天は赤い河のほとり

呪いの魔力で、現代から紀元前14世紀のヒッタイト帝国へ連れ去られた女子中学生・鈴木夕梨。彼女はユーリの名で第3皇子・カイル・ムルシリの側室となり、王族間の陰謀や周辺国との戦争に巻き込まれていく。ユーリはやがて数々の試練を乗り越えてカイルと結ばれ、ヒッタイトの皇妃となる。古代アナトリアの史実を土台にした、篠原千絵の代表作である歴史ロマンス漫画。第46回小学館漫画賞少女部門受賞作。

正式名称
天は赤い河のほとり
作者
ジャンル
その他歴史・時代
レーベル
少コミフラワーコミックス(小学館)
巻数
全28巻
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あらすじ

第1巻

1995年、日本で暮らしていた鈴木夕梨は恋人の氷室聡とデート中に、水溜りから現われた正体不明の手によって水の中に引きこまれ、紀元前14世紀のヒッタイト帝国に召喚される。そこで夕梨はナキアが行う呪いの儀式の生贄になるために捕らえられ、ナキアによって首を切り落とされそうになるものの、カイル・ムルシリの介入もあり、何とかピンチを切り抜ける。そしてカイルの提案もあり、夕梨は日本に戻るまでカイルの側室と身分を偽り生活する事となった。そんな中、夕梨はカイルからヒッタイト帝国に来た際に身につけていた服があれば元の世界に帰れるかもしれないと聞き、ティトと共にナキアの館へと忍び込む。しかしすぐにズワに見つかり、ティトは夕梨の身代わりとして捕まり、残虐な方法で殺害される。カイル、イル・バーニの手助けもあり、夕梨は1年に一度だけしかない日本に帰るチャンスをつかむが、ティトの敵を討つまでは帰れないとヒッタイト帝国に残る決心をする。呪いの儀式のためにカイルと夕梨を引き離したいナキアはカイルを戦場に送り込むが、カイルは夕梨こそ戦いの女神イシュタルの化身だと称して戦へと連れ出す。

第2巻

ナキアの企みにより、ハディら三姉妹は弟のティトが殺されたのは鈴木夕梨のせいだと勘違いをし、夕梨はハディによって仮死状態にされてしまう。意識のない夕梨はズワに拉致されるが、タロスの助けもありカイルのもとへ帰還。さらにタロスから譲り受けた鉄製の剣でズワを退治し、戦いの女神イシュタルの化身としてヒッタイト帝国の兵士達から称賛を受ける。そんな中、ヒッタイト帝国の第4皇子でカイル・ムルシリと親しいザナンザ・ハットゥシリが、遠方の戦より戻って来た。夕梨はカイルやザナンザと共にナキアが主催する王宮のパーティーに招待される。その場でザナンザはナキアの呪いによって理性を失い、夕梨をさらってヒッタイト帝国から逃亡。そしてキッズワトナ国の町に着いたザナンザが、力ずくで夕梨の身体を自分のものにしようとした瞬間、ヒッタイト帝国と敵対するミタンニ王国の兵士が町に入り込み、火をつけて暴れ回る。呪いから解き放たれたザナンザは、ミタンニ軍がヒッタイト帝国を侵攻するために密かに動いており、さらに兵を指揮する人物がマッティワザだと知り、夕梨をカイルのもとへと向かわせる。

第3巻

鈴木夕梨ザナンザ・ハットゥシリの活躍もあり、ヒッタイト帝国はミタンニ王国の奇襲を回避する。しかし便宜上、カイル・ムルシリの側室になっている夕梨を誘拐したザナンザは、元老院から罪に問われる。だが、夕梨の機転によって罪は逃れたものの、カイルはザナンザと夕梨の関係を疑う日々が続く。自己嫌悪に陥ったカイルは、ミタンニ王国への遠征には夕梨を置いていくと宣言するなど冷たく突き放す言動を繰り返すが、ハディら三姉妹の立ち回りにより、カイルは夕梨を再び自分のもとに置く事になった。そして夕梨とカイル率いるヒッタイト軍は、ミタンニ王国との国境にある城塞都市マラティアを5日で攻略する事に成功。すぐにその情報を得たマッティワザも、マラティアに向かっているという情報をつかんだカイルは、退却しようと動き出す。そんな中、マラティアにある人の心を惑わす呪いの道具・龍の眼(イヤンカのめ)を探していた夕梨はウルヒ・シャルマの策に嵌り、マッティワザに連れ去られてしまう。マッティワザは戦いの女神イシュタルの化身として支持を集める夕梨を民衆の前で虐殺しようと計画を立てる。

第4巻

ミタンニ王国のマッティワザによって拉致された鈴木夕梨は、ミタンニ王国におけるヒッタイト人捕虜の待遇を改善し、さらに国に関係なく重病人達を自ら手厚く看護することを開始する。その姿は見たヒッタイト人捕虜はもちろん、ミタンニ人も夕梨を戦いの女神イシュタルの化身として支持する。そんな中、カイル・ムルシリ率いるヒッタイト軍は猛スピードでミタンニ王国の領地を陥落させ、ついにカイルとマッティワザは直接対決をする事になった。しかしマッティワザは夕梨を人質に取り、態勢を整えるために一時最前線から退く。人質になった夕梨を連れたマッティワザは、突然現れたヒッタイト軍の兵士からの攻撃に対し、身を挺して守ったナディアの愛に触れ、ミタンニ王国の領地をカイルに差出し、残りの人生をナディアと共に穏やかに生きる事を決める。夕梨はヒッタイト帝国に戻ったものの、もうすぐ日本に帰る儀式が執り行われる事もあり、カイルへの思いが募っていた。一方のカイルも夕梨との別れが惜しいが、引き留める事もできず、二人のあいだにすれ違いが生じる。そんな中、カイルとエジプトの皇女アンケセナーメとの縁談話が持ち上がった。

第5巻

カイル・ムルシリの代わりにエジプトの皇女アンケセナーメと結婚する事になったザナンザ・ハットゥシリは、エジプトまで同行したいと申し出た鈴木夕梨と行動を開始。途中でナキアの部下の裏切りによってザナンザは命を落とし、夕梨も矢が背中に刺さり、瀕死の状態に陥る。しかし夕梨は、偶然通りかかったウセル・ラムセスの力を借りてヒッタイト帝国へと戻る。ヒッタイト帝国内ではエジプトの人間がザナンザを殺めたと一触即発の状態にあったが、夕梨がカイル、ナキア、ヒッタイト軍兵士の前でエジプトの無実を証明して沈静化する。そんな中、ヒッタイト帝国では七日熱という伝染病が流行り、ナキアが清潔な看護施設を作った事もあり、ナキアの評判は上がる一方となる。ナキアは同時に夕梨の偽物ウルスラをでっち上げ、あちこちで横柄な態度を取り、贅の限りを尽くすウルスラによって夕梨の悪評が国内に広がっていく。夕梨はウルスラの横暴を止めようとウルスラが住む館へと向かったが、側近から夕梨がカイルの側室であるわけがないと咎められ、ナキアが支援する七日熱の人々が暮らす施設で小間使いをするように言い渡される。

第6巻

ナキアと近しい王宮に出入りする商人の行動を怪しんだウルスラは、商人が持っていた毒薬を入手する。毒薬で皇帝陛下を殺害しようと考えているナキアの企みを知った鈴木夕梨は、ジュダ・ハスパスルピの力を借りて計画を潰そうとしたが、さらなるナキアの策略によって皇帝陛下殺害の犯人にされてしまう。行動を共にしていたジュダの証言によって拘束から解放された夕梨だったが、ナキアはジュダに呪いをかけ、元老院で夕梨が犯人だと証言させてしまう。そのため、夕梨は一時的にハディ達の故郷であるハッティ族の村に身を隠す事になった。その頃、ヒッタイト帝国内ではカイル・ムルシリが皇帝陛下殺害の真犯人を突き止めるべく、元老院に立ち向かっていた。カイルはカイルの子供を身ごもったと証言していた貴族の娘ギュゼルから呪いの水を吐かせ、ジュダも何らかの呪いにかかっているのではないかと訴え、ナキアに対して一時的にジュダを引き渡す事を要求。しかしナキアはカイルに対し、自分を必要以上に疑うのであれば、生まれ故郷のバビロニア国と全面戦争になると脅しをかける。

第7巻

ハッティ族の村に身を潜めていた鈴木夕梨は、ナキアの放った私兵により窮地に追い込まれたものの、ウセル・ラムセスの加勢によって助けられた。しかしラムセスは、夕梨を自分の妻にすべくエジプトへとさらう。そんな中、夕梨を救うためにウルスラは自分が皇帝陛下を殺害したと元老院に告白し、そのまま処刑されてしまう。さらにナキアを守るためにウルヒ・シャルマも自害し、夕梨は涙する。そして新皇帝陛下としてカイル・ムルシリが即位。夕梨は戴冠式に参加し、半月後に日本へ帰る自分は正妃にはなれないが、戦いの女神イシュタルの化身としてカイルに加護を送る事を宣言する。そんな中、ヒッタイト帝国は隣接の小国アルザワ国が突然侵攻して来ただけでなく、同時にエジプトからも攻撃を仕掛けられる。両国の動きからヒッタイト帝国内にスパイがいるのではないかと疑った夕梨は、見事裏切り者をあぶり出す事に成功したが、投獄していたスパイは何者かによって全員毒殺されてしまう。ナキアがカイルを失脚させ、ジュダ・ハスパスルピを皇帝陛下にする事をあきらめていないと悟った夕梨は、カイルを守るべく動き出す。

第8巻

日本に戻るための儀式が行われるまで半月を切り、鈴木夕梨は最後までカイル・ムルシリに尽くそうと決意し、アルザワ国との友好関係を結ぶ事に成功。カイルへの恋心から日本に戻る事を心から喜べない夕梨だったが、儀式に使用する泉がナキアの命により突然取り壊されると聞き、夕梨はやはり自分のいた世界へ戻りたいと強く思い、泉のある都ハットゥサへと戻る。しかしその途中で、カイルがエジプト軍のウセル・ラムセスの攻撃によりケガを負ったと聞いた夕梨は、ヒッタイト帝国でカイルと共に生きようと決意し、カイルのもとへと急ぐ。そして夕梨の登場によって、士気の上がったヒッタイト軍はエジプト軍との初戦に勝利。日本へ戻る手段を失った夕梨に対し、カイルはもう我慢はしないと恋心のすべてを伝え、二人は初めて身体の関係を結んだ。夕梨はカイルに対し、身分のない自分では正妃にはなれないが、せめて側室は自分だけにしてほしいと懇願する。その言葉を聞いたカイルは絶対に夕梨を正妃にすると決め、そのためになにをするべきかを考え始めた。一方ナキアによって正妃・側室候補の姫君達が集められ、夕梨は後宮の女同士の争いに巻き込まれていく。

第9巻

鈴木夕梨カイル・ムルシリの寝所に着くと、ベッドの中にサソリが仕込まれていた。夕梨はカイルに危害が及ぶ可能性があったと憤りを感じ、正妃・側室候補達を叱りつけた。この事で夕梨に対する嫌がらせもなくなるが、今度は後宮の姫君達が殺害される事件が発生。一時は偶然現場に居合わせた夕梨が疑われたが、夕梨の行動が制限されているあいだにも発生したため、後宮で暮らす四人の姫君が犯人として疑われる。夕梨はセルト姫がナキアの呪いによって動かされていたと見抜くが、興奮したセルト姫によって高所から突き落とされてしまう。夕梨はルサファに助けられるが、ルサファもナキアによってあやつられている状態にあり、夕梨を拘束する。そんな夕梨の前に自害したはずのウルヒ・シャルマが現われる。夕梨はルサファとウルヒによって監禁されるが、カッシュ達によって助け出される。そして、イル・バーニは失踪したはずの夕梨が泉から出て来るよう演出し、それを見た民衆は、夕梨を戦いの女神イシュタルの化身として祈りを捧げ始める。そして、カイルの正妃は夕梨しかいないと歓声が巻き起こるのだった。

第10巻

ヒッタイト帝国内では、鈴木夕梨カイル・ムルシリの正妃にするべきだという声が高まるが、夕梨にはそれ相応の身分がないために難しい状況が続く。元老院での話し合いの際、ナキアは夕梨を近衛長官(帝国軍人のトップ)にすれば問題がないと主張する。夕梨はカイルの正妃になるべく、女性初の近衛長官に就任。カイルは信頼を寄せているルサファを夕梨の補佐に任命するが、夕梨が戦中に命を落とす事を望んでいるナキアによって、ルサファは強姦の疑いをかけられ、事実上の極刑が言い渡される。しかし夕梨の機転により、ルサファは今まで通り夕梨の補佐として自由に行動できるようになった。そして夕梨とカイル率いるヒッタイト軍は、エジプトとの戦のために出陣。まずはヒッタイト帝国の友好国であるウガリット国へと到着するも、ウガリット国王はナキアの呪いにより、ヒッタイト帝国に最愛の娘が殺されたと洗脳されていた。ウガリット国王の信頼を取り戻すべく奮闘する夕梨だったが、秘密裏に侵入して来たエジプト軍のウセル・ラムセスに捕まり、連れ去られてしまう。その途中、夕梨はカイルの子供を妊娠している事に気づく。

第11巻

鈴木夕梨カイル・ムルシリの子供を宿し、近衛長官(帝国軍人のトップ)の座を離れ、後宮で穏やかな生活を送っていた。ナキアによっていつ子供が狙われるかわからないと危機感を抱いた夕梨とカイルは、懐妊を近しい者以外には黙っているつもりだったが、ナキアとウルヒ・シャルマの策略によって民衆にも知らされてしまう。カイルは自分が戦地へ赴いているあいだ、夕梨をヒッタイト帝国の主要都市カルケミシュに隔離する事を決める。しかし、夕梨がカルケミシュに移動するために乗船した船で、船員の裏切りによって夕梨は海に放り出されてしまう。ルサファは夕梨を救うために海に飛び込み、二人で海を漂っていたところをエジプト軍に救出される。ルサファは自分はウガリット国の商人で、夕梨は身重の妹だとウソをつき、エジプト軍の中に身を潜める。一方、カイルは夕梨とルサファが海で行方不明になったと聞いた事で心が乱れ、初めてエジプト軍を前に退却する事となる。その頃、夕梨はエジプトにて看護を受けるが、子供は流産してしまう。また、ウセル・ラムセスはすぐにルサファの正体を見破り、病床に伏せる夕梨を見つける。

第12巻

エジプトでウセル・ラムセスに匿われる鈴木夕梨ルサファは、ヒッタイト帝国軍の中にエジプトへ情報を漏らしているスパイがいる事を知る。その事実をいち早くカイル・ムルシリに伝えるために、夕梨はルサファだけを逃がす。一方、カイルとフェアな状態で戦いたいラムセスもその事に見て見ぬふりをする。ヒッタイト帝国側に戻ったルサファは、エジプトの皇太后ネフェルティティナキアと通じているのではないかという疑惑を抱く。もし本当に通じているのであればナキアを失脚させる事ができると、カイル達はその証拠集めを開始する。そんな中、夕梨はネフェルティティはどのような人物なのかを知るために、ラムセスにネフェルティティに会いたいと懇願する。ラムセスは夕梨を勝手に結婚相手とし、挨拶をするという名目で夕梨とネフェルティティの対面を実現させる。その場で夕梨は、ラムセスとネフェルティティの関係が良好でない事を知る。そして、民間人に化けエジプトに入り込んだイル・バーニ達は夕梨と再会するだけでなく、ネフェルティティを失脚させるためにカイルと手を組まないかとラムセスを誘う。

第13巻

ウセル・ラムセスの存在を快く思わないネフェルティティにより、ラムセスは無実の罪で拘束された。鈴木夕梨はラムセスを救出するため、エジプト内でくすぶっているネフェルティティに対する国民の不満を利用し、民衆を扇動して政府への叛乱軍を組織する。これによりネフェルティティは失脚し、ラムセスは解放される。さらに夕梨は、ネフェルティティとナキアが通じている決定的な書簡を手に入れるのだった。そのまま夕梨は、遠征中のカイル・ムルシリのもとへ戻ろうとするが、うまく利用されたと憤る叛乱軍の長タハルカは、夕梨の命を狙うべく追跡を開始。タハルカはイル・バーニ達によってたしなめられるが、夕梨にとって後味の悪いものとなる。そのまま夕梨はカイルと再会すべく、ヒッタイト帝国の友好国ウガリット国へと向かう。そこで夕梨はカイルに子供を流産してしまった事を告げ、涙する。一方、ネフェルティティが失脚した今、エジプト軍はヒッタイト帝国を侵攻しようとさらに勢いを増し、2万人の兵士を引き連れてカイル率いるヒッタイト軍へと向かって来る。カイルはマッティワザを味方につけ、エジプト軍を迎え撃つ準備を始めた。

第14巻

ついにカイル・ムルシリ率いるヒッタイト軍と、エジプト国王ホレムヘブ率いるエジプト軍の戦が始まった。鈴木夕梨も戦場で兵士達の指揮を執る中、カイルと以前から因縁のあるウセル・ラムセスは、最前線を離れて直接対決で死闘を繰り広げる。一方、最前線からカイルの姿がなくなったヒッタイト軍だったが、夕梨が見事に指揮を執り、ヒッタイト軍はホレムヘブとの講和へと持ち込む事に成功。ヒッタイト帝国はエジプトに対して賠償金のみ請求し、その後カイルは二度とエジプトと戦う事はなかった。戦で見事な活躍ぶりを見せた夕梨を、カイルの正妃にするべきだという声がヒッタイト帝国内で再び高まる。そんな中、イル・バーニナキアの忠実な部下でネフェルティティとの密通や、夕梨に危害を加える事件に加担していたウルヒ・シャルマを捕らえる事に成功。夕梨はウルヒにナキアが指示したと真実を告白すれば死罪にしないと説得を試みるが、ウルヒは沈黙を続けていた。そんな中、夕梨はジュダ・ハスパスルピの本当の父親がウルヒなのではないかという噂を耳にする。

第15巻

ついに鈴木夕梨は、カイル・ムルシリの正妃になる事が決定し、婚礼の儀式が行われる事となった。一方、イル・バーニによって身柄を拘束されたウルヒ・シャルマだったが、ナキアの呪いの力によって牢獄から抜け出す事に成功し、人を殺めながら王宮内を逃げ回る。その頃ナキアは、ネフェルティティとの密通、夕梨に危害を加える一連の事件、前皇帝陛下殺害事件に関与した疑い、さらにジュダ・ハスパスルピの父親はウルヒなのではないかという疑いについて、元老院から激しく責められていた。そんな中、ウルヒが現われて自分は男として不能である事からジュダは自分の子供ではないと言い放つ。さらにウルヒは自分が一人で夕梨に危害を加え、前皇帝陛下を殺害したのだと告白し、最後にナキアを抱きしめて自害する。しかしナキアは無罪とはならず、王宮から離れた神殿に生涯幽閉が決まり、事実上失脚する事になる。だがナキアは最後の力を振り絞り、呪いの力で部下達を洗脳して、夕梨を強制的に日本に返そうと計画を立てる。その企みに気づいたカイルは、ナキアからなにがあっても夕梨を守り抜く事を決意する。

第16巻

ナキアは呪いによって水をあやつり、婚礼の儀式のために水浴びをしている鈴木夕梨を渦の中に引き込み、そのまま日本へ帰そうとする。夕梨はカイル・ムルシリジュダ・ハスパスルピルサファによって渦から引き揚げられるが、その最中にナキアはナイフでルサファを刺す。ルサファは夕梨が正妃になった姿を見る事ができないまま、しかし満足そうな表情を浮かべてこの世を去る。ナキアの横暴さに怒りを覚えたジュダは、永久に王位継承権を放棄すると言い放つ。ナキアはこれまで言いなりだった息子の成長した姿に安堵し、今度は抵抗する事もなくヒッタイト帝国の端にある町に追いやられる事となった。そんなナキアに対し、夕梨はこの世界に召喚してくれてありがとうと感謝の言葉を伝える。そしてカイルは夕梨に改めてプロポーズをするのだった。

登場人物・キャラクター

鈴木 夕梨 (スズキ ユウリ)

現代の日本に暮らしていた中学3年生、15歳。毬絵という姉と、詠美という妹がいる。歴史は苦手だが、体育は得意。高校受験を終えて初キスを交わしたボーイフレンドの氷室聡とデート中、ヒッタイト帝国のナキア皇妃によって魔力で古代アナトリアへ連れ去られる。第3皇子カイル・ムルシリが側室ユーリという立場を与えて匿ったのをきっかけに、2人は思いを寄せ合うように。 ユーリは元の時代に戻る機会を捨てて戦場で苦境に陥ったカイルを救い、ヒッタイト帝国に骨を埋めることを決意。皇子と側室としてずっと寝所をともにしてきた2人は、これを機に初めて結ばれた。行動力と勇気に溢れ、少年の出で立ちをして馬を駆り戦場で剣を振るうことも。 近隣国との戦争、帝位を巡る陰謀などで危機に陥ったカイルをたびたび助け、アルザワ王国攻略などで軍の指揮も務めた。戦いを司る暁の明星=イシュタルの化身と崇められ、ユーリ・イシュタルの名で呼ばれるようになる。エジプト戦のさなかにカイルの子を宿すが、海上で遭難した際に流産した。 カイルが皇帝に即位した後、正式な婚礼の儀を経て第1皇妃タワナアンナの位を授かる。

カイル・ムルシリ (カイルムルシリ)

ヒッタイト帝国の第3皇子。第2皇妃ヒンティの息子。首都ハットゥサきってのプレイボーイと噂されるクールな美男子だが、ユーリが現れるまで全ての縁談を断わっていた。神官の位を持ち、水を操るナキア皇妃に対して風を操る魔力の持ち主。私利私欲とは無縁だが、戦いのない理想の治世のために覇権を目指している。 ミタンニ王国、エジプトなど近隣国への遠征でも指揮を執った。シュッピルリウマ1世の病没にともない皇太子がアルヌワンダ2世として即位、カイル・ムルシリは皇太子となる。ほどなくアルヌワンダ2世がウルヒ・シャルマに暗殺されたため、カイルが即位してムルシリ2世となった。 後に側室ユーリを第一皇妃に迎える。同時代の実在の人物・ムルシリ2世がモデルになっている。

ナキア (ナキア)

ヒッタイト帝国の皇妃。後に皇太后を経て廃位される。元・バビロニアの王女。15歳の時に衰退した母国への援助と交換でヒッタイト帝国に輿入れし、シュッピルリウマ1世の側室となった。ヒッタイトに来てすぐ出会った同い年の宦官ウルヒ・シャルマと、男女関係を超えた愛でつながっている。 大神殿の神官として水を操る魔力を有し、黒い水・バラ色の水・白い水・青い水で相手を意のままに動かすなどの術を使う。カイル・ムルシリの母親・ヒンティ皇妃を暗殺し、第1皇妃タワナアンナの位を奪った。さらに息子で第6皇子のジュダ・ハスパスルピを帝位に就けるべく陰謀を重ね、ザナンザ・ハットゥシリ、アルヌワンダ2世をはじめ数々の人物を謀殺する。 カイル、ユーリらも亡き者にしようとしたが、2人の活躍でアルヌワンダ2世暗殺、敵国エジプトのネフェルティティ王太后との内通などが露見。廃位され失脚したが、その後も魔力を駆使してユーリを葬ろうとした。最後はタワナアンナに即位したユーリの意により、流刑地での生涯幽閉を言い渡される。

ウルヒ・シャルマ (ウルヒシャルマ)

北方の滅んだ王族の出身だが、15歳の時に宦官としてヒッタイト帝国の神殿に売られた。長じてナキア皇妃の忠実な右腕となり、数々の謀略・暗殺を繰り広げる。ルサファに左目を射抜かれ、隻眼となった。ナキア皇妃が自分に累が及ばないようウルヒ・シャルマ1人に罪をかぶせ、王宮から追放されたこともあるが、忠誠心は変わらなかった。 ナキア皇太后とともにアルヌワンダ2世暗殺の疑いで追及された際、自害して1人で罪をかぶった。

ザナンザ・ハットゥシリ (ザナンザハットゥシリ)

ヒッタイト帝国の第4皇子。第2皇妃ヒンティの侍女の息子。商業都市カネシュの知事を務める。カイル・ムルシリと兄弟のように過ごし、固い友情と信頼で結ばれている。バラ色の水でナキア皇妃に操られ、ユーリを誘拐して自分のものにしようとした。隣国エジプトでツタンカーメン王が没した際、両国が姻戚関係を結ぶためアンケセナーメ王妃の新しい夫となることを受託。 だがエジプトへ向かう途中、ナキア皇妃の手下に暗殺された。同時代の実在の人物・ザンナンザ(ザナンザとも)がモデルになっている。

サリ・アルヌワンダ (サリアルヌワンダ)

ヒッタイト帝国の皇太子で、タドゥケパ皇妃の息子。病弱で帝位継承に不適格と言われてきた。だがシュッピルリウマ1世の病没により即位、アルヌワンダ2世となる。正妃と5人の側室がいるが、子供はいない。異母弟のカイル・ムルシリに信頼を置く人格者であり、ユーリにも妃の心得をアドバイスした。 即位から間もなくウルヒ・シャルマにナイフで暗殺され、ユーリにその濡れ衣が着せられる。同時代の実在の人物・アルヌワンダ2世がモデルになっている。

ロイス・テリピヌ (ロイステリピヌ)

ヒッタイト帝国の第2皇子。生母の身分が低いため、帝位に就く資格を持たない。城塞都市ハレブの知事に任命される。強国の姫を正妃に娶るようカイル・ムルシリに進言した。

マリ・ピアシュシュリ (マリピアシュシュリ)

ヒッタイト帝国の第5皇子。エジプトとの戦いで退却するカイル・ムルシリ軍のしんがりを買って出るが、ウセル・ラムセスの剣に倒れて絶命。

ジュダ・ハスパスルピ (ジュダハスパスルピ)

ヒッタイト帝国の第6皇子で、ナキア皇妃の息子。ユーリより少し年下の、天文学に夢中で利発な少年。性格はおとなしい。ナキア皇妃は我が子ジュダ・ハスパスルピを帝位に就けるためにあらゆる陰謀を巡らせるが、本人に野心は全くない。アルヌワンダ2世の暗殺からエジプト戦が講和を迎えるまで、ずっとナキア皇太后の黒い水に操られていた。 ヒッタイト帝国の藩属国となったアルザワ王国の第1王女アレキサンドラと親しくなる。

アレキサンドラ (アレキサンドラ)

アルザワ王国第1王女。ユーリより年下の幼い少女。ヒッタイト帝国がアルザワを攻略して講和を結んだ際、指揮を務めたユーリを男だと勘違いしたアルザワの女王が、ユーリに側室として差し出す。後にユーリを慕ってヒッタイトの首都ハットゥサを訪れ、ジュダ・ハスパスルピと親しくなる。

ルサファ (ルサファ)

カイル・ムルシリに仕えるヒッタイト3隊長の1人。弓兵隊長で、ヒッタイト帝国一の射手と呼ばれる。ユーリに密かな思いを抱いていた。ユーリの命を狙ったウルヒ・シャルマの左目を射抜く。海上で遭難してエジプトに流れ着いたユーリと行動をともにし、ヒッタイトへの脱出を手助けした。 カイル・ムルシリとの婚礼の儀を妨害しようとするナキアの剣からユーリを守り、身代わりとなって絶命。

ハトホル・ネフェルト (ハトホルネフェルト)

エジプト人で、ウセル・ラムセスの妹。気さくでオープンな性格の持ち主である。エジプトでラムセスに拉致されたユーリに関心を持った。ユーリに同行していたルサファに恋心を抱き、再会するためにカイル・ムルシリとユーリの婚礼を祝う使者としてヒッタイト帝国を訪れる。

ネピス・イルラ (ネピスイルラ)

カイル・ムルシリの異母姉で、第3神殿の神官長。生来目が不自由だが、強い魔力を持つとされる。婚礼の儀のため沐浴するユーリを、水を操るナキアから守ろうと奮闘した。

ウセル・ラムセス (ウセルラムセス)

エジプトの貴族出身の軍人で、後のラムセス1世。オッドアイで右目が金色、左目がセピア色をしている。ユーリと砂漠で偶然出会って以来、自分のものにしようとしばしばつきまとうように。海上で遭難してエジプトに流れ着いたユーリを自邸に軟禁しつつ、流産で衰弱した体をやさしくいたわった。 やがてエジプトとヒッタイト帝国の中枢にそれぞれ内通者がいることが分かり、ユーリとともにその正体を突き止める。後のヒッタイト戦では将軍として出陣、恋敵のカイル・ムルシリ率いるヒッタイト軍を撃破。だが功績を焦ったエジプトのホレムヘブ王が捕えられたため講和を成立させる。その後ユーリを諦めてエジプトに戻った。 同時代の実在の人物・ラムセス1世がモデルになっている。

イル・バーニ (イルバーニ)

ヒッタイト帝国の王宮書記官。カイル・ムルシリの乳兄弟であり、長じてその右腕として参謀役を務める。知略に長けており、策士のウルヒ・シャルマを出し抜いて捕まえ、アルヌワンダ2世暗殺について自白させた。

シュッピルリウマ1世 (シュッピルリウマイッセイ)

ヒッタイト帝国の皇帝で、カイル・ムルシリら皇子たちの父親。勇将であり、ヒッタイトをオリエントの一等国にのし上げた。ザナンザ・ハットゥシリの死後、七日熱と呼ばれる伝染性の熱病を患って死亡する。同時代の実在の人物・シュッピルリウマ1世がモデルになっている。

ティト (ティト)

カイル・ムルシリの召使いだった少年。ユーリの妹・詠美に面影が似ている。古代アナトリアへ来たばかりのユーリと親しくなるが、ナキア皇妃の手下・ズワに殺された。宗教都市アリンナ出身。ハディ、リュイ、シャラという3人の姉がいる。

ネフェルティティ (ネフェルティティ)

エジプトの王太后。かつて弱小国だったミタンニ王国の王女タトゥーキアとして生まれる。弟マッティワザとは近親相姦の関係にあった。ミタンニの王が大量の黄金と引き換えに、エジプトのアメンホテプ3世の側室として輿入れさせる。後にアメンホテプ4世の正妃となり、エジプト王宮を支配する権力を手にした。 だがヒッタイト帝国と内通していたことが露見し、失脚。同時代の実在の人物・ネフェルティティがモデルになっている。

アンケセナーメ (アンケセナーメ)

エジプト人。ツタンカーメン王の若い妃。王との間に子がおらず、ネフェルティティ王太后の指示でヒッタイト帝国の皇子との結婚が決まる。だが相手に選ばれたザナンザ・ハットゥシリがナキア皇妃の手下に殺され、後に宮廷高官出身の老人アイが夫となった。同時代の実在の人物・アンケセナーメンがモデルになっている。

ウルスラ (ウルスラ)

ユーリの異名・イシュタルをかたり、カタパの街で贅沢と横暴を尽くしていた娘。ウルヒ・シャルマが身分の低いウルスラを利用し、カイル・ムルシリとユーリの評判を落とすため裏で操っていた。後に改心してユーリに仕える女官となる。ナキア皇妃によりアルヌワンダ2世暗殺の濡れ衣を着せられたユーリを助けるため、自分が犯人だと名乗り出て処刑された。

カッシュ (カッシュ)

カイル・ムルシリに仕えるヒッタイト3隊長の1人で、戦車隊長を務める。女官になったウルスラと愛し合っていた。ウルスラから形見に託された髪を編んで頭飾りとし、常に身につけている。

マッティワザ (マッティワザ)

ミタンニ王国の王太子で、冷酷無比な性格をしており、血の黒太子の異名がある。ユーリを無理やり自分のものにしようとするが、叛乱が起こってバビロニアへ逃亡した。後にカイル・ムルシリの恩赦により帰国を許され、ミタンニの国王に即位。ヒッタイト帝国の戦列に加わり、エジプト戦で活躍した。 ミタンニの王女タトゥーキア、後のネフェルティティ王太后の弟。同時代の実在の人物・シャッティワザがモデルになっている。

ナディア (ナディア)

マッティワザの側室。バビロニアからミタンニ王国に嫁いだ。ナキア皇妃の妹。マッティワザとの間に第1王女、第2王子をもうける。ウルヒ・シャルマと通じており、ミタンニに囚われたユーリを苦しめようとする。ミタンニで叛乱が起こった際、マッティワザをかばって背中に刀傷を負った。

タハルカ (タハルカ)

エジプト南部の州都エレファンティンにいた労働者のエジプト人青年。役人に逆らって処刑されるところをユーリに救い出された後、首都テーベでの労働者の叛乱を指導する。だがユーリがヒッタイト側の人間だと知り、自分たちが利用されたとの恨みを抱く。エジプト軍に加わってヒッタイト軍と戦いながら、ユーリの命を奪おうとした。

キックリ (キックリ)

カイル・ムルシリに仕える青年。王宮や戦場でカイルやユーリにつき添い、その手足となって奔走する。カッシュ、ルサファらと親友同士。ティトの姉リュイと愛し合い、子供ができる。後世に伝わる文献・キックリ文書をしたためる様子が番外編で描かれる。同時代の実在の人物・キックリがモデルになっている。

ホレムヘブ (ホレムヘブ)

王家の娘を妻とするエジプトの将軍。老王アイの他界にともない、エジプト王の座に就いた。オロンテス河畔でヒッタイト帝国と戦った際、戦局を有利に運んだウセル・ラムセス将軍から指揮権を取り上げて手柄を横取りしようとする。だがカイル・ムルシリの罠にはまって捕えられ、講和を余儀なくされた。 同時代の実在の人物・ホルエムヘブがモデルになっている。

タロス (タロス)

宗教都市アリンナに住むハッティ族の族長で、ティトの父親。ユーリが戦いを司る暁の明星=イシュタルの化身だと確信し、オリエントの覇権を左右するハッティ族秘伝の製鉄法を委ねると告げた。

ハディ (ハディ)

宗教都市アリンナに住んでいたハッティ族の娘。弟ティトのほか、双子の妹リュイとシャラがいる。ナキア皇妃の悪だくみでユーリがティトを殺したと思い込んでいた。誤解が解けた後、ユーリに仕える女官となり、後には後宮の女官長となる。海上で遭難したユーリを助けるため、イル・バーニ、双子の妹とともにエジプトへ渡った。

アスラン (アスラン)

『天は赤い河のほとり』に登場する馬。ユーリの愛馬で、宗教都市アリンナの民がシュッピルリウマ1世に献上するため育てていた。だが気性が荒くて手に負えず、カシュガ族との戦闘で見事に乗りこなしたユーリに贈られる。

ズワ (ズワ)

北方の蛮族カシュガの長の1人で、ナキア皇妃が殺し屋として使っていた。殺した人間の皮をはいでコレクションしている。ティトを殺害し、ユーリの命も狙った。だがユーリはハッティ族の宝剣=鉄製の剣でズワの剣を砕き、城壁から追い詰めて転落死させる。

氷室 聡 (ひむろ さとし)

現代日本で生活している中学3年生の男子。鈴木夕梨の恋人。夕梨とは中学校3年間同じクラスで、友情を育むうちにいつしか惹かれ合うようになった。夕梨のファーストキスの相手でもある。

書誌情報

天(そら)は赤い河のほとり 全28巻 〈少コミフラワーコミックス〉 完結

第1巻

(1995年5月発行、 978-4091365019)

第2巻

(1995年8月発行、 978-4091365026)

第3巻

(1995年11月発行、 978-4091365033)

第4巻

(1996年3月発行、 978-4091365040)

第5巻

(1996年6月発行、 978-4091365057)

第6巻

(1996年10月発行、 978-4091365064)

第7巻

(1996年12月発行、 978-4091365071)

第8巻

(1997年3月発行、 978-4091365088)

第9巻

(1997年6月発行、 978-4091365095)

第10巻

(1997年8月発行、 978-4091365101)

第11巻

(1997年12月発行、 978-4091373816)

第12巻

(1998年3月発行、 978-4091373823)

第13巻

(1998年6月発行、 978-4091373830)

第14巻

(1998年9月発行、 978-4091373847)

第15巻

(1998年11月発行、 978-4091373854)

第16巻

(1999年4月発行、 978-4091373861)

第17巻

(1999年7月発行、 978-4091373878)

第18巻

(1999年10月発行、 978-4091373885)

第19巻

(2000年1月発行、 978-4091373892)

第20巻

(2000年4月発行、 978-4091373908)

第21巻

(2000年7月発行、 978-4091380210)

第22巻

(2000年10月1日発行、 978-4091380227)

第23巻

(2001年2月発行、 978-4091380234)

第24巻

(2001年5月発行、 978-4091380241)

第25巻

(2001年9月発行、 978-4091380258)

第26巻

(2001年12月発行、 978-4091380265)

第27巻

(2002年3月26日発行、 978-4091380272)

第28巻

(2002年7月26日発行、 978-4091380388)

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