概要・あらすじ
貧乏な男子学生が、一人暮らしのために安アパートへ越してくると、そこへタイムマシンを使って、未来の自分が次々現れる。目当ては男子学生が相続した時価三億円の山林で、活用法を巡って醜い言い争いを始めるのだった。タイムパラドックスをテーマにしたSF短編。藤子・F・不二雄作『ドラえもん』のエピソード「ドラえもんだらけ」に通じる作風である。
登場人物・キャラクター
男子学生 (だんしがくせい)
名前は不明。貧乏な男子学生で、一人暮らしを始めるため、ある安アパートへ引っ越してくる。奇妙な既視感を感じていると、突如未来の自分が現れ、「君の人生は大きく変わる」と告げられる。そして、言葉通り男子学生は時価三億円の山林を相続し、億万長者となったのだった。だが、その相続した山林を目当てに、次々と別の未来の自分が現れ、活用法を巡り醜い言い争いを始めるのだった。 見かねた男子学生は、ある解決策を提案する。
九年二か月後の自分 (きゅうねんにかげつごのじぶん)
アパートへ最初にやってきた未来の自分で、男子学生の9年2か月後の姿。過去へだけ行けるタイムマシンを発明して男子学生の元へやって来た。過去の失敗を取り戻すため、男子学生が相続した土地を売り、金を自分に預けろと迫る。
二十三年後の自分 (にじゅうさんねんごのじぶん)
アパートへ二番目にやってきた未来の自分で、男子学生の23年後の姿。未来では爆発的なインフレーションが起こっており、主人公が相続した山林は、自分の時代までは売るべきではないと主張する。
三十三年後の自分 (さんじゅうさんねんごのじぶん)
アパートへ三番目にやってきた未来の自分で、男子学生の三十三年後の姿。三十三年後には土地が国有化されているため、主人公が相続した山林は、売って宝石に替え、自分に預けるべきだと主張する。