大人になったアリスが再び命懸けの「げぇむ」に挑む
本作は、長期連載されてOVAにもなった人気作『今際の国のアリス』の新章である。2020年12月10日よりNetflixで配信された、山﨑賢人・土屋太鳳主演のテレビドラマに先駆け、2020年10月14日より連載が開始された。主人公は前作に引き続き、有栖良平(アリス)。高校3年生だったアリスは26歳になり、公認心理師としてスクールカウンセラーの職に就いている。また、前作のヒロイン・宇佐木柚葉(ウサギ)と結婚しており、もうすぐ赤ちゃんが生まれるという状況。なお、前作から引き続き登場するのはアリスとウサギの二人のみである。そんな中、アリスは再び「今際の国」で目を覚まし、命懸けの「げぇむ」に挑むことになる。
残酷な心理戦による生き残りゲーム
「げぇむ」とは、決められた「るうる」に従って行われる命懸けのゲーム。本作で行われる「げぇむ」は「ちきゅうしんりゃく」という一種類のみ。難易度は「♥9」(♥は心理戦、数字は難易度の高低を表す)。舞台は、「東京スモールワールド」という、ミニチュアテーマパークで、参加者は6人である。第1ホール「ニューヨーク」から第6ホール「東京」までが用意されており、各ホールで制限時間内にシェルターに入ることができなければ、上空からUFOの攻撃を受けて死亡してしまう。シェルターの鍵を開けるには、各自に用意されたスマホを使用する。スマホには6枚の「LIFE」と1枚の「DEATH」のカードがあり、誰かから「LIFE」をもらえばシェルターに入れる。ただし、「DEATH」を使うと、相手がもらった「LIFE」を1枚無効にすることができる。第1ホールは6つのシェルターがあるので問題はない。しかし、第2ホールのシェルターが5つに減らされていたことから、参加者に「椅子取りゲーム」を連想させ、残酷な心理戦が繰り広げられることになる。
6人に突きつけられる命の選別
「げぇむ」に参加するのは、公認心理師・アリス、救命医の鬼頭正嗣(キトー)と救急看護師の尾上七瀬(ナナセ)、保険会社役員・堀川譲(ユズル)とその娘で保育士の堀川向葵里(ヒマリ)、無職で殺人を犯した大河直倫(タイガ)の6人。「げぇむ」の内容を、最後の一人になるまで殺し合うことだと理解した6人は、現実を受け入れがたく戸惑ってしまう。どう考えても、この「げぇむ」には必勝法がないようにみえたからだ。仮に信頼できるパートナーがいたとしても、最後にはどちらかが犠牲になる必要がある。生き残るためには、「DEATH」のカードを使わなければならないが、他人を殺してまで生き残ったとして、その先に後悔はないだろうか。否が応でも命の選別を強いられる「げぇむ」に、6人は究極の選択を迫られる。
登場人物・キャラクター
有栖 良平 (ありす りょうへい)
「げぇむ」の参加者の一人。公認心理師の資格を持つスクールカウンセラー。26歳の男性で、通称「アリス」。臨月を迎えた妻・柚葉がいる。ある日目を覚ますと、荒廃した渋谷に来ていた。「今際の国」に関する記憶は失われていたが、「げぇむ」が始まる頃には、8年前のことを思い出した。妻と生まれくる子どものために、生きて帰ることを決意する。
鬼頭 正嗣 (きとう まさつぐ)
「げぇむ」の参加者の一人。救命医の男性で、通称「キトー」。看護師の尾上七瀬(ナナセ)とは同僚。8年前の隕石落下災害による救急医療現場で、助かる可能性が高い患者を優先し、少女を見殺しにした過去を持つ。今回の「げぇむ」でも優先順位による命の選択を提案する。
尾上 七瀬 (おのうえ ななせ)
「げぇむ」の参加者の一人。救急看護師の女性で、通称「ナナセ」。鬼頭正嗣(キトー)の同僚で医師としての彼を尊敬している。「患者を人間らしい生活に近づけること」が看護師としての理念。患者の最後に立ち会う際には、途中の人生がどうであれ、最後だけでも幸せを感じてほしいと努力する。命の選別を提案したキトーには、医の倫理観から反対の態度を示す。
堀川 譲 (ほりかわ ゆずる)
「げぇむ」の参加者の一人。保険会社役員の男性で、通称「ユズル」。堀川向葵里(ヒマリ)の父親。妻を亡くし、男手ひとつで娘を育てた。自分の出世と会社のため、時には卑劣な手を使い、顧客の保険金請求を却下してきたことを後悔している。
堀川 向葵里 (ほりかわ ひまり)
「げぇむ」の参加者の一人。保育士として働く女性で、通称「ヒマリ」。堀川譲(ユズル)の娘。早くに母を亡くし、男手ひとつで育ててくれた父親に深く感謝しており、愛情を抱いている。
大河 直倫 (たいが なおみち)
「げぇむ」の参加者の一人。全身にタトゥーがある無職の男性で、通称「タイガ」。クスリ欲しさに人を殺した殺人犯。ナイフを持っており、ほかの5人にとって危険な存在になる。
前作
今際の国のアリス (いまわのくにのありす)
突如荒廃した東京で目を覚ました少年たちは、わけもわからぬまま、命がけのゲームに参加させられる。極限状態を乗り越えて成長していく少年たちの姿を描くアクション・サスペンス。小学館「週刊少年サンデーS」20... 関連ページ:今際の国のアリス
関連
今際の路のアリス (いまわのみちのありす)
『今際の国のアリス』のスピンオフ作品。原作はシリーズ本編の作者である麻生羽呂。文明が荒廃した「今際の国」と呼ばれる世界が舞台。ある日突然、廃墟と化した京都で目覚めた女子高生・小島亜里朱(アリス)と佐野... 関連ページ:今際の路のアリス
書誌情報
今際の国のアリス RETRY 2巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2020-12-11発行、 978-4098503650)
第2巻
(2021-02-18発行、 978-4098503889)