太公望伝

太公望伝

中国の神話時代から正史の記されるようになる間、遺跡(殷墟)に残る甲骨文等から断片的にその歴史が窺える商の栄えた頃を描いた作品。川で竜を釣ったという伝説で知られる「太公望」を主人公に、当時の中国の様子等、史書にある記述を作者独特の解釈で中編漫画として再構成したもの。

正式名称
太公望伝
ふりがな
たいこうぼうでん
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

商国に捕まった奴隷のシァンは、儀式の生贄にされかけるが運にも助けられる形で逃れ、呂尚と名を変えて放浪の旅に出る。川のほとりで神とおぼしき謎の老人と出会い、釣り竿で竜を釣り上げる不思議な体験をしたことが忘れられず、再び老人との邂逅を求めての旅だった。各地を巡り、さまざまな人々と出会い国々の事情を見聞きしていった呂尚は、やがて人々から賢者と呼ばれ、宇宙の真理にも近づいてゆくことになる。

登場人物・キャラクター

呂 尚 (りょ しょう)

羌民族出身で、若い頃は商国の奴隷でシァンと名乗っていたが、殺されかけチョンと共に脱走した。その逃亡中、謎の老人に「東海の果て」に連れていかれ、竜を釣る不思議な出来事に遭遇しているが、本人も夢だったのではないかと考えている。その後髪型や服装を周風にし、出身地の名をとった呂尚を名乗って各地を放浪していたが、宋異人と名を変えたチョンと再会し小さな村に住むようになる。 馬氏を妻に迎え、彭祖に弟子入りしたが再び放浪の旅に出て、「姜子牙」を名乗っていた。歴史上実在した人物で、中国の小説『封神演義』の主人公にもなっている。

チョン

羌民族の若者で、商国の奴隷だったがシァンと共に脱走。周国で食べ物を探しに里に向かって行方不明となったが、後に呂尚と名乗るようになったシァンと再会。チョンも商(殷)風の出で立ちとなり「宋異人」と改名し、塩の行商をしていた。

文王 (ぶんおう)

商(殷)に従う小国周の大公の息子で次の領主となり、商からも正式に西伯に任じられている。周の勢力が増すと幽閉されたりもしていたが、後に呂尚を取り立てて重用し、やがて周が商(殷)を滅ぼすことになる基礎を作った人物。呂尚が「太公望」と呼ばれるのも、父である大公が望んでいた知恵者だと昌が言ったことによる。 歴史上実在した人物。

彭祖 (ほうそ)

800年生きていると自称している貞人(占い師)。元は商の王に仕える占い(卜)を行っていたが、王の怒りを買って狂人のような扱いをされ、山で1人暮らしていた。長寿で知られる神仙の1人として中国の伝説上の人物だが、実在したかは不明。

(しん)

古代中国の商(殷)・第30代にして最後の王。先王の死により即位したが、妲己という美女を后に迎えて以降贅沢の限りを尽くし、国を衰退させた。池を酒で満たし、木に肉をかけ、裸の男女を遊ばせた「酒池肉林」の語源となる遊びも行っており、呂尚も無理やり参加させられていた。歴史上実在した人物で、歴史書には数多くの暴虐な行いが記録されている。

阿姜 (あきょう)

呂尚が2度目の放浪の旅で孤竹国に逗留していた際に引き取った羌出身の女性。以降、呂尚の旅に同行したが、呂尚は自身が羌出身であることを明かしていなかった。

叔斉 (しゅくせい)

呂尚が2度目の放浪の旅でしばらく逗留した狐竹国の領主の兄。長兄の伯夷(はくい)とともに呂尚を厚く遇した。阿姜はもともと伯夷の奴隷だったが、正式に呂尚が譲り受けている。兄弟共に歴史上実在したとされ、儒教では共に「聖人」とされている。

子良 (しりょう)

孤竹国の武将で、伯夷と叔斉の推薦を受け呂尚が占い師として仕えた人物。呂尚の占いによって連戦連勝していたが、呂尚は占いではなく敵情を調べた上で適した助言を行っていた。叔斉は「勇猛だが思慮の浅い男」と評していた。

武吉 (ぶきつ)

阿姜を喪い放浪の旅を終えた呂尚を毎日釣りばかりしている老人だと思い説教をした男。近くの村に住んでいるが水の出ない土地で、呂尚が釣りをする川まで水汲みにやってきていた。『封神演義』における姜子牙の弟子と同じ名前の人物。

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