作品の概要
基本情報
西炯子の代表作の一つ。
要旨と舞台設定
現代日本の地方都市・角島県鶴水市を舞台に、30代の独身女性と50代の大学教授による年の差恋愛を描く作品である。東京の大手電機会社で働く主人公が、祖母の死をきっかけに故郷で新たな生活を始める中で展開される恋愛物語が軸となっている。
ストーリー展開
主人公の堂薗つぐみは、東京での激務と不倫関係に疲れ、長期有給休暇を取って祖母の家で過ごしはじめる。しばらくして、入院していた祖母が亡くなるが、つぐみは仕事を在宅勤務に切り替えて、そのまま祖母の家に住み続けることを決める。そこに、祖母の教え子で祖母から離れの鍵をもらっていたという海江田醇が現れ、なりゆきで二人の同居生活が始まる。次第に惹かれ合うつぐみと海江田だったが、元恋人からの連絡や大地震などのハプニングが発生し、二人の関係に試練が訪れる。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、大人の男女の恋愛関係を描いた恋愛漫画である。30代女性と50代男性という親子ほどの年齢差を持つカップルの関係性や、恋に臆病になり素直になれない女性の心情の変化を、丁寧に描いている点が特徴となっている。
連載状況
小学館「月刊フラワーズ」2008年9月号から2010年2月号まで連載。
受賞歴
2010年第14回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門審査委員会推薦作品。
メディアミックス情報
実写映画(劇場)
2015年2月14日公開。
あらすじ
登場人物・キャラクター
堂薗 つぐみ (どうぞの つぐみ)
三十代後半のキャリア系OL。東京の大手電機会社四つ葉電機株式会社で、原子力事業部プロジェクト管理課課長を務めており、「ミス原発」と呼ばれていた。妻子持ちの同僚との不倫の恋に疲れ、長期休暇を取って角島県鶴水市にある母の実家で生活をしていたところ、家主である祖母下屋敷十和が死去。 そのまま家の管理を引き継ぐ形で、会社に在宅勤務を申請し、鶴水市での生活を継続することに。地熱発電の営業を市と共に進めようと働きかけている。
海江田 醇 (かいえだ じゅん)
五十代の大学教授。専門は哲学。東京の淑愛女子大学で教鞭を取っていたが、角島大学勤務の友人が病気となったため、その代理で赴任してきた。かつて堂薗つぐみの祖母下屋敷十和が大学で講師をしていたとき、同じ大学の哲学科に通っており、かつ下屋敷十和に恋情を寄せていた。下屋敷十和の死後、角島県で生活するにあたり、以前合鍵をもらっていた+Q230下屋敷十和の家を使おうと引越しをしてきた。 下屋敷十和の葬式で堂薗つぐみに一目惚れをし、彼女に迫る。二歳の頃に捨て子に遭い、幼少期は養父母を実の親だと信じていた。
下屋敷 十和 (しもやしき とわ)
堂薗つぐみの祖母。染色家であり、かつては東京の大学で講師をしていたこともある。当時の学生である海江田醇に想いを寄せられ、故郷角島県鶴水市まで追いかけて来た海江田醇に離れの部屋の合鍵を渡している。
西園寺 真保 (さいおんじ まほ)
海江田醇の秘書を務める女性。以前海江田醇が務めていた淑愛女子大学の学長の娘で、海江田の角島大学赴任に際して追いかけて来た。
秋本 岬 (あきもと みさき)
堂薗つぐみの同僚OL。東京の大手電機会社四つ葉電機株式会社原子力事業部プロジェクト管理課係長。同僚の小峯壮一と結婚し、退職を決める。
園田 哲志 (そのだ てつし)
堂薗つぐみの幼馴染の男性。角島県鶴水市で市議会議員を務める。父親も議員であるため「ボンクラ二世議員」を自称している。
書誌情報
娚の一生 3巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2009-03-10発行、978-4091322692)
第2巻
(2009-10-09発行、978-4091326386)
第3巻
(2010-03-10発行、978-4091330277)







