あらすじ
第1巻
高校生の仁科愛梨は、アルバイトの帰り道、何者かに拉致されてしまう。気がつくと、謎の密閉空間には同じ北摂(ほくせつ)高校の生徒が10人集められており、全員の首には金属製の首輪がはめられていた。愛梨達は、アナウンスで人狼ゲームというデスゲームに強制参加させられたのだと知る。生き残って勝利する事ができれば賞金は1億円。愛梨のクラスメイトである猪瀬尚子はゲームへの参加を拒否するが、その場で首輪を締められ、無惨な姿で絶命する。人狼ゲームとは、十人の参加者が人狼と村人の役割に分かれ、自分以外の役割がわからない中で相手側の皆殺しを目指すデスゲームだった。カードに記されていた愛梨の役割は「村人」。残った九人による命を賭けた人狼ゲームが始まる。
第2巻
人狼ゲームの初日で三人が死亡。翌朝、騒ぎを聞きつけた仁科愛梨と多田友広は、廊下でもめている藤木毅と稲葉瞳の姿を目撃する。恋人を薬物中毒にしたのが藤木であった事を知った稲葉が、藤木を殺そうとしていたのだった。彼らは、自分達がこのデスゲームの参加者として無作為に選ばれたわけではなく、必ず各参加者が別の誰かを恨んでいるようになっている事に気づく。ゲームの主催者は、参加者を対立させて個人的な恨みとゲームに生き残るための判断の狭間で惑わせ、その姿を楽しもうとしていると見抜いた多田は、主催者に踊らされずに冷静に、論理的に人狼を見つけ出すべきだと進言する。
第3巻
2日目の投票も終わり、十人の参加者のうち四人が死亡。生き残っていた仁科愛梨は、たまたま風呂でいっしょになった井上このみに、なぜ自分がこのみに恨まれているのかを尋ねるが、答えてもらえなかった。そして2日目の夜、また一人の村人が人狼によって殺され、残りは五人となる。ゲームが終わらないという事は、まだこの五人の中に一人、もしくは二人の人狼が残っている事を意味していた。愛梨は、互いに心を通わせる多田友広と、共に生き残りを誓い、ゲームに臨む。
登場人物・キャラクター
仁科 愛梨 (にしな あいり)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校2年生の女子。おとなしい性格で、眼鏡をかけている。歴史の本が好きで、幼い頃から愛用していた書店でアルバイトをしていたが、万引きによる被害が原因で店が潰れてしまう。最後のアルバイトの帰り道、何者かに拉致されて命賭けの人狼ゲームに強制参加させられる事となった。ゲームの進行中、アルバイトをしていた書店で、下林勇平が転売目的で多数の万引きをしていた事実を知る。
猪瀬 尚子 (いのせ なおこ)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校2年生の女子。仁科愛梨とはクラスメイト。しっかりとした性格で人狼ゲームを開始してすぐに、安全のため自分の正体が記されたカードを隠すようにと愛梨に助言した。正義感が強く、ゲームから辞退する事を宣言したが、その直後、辞退を認めない運営によって首輪を締められて死亡した。
多田 友広 (ただ ともひろ)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校2年生の男子。死亡した猪瀬尚子の死体を率先して片付けるなど、一見優しく頼りがいのある人物。元サッカー部で、国体出場を期待されるほど将来有望な選手であり、女性生徒からの人気も高いイケメン。しかし、スクーターにぶつけられて足を負傷し、二度とサッカーができない身体となった。それにより将来を絶望視し、自殺を試みた事もある。人狼ゲームの進行中、スクーターで多田友広自身をはねたのが井上このみだった事を知る。
川崎 文隆 (かわさき ふみたか)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校3年生の男子。オンラインゲームのアカウントをネットで販売し、時には代金だけもらってトンズラする事もある。作曲が趣味で、人気の絵師とタイアップして作ったPVをネットで発表している事から一部のユーザーには有名だが、学校ではオタク呼ばわりされており、肩身が狭い思いをしている。爪を嚙むクセがあり、川崎文隆自身の才能を認めずに侮辱する人間を激しく憎んでいる。人狼ゲームにおける最初の投票において、藤木毅に票を集めるよう工作を始める。
稲葉 瞳 (いなば ひとみ)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校3年生の女子。派手なロック風ファッションで、気の強い性格をしている。人気バンドマンであるアサトと付き合っていたが、アサトが薬物中毒となって逮捕される。人狼ゲームの進行中、アサトを薬物中毒にしたのが藤木毅である事を知り、藤木を殺したいと考えている。
藤木 毅 (ふじき つよし)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校3年生の男子。坊主頭のチンピラ風ファッションをしている。ガラが悪いため、ゲームの参加者達からは怖がられている。人狼ゲームの進行中、自分は予言者であると宣言し、同じく予言者を宣言した井上真理絵と対立する。
町村 誠一郎 (まちむら せいいちろう)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校3年生の男子。生徒会の書記を務めている。ゲームの参加者達が皆パニックになる中、情報を整理して、誰が人狼なのかを論理的に突き止めようと試みる。実はかつて、通学中の電車内で井上真理絵から痴漢の濡れ衣を着せられた過去を持つ。
井上 真理絵 (いのうえ まりえ)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校2年生の女子。巨乳の持ち主。同じくゲーム参加者である井上このみの姉。女子から人気者だった多田友広の悪気のない一言が原因で、女子生徒から激しいイジメを受けるようになる。イジメられても無抵抗の情けない姿を妹からは馬鹿にされているが、人狼ゲームで妹の命を救うために井上真理絵自身が予言者である事を宣言し、町村誠一郎が人狼だと告げる。
下林 勇平 (しもばやし ゆうへい)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校1年生の男子。仁科愛梨がアルバイトをしている書店で転売目的の万引きを繰り返していた。人狼ゲームの最初の夜、人狼によって殺された。
井上 このみ (いのうえ このみ)
人狼ゲームの参加者の一人。北摂(ほくせつ)高校1年生の女子。ギャル風な見た目をしている。井上真理絵の妹。学校でイジメられている姉の事を情けないと思っており、見下している。盗んだスクーターでの走行中、多田友広をはねた過去を持つ。
その他キーワード
人狼ゲーム (じんろうげーむ)
ヨーロッパ発祥の伝統的パーティーゲームとその亜種の総称。本作『人狼ゲーム』においては、参加者は密閉空間に首輪を付けられて監禁されており、実際に命を賭けたデスゲームとなっている。ルールを破ると運営が操作する首輪が締められて死亡する。ゲームの模様は撮影、録画、中継されており、生き残った勝者は賞金の1億円を山分けする。本作でのルールは以下の通り。 1.十人の参加者を「住人」と呼び、住人は二人の人狼と八人の村人で構成される。また、村人の中に一人だけ予言者がいる。自分がどの役割なのかは、配られたカードに記されている。他人のカードを見る事は禁止されている。 2.毎日20時に、住人それぞれが人狼だと思う一名に投票し、最多票を集めた者は処刑される。処刑は住人自らの手で行う。 3.住人は、深夜0時から朝6時までのあいだ、割り当てられた部屋にいなければならない。ただし、人狼は0時から2時までの間に部屋を出て、村人を一人殺害する。 4.予言者は毎晩、他の住人のうち、指定した一名の正体を知る事ができる。 5.人狼を二人とも処刑できれば村人の勝利、正体を見破られずに村人を皆殺しにできれば人狼の勝利、となる。
人狼 (じんろう)
人狼ゲームの役割の一つ。十人の参加者のうち、二人存在する。毎日、深夜0時から2時までのあいだに部屋を出て、村人を一人殺害できる。正体を見破られずに村人を皆殺しにする事が勝利条件。
村人 (むらびと)
人狼ゲームの役割の一つ。十人の参加者のうち、八人存在する。深夜0時から朝6時までのあいだ、割り当てられた部屋にいなければならない。人狼を見破って投票し、人狼を二人とも処刑する事が勝利条件。
予言者 (よげんしゃ)
人狼ゲームの役割の一つ。村人に含まれ、十人の参加者のうち、一人だけ存在する。毎晩、ほかの住人の中から指定した1名の正体を知る事ができる。ゲームを左右する重要な役割だが、人狼に殺される危険が高まるため、自分が予言者であると宣言するのはリスクを伴う。また、自分が本物の予言者である事を証明する手段がないため、偽物の予言者が出現すると人狼と疑われる危険もある。
クレジット
- 原作
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川上 亮