ローマふたり暮らし

ローマふたり暮らし

田澤裕の代表作。国際基督教大学で非常勤講師を務める西洋古典学研究者の友井太郎が監修を担当している。帝政時代のローマ市を舞台に、かつて主従関係にあったティトゥス・シキニウス・サビヌスとクロエが夫婦として再出発する姿を描いた新婚ホームドラマ。転職、引越し、出産といった結婚にまつわるさまざまなイベントを、帝政ローマ時代の文化を背景に描写している。コミックスの巻末には、友井太郎によるエピソードが掲載されている。スクウェア・エニックス「ヤングガンガン」2022年No.05から2024年No.08にかけて連載の作品。

正式名称
ローマふたり暮らし
ふりがな
ろーまふたりぐらし
作者
ジャンル
西洋史
 
夫婦
レーベル
ヤングガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
既刊5巻
関連商品
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ローマ市民の生活に密着した物語

本作は、ティトゥスとクロエの甘美な恋愛を描くだけでなく、帝政時代のローマ市民の生活に密着した作品でもある。物語を通して、衣食住はもちろん、信仰や裁判制度、子供の命名規則に至るまで、当時の文化を垣間見ることができる。また、実在のスポットも紹介されており、ネロ浴場や男女の逢瀬に利用されたポンペイウス柱廊などが登場する。

巨大都市ローマを支えた奴隷たち

1世紀のローマ市は、人口が100万人に達しており、その維持には労働力としての奴隷の存在が不可欠だった。本作にはさまざまな奴隷や元奴隷が登場し、彼らの仕事ぶりを垣間見ることができる。ローマ人に家族を殺されたブリタニアの少女が競売にかけられ、ローマ人の奴隷になるという重いエピソードがある一方で、よき主人との出会いによって奴隷でも幸せに暮らせることや、奴隷からの解放もあり得ることも描かれている。

登場人物・キャラクター

ティトゥス・シキニウス・サビヌス

クロエの夫で、琥珀(こはく)色の瞳を持つ金髪の青年。年齢は16歳。困っている人を見過ごせず、つい助けてしまうお人好しで、しばしば過労に陥ることがある。地方貴族の息子だったが、ポンペイ地震で家族を失い、翌年にローマ市に移住した。クロエとは幼少期からの気心の知れた仲で、彼女こそがローマ一番の美女だと信じている。夫婦関係は良好だが、男女の営みは初夜以来なく、どう誘えば良いのか悩んでいる。叔父からサビヌス家の農地を預かり、地代で生計を立てていたが、津波の影響で収入が激減し、事実上仕送りに頼る状態となってしまう。移住後は兄弟子のガイウス・ノウィルス・ルフスの紹介で法廷弁論家となり、奴隷出身の貿易商であるマルクス・ウァレリウス・アガトの弁護を通して天性の説得力を開花させた。数々の弁論を勝利に導き、「エトス、パトス、ロゴスを兼ね備えた新進気鋭の弁論家」と持て囃(はや)されるようになった。のちに消防隊長官のブブリウス・ルティリウス・フラックスに才能を認められ、消防隊の書記官に転職する。

クロエ

ティトゥスの妻で、ティトゥスよりも年上の女性。碧眼(へきがん)で、女友達から「十人中十人が二度見する」と称賛されるほどの豊満な肉体を持ち、背中まで伸びた茶髪をお団子ハーフアップにしている。ティトゥスの世話係を任されていた元家内奴隷で、極度の心配性な性格の持ち主。解放奴隷になってからも、夫の世話を焼く癖が抜けず、周囲からは「乳母」と揶揄(やゆ)されるほど献身的に尽くしている。夫からはもっと自由に振る舞ってほしいと言われているが、彼の世話をすることに喜びを見出し、半ば趣味のように楽しんでいる。幸運な奴隷だった自覚があり、クロエ自身の過去に悲壮な感情は抱いていないが、自分が何も成し遂げていないことに劣等感を覚えている。のちに得意の機織りに生きがいを見出し、仕事を通じて皇帝と親交の深い解放奴隷のクラウディア・アクテと親しい関係を築いていく。

クレジット

監修

友井 太郎

書誌情報

ローマふたり暮らし 5巻 スクウェア・エニックス〈ヤングガンガンコミックス〉

第1巻

(2022-09-24発行、978-4757581623)

第2巻

(2023-02-25発行、978-4757584211)

第3巻

(2023-08-25発行、978-4757586901)

第4巻

(2024-02-24発行、978-4757590625)

第5巻

(2024-06-25発行、978-4757592711)

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