作品の概要
基本情報
美森青の代表作の一つ。
要旨と舞台設定
現代の日本を舞台に、年齢差のある男女の恋愛を描いた物語。まもなく三十路(みそじ)を迎える朝日奈たま子と、アルバイト先で出会った22歳の竹田虎太朗の恋愛模様が展開される。彼氏いない歴8年のたま子にとって、年下男子の虎太朗をからかうことが唯一の楽しみだったが、虎太朗から恋愛相談を持ちかけられたことをきっかけに二人の関係は変化していく。
ストーリー展開
物語は、虎太朗が突然たま子を抱きしめるシーンから本格的に動き出す。たま子は、当初は年齢差を理由に躊躇(ちゅうちょ)していたが、徐々に虎太朗との距離を縮めていく。その過程で虎太朗の元カノ、莉桜との三角関係や、たま子の元カレ、葉山裕貴との再会など、二人の関係にはさまざまな障害が立ちはだかる。また、虎太朗の友人、霧島琉生とのトラブルや、イケメン社長の久龍正宗とのかかわりなど、周囲の人物との人間関係も重要な要素になっている。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、年下男性と年上女性の関係性における心理的葛藤や社会的障壁に焦点を当て、歳の差恋愛にフォーカスしたオフィスラブストーリー。特に、30代女性の結婚観や恋愛に対する現実的な視点が盛り込まれている。
作品固有の表現技法と特徴
作中では、虎太朗のふだんのクールな態度と、たま子にのみ見せる素直な一面とのギャップが見どころとなっている。また、コミカルな日常シーンと、恋愛における繊細な心情描写のバランスが、作品全体を通して保たれている。
世界観の構築と設定
現実的な日常空間が舞台となり、オフィスビルやマンション、旅行先など身近な場所が描かれる。SNSでのコミュニケーションや現代の婚活事情など、リアルな社会背景も織り込まれている。
連載状況
集英社「ココハナ」2018年11月号から連載。
あらすじ
朝日奈たま子は恋愛事とは長らく無縁ながらも、好きな仕事に打ち込む日々を過ごしていた。しかし、来月30歳の誕生日を迎える事、そして周囲の結婚ラッシュを受けて、たま子はこのままでいいのかと焦りを覚え始める。そんな中、たま子は日頃からからかっていた、警備のアルバイトをしている竹田虎太朗から突然の告白を受ける。しかしたま子は、虎太朗が7歳年下の大学生であり、今すぐ結婚したい気持ちもない事を知り、返事ができないでいた。さらにルカから「付き合ったらまちがいなく婚期が遅れる」と指摘され、結婚願望のあるたま子は虎太朗の告白を断る事にする。しかし、虎太朗は結婚したい相手ができるまでの期限付きでも構わないと、たま子に再度アプローチをする。その思いに折れたたま子は、虎太朗と交際するうちに、強く心惹かれていく。そんな中、将来を心配するルカの助言により、たま子は現実と向き合うため、初めて婚活パーティーへの参加を決意する。
登場人物・キャラクター
朝日奈 たま子 (あさひな たまこ)
オーガニック化粧品会社に勤務している女性。年齢は29歳で、来月に30歳の誕生日を控えている。好きな事を仕事にできた喜びもあり、これまで一心不乱に仕事に打ち込んで来た。そのため8年前から恋人がおらず、恋愛事から遠ざかっている。明るくノリのいい性格で、ビルの警備室でアルバイトをしているミステリアスな雰囲気の竹田虎太朗に「塩対応の美青年」だと、顔を合わせるたびにからかっていた。それがきっかけとなり、虎太朗から告白される。最初は虎太朗との年齢差や、朝日奈たま子自身が30歳を目前に結婚願望が高まっている事もあり、交際を断っていた。しかし、虎太朗と同じ時間を過ごすうちに、本気で心惹かれていく。
竹田 虎太朗 (たけだ こたろう)
大学生の青年で、年齢は22歳。朝日奈たま子が勤務するオーガニック化粧品会社のビルの警備室で、アルバイトを始めた。また、個人的にゲームアプリの開発を行っており、雑誌に掲載された事もある。まだ学生である事から、今すぐ結婚をする気持ちはない。自分の感情を表に出さないミステリアスな雰囲気を漂わせ、基本的に人に対しての興味もない。イケメンで、何もしなくても目立つタイプ。それ故に、たま子からは「塩対応の美青年」と認識され、社内で顔を合わせるたびにからかわれていた。からかわれるうちに次第にたま子の事が気になり始め、告白する。以降はふられてもあきらめず、何度もたま子にアプローチを繰り返す。
ルカ
オーガニック化粧品会社に勤務している女性。朝日奈たま子の先輩にあたる。面倒見のいい性格で、たま子からのプライベートの相談も快く受けている。ただし、たま子と竹田虎太朗の交際については「たま子の婚期が遅れる」「虎太朗にとって都合のいい関係」だと、一貫して否定的な立場を取る。職場の後輩からは「ルカ姉」と呼ばれている。
久龍 正宗 (くりゅう まさむね)
インターネット系の会社の代表を務める男性。非常に整った顔立ちをしており、長身でスーツの似合う人物。つねに冷静沈着な性格のため、一見近寄りがたい人物に見えるが、コミュニケーション能力は高い。婚活パーティーに参加した際、男性から強引に誘われて困っている場面から助けた事で、朝日奈たま子と知り合う。ゲームアプリを制作している竹田虎太朗と面識がある。
霧島 琉生 (きりしま るい)
竹田虎太朗の幼なじみの男子大学生。眼鏡をかけていて、虎太朗と同じく感情の起伏を表に出さないミステリアスな雰囲気の持ち主。虎太朗が朝日奈たま子に心惹かれている事など、何も言わなくても察する事ができる。基本的に空気の読めるタイプではあるものの、状況を変えるためにわざと空気を読まずに行動する事も多い。
書誌情報
抱きしめて ついでにキスも 15巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2019-03-25発行、978-4088441863)
第2巻
(2019-07-01発行、978-4088442273)
第3巻
(2019-12-01発行、978-4088442846)
第4巻
(2020-05-01発行、978-4088443409)
第5巻
(2020-10-01発行、978-4088444109)
第6巻
(2021-03-01発行、978-4088444758)
第7巻
(2021-08-01発行、978-4088445205)
第8巻
(2022-03-01発行、978-4088446400)
第9巻
(2022-08-25発行、978-4088446752)
第10巻
(2023-02-24発行、978-4088447254)
第11巻
(2023-07-25発行、978-4088447896)
第12巻
(2024-01-25発行、978-4088448671)
第13巻
(2024-07-25発行、978-4088430317)
第14巻
(2025-02-25発行、978-4088431116)
第15巻
(2025-09-25発行、978-4088431857)







