我が名はネロ

我が名はネロ

後に暴君と呼ばれることになるローマ帝国第5代皇帝ネロの半生を、成長しきれなかった青年として等身大に描く。また、登場人物や出来事のほとんどは史実に基づいているが、重要なオリジナルキャラクターとしてネロとは対極的な存在であるローマ帝国の奴隷剣闘士レムスを登場させている。

正式名称
我が名はネロ
ふりがな
わがなはねろ
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

紀元54年のローマ帝国。主人公ネロの母アグリッピーナは再婚相手である第4代皇帝を暗殺し、連れ子のネロを第5代皇帝の座へと押し上げる。凡庸な自称芸術家のマザコン青年にすぎなかったネロは、哲人セネカの薫陶を受けながらも、次第に権力に酔い、後ろ盾として振る舞う母親や性格の合わない妻の存在が疎ましくなってくる。

ネロは奴隷剣闘士に惚れ込みレムスの名を与えて寵愛するとともに甘え、取り巻きたちとは遊び惚け、そして権力を振るい続け、ついには母親殺しを実行してしまう。

登場人物・キャラクター

ネロ・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス (ねろかえさるあうぐすとぅすげるまにくす)

クラウディウス帝の養子にして後継者。凡庸な芸術家でマザコン。母親のアグリッピナが、再婚相手であるクラウディウスを暗殺。第5代ローマ皇帝の地位に就く。やがて母親の権勢欲にプライドを傷つけられ、母親を暗殺する。歴史上の実在の人物、ネロ・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスがモデル。

アグリッピナ

『我が名はネロ』に登場するネロの母親。ローマ帝国第3代皇帝カリグラの妹。権力欲に取り憑かれており、ネロを帝位に就かせるために再婚相手であるクラウディウスを暗殺。息子を溺愛し、近親相姦をも辞さない。だが、女帝の如く振る舞ったことからネロの怒りを買い、暗殺される。歴史上の実在の人物、ユリア・アウグスタ・アグリッピナ(通称は小アグリッピナ)がモデル。

セネカ

『我が名はネロ』に登場するネロの家庭教師。帝政ローマを代表する大哲学者。ネロの政治顧問、スピーチライター的な立場だったが、次第に疎まれ、自決させられる。歴史上の実在の人物、ルキウス・アンナエウス・セネカがモデル。

ドミティウス・コルブロ (どみてぃうすこるぶろ)

『我が名はネロ』に登場するアラウダエ第五軍団、ガリカ第十六軍団、ゲルマニカ第一軍団を率いゲルマニアの反乱を平定したローマ帝国最強の将軍。ネロに嫌われ、アルメニアに派遣され、後に自決を強いられる。歴史上の実在の人物、グナエウス・ドミティウス・コルブロがモデル。

ペトロニウス

『我が名はネロ』に登場するネロの寵臣にして遊び仲間。悦楽主義者で、本作では「美の審査官」「趣味の審判者」と自称している(史書では「粋判官」「優雅の判定人」の訳語が当てられている)。本作では言及されないが、世界最古の小説『サチュリコン』の著者とされている。最後はネロに疎まれて、自決させられた。歴史上の実在の人物、ティトゥス・ペトロニウスがモデル。

マルクス・オト (まるくすおと)

『我が名はネロ』に登場するネロの寵臣。ペトロニウスのライバル。財務官。ネロの歓心を買うため、妻のポッパエアを差し出し、ルシタニア(現在のポルトガル)総督の地位を得る。歴史上の実在の人物、マルクス・サルウィウス・オトがモデル。

オクタヴィア

『我が名はネロ』に登場するネロの最初の妻。前皇后メッサリナの娘。政略結婚であったため、夫婦の営みは皆無。後に石女であることを理由に離縁され、追放先で自決させられる。最後に謀叛した(史実ではネロの死後、帝位を奪ったガルバを殺害し皇帝となるが、3ヶ月後に内戦に敗れて自決する)。歴史上の実在の人物、クラウディア・オクタウィアがモデル。

アクテ

『我が名はネロ』に登場するネロが一目惚れしたシリア生まれのギリシア人解放奴隷の女性。オクタヴィアの召使い。キリスト教徒。歴史上の実在の人物、アクテがモデル。

ブリタニクス

『我が名はネロ』に登場する先帝クラウディウスの実子。帝位を継承する可能性があった一人だが、養子のネロより歳下であったため、帝位争いに敗れる。後に、ネロを見限ったアグリッピナによって擁立されるおそれが出たため、ネロに暗殺される。歴史上の実在の人物、ティベリウス・クラウディウス・カエサル・ブリタンニクスがモデル。

レムス

『我が名はネロ』の主要登場人物のうち、唯一の架空の人物。ゲルマニアのカウキ族に属する戦士。本名不明。「レヌスの狼」は異称で、「レヌス」はライン川の古称。レムスはネロによって名づけられた仇名。コルブロによって部族を壊滅させられ、自分は捕虜となり、5万セステルティウスで奴隷に売られ剣闘士となる。 ローマ帝国とコルブロに対し復讐を志す。命を賭けた剣闘の試合で連勝していた。初めて敗北した際、ネロに命を救われ、買い取られて、寵愛を受けることになる。

パラス

『我が名はネロ』に登場する解放奴隷。財務長官。アグリッピナの側近で愛人。ネロによるオクタヴィアの離縁を阻止しようとしたため、ローマから追放される。

アニケトス

『我が名はネロ』に登場する解放奴隷。ミセヌム港艦隊長官。ネロの元家庭教師。ネロからアグリッピナ暗殺の密命を受ける。

パウロ

『我が名はネロ』に登場するキリスト教徒の指導者。ローマで密かに布教活動を行う。サウロはパウロのヘブライ語名。ユダヤ教の大祭司の部下としてキリスト教徒を弾圧していたが、復活したイエスに出会い回心し、キリストに帰依した。ネロの命令で監視下に置かれている。ローマ大火によるキリスト教徒虐殺で斬首され、殉教。 歴史上の実在の人物、パウロがモデル。

ティゲリヌス

『我が名はネロ』に登場するネロに重用された近衛隊長。ネロにオクタヴィア暗殺をそそのかし、自ら手を下す。またローマ大火の罪をキリスト教徒になすりつけることを進言する。歴史上の実在の人物、ティゲリヌスがモデル。

ペテロ

『我が名はネロ』に登場するキリストの十二使徒の一人。布教についてパウロと論争する。ローマ大火後の大弾圧で十字架に架けられて殉教。歴史上の実在の人物、シモン・ペトロがモデル。

ポッパエア

『我が名はネロ』に登場するネロの後妻。元はオトの妻。権勢欲が強かったが、二人目の子供を妊娠中にネロに蹴られて母子共に死亡する。歴史上の実在の人物、ポッパエア・サビナがモデル。

スポルス

『我が名はネロ』に登場するネロの寵童。史書とは違う形だが、最後までネロに付き従う。歴史上の実在の人物、スポルス・サビナがモデル。

場所

ゲルマニア

『我が名はネロ』に登場するレムスの生まれ故郷。現在のドイツ、ポーランド、チェコ、スロバキア、デンマークにあたる広大な地域。ライン川西部と南部がローマ帝国の支配下に置かれていた。

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