都 (みやこ)
帝の暮らす宮廷を中心にした巨大都市。さまざまな秘密と陰謀が渦巻いている。
その他キーワード
御祖 (みおや)
『天馬の血族』に登場する用語。神のごとき存在。アルトジンたちが生きる星の秩序を創った。アルトジンによって消滅させられる。
開かずの扉 (あかずのとびら)
『天馬の血族』に登場する用語。この世界と別の空間を繋ぐ扉。アルトジンとオルスボルトが入り、御祖と会った。そこにある装置を破壊することで、御祖を消失させた。
人魚 (にんぎょ)
『天馬の血族』に登場する用語。皇族の血族維持のために血肉を利用されている先住民族。アルトジンに協力し、一族の未来を託す。
気 (き)
『天馬の血族』に登場する用語。アルトジンやオルスボルトが使う、さまざまな異能力の源。聖蓮台は、各人が身にまとう気の色を見ることができる。
天馬の血族 (てんまのけつぞく)
『天馬の血族』に登場する用語。帝の血族の名称。しかし現在では、血が薄まっている。アルトジンは、純血の天馬。
龍の刺青 (りゅうのいれずみ)
『天馬の血族』に登場する用語。帝の血族として生まれた男児が、胸に入れられる刺青。特殊な能力を持つ血族の遺伝因子の証明。
牡丹の刺青 (ぼたんのいれずみ)
『天馬の血族』に登場する用語。帝の血族として生まれた女児が、胸に入れられる刺青。特殊な能力を持つ血族の遺伝因子の証明。アルトジンの刺青は、普段は見えないが、体温が上がると、浮かび上がるようなっている。