家族対抗殺戮合戦

家族対抗殺戮合戦

ある日突然、生物も食料もすべて消えた箱庭のような町「裏・雨館町」に閉じ込められてしまった住人たちは、異形の着ぐるみ、せいらたちから、「レクリエーション」と称した家族対抗ゲームへの参加を強制させられる。ゲームの最下位の家族から毎回一人殺されるというルールのもと、決死のデスゲームに挑む鞠山雅彦たち一家の姿を描くサイコホラー。「月刊コミックバンチ」2018年10月号から2019年8月号にかけて掲載されたのち、「ピッコマ」で2019年10月31日から配信の作品。

正式名称
家族対抗殺戮合戦
ふりがな
かぞくたいこうさつりくがっせん
作者
ジャンル
デスゲーム
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あらすじ

鞠山家の憂鬱

鞠山雅彦は、妻の鞠山冴子に怒鳴られ、娘の鞠山明穂から臭いと言われ、息子の鞠山晃助からは無視され、認知症を患っている母親のみどりからは、とうの昔に卒業した学校への遅刻を心配されながら出勤するという、いつもの朝を送っていた。会社に出勤するバスを待っていた雅彦の目の前を、せいらパパママの3体の着ぐるみが通っていく。どこかでイベントでもやっているのだろうと悠長に考えていた雅彦だったが、いつもなら通勤通学ラッシュで混雑しているはずの通りに誰もいないことに気づく。さらに携帯電話も圏外となっており、ただならぬ空気を感じた雅彦は学校から引き返してきた明穂と晃助と鉢合わせする。明穂は町に誰もいないし、コンビニも閉まってるから引き返して来たと説明するが、家に帰ると町の様子を知らない冴子に三人そろって帰って来たことを激怒される。そして冴子は、となりの家のインターホンを鳴らすものの誰も出てこない。そこで突然、町内放送が流れ、これから雨館南公園に家族全員で集合すれば、現在起こっていることを説明すると告げられる。鞠山家は全員で指定された公園へ向かうと、そこには鞠山家を含む雨館町に住む7家族が集合しており、その中心には雅彦がバスを待っている時に見かけた着ぐるみ人形が立っていた。着ぐるみは自らを「せいらちゃん」だと自己紹介し、ここが「裏・雨館町」で、町の人がいなくなったのではなく、いなくなったのは実はここにいるみんなの方だと説明を始める。ざわつく一同を代表しての母親が、訳がわからないので知っていることを教えて欲しいとせいらに申し出る。しかし、こんな状況でも無関心な引きこもりの関慎二がゲームの途中だからと帰ろうとするが、せいらは関慎二の頭を両手で押し潰して殺害する。啞然とする一同の前に、パパとママが現れる。さらに増えた異形の着ぐるみたちに、一同は恐怖心を抱くと共に警戒心を強めるも、無邪気な浅倉弥生がパパを「カバ」呼ばわりしてしまう。それがパパの逆鱗(げきりん)に触れ、弥生の祖父はパパからフェンスに押し潰されて死んでしまう。あまりにも凄惨な状況にパニックになったみんなは逃げようとするも、弥生の祖父の血がママの洋服に飛び散ってしまい、癇癪(かんしゃく)を起こしたママは野本征次郎の嫁を巨大なクシで刺し殺してしまう。しかも公園の出入口は異形の着ぐるみ、ラクガキたちに固められており、逃げられないことを悟った一同は絶望する。するとせいらは、今から家族対抗のレクリエーションを行ない、最下位の家族から代表者を1名殺すと宣言。そして、最後まで生き残った家族だけを以前住んでいた雨館町へ帰すと説明し、今日のレクリエーションゲームは「わなげ」だと発表する。

拳骨

鞠山雅彦は浅倉家の押入れでせいらパパママとそっくりな人形を発見する。雅彦が浅倉太一に疑念を抱く中、波川美鈴に階段から突き落とされた鞠山明穂が目を覚ます。看護師の土井静香による診察を終え、明穂の無事に胸を撫(な)で下ろす雅彦と太一だったが、先程の押入れから3体の人形が消えていた。明穂は頭部のダメージから「すもう大会」のことをほとんど覚えていなかったが、鞠山冴子は明徳が目を覚ましたことを涙を流しながら喜んでいた。同時刻、浅倉家のラーメン屋で雅彦と太一が話していると、野本征次郎が現れ、入来家に食料を分けてもらえるよう頼みに行くので、太一もいっしょに来て欲しいとのことだった。前回すべての家族に食料を公平に分配した太一がいれば、効果的だと野本は考えていたのだ。そして、雅彦もついていくこととなり、入来家に到着するも、入来真奈美から入来謙也はパチンコに出かけたと伝えられる。謙也はバールでパチンコ屋の入り口を破壊して店内に侵入し、パチンコに興じていた。謙也がいない今が好機と見て、野本は真奈美に食料問題の切実さを説き、先日謙也から真奈美が暴力を受けていたところを目撃したことを持ち出し、全員で真奈美と入来舞夢を守ると伝える。そこへ謙也が帰って来て、三人に凄(すご)む。すると真奈美はみんなで謙也のDVから私たちを守ろうとしているとばらし、謙也の怒りを煽(あお)る。謙也は持っていたバールを振り下ろし、食料は絶対に渡さないし次回のレクリエーションの内容も教えないと強硬な態度に出る。雅彦と野本が謙也の説得を試みるも、真奈美はキャバクラ時代に客で通っていた野本が嫁の悪口を言っていたことを持ち出し、当時のラインの内容を暴露しようとする。野本は知られたくない過去を盾に取られ、戦意を喪失し早々に立ち去る。そして謙也にうながされて残った二人も帰され、帰り道で雅彦は太一に押入れでせいらたちの人形を見たことを問いただす。しかし太一は身に覚えがなく、知っていることもなにもなかった。そんな太一の態度を信用しきれない雅彦は、太一と別れて家路につく。そんな中、舞夢はみんなに食料を配るため、物置から前回の賞品であるサバ缶を鞄(かばん)に詰めていた。だが、眠っていたはずの謙也に気づかれてボコボコに殴られ、もし次に負けた時には入来家の生贄(いけにえ)は舞夢だと決められてしまう。

決闘

鞠山晃助を拉致して人質に取り、鞠山家から前回賞品の食料を奪った入来謙也は、鞠山家以外の家族を自宅前に集めていた。食料を分け与える見返りを求める謙也に、まずは波川社長が30万円を提示する。すると謙也は、上機嫌でサバ缶を波川社長に3個放り投げる。あまりの法外な値段に波川社長は謙也に抗議するが、食料を独占している謙也には逆らうことができずに納得せざるを得なかった。すると、波川社長が誤って落としたサバ缶を土井友幸が奪い、波川社長と揉(も)め始める。その光景を謙也は楽しそうに眺めながら、土井和幸に嫁の土井静香を一晩自分に貸せばサバ缶1個を渡すと言い放つ。その言葉に和幸は激怒し、謙也に食ってかかるも、友幸が和幸に静香を一晩だけ我慢させるよう説得したことで、また揉め出す。結果、謙也はサバ缶4個で現金30万円とネックレス一つ、指輪二つという見返りを得ることに成功。次回のレクリエーションの内容も入来家しか知らないという状況で、やりたい放題の謙也のもとに、鞠山雅彦鞠山冴子鞠山明穂を連れて現れる。そして雅彦が謙也に、過去のイジメで謙也が得意としていたボクシングによる果し状を叩(たた)きつけると、謙也は余裕を見せた様子で勝負を受ける。こうして、謙也が負ければ人質の晃助を解放し、雅彦が負ければ冴子が謙也のものになるという条件でボクシング対決が成立する。子供の頃に遊んでいたすべり台の裏にみんなで移動すると、そこにはリングが設置され、せいらをはじめとする着ぐるみたちが待ち構えていた。せいらがレフェリーを申し出て、きちんとしたボクシング試合での決闘となったが、この試合はレクリエーション扱いにはならず、敗者にもペナルティはないと、せいらから告げられる。そのため、細かいルールは雅彦と謙也で決めることとなり、3ラウンド勝負のダウン無制限というルールのもとで因縁のボクシング対決が始まる。

犠牲

レクリエーション「カラオケ大会」で、入来真奈美が98点という超高得点を叩き出し、入来家の優勝ムードとなっていた矢先、鞠山冴子が98点を出し、みんなが入来家の食料独占が終焉(しゅうえん)する希望を見出す。そして最後に土井和幸が歌い始める。真奈美に嵌(は)められて41点で終わった現在最下位の野本征次郎が、涙を浮かべながら和幸に祈りを捧げていた。野本が最下位になれば野本家は子供二人だけの状態になってしまい、全滅するのは明らかだった。悲壮感漂う野本の姿を見てしまった和幸は、曲の途中で歌うのを止めてしまう。そんな和幸を土井友幸は責め立てるが、最下位になったら和幸自身が責任を取ると言ったことから、和幸が野本家をかばって自ら死ぬ覚悟だと全員が察した。しかし、和幸は曲を途中で止めたにもかかわらず45点を出し、野本の最下位が決定してしまう。そして、同点の優勝争いは多数決となり、入来家以外の全員の支持を得て鞠山家が勝利する。入来家の食料独占を防ぐことに成功したみんなは鞠山家を褒め称える。そして野本は涙ながらに和幸が負けようとしてくれたことに感謝し、その場で子供のことをお願いする。すると野本光が自分が犠牲になると申し出るも、野本は二人の子供を抱きしめて別れを告げる。の薬局から睡眠薬をもらい、眠っているうちに殺されたいと自らが死ぬための行動予定を話し、野本は最後にみんなに別れを告げて自宅へ戻る。一度家に戻った鞠山雅彦たちだったが、野本家の二人の子供をそのままにしておけないと、浅倉太一と共に野本家へ向かう。その道中、同じことを考えていた和幸と土井静香が合流し、野本家に到着すると玄関前に明らかにペナルティで人が死んだ痕跡を見つける。子供たちを心配した雅彦たちは家の中を探すが、そこには死んだはずの野本が座っていた。

悪夢

入来謙也が死亡し、入来真奈美がレクリエーション「けん玉」のペナルティで殺され、唯一入来家で生き残った入来舞夢鞠山晃助と結婚して「鞠山舞夢」となった。これで入来家は消滅したが、鞠山家のチームが一人増えたこととなる。そんな中、鞠山雅彦は子供の頃から因縁のある謙也が死んでから、何度も血まみれの謙也に首を絞められる悪夢を見ていた。雅彦は夜中に泣き叫びながら飛び起き、鞠山冴子に慰められるという夜を繰り返していた。一方、チームとして最後の一人となってしまった野本征次郎は、晃助と舞夢の年齢制限なしの結婚にヒントを見出し、誰かと結婚して野本家の人員を増やして生残確率を上げようと考えていた。しかし、幼い子供を犠牲にしてまで生き延びようとする野本の卑怯さを全員が知る今となっては、大人からは野本の企みが見透かされるのは明らかだった。そこで野本は中学生の鞠山明穂波川美鈴、幼稚園児の浅倉弥生に的を絞る。そんな中、土井家に前回の賞品であるせんべいが届く。土井家の前に集まった面々に対して、土井友幸は今回の土井家の功績を説き、さらに負傷した土井和幸土井静香の話を持ち出し、均等配分ではなく半分は土井家がもらうと言い放つ。渋々了承する一同を前に静香が家の中から出て来て、みんなに均等に分け与えると宣言。実質的になんの役にも立っていない友幸は、静香に言い返すことができず、静香はみんなに感謝されながら食料の分配を終える。その後、帰り道に明穂は散歩して帰ると家族に伝え一人で公園に立ち寄る。明穂は弟の晃助が舞夢と結婚する際に、反対する明穂に彼氏がいないからだと言われたことを気にしていた。そこへ美鈴が偶然通りがかり、明穂を見て逃げようとする。明穂は美鈴を呼び止め、なぜ自分を嫌っているのかを美鈴に問い詰める。明穂と美鈴は同じ先輩にあこがれを抱いていたが、明穂はその先輩に彼女がいたことを知っており、美鈴はそのことを知らずに明穂を恋敵として敵視していたと打ち明ける。以前、美鈴が鞠山家に放火したり、自分をイジメた挙句に階段から突き落としたりしたことは許せないまでも、明穂は美鈴の本音を聞いたことで少しだけすっきりするのだった。美鈴が立ち去り、帰ろうとした明穂の前に野本が現れる。そこで野本は自分自身の不遇を語り、美辞麗句を並べ立てて明穂に告白する。一瞬騙(だま)されそうになった明穂だったが、野本の本性を知っているため、股間に蹴りを入れて公園を立ち去る。野本は体と心にダメージを負いながらも、次のターゲットである美鈴を発見し、先ほどと同じ手口で口説きにかかる。最初はまったく野本を信じようとしなかった美鈴だったが、野本の甘い言葉にその気になり、ついには野本の告白を受け入れ結婚してしまう。

願い

レクリエーション「ザリガニ釣り大会」で爆釣した土井友幸は有頂天になっていた。土井の母親は、これまでろくな働きを見せなかった長男が、ここ一番という場面で家族を救ってくれたことが嬉しくて仕方がない様子で、涙ながらに友幸を褒める。その後、土井静香に優勝を伝えると感謝され、ふだんは厄介者扱いされていたことから、複雑な心境ながらも友幸は満更でもない様子だった。そして静香から土井和幸に、今回の友幸の功績が伝えられることとなった。一方鞠山家では、鞠山明穂入来舞夢(現在は鞠山姓)が生き残った人々を書き出し、全家族で籍を入れ合って一つの家族になれば、この争いがなくなると考えて試行錯誤していた。その翌朝、食料の分配のため、みんなが土井家の前に集まっていた。前回のレクリエーションのペナルティで妻を亡くし、娘の波川美鈴から辛辣な言葉を浴びせられた波川社長は、一目でわかるほど憔悴(しょうすい)していた。友幸がみんなにまだ食料が届いていない旨を告げて待っていると、家の中から静香が出て来て、友幸の歯ブラシが自分たち夫婦の部屋の前に落ちていたと詰め寄る。友幸は静香の着替えを覗(のぞ)いていたことを誤魔化すために母親を呼びに行くが、部屋では母親は首を吊(つ)って死んでいた。茫然(ぼうぜん)自失の友幸がみんなに母親が死んでいることを打ち明けるや否や、全員が土井家に突入して状況を確認する。遺体のそばには遺書があり、その遺書には友幸が成長したことで心残りなくあの世へいけると記されていた。この遺書の内容に友幸は激昂し、無意味にチームの人数を減らすならペナルティを受けて死ぬべきだと主張し、和幸にもこのことを伝えようと部屋へ向かおうとするが、静香に止められ、和幸には落ち着いたら自分が話すと言い聞かせる。そして無事食料が届いて分配する際に、鞠山雅彦から昨夜練り上げた、全員で一家族になる提案が出される。みんなが賛成する中、せいらが突然現れて、この提案は承諾される。しかし、せいらは全員で一家族になった場合は、最後の一人になるまで戦う個人戦になると宣言。絶望に見舞われる中、雅彦はこの提案を取消すことにする。すると、その入籍計画が書かれた紙をママが見て、5日前に死んでいる人間の名前が書いてあると指摘する。生き残った人間はここに全員が集まっているのにと一同が困惑する中、友幸はここ数日間の違和感を確かめるため、静香の制止を振り切って和幸の部屋へ向かう。

登場人物・キャラクター

鞠山 雅彦 (まりやま まさひこ)

鞠山冴子の夫で、鞠山明穂と鞠山晃助の父親。サラリーマンの男性で、子供の頃からずっと肥満体型だった。気弱な性格で、眼鏡をかけている。父親はすでに亡くなり、母親のみどりは認知症を患っている。小学生の頃、同級生の入来謙也や土井友幸、その弟の土井和幸から浅倉太一をかばったことで、イジメを受けていた過去があり、大人になった今でも謙也を苦手としている。小学生時代は給食エレベーターの中の割れた壁に隠れ、休み時間をやり過ごしていた。同じくイジメられっ子だった太一とは子供の頃からの親友で、大人になった今でもその友情は変わらない。昔から太一とは、謙也から命令されてやらされていることは鞠山雅彦自身の意思ではないということを、「鼻を触る」という合図で伝え合っていた。雅彦が務める会社の取引先の波川社長には頭が上がらないが、接待ゴルフでは雅彦と回るラウンドは楽しいと波川社長から評されている。物語開始時はただのダメな父親だったが、最初のレクリエーションで、ラクガキたちに母親、みどりを殺されてからは家族を自分が守るという意識が芽生え、一家の主人として成長していく。入来家と全面的に争った際には、自らが矢面に立ってリーダーを務めた。妻の冴子を心から愛しており、つねに情報を共有している。絵心がまったくなく、どんな人物を描いても不気味な姿になるが、その画風を冴子には絶賛されている。またラクガキたちのデザインは、幼少期に雅彦が描いた絵がもとになっている。太った見た目どおり運動神経が悪く、レクリエーションでも身体を使う競技は晃助に任せている。冴子からは「雅くん」と呼ばれている。虫が苦手で、遭遇すると女性のような悲鳴を上げる。

鞠山 冴子 (まりやま さえこ)

鞠山雅彦の妻で、鞠山明穂と鞠山晃助の母親。専業主婦のしっかり者で、茶髪のロングヘアにしている。美人ながら勝ち気な性格で、ふだんからだらしない雅彦をはじめ家族の面倒を一手に引き受けている。ガールズバンドのボーカルとして路上ライブを行なっていた時に雅彦と出会い結婚した。歌唱力はセミプロレベルで、聞く者を感動させるほど歌声が力強い。ご近所同士で殺し合わなければならなくなった際も、心が折れそうになる雅彦を支えていた。家族を心から大切に思っており、雅彦や子供たちのためなら鞠山冴子自身の命も平気で投げ出す覚悟を持っている。義理堅く、受けた恩は返すのが当然と考えているため、明穂がケガをした時に治療に尽力してくれた土井静香に恩義を感じている。家族が傷つけられることに対しては過剰に反応するが、雅彦と入来謙也がボクシング対決する際に、冴子自身を賭代にしたり、バールで刺された時にも素人の治療で済ますなど、自らに対しては無頓着なところがある。絵に対するセンスが一般とはかけ離れており、雅彦が冴子を描いた不気味な似顔絵も宝物の一つとして大切にしている。

鞠山 明穂 (まりやま あきほ)

鞠山雅彦と鞠山冴子の娘。茶髪ショートヘアにしている。かわいらしい顔立ちの女子中学生で、引っ込み思案な一面を持つ。恋愛経験はなく、同じ中学校に通う先輩の綾島にあこがれていたが、綾島に彼女がいることを知り失恋した。鞠山明穂自身と同様に綾島にあこがれるクラスメイトの波川美鈴からは恋敵として敵視され、イジメを受けていた。明穂は美鈴の取り巻きの数が多いことから観念してイジメを受けていたが、裏・雨館町に来てからは美鈴との過去を払拭し、強く成長している。弟の鞠山晃助が入来舞夢と結婚したことに伴い、これまで彼氏がいたことのない明穂は焦りを感じ、恋愛へのあこがれを強めていく。その後、野本征次郎から口説かれるも、野本の本性と目論みを見抜いた。

鞠山 晃助 (まりやま こうすけ)

鞠山雅彦と鞠山冴子の息子。小学6年生の男子で、姉は鞠山明穂。表情の変化に乏しく、雅彦からは何を考えているかわからないと思われている。運動神経が非常によく、所属しているサッカークラブでもスタメンで活躍している。初めて挑戦した竹馬も、一度やっただけで大人顔負けで走れるようになるなど、レクリエーションでは鞠山家の運動系競技を担っている。また、けん玉の腕前もプロ級で、数々の特技を活かしてレクリエーションで大活躍するが、大人の卑劣な駆け引きに免疫がないため、妨害されたり嵌められたりすることも多い。入来舞夢と浅倉元太とは同級生で、舞夢に恋心を抱いている。入来家が舞夢を残して全員死亡した際にも晃助の希望で舞夢と結婚し、舞夢を鞠山家に嫁がせることで舞夢を見守っている。物怖じしない性格で、入来謙也や土井友幸にも自分の考えをはっきり言うため、生意気に思われて攻撃の矛先を向けられることがある。常識に囚われない発想と行動力の持ち主で、謙也が食料を独占した際には、レクリエーション中に単独で入来家に侵入し、ペナルティ要員として囚われた舞夢を救出して食料を盗み出そうとした。

浅倉 太一 (あさくら たいち)

父親と共にラーメン屋を営む男性。鞠山雅彦と小学生の頃からの親友。恰幅(かっぷく)のいい嫁と息子の浅倉元太、娘の浅倉弥生と共に暮らしている。小学生の頃、浅倉太一は同級生の入来謙也と土井友幸、その弟の土井和幸からイジメを受けていたが、雅彦がかばったことで標的が雅彦に変わり、イジメから逃がれた過去がある。今でも雅彦に感謝しており、レクリエーションで浅倉家が手に入れた食料は、なにがあっても鞠山家にだけは分け与えると心に決めている。小学生の時、自分の意思でなく謙也にやらされていることを行う際には「鼻を触る」という合図を雅彦と決めており、雅彦が鞠山晃助を人質に取られた時も、まるで食料を独り占めするような振る舞いを見せる雅彦の現状を合図から察知して、晃助の救出に動いた。雅彦と同様に謙也からは、元イジメられっ子として軽く見られているが、雅彦に協力する中で過去の恐怖を乗り越えていく。鞠山家が放火されて住む家がなくなった際は、快く鞠山家の面々を自宅に住まわせている。

浅倉 元太 (あさくら げんた)

浅倉太一の息子で、浅倉弥生の兄。小学6年生の男子で、鞠山晃助と入来舞夢とは同級生で仲がいい。いかにも小学生然とした外見をしている。祖父を惨殺したパパを心底憎んでおり、復讐すると心に決めている。特に運動神経がいいわけでも頭脳明晰(めいせき)でもなく、浅倉家はレクリエーションでは太一と母親が主に出場しているため目立った活躍はしていないが、浅倉元太の存在が両親の戦うモチベーションとなっている。

浅倉 弥生 (あさくら やよい)

浅倉太一の娘で、浅倉元太の妹。幼稚園に通う女の子で、オカッパ頭で表情が乏しい。もともとあまりしゃべらず、人に心を許さないところがあるが、浅倉弥生自身の一言でパパの逆鱗に触れ、その結果祖父が目の前で惨殺されてしまう。そのショックから一層周囲と触れ合わなくなり、まるで心が死んだようになっている。家族に内緒でせいらやパパ、ママの人形を所持しており、言葉をしゃべるその不思議な人形と、次回のレクリエーションの内容など不穏な会話をしている。

入来 謙也 (いりき けんや)

金髪ショートヘアに髭(ひげ)を生やした男性。入来真奈美の夫で、入来舞夢の父親。鞠山雅彦や浅倉太一、土井友幸とは小学生の頃からの同級生で、友幸や弟の土井和幸と共に太一や雅彦をイジメていた。高校で暴力事件を起こして退学になったため最終学歴は中卒。ヤンキーがそのまま大人になったような人物で、気に入らないことがあればなんでも暴力で解決しようとする。それは家族に対しても同じで、真奈美や舞夢にも日常的に暴力を振るっている。裏・雨館町に来てからもパチンコ屋を破壊してまで、パチンコに興じるほどのパチンコ好き。外見や素行によらず頭の回転が速く、せいらたちにやらされているレクリエーションが殺し合いであるという本質を見抜き、賞品の食料を他家族に分け与えず独占している。また、鞠山晃助が入来家の食料を盗みにくることも予想して、真奈美に対処させ人質にするなど抜け目がない。なんでもソツなくこなせる器用さを持ち、初めて挑戦するけん玉でも利き手を負傷しているにもかかわらず、数日間特訓した人間と互角に渡り合った。裏切った人間に対してはまったく容赦せず、実の娘である舞夢ですら殺そうとする。その暴力性と食料を独占したことから孤立しており、最終的に味方は真奈美ただ一人だけになる。入来謙也自身の「入来」という苗字の響きが上品すぎるため気に入っておらず、人には名前の「謙也」で呼ばせようとする。真奈美からは「ケンちゃん」と呼ばれている。

入来 真奈美 (いりき まなみ)

入来謙也の妻で、入来舞夢の母親。金髪のロングヘアで綺麗(きれい)な顔立ちをしているが、謙也から日常的に殴られているため顔にアザがある。元キャバ嬢で、源氏名は「ルカ」。そのキャバクラでは野本征次郎から指名されていた。大学時代に事務所からスカウトされ、ボイストレーニングを受けていたことがあり、桁違いの歌唱力を持っている。男はいざという時に自分を守ってくれる強さがあればいいという考えを持っているため、腕っぷしの強さに惹(ひ)かれて謙也と結婚した。入来真奈美自身のことは二の次で謙也のことを優先して生きてきたが、舞夢も同様に愛しており、謙也か舞夢かを選ばなければならない場面では混乱していた。

入来 舞夢 (いりき まいむ)

入来謙也と入来真奈美の娘で、小学6年生の女子。茶髪のロングヘアで母親に似てかわいらしい顔立ちをしている。鞠山晃助と浅倉元太の同級生で、晃助に淡い恋心を抱いている。まっすぐな性格で、謙也が食料を独占した際にも他家族に分配しようとした。謙也から日常的に暴力を受けるだけでなく、ご飯を与えられないこともあった。ご飯抜きの日に母親の真奈美がこっそりおにぎりをくれたことを思い出として大切にしている。裏・雨館町に来てからは、謙也の横暴さに真っ向から反発し、謙也の暴力に屈せず反撃するようになる。謙也に歯向かったせいで入来家が負けた場合のペナルティ候補とされるが、晃助によって入来家から救出され、のちに晃助と結婚した。両親同士の確執があったにもかかわらず、入来舞夢自身を受け入れてくれた鞠山家に感謝しており、もし鞠山家がレクリエーションで負けたら自分が犠牲になることを決意している。

野本 征次郎 (のもと せいじろう)

雨館高校で教師を務める青年。担当科目は国語。爽やかでイケメンなことから女子生徒に人気がある。妻がママの八つ当たりで殺されてしまう。光と聖奈は妻の連れ子で、野本征次郎とは血のつながりはない。教師という肩書きと、しっかりした物言いで初見の人からの信頼は厚いが、その本性は自分さえよければ他人がどうなってもかまわない、という自己中心的な性格の持ち主。自分が助かるためなら子供たちを犠牲にしたり、死んだ妻への愛情を捏造(ねつぞう)したりしている。入来家との交渉では、心から愛していたと語っていた妻の形見の結婚指輪をサバ缶一つと交換している。キャバクラで入来真奈美を指名していた過去があり、その際に妻の悪口を散々真奈美に話していた。国語教師の語彙力を活かした口説きの長文ラインと自作のポエムを真奈美に送っており、彼女の携帯に履歴が残っていることが、世間体を気にする野本の弱点となっている。鞠山晃助と入来舞夢の年齢制限なしの結婚にヒントを得て、野本家のチーム人数を増やすためだけに、相手が中学生であろうと口説こうとする真正のクズである。その本性と目論みを見破られ、鞠山明穂には振られたが、波川美鈴をみごと口説き落とし、夫婦となる。美鈴からは「征ちゃん」と呼ばれてラブラブ関係を演じているが、野本自身は子供にまったく興味がないため美鈴のワガママに辟易(へきえき)しており、生き残るために仕方なく夫婦関係を続けている。歌は真奈美から警戒されるほどうまく、竹馬も得意。のちに同じクズ同士で土井友幸と仲がよくなるが、お互い信用していない上辺だけの関係である。生物が苦手でザリガニを素手で触れない。

波川社長 (なみかわしゃちょう)

鞠山雅彦が勤務する会社の取引先の社長を務める中年男性。頭頂部まで禿げ上がっている。小柄で細身な体型で、眼鏡をかけている。波川美鈴の父親で「幸代」という名の妻がいる。非常にプライドが高く、他人に頭を下げることは決してないが、美鈴のためなら放火の罪を自ら被(かぶ)り、土下座も厭(いと)わないほど娘を溺愛している。しかし、思春期の美鈴からは、レクリエーションで失敗すれば邪険に扱われ、次第に父親としての威厳は失墜していく。野本征次郎と美鈴が強引に結婚したため敵チームとなってからも美鈴を心配しており、野本家が負けそうになると、幸代と共にわざと負けようとする親心を見せる。当初は、仕事で自分に頭が上がらない雅彦を軽く見て八百長(やおちょう)を持ちかけたりして人間性を疑われていたが、レクリエーションを繰り返すうちになりふり構わず美鈴を守ろうとする姿勢を雅彦から共感され、同じ父親として理解を得ていく。ペナルティを受ける者を決める時にも幸代とコインで決めたり、敵であるにもかかわらず受けた恩を返すため雅彦に食料を分け与えるなど、本来は男らしくフェアな性格の持ち主。しかし、美鈴を野本に取られ、幸代を亡くしてからは精神的な支えがなくなり、孤独に耐えられず土井静香の誘いに乗ってしまう。

波川 美鈴 (なみかわ みすず)

波川社長と幸代の娘で、中学生の女子。鞠山明穂とは同級生でクラスメイト。ポニーテールの髪型で、両親に似てルックスには恵まれていない。両親から溺愛されているが、その愛情の大きさに波川美鈴自身は気づいていない。同じ中学校の「綾島」という先輩にあこがれを抱いていたが、明穂も同じく綾島に好意を持っていたため、恋敵と見なして自分の取り巻きたちとイジメていた。のちに綾島には彼女がいたことを、明穂の口から知ることとなる。非常にワガママな性格で、自分の思いどおりにいかないと気が済まない。イジメていた明穂に抵抗されて階段から突き落とし、そのことが周囲にばれそうになると鞠山家にガソリンを撒(ま)いて放火するなど、やることが極端で物事の善悪がわかっていない。のちに明穂と和解するものの、明穂は本音では許していない。彼氏がいたように振る舞い見栄を張っているが、恋愛経験はなく、のちに野本に誑(たぶら)かされて結婚した。結婚後も持ち前のワガママさを発揮して、非常事態であるにもかかわらず、住む場所や食べ物に関して野本に不満をぶつけて辟易させる。野本には自らを「ミーちゃん」と呼ぶよう強制している。鞠山家に放火した際に背中に大きな火傷を負っているが、その傷を公にするわけにはいかず、素人治療のためいまだに触られると痛みを訴える。

土井 友幸 (どい ともゆき)

土井家の長男で、土井和幸の兄。鞠山雅彦、浅倉太一、入来謙也と同級生。謙也と和幸と共に小学生の頃、雅彦と太一をイジメていた。現在は定職に就かず、結婚もしていない。土井友幸自身の自堕落な生活と将来を両親から心配されているため、母親が裏・雨館町で生活している理由となっている。土井家の中で唯一のクズで、のちに同じクズ同士の野本征次郎とつるむようになるが、お互い信用していないために上辺だけの付き合いである。和幸が獲得した賞品の食料の配分を土井家の取り分だけ多く取ろうとしたり、波川社長が誤って落とした食料を奪って自分のものにしようとしたり、食料欲しさに義妹の土井静香を謙也に差し出そうとするなど、強欲な性格をしている。母親が自殺した際にも、どうせ死ぬなら土井家が負けた時にペナルティで死ねばよかったと発言し、みんなから顰蹙(ひんしゅく)を買っていた。ニートらしい言い訳をして、レクリエーションでは家族が負傷して参加不能になるまで頑(かたく)なに戦おうとしなかった。

土井 和幸 (どい かずゆき)

土井家の次男で、土井友幸の弟。土井静香と結婚しているが子供はいない。茶髪のミドルヘアで、チェックのシャツを好んで着用している。小学生の頃、友幸や入来謙也と共に鞠山雅彦と浅倉太一をイジメていたことを後悔しており、大人となった現在は罪滅ぼしとして鞠山家と浅倉家の助けになりたいと考えている。運動神経もいいためレクリエーションをソツなくこなしている。昔のよしみから謙也に対してもタメ口で意見を言える立場で、妻の静香の看護師としてのスキルも重宝され、鞠山家をはじめ全家族から手厚く扱われている。実は裏・雨館町に来てから静香の精神はギリギリの状態だったが、土井和幸の存在だけが心の拠(よ)り所になっている。

土井 静香 (どい しずか)

土井和幸の妻で、看護師を務める女性。関の実家が営んでいた薬局から薬や包帯をもらって、レクリエーションで負傷した人々を家族に関係なく治療している。鞠山明穂が波川美鈴に階段から突き落とされた際にも治療に尽力した。また、鞠山雅彦をはじめ入来謙也に暴行された者の治療にも当たり、家族の垣根を越えてみんなからの信頼は厚い。貴重な治療要員であるため、レクリエーションに参加することはほとんどないが、場外戦でも和幸を守るために凶器を持った謙也に立ち向かった。子供たちのために命を投げ出している家族と比べ、義兄である土井友幸の無能ぶりに心の中では見下している。ふだんは気丈に振る舞っているが、裏・雨館町に来てから理不尽な死や人間の汚い本性を目の当たりにして、精神的にギリギリの状態にあった。和幸の存在が土井静香の心の支えとなっていたが、和幸に精神的に依存するようになり、和幸の死を受け入れられずに土井家では彼の死体を生きているように偽装し、話しかけるようになる。友幸から和幸が死んでいることを暴かれてからは、以前のような優しさがなくなり、利用できるものはなんでも使ってレクリエーションを生き抜く決意を固める。

せいら

パパとママの娘という設定の女の子の着ぐるみ。園児服に「せいら」の名札を付けている。前髪パッツンで後髪を二つ結びにしており、成人男性よりも大きい。家族同士で殺し合わせるレクリエーションの司会進行を務め、ゲームの内容に合わせてさまざまなコスプレをしている。ママによると、せいらはルールの説明や立ち居振る舞いを一生懸命練習しているらしいが、参加者からは毎回反応をもらえず空回りしている。ゲームの続行に影響する決定的なルール違反でないかぎり、ラフプレーや協力プレー、妨害プレーなどは見逃している。人間の頭を弾け飛ばすほどの腕力を誇り、顔面がめり込むほど殴られてもナタで斬りつけられてもダメージを受けないうえに、ガソリンで燃やされても平然としているなど、物理的にほぼ無敵状態である。裏・雨館町内であれば「せいらちゃん」と呼べばどこにでも現れる。

パパ

上半身裸にネクタイを締めた2頭身の着ぐるみ。せいらの父親にしてママの夫という設定で、せいらと同様に成人男性よりも大きい。カバのような外見ながら実はペガサスで、背中に小さな羽がある。パパ自身はカバ呼ばわりされることを嫌っており、自らをカバと呼んだ浅倉弥生に激怒し、持ち前の怪力で弥生の祖父を惨殺した。レクリエーションではせいらを見守る役と、実況や解説などを担当している。しかし競技のルールに疎く、実況も見たままを口に出しているだけで、ママからは実況をやめた方がいいと突っ込まれている。メタボ体型なため、せいらやママと違ってコスプレはしない。レクリエーション中にゲームと関係なく、ママとイチャついて茶番を繰り広げている。

ママ

眼鏡をかけた5頭身の女の子の人形。せいらの母親にしてパパの妻という設定で、せいらと同様に成人男性よりも身長が高い。潔癖性で、着ている服に血が飛び散ると癇癪を起こし、周囲の人間を殺害する。初登場時は巨大なクシを持ち、それで人間を刺し殺していたが、レクリエーションに合わせて衣装が変わるため、その時々で違う武器を使用する。物語前半のレクリエーションでは競技に合わせたコスプレだったが、途中から着ぐるみ衣装が多くなり、ママ自身の美的センスに合わずに不満を口にすることもある。せいらが司会進行を務めるため、ゲーム中はあまりやることがなく、パパとイチャついて茶番を繰り広げている。

ラクガキ

せいら、パパ、ママたちが従える異形の着ぐるみたち。口から歯が剝(む)き出しになっており、全体的に作画が崩壊したデザインとなっている。せいらたちが執り行うレクリエーションでアシスタントのような働きをするほか、最下位になった家族の代表者を殺して食べる役目も担っている。言葉は話さず、せいらたちの指示に忠実に従う。実は鞠山雅彦が子供の頃に描いた落書きが、ラクガキたちのデザインのもととなっている。

(せき)

鞠山雅彦の小学生の頃からの友人の男性。実家は薬局を営んでいる。小学生の頃は雅彦や浅倉太一とよく遊んでいたが、大人になってからの交友関係は不明。慎二という引きこもりの兄弟がいる。第1回目のレクリエーション後に生き残った関家全員で裏・雨館町から脱出しようと試みたが、乗っていた車ごとせいらたちに捕まって焼き殺された。営んでいた薬局は脱出の際に開けたままになっており、レクリエーションでケガ人が出た際は大いに役に立っている。看護師の土井静香が残された薬を有効的に活用している。

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