将軍の血

将軍の血

江戸幕府の第三代将軍の徳川家光が少年期から衆道(少年愛)に耽溺していたために巻き起こる愛憎劇と、その独裁者として君臨した生涯を描いた大河歴史ロマン。KADOKAWA「月刊コミックフラッパー」2018年8月号から連載の作品。

正式名称
将軍の血
ふりがな
しょうぐんのち
作者
ジャンル
時代劇
 
同性愛
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あらすじ

第1巻

徳川家光は新入りの小姓である五助を抱いたその翌朝、風呂場でほかの小姓に手を出そうとした小姓を手討ちにする。後日、家光は五助らを連れてお忍びで歌舞伎見物に出かけ、そこで席取りを巡って侍と喧嘩になりそうになるが、家光はひそかに徳川家の紋章である「葵の御紋」を相手の侍にちらつかせ、その場をおさめる。何事もなく済んだことに安堵する五助であったが、家光がその侍を後日「処分」すると事もなげに呟くのを聞き、その冷酷さに身をすくませるのだった。そんな中、家光は江戸城を訪れていた少年の八右衛門と出会う。家光は隠しようもない胸の高まりを覚え、八右衛門を自分のものにしようと画策する。

第2巻

八右衛門に一目惚れした徳川家光は、八右衛門を小姓として招こうと、青山忠俊が使者として派遣する。八右衛門はすげなくもその話を断り、故郷である飛驒に帰るつもりであると申し出る。だが家光はそれを許さず、あくまでも自分の客として、江戸城に通うようにと命じる。しばらくのあいだ、菓子を与えたり鷹狩りに誘ったりと八右衛門に熱心なアプローチを繰り返す家光であったが、そもそも衆道に興味のない八右衛門はそっけない態度を取っていた。だがある日、堪忍袋の緒が切れた家光は八右衛門を強引に我が物としてしまう。八右衛門は内心に翻意を抱えつつも、小姓として家光に仕える覚悟を決める。一方の家光は宣下を受け、江戸幕府の三代将軍に就任する。

登場人物・キャラクター

徳川 家光 (とくがわ いえみつ)

江戸幕府の第三代将軍を務める男性。女嫌いで、幼い頃から衆道(少年愛)に耽溺している。左目の上に大きな痣がある。冷酷な性格で、政治的野心も非常に強い。父親である二代将軍の秀忠が現役であった頃から、早く将軍になりたいと願っていた。母親であるお江与の方からは忌み嫌われており、次の将軍に選ばれるのは弟の国松だと目されていたが、祖父であり初代将軍である家康の強い後押しによって嫡子に選ばれ、のちに三代将軍に就任する。八右衛門に一目惚れして恋愛感情を抱くようになり、強引に我が物として小姓に迎えた。幼名は「竹千代」。実在の人物、徳川家光がモデル。

八右衛門 (やえもん)

徳川家光に仕える小姓の一人で、飛驒出身。10歳の時に偶然、江戸城で家光に出会って一目惚れされ、小姓になるようにと直々に求められたがそれを断り、しばらくはただの客人として家光のもとに通っていた。のちに家光に手籠めにされ、正式に小姓に迎えられる。八右衛門自身は衆道(少年愛)を好んでおらず、自らの境遇を「籠の中の鳥のように感じている」と語る。実在の人物、酒井重澄がモデル。

直清 (なおきよ)

徳川家光の家臣の一人。本来は秀忠の小姓だったが、家光に仕えることが多かった。幼い頃の家光が病に倒れた時、城中の多くの家臣が国松の世話にかまけている中、福と共に真っ先に駆けつけて看病した。自らの鼻の形を気にしている。

五助 (ごすけ)

徳川家光に仕える小姓の一人。家光にかわいがられている寵童で、家光の最も近い場所で仕えている。非常に子供っぽい容姿で、しょっちゅう赤面したり冷や汗をかいたりしている。初めて小姓として家光の前に出た際、家光に手籠めにされた。

清吉郎 (せいきちろう)

徳川家光に仕える小姓の一人。風呂場でほかの小姓に襲われそうになった際、家光が直々にその小姓を手討ちにするのを眼前で目撃した。その出来事で精神が鍛えられ、ちょっとしたことでは動じない性格に変貌した。

(ふく)

徳川家光に仕える乳母(めのと)。家光に仕える中で最も忠実で愛情深い女性で、幼い頃の家光が病に倒れた時も誰より先に駆けつけた。お江与の方からは嫌われている。実在の人物、春日局がモデル。

青山 忠俊 (あおやま ただとし)

徳川家光の少年時代に守役を務めていた武士。家光の守役は青山忠俊以外にも複数いたが、その中でも特に家光に諫言することがたびたびあったために、家光からは煙たがられていた。実在の人物、青山忠俊がモデル。

秀忠 (ひでただ)

江戸幕府の第二代将軍で、徳川家光の父親。キリシタンの弾圧に心血を注いでいるが、自分の代ではその事業は完了させられないことを悟り、家光を後継者にするつもりでいる。お江与の方には内密で、志津という女中に産ませた「幸松(ゆきまつ)」という隠し子がいる。実在の人物、徳川秀忠がモデル。

お江与の方 (おえよのかた)

秀忠の御台所(正室)。自分が産んだ子供であるにもかかわらず、幼い頃から徳川家光を忌み嫌っていた。家光が少年期から男色や女装に耽るようになったため、さらに嫌悪するようになる。当初は家光の弟で、自分の子供である国松を将軍の座に就けようとしていたが、嫡子に選ばれなかった国松がそれを恨んで狂気するようになってからは、国松も遠ざけるようになる。実在の人物、崇源院がモデル。

国松 (くにまつ)

秀忠とお江与の方の子供で、徳川家光の同腹の弟。幼少期は利発だがわがままな性格だった。家光が家康の後押しで嫡子に選ばれ、自分が将軍になれなかったことを深く恨んでおり、やがて狂気するに至る。のちに江戸から遠ざけられ、甲府の藩主となる。実在の人物、徳川忠長がモデル。

家康 (いえやす)

江戸幕府の初代将軍。秀忠の父親で、徳川家光の祖父。周囲からは「大御所」と呼ばれている。江戸城にやって来た際、満座の人々の前で将軍になるのは国松ではなく家光であると宣言し、家光の嫡子選定に大きく影響を与えた。その後、家光の元服前に死去している。実在の人物、徳川家康がモデル。

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