コタローは1人暮らし

コタローは1人暮らし

古びたアパートの一室に、訳アリな4歳の男の子、さとうコタローが単身引っ越して来た。ポンコツ気味なアパートの住人達から優しいサポートを受けながら、彼らを上回る生活力で立派に一人暮らしを送るコタローの姿を、1話完結で描く笑いあり涙ありのコメディ作品。「ビッグコミックスペリオール」2015年第7号から連載の作品。津村マミの『コンビニの清水』と世界観を共有しており、共通の登場人物も登場する。

正式名称
コタローは1人暮らし
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

ある日さとうコタローは、「アパートの清水」の前に小さなキャリーケースを持って佇んでいた。訳あって今日からここで一人暮らしを始める事になったのだ。まだたった4歳ながらしっかり者のコタローは、何事も始めが肝心とばかりに、ご近所に配るための挨拶の品を購入するために、近所のホームセンターへ足を運ぶ。(1日目「コタローで候」)

202号室に住む狩野進は、隣人として挨拶に来た4歳児のコタローの存在に困惑していた。そんな時、部屋に風呂が付いていない事を知らなかったコタローが、狩野のもとを訪れた。狩野はコタローに、近所の銭湯の事を説明した。夜遅くにたった1人で銭湯に向かおうとするコタローをいったん見送るが、放っておけなくなった狩野は、コタローのあとを追い、いっしょに風呂に入る事になる。(2日目「せんとうモード」)

小さなコタローを何となく放っておけない狩野は、1人で外出しようとしているコタローに勝手に付き添う事にした。そんな2人が歩いていると、街中で「アパートの清水」201号室に住む秋友美月と出くわす。美月は2人の様子を見て、狩野がコタローの父親であると勘違い。その理由を「顔がそっくりだから」と言われた狩野は、コタローが自分の子供なのではないかという疑念に、頭の中が支配されてしまう。(3日目「認知騒動」)

ある朝、ゴミを捨てに出たコタローと狩野は、201号室の前を通りかかると住人である美月が、ドアを開けたまま玄関で倒れ込んでいるのが見えた。よく見れば、彼女の周囲にはビールの空き缶が散乱している。酔いつぶれて寝込んでしまった様子の彼女をゆすり起こしたかと思うと、コタローは一目散にコンビニエンスストアへと向かい、冷凍のペットボトル飲料を購入。泣きはらした目を冷やすようにと、優しい言葉をかけながら美月に渡す。(4日目「朝帰りのオンナに」)

狩野は、担当編集者である担当から、出来上がった原稿に対してコテンパンにダメ出しをされ、すっかりへこんでしまっていた。そんな折、自宅を訪れたコタローの両ひざに何枚もの絆創膏が貼ってある事に気づいた狩野は、両ひざの絆創膏に、コタローが大好きな「とのさまん」を描いてあげる事にした。(5日目「古い絵の漫画家」)

その日、102号室の住人、田丸勇はファミリーレストランにいた。離れて暮らす息子に久しぶりに会えると、プレゼントを片手に意気込んでいたが、別れた妻はそれを簡単に拒絶した。息子に会わせようとしない元妻に対して、田丸は思わず声を荒げる。そんな様子の田丸に、息子も会いたがらないと言い放った元妻の言葉に、田丸はショックを受け、帰宅したその足でコタローの部屋へと向かう。田丸は息子に会えない寂しさをコタローで埋めようと、コタローに対して必要以上に濃密なスキンシップを図ろうとする。(6日目「噓か誠か?」)

大人が観てもお世辞にも面白いとは思えないアニメ「とのさまん」に熱中するコタローが、狩野には理解できなかった。いつものように2人で銭湯に向かった狩野とコタローは、風呂場で「とのさまん」について語り始める。そしてコタローが、深夜番組である「とのさまん」に執着する理由を知る事になる。(7日目「とのさまんの特別」)

とうとう「とのさまん」が最終回を迎える事になった。それを知った田丸は狩野のもとを訪れ、コタローががっかりするだろう事を想定し、寂しくさせないために自分達にできる事を模索し始める。一方コタローはといえば、アパートの前に「ひとり1かい10えん」と看板を出し、通りすがりの人に「とのさまん」のものまねを披露。ものまねを見て笑ってくれた人には、コタローが10円を支払うという不思議な商売を始める。(8日目「とのさまんの“最後”」)

路上で風船を配る仕事をしていた青年は、もう5分近く、遠巻きにこちらを見つめている少年が気になっていた。こちらから風船を渡しに行くべきか迷っていた時、ようやく声をかけてきたその少年は、複数の風船をほしがった。しかし、風船は1人に付き1つしかあげられない決まりになっていたため、青年は説明のうえで、彼に風船を1つ手渡す。すると時間をおいて、さっきの少年が別人を装い、また風船をもらいにやって来た。少年が妹弟に風船をあげているらしい事に気づいた青年は、仕方なくまた風船を1つ渡す。最終的に少年は繰り返し4つの風船を取りに来たが、後日青年はその少年を公園で見かけ、彼が風船を欲した本当の理由を知る事になる。(9日目「家族のために」)

この日、いつも通っている銭湯「富士湯」が数日のあいだ臨時休業となっている事を知ったコタローと狩野は、あきらめて帰宅する事にした。お金がかかる事もあり、毎日風呂に入る必要性を感じていなかった狩野は、銭湯が再開するまで風呂に入らなくていいと思っていた。しかし、その日以降コタローは、風呂に入っていない自分は汚れているという理由で、誰に対しても近づく事を許さず、異常なまでに距離を取りたがるようになる。(10日目「フロ騒動」)

幼稚園の入園式の日を迎えたコタローは、声をかけてきた狩野すら振り切って1人で幼稚園に向かった。周囲の子供達がみんな保護者同伴である中、1人きりで受付を済ませて椅子に座るコタローの姿は、どこが寂しさと戦っているようでもあった。一方狩野は、不在中のコタローを訪ねて来た美月と田丸と顔を合わせる。近所の様子から、今日が幼稚園の入園式である事に気づいた3人は、慌てて幼稚園まで足を運び、コタローの保護者として入園式に参加する。(11日目「“晴れの日”の面々」)

怖い夢を見て、深夜に目を覚ましてしまったコタローは、枕を握りしめたまま、狩野の部屋の前をうろうろしていた。そこへ、仕事から帰宅した美月が通りかかったが、彼女を頼る事なくコタローは自室へ戻っていってしまった。翌日、目の下にクマをつくっていたコタローが、深夜になっても部屋の電気をつけたままにしている事を確認した美月は、コタローが眠れない状況を悟り、自分の部屋に泊まりに来ないかと誘う。(12日目「クマ!」)

幼稚園では、水曜日は手作り弁当の日と決まっている事を知ったコタローは、朝、登園前にコンビニエンスストアへと向かい、お弁当を購入。店内のイートインスペースを借りて、自分のお弁当箱に中身を詰め直してから幼稚園に向かった。お昼になり、友達のお弁当がみんな一様にキャラクターに富んだものになっている事に気づいたコタローは、次の水曜日、コンビニエンスストアの食材で自作のキャラ弁を仕上げる。その帰り道、母親に弁当のお礼を伝えている子供を見かけたコタローは、また次の水曜日、コンビニエンスストアで買い物中の客に声をかけ始める。(13日目「コンビニ弁当からの…」)

コタローを幼稚園に迎えに行った帰り道、出版社へ向かう事になった狩野は、コタローからの希望でいっしょに連れて行く事になった。狩野の原稿を前に、次々とダメ出しをしていく担当。その様子を目にしたコタローは、担当にいちいち反論し、狩野の擁護を始める。(14日目「おでかけの理由」)

コタローと狩野は、美月からの誘いで公園デートにやって来た。ソフトクリームを食べるコタローの姿を写真に収めようと、2人がカメラを構えると、とたんにヘッドバンキングを始めるコタロー。どう頑張っても1枚たりともまともな写真を撮らせてくれない。幼稚園での写真撮影も同様、顔が写らないように、いつも手で顔を隠していた。写真は大の苦手だからと言い張るコタローだったが、それには誰にも話せない理由があった。(15日目「写真に注意」)

突然担当を言い渡された新人弁護士の小林綾乃は、先輩からさまざまな注意を受けたうえで、コタローのもとを訪れた。彼女が任された仕事は、コタローに毎週生活費を渡しに行く事。緊張しつつアパートに足を運ぶと、コタローからは牛乳による乾杯や歌の披露など、熱烈な歓迎を受ける。(16日目「手土産をどうぞ」)

第2巻

さとうコタローはファッション雑誌を片手に、珍しく田丸勇のもとを訪れた。人に好かれるためにモテモテになりたいコタローは、ファッションの事なら田丸に頼むといいという秋友美月からの言葉を信じ、買い物に付き合ってほしいと頼みに来たのだ。いつも何となく距離を取られる事が多い田丸は、コタローからのお願いに二つ返事で快諾。お決まりのオールバックにサングラス、ヒョウ柄のスーツでコタローと買い物へと向かう。(17日目「おしゃれ道」)

ある夜、美月の勤め先のクラブにやって来て美月を指名したのは、コタローだった。驚いた美月は、とりあえず狩野進に連絡し、コタローを迎えに来てもらう事でその場を収めた。しかし翌日、またしてもコタローは1人でクラブに来店し、美月を指名。困惑する美月だったが、それには美月が先日コタローといっしょに過ごした際に口にした、アパートの更新に関する事が関係していた。(18日目「指名してみる」)

今日コタローは、幼稚園の友達、山本カケルに招かれ、カケルの自宅にやって来た。そこでは、共働きの両親の代わりにお手伝いの女性、吉田がカケルの面倒を見ていた。吉田に対してわがまま放題のカケルを見たコタローは、後日カケルを連れて近所の池を訪れ、ザリガニ釣りについてレクチャーを始める。(19日目「グルメな奴!?」)

夕方、幼稚園にお迎えに行った狩野は、コタローが両鼻の穴に鼻栓をしている事に気づいた。どうやらコタローは投げられたボールを受け取る事が苦手な様子。ドッジボールでは何度も顔に当たり、鼻血を出してしまったのだ。コタローから頼まれた狩野は、キャッチボールを会話のように考える事。ボールを言葉と思い、言葉のキャッチボールをするようにと、自分なりの極意を授け、公園でコタローにボールの取り方を教え始める。(20日目「ドッジコタロー」)

幼稚園で誕生会をしてきたという報告をコタローから受けた狩野は、明後日がコタローの誕生日である事を初めて知る。それを聞いた美月と田丸は、アパートでも改めて誕生日パーティーを開く事を提案する。腑に落ちない表情のコタローに、美月は、誕生日がお祝いである事、「生まれてきておめでとう、生まれてきてありがとうの会」である事を告げると、コタローは自分が生まれてきた事が、祝うべきいい事だった事に初めて気が付くのだった。(21日目「“誕生会”とは?」)

ある朝、ゴミを出しにやって来たコタローは、家の前に佇んでいるお婆さんの田辺里江の姿を目撃する。里江はコタローが通りがかるたびに何度も挨拶をし、繰り返し名前を聞いては微笑んでいた。ある時コタローは、里江が首から名前の書いたカードを提げている事に気づく。里江がそれを恥ずかしいと言ったため、翌日からコタローは、大きく名前を書いたカードを作り、自分も首から提げて歩く事を決める。(22日目「毎朝あいさつ」)

口うるさい母親に嫌気がさした幼稚園児のタクヤは、コタローに家出に付き合うように頼みに来た。家出の何たるかがよくわからないまま、タクヤに付き合う事にしたコタローは、コンビニエンスストアでたくさんお菓子を買ったり、夜遅くまで公園で遊んだりする。不良になる事を目指したタクヤだったが、コタローにとっては特別感のない事が続く。(23日目「レッツ家出」)

今週も担当弁護士の小林綾乃が、生活費を渡しにコタローのもとを訪れていた。いつもの事ながら、小林を全力でもてなすコタローだったが、そのもてなしに全力で応じているように見えて、小林はいつも緊張し、固くなっている事に気づいていた。そんな折、不在中の狩野宛に届いた荷物を預かる事になったコタローは、その中身がビールである事を確認すると、それを小林に飲ませてしまう。(24日目「ヨッテウタッテ」)

「幼稚園の清水」の星組で、初めての保護者会が開かれた。狩野はコタローの保護者として参加したが、周囲の父兄からの狩野の第一印象は最悪なもので、保護者会の代表を務める野田美代は、まったくやる気を見せない狩野が、保護者の多くから不信感を買っていた事に不安を感じていた。しかし、幼稚園のイベントである夏祭りの手伝いを募る場で、保護者みながうつむき、手を上げようとする者が1人もいない中、名乗りを上げたのは意外にも狩野だった。(25日目「ナツマツリ」)

幼稚園の友達がのきなみキャラクター付きのかわいいポケットティッシュを持っている中で、コタローは保湿にこだわった上質なものをいつも持ち歩いていた。この日、自宅で使うティッシュを購入するため、狩野と共に近所のホームセンターを訪れたコタローは、ティッシュの成分量を確認しつつ、「甘い」からという理由で、保湿に特化した高級なものを選んだ。不思議に思った狩野は、自宅でテレビを見ている時に、コタローが高級ティッシュを選ぶ本当の意味に気づく。(26日目「こだわりのティッシュ」)

コタローの晩ご飯は、普通とちょっと違っていた。テーブルいっぱいに並べられた小鉢には、それぞれに少しずつおかずが盛られており、一見してとても豪華。それを垣間見た狩野と美月は、そんな様子を羨み、田丸も誘い合わせてコタローの夕食に招いてもらう事となった。しかし、品数の多い晩ご飯を期待していた3人の前に置かれたのは、コタロー手作りの野菜炒め一品だけだった。(27日目「みんなを御招待」)

ペルセウス座流星群が見えるこの日、亮太は津村山の山頂を目指していた。山頂で先に座って待っていたのは、児童養護施設で生活を共にしていたコタローだった。2人は施設を離れる前、翌年の夏に見られるという流星群をいっしょに見る約束をしていたのだ。約束を果たすため、久々の再会となった2人は施設にいた頃の思い出を語る。(28日目「星の降る夜に」)

ある日、狩野はコタローの様子がいつもと違う事に気づく。コタローは、自分が警察に捕まるかもしれないと頭を悩ませていた。それは、偶然通りかかった女性から目が離せなくなり、無意識にあとを追いかけ、付きまとうようになってしまったというのだ。そんなストーカー行為を、許されないとわかっていながらやめられないのには、コタローにしか知りえない理由があった。(29日目「フラリコタロー」)

「幼稚園の清水」で星組の担任を務める二葉透子は、最近増えた仕事量に負担を感じるようになった。そんな透子が心身ともに疲れ、心から笑顔になれない事に頭を痛めていた時、星組のコタローが、入園してから一度も笑顔になったところを見ていない事に気づく。(30日目「演技派コタロー」)

夜、コタローの眠りを妨げたのは1匹の蚊だった。コタローは蚊に刺されると大きく腫れあがり、痛痒くなって治りも遅い。そのため、何としても自分の手で仕留めようと手のひらだけを武器に、夜の間中蚊と戦ったのだ。しかし、蚊を仕留める事はできず、顔を刺されてしまう。朝、狩野と話をしていたなかで、蚊が血を吸う事を初めて知ったコタローは、翌日、翌々日と日が経つにつれて刺され跡が増え続けていく。(31日目「血を分ける」)

ある日突然、コタローのもとに、同じアパートの103号室に新たに入居したという男性、青田が訪れる。彼は、仕事の関係で1か月間だけ滞在するのだという。そのあいだ、なかよくしてほしいと頼まれたコタローはこれを快諾し、毎日の銭湯通いも、幼稚園への送り迎えも、青田といっしょにする事になった。青田は、コタローが喜ぶ遊びをよく知っており、コタローは青田と過ごす時間を目を輝かせて楽しんでいた。しかし、青田がコタローの事について裏でいろいろと詮索し、聞き込みを行っている事を知った狩野、美月、田丸の3人は、青田を問い詰め、彼が探偵である事を確認する。青田は、コタローの父親からの依頼で、詳細を調査している事を吐き出した翌日、突然姿を消してしまう。これに危機感を覚えた狩野達は、コタローを守らなければという使命感にかられ、幼稚園にも銭湯にもついて行き、身を挺してコタローを守ろうとする。(32日目「新たな入居者」、33日目「何者だ!?」、34日目「いらぬ!!」、35日目「強くなりたい」)

第3巻

日曜日。さとうコタローは、風邪による発熱でダウンしてしまった狩野進の代わりに、漫画の原稿を届けに1人で担当のもとを訪れた。思いがけずコタローと1対1で話をする事になった担当は、結婚して子供もいる自分が日曜日に出社している事に関して、必要以上に心配してくれるコタローに困惑していた。そして、父親としての目線でコタローを見た担当は、彼のはしゃぐ姿や笑顔が見たいと思い、コタローに子供用おもちゃ雑誌の編集部内を案内する事にした。(36日目「日曜日なのに…」)

スーパーマーケットで試食を提供しているスーパーの試食係のお腹が大きく膨らんでいる事に気づいたコタローは、彼女が売れ残った商品をすべて食べたために太ったと勘違いしていた。心配のあまり連日にわたってスーパーに通っては、彼女が試食販売しているものを残らず買い占めていたコタローは、ある時、彼女から妊娠している事を告げられる。お腹に赤ちゃんがいる事をにわかには信じられない様子のコタローだったが、「赤ちゃんは宝物である」という彼女の言葉に心打たれる。(37日目「その“腹”は?」)

青田が「アパートの清水」に引っ越して来てもうすぐ1か月が経とうとしていた。それは、彼が探偵としての仕事を終え、アパートを出て行ってしまう日が近い事を意味していた。そんなある日、秋友美月は、洗濯をしようとかごに入れておいた自分のパンツがなくなっている事に気づいて大騒ぎ。しかし、青田の高い探偵能力のおかげで、見事解決に至った。翌日になり、今度はコタローが、部屋にあったはずの箱がなくなった、と青田のもとへ訴えに来た。捜索に駆り出された青田は、アパートの住人に聞き込みを開始する。(38日目「名探偵」)

「オレオレ詐欺」に手を染める金城は、とある老夫婦が住むという家に、息子になりきって電話をかけた。しかし予想外にもその電話に出たのは、まだ幼い声の少年、コタローだった。金城は、不在中だという老夫婦に電話を取り次いでもらおうと、帰宅時間を狙って何度も電話をかけなおす。何度かけなおしてもコタローが対応する電話に、苛立ちつつも、話をしていくうちに、金城は離れて暮らす自分の子供の事を思い出し、父親としての自分の在り方を後悔する。(39日目「その声は」)

ある日、大きなマスクを付けていた美月の頬が腫れている事に気づいたコタローと狩野は、美月が彼氏から金銭を要求されたり暴力を受けるなど、ストーカー行為を受けている事を聞く。田丸も参加し、問題解決には警察に通報する事を勧めたが、コタローはこれに反発。美月にこのアパートを出ていく事を提案する。(40日目「相手を想えば」)

幼稚園が終わり、帰宅しようとしたコタローと狩野に声をかけてきたのは、コタローのクラスメイト、澤口カナとその母親、澤口だった。娘がコタローの家で遊びたがっているからと、伝えてきた母親の話に、快諾したコタローは、カナを招いて自宅でいっしょに遊び始める。特別盛り上がる事もなかったが、翌日になり、再び母親からカナを遊びに行かせたいと話を受ける。そんな折、狩野は幼稚園に迎えに来ていた保護者達の輪から、澤口に関する不穏な噂を耳にする。(41日目 なんで遊ぶ?)

幼稚園で過ごしていたコタローは、クラスメイトのケイが、具合を悪くしては頻繁に保健室に行っている事を知る。そんなケイに、自分のお弁当のデザートだったみかんを手渡しつつ、弱いままではダメだと伝えたコタローだったが、翌日幼稚園で、今度は自分が発熱してしまう。しかし強くあろうとするあまり、頑なに具合が悪い事を認めようとしないコタローは、ケイの心の強さを知る事になる。(42日目「風邪?」)

コタローに毎週恒例の生活費を渡しにやって来た小林綾乃は、いつものようにコタローから渡された日記とお土産を受け取って帰路に着いた。数日後、約束なく突然コタローのもとを訪れた小林は、マンションの内見にいっしょに付き合ってほしいと、コタローを強引に誘い出す。(43日目「内見へ行こう」)

コタローが公園で野草を探していると、小さな弟妹を引き連れてやって来た少年、お兄ちゃんと知り合う。彼は、お腹を空かせた妹弟に食べさせてやるための野草を探しに来ていた。コタローが同じ境遇である事を悟った少年は、コタローに弟妹を預け、姿を消してしまった。2時間が経過しても少年が戻って来ないため、弟妹に頼りながら彼らの住む団地を訪れると、そこには1人でポテトチップスを食べる少年の姿があった。(44日目「お前もか!!」)

漫画の執筆にあたり、ネタの材料収集のために映画を見て来るように、と担当から指示を受けた狩野は、成り行きからコタローとクラスメイトの少年3人を連れて、近所の映画館に行く事になった。好き放題わがまま放題の少年達に振り回されつつも、コタローの立場を鑑みて我慢を続ける狩野。しかしコタローは、そんな狩野の様子を見るにしたがって、次第に表情が曇り始める。(45日目「インソツ」)

コタローの部屋を訪れ、いつものように濃密なスキンシップを図ろうとした田丸は、今日も息子との面会が叶わなかったと肩を落とす。そんなある日、アパートを訪れたのは、やたらとガラの悪い子供だった。パパに会いに来たと話す、サングラスにオールバック姿のその少年、勇太を見て、田丸の息子である事に気づいたコタローは、彼を自分の部屋に招き入れ、田丸を呼ぶ。コタローの部屋を訪れた田丸は、息子がいる事に驚くが、すぐさま勇太に帰るように促す。(46日目「来訪者」)

美月が引っ越したあと、空室となっていた201号室に入居して来たのは、クール系の美人、武井すみれだった。彼女は、普段から何かと口うるさい委員長のような人物。しかしコタローを前にすると、なぜか大汗をかき、不自然なほど子供を褒めちぎるのだ。その様子に、彼女が子供を苦手としている事を察した狩野だったが、ある日、そんな武井にコタローの幼稚園のお迎えを頼まざるを得ない状況が発生する。(47日目「ニューカマー」)

最近、コタローが太ってきている事に気が付いた狩野は、武井と共にその原因を探るが、コタロー自身に思い当たる節はないという。そんな折、幼稚園で給食会が行われる事を知った武井は、自ら給食会への参加を志願し、コタローの肥満の原因について繙(ひもと)く役を買って出る。思いがけず、たくさんの子供達にまぎれて食事をする事になった武井だったが、そこでコタローが肥満に至る、思わぬ真相を知る事になる。(48日目「疑惑の給食」)

コタローは、さまざまなお気に入りの品々を保管しておく箱を持っていた。その名も「わらわコレクションBOX」。ある日、狩野、田丸、武井宛にコタローから「わらわコレクション展」へのお誘いが届く。お手製の入場チケットを手にコタローの部屋へ向かうと、そこには今まで集めてきた数々の品物が所狭しと並べられていた。武井はその中に、コタローの母親が使ったというビニール手袋を発見する。(49日目「コレクション」)

ある日、コタローのもとを訪れたのは、児童養護施設で生活を共にしていただった。施設で一番仲がよかっただけに、コタローは佑との再会を喜び、部屋に招いてもてなした。それ以来、佑はコタローの部屋を頻繁に訪れるようになる。そんな折、狩野は弁護士の小林から相談を受ける。それは、最近になってコタローが生活費の増額を願い出ているというのだ。3回続けての増額請求を不審に思い、最近何か変わった事がなかったかとの問いに、狩野は真っ先に佑の存在を思い浮かべた。コタローの部屋から出てきた佑に話を聞くと、佑はコタローといっしょに住むために引っ越しの準備をしている。そのための引っ越し費用が必要である事を話した。狩野から佑に関する報告を受けた小林だったが、さまざまなところに疑問を感じ、佑という人物について調査を行う事を決める。すると、佑には借金返済が滞っているという事情がある事が判明する。(50日目「ウエルカムな人」、51日目「枕の思い出」)

登場人物・キャラクター

主人公

「アパートの清水」203号室で1人暮らしをする事になった男の子。年齢は4歳。子供向けのヒーローアニメ「とのさまん」が大好きで、その影響もあり、古びた言い回し「殿様語」で話す。一人称は「わらわ」。意図的... 関連ページ:さとう コタロー

主人公

「アパートの清水」202号室に住んでいる男性。年齢は31歳。漫画家として、昨年、雑誌で漫画賞を受賞したが、それ以降、鳴かず飛ばずの状態が続いている。中学生の頃両親を亡くし、親戚の家で暮らしていた。その... 関連ページ:狩野 進

「アパートの清水」201号室に住んでいる女性。「CLUB DreaM」でホステスを務めている。彼氏からお金をたかられたり、暴力を受けた事がある。別れを切り出してはみるものの、勤務先やアパートの前で待ち... 関連ページ:秋友 美月

「アパートの清水」102号室に住んでいる男性。オールバックにサングラスをかけ、ヒョウ柄のスーツと、外見は限りなくチンピラで、柄が悪い。しかしその外見とは裏腹に、子供が大好き。同じアパートに住むさとうコ... 関連ページ:田丸 勇

狩野進の担当を務める男性編集者。「小学社」に勤めている。狩野の原稿を見ては、絵柄が古い、好みじゃない、物語に追いついていないなど、多くのダメ出しを繰り返している。狩野の作品に対し、話の構成力が武器だが... 関連ページ:担当

路上で風船配りの仕事をしている青年。たくさんの風船を手に持ち、通りがかった子供に風船を配っている。痩せている印象のためか、たくさんの風船を一度に持って飛ばされてしまうのではないか、とさとうコタローから... 関連ページ:青年

鈴野法律事務所に勤める新人弁護士の女性。年齢は27歳。所長の命令で、さとうコタローの担当者となった。毎週コタローに生活費を届けるのが主な仕事で、その際、コタローから受ける熱烈な歓迎にしっかりノってあげ... 関連ページ:小林 綾乃

山本 カケル

「幼稚園の清水」の星組に在籍している男の子。さとうコタローとは同じクラスの友達。共働きで不在がちな両親のもと、お手伝いの吉田さんにわがままを聞いてもらいながら日々を過ごしている。数少ない「とのさまん」ファン。

「アパートの清水」の近所に住んでいるお婆さん。毎朝、自宅玄関の前に立ち、ごみを出しに来るさとうコタローに名前を聞き、挨拶する事を繰り返している。真夏でも関係なしにはんてんを着用し、首からは名前と連絡先... 関連ページ:田辺 里江

タクヤ

「幼稚園の清水」の星組に在籍している男の子。さとうコタローとは同じクラスの友達。何かにつけて口うるさい母親に反抗しようと、家出を決行。コタローを巻き込み、両親に心配させる事を目的に、食べたいだけお菓子を買ったり、夜遅くまで公園で遊んだりと、「不良」を目指して行動しようとする。

野田 美代

「幼稚園の清水」の星組で保護者会の代表を務める女性。親睦を深めるはずの保護者会で、さとうコタローの保護者として参加していた狩野進の存在が、弊害となっていた事で、今後の活動への不安を感じていた。しかし、夏祭りの手伝いを募る場で、狩野が手を上げて以降、彼に対する見方を変える。

亮太

さとうコタローと同じ児童養護施設で育った18歳の男性。現在は施設を離れ、大工として生計を立てている。コタローと、翌年の夏にペルセウス座流星群をいっしょに観る約束をしていた。しかしその後、コタローが何の挨拶もなく突如として施設をあとにしたため、いっさいの連絡を取る事ができないままとなった。

「幼稚園の清水」で星組の担任を務める女性の先生。年齢は23歳で、いつも笑顔で明るい。しかし最近では幼稚園を退職する先生が多く、仕事量が増えた事を負担に感じている。そのためか、疲れが取れず、心の底から笑... 関連ページ:二葉 透子

仕事の関係で、1か月間だけ「アパートの清水」103号室に入居する事になった男性。寂しがり屋で、見知らぬ土地では心細い事を理由に、さとうコタローに対してなかよくしてほしいとアピール。実は探偵業を生業とし... 関連ページ:青田

スーパーマーケットのパートの女性。食品売り場で、さまざまな食品の試食の提供をしている。現在妊娠中で、お腹はかなり大きく目立っている。よく買い物に来るさとうコタローと仲がいい。お腹が大きい事を、売れ残っ... 関連ページ:スーパーの試食係

金城

サングラス姿のガラの悪い男性。とあるビルの片隅で仲間3人と共に、相手先の息子になりきって電話をかけ、金銭をだまし取る「オレオレ詐欺」に手を染めている。別れた妻のもとには息子がいるが、もう何年も会っていない。最近息子の事を思い出しては、自分がダメな父親であった事を後悔し始めている。

澤口

澤口カナの母親。最近夫の勤める会社が倒産し、苦しい生活を送っている。娘のカナを降園後、さとうコタローの家にやり、遊ばせる事が増えた。自分の娘よりも恵まれた子の家で遊ばせたくないという心境から、複雑な境遇のコタローを利用している。

澤口 カナ

「幼稚園の清水」の星組に在籍している女の子。澤口の娘。幼稚園ではさとうコタローといっしょに遊ぶ事はあまりないが、最近、降園後に頻繁に彼の家に遊びに行くようになった。正直言ってコタローや狩野と遊んでも楽しくないが、そうしておけば母親が安心して笑うからという理由で、だまって従っている。

ケイ

「幼稚園の清水」の星組に在籍している男の子。体が弱く、よく熱を出したり、具合が悪くなっては保健室に行く事が多い。クラスメイトのさとうコタローからは、弱いままではだめだと言われてしまうが、自分がみんなに風邪をうつす事のほうが悲しいから、みんなと遊びたい気持ちを我慢する、という強い気持ちを持っている。

さとうコタローが公園で知り合った少年。寒い季節にもかかわらず足元はビーチサンダルを履いている。弟と妹を連れており、いつも面倒を見ている。団地に住んでいるが両親は帰って来ず、お金もないため、お腹を空かせ... 関連ページ:お兄ちゃん

勇太

田丸勇の息子。現在は母親と暮らしている。以前から、父親との面会の日がある事を母親から知らされていなかった。自ら父親に会うために、母親に内緒で父親が暮らす「アパートの清水」を調べ、訪れた。サングラスにオールバック姿で、ガラが悪いところは父親譲り。

秋友美月が引っ越したあと、「アパートの清水」201号室に入居して来た女性。結婚して娘もいたが、いつからか娘に嫌悪感を覚えるようになり、娘に触れる際には手袋が必須になるなど、子育てに支障が出るようになっ... 関連ページ:武井 すみれ

さとうコタローと同じ児童養護施設で育った男性。現在は施設を離れ、ホストとして生計を立てている。派手でノリの軽い、いわゆるチャラ男で、言葉尻には必ず英語を交える。子供の頃万引で捕まった過去を持つ。亮太か... 関連ページ:

場所

アパートの清水

老夫婦が営む単身型2階建てアパート。部屋によって風呂なしと、シャワーのみが付いている部屋とに分かれている。全部で6室あり、202号室には狩野進、203号室にはさとうコタローが、102号室には田丸勇が、... 関連ページ:アパートの清水

その他キーワード

とのさまん

深夜0時から始まるヒーローアニメ。殿様の姿をしたかわいらしいキャラクターが、弱きを助け悪をくじく典型的なヒーローアニメだが、大人が見ても面白味はない。深夜に放送されている事からか知名度は低く、かなり人気薄。

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