概要・あらすじ
定時制高校に通う少年・北村市郎は、ある晩幽霊の行進に出くわす。驚いた市郎は偶然出会った雑誌記者本田にいきさつを話し、彼の理解を得ることに。帰宅した市郎の前に、さらに不思議な事件が起こる。駅のホームで見かけた少女が突然現れ、すぐに消えてしまったのだ。この出来事を本田に伝え、会う約束をした市郎だが、本田は交通事故で死んでしまう。
病院に駆けつけた市郎の前に再び昨晩の少女が現れ、自分は10年前に死んだ幽霊だと語りだす。しかし、彼女は謎の男たちに連れられ、またも姿を消してしまう。その晩、市郎は昨日と同じ場所で、幽霊の行進の中に本田を目撃。翌日本田は市郎に憑依し、「あの世」の状況を語りだすのだった。
「あの世」は三つに別れて戦争を続けており、死んだものは霊魂となりどんどん戦場に送られていた。「あの世」で死んだものは、現世で赤ん坊に生まれ変わる。これが、昨今のベビーブームの原因となっていたのだ。さらに本田は「あの世」は人手不足で、それを解消するため現世で事故を起こし、兵士を補充しようと企んでいるのだと語りだすのだった。
登場人物・キャラクター
北村 市郎 (きたむら いちろう)
通称・イッチ。定時制高校に通い、昼はパン屋で働く少年。小学二年生のとき病気で死にかけたことが原因で、死後の世界と通じる体質となった。死んだ本田から情報を得ていたが、知りすぎてしまったため、死後の世界へ拉致されてしまう。そのため、現世では死亡扱いとなった。偶然であった幽霊松本くるみに思いを寄せ、死後の世界でも彼女を助けるため奮闘していく。
本田 (ほんだ)
雑誌記者。幽霊の行進を目撃した北村市郎に話を聞いた翌日に交通事故で死亡。その後は死後の世界から市郎を通じて情報を伝えていた。そのため、スパイ容疑で捕らえられてしまう。
松本 くるみ (まつもと くるみ)
少女の幽霊。10年前、兄の後を追ってホームに飛び込んで自殺した。戦場へ向かう兄を見送る帰りに、北村市郎と出会うが、脱走者とみなされ死後の世界に連れ戻された。
下田 (げた)
本田が所属していた編集部のデスク。北村市郎に憑依した本田の口から死後の世界の情報を聞き、このことを世間に広めようとする。手塚治虫のスター・システムでは下田警部。