概要・あらすじ
地方裁判所勤務の桑田義雄は一風変わった裁判官として知られる人物。のんびりとした顔で、空き時間には植物の世話に精を出す一方、抜群の事務処理能力と的確な判断力で案件を処理していく。その審判は、常に当事者たちの未来を見据えたものであり、調査員や書記官など周囲の人々にも次第に影響を与えていくのだった。
登場人物・キャラクター
桑田 義雄 (くわた よしお)
最高裁判所判事を父に持ち、司法修習生時代は抜群の成績を誇っていた法曹界のエリート。しかし、少年事件の解決にこそ自身の使命と考え、出世コースである東京への転勤内示を断って、地方裁判所勤務を続けている。植物をこよなく愛し、その生態や栽培には非常に詳しい。その知識を活かして多くの知己を得ており、それが事件の解決につながることも少なくない。 判事としての実務能力は非常に高く、また非凡な推理力で当事者すら気づいていなかった事実から審判に至ることもある。その審判・裁定は温情的であることが多いが、敢えて厳しい処分を下すことも恐れない。物語冒頭では緑山家庭裁判所に勤務しているが、後に岩崎地方裁判所春河支部に赴任する。
山本 博 (やまもと ひろし)
緑山家庭裁判所に勤務する調査官捕。まだ若く、熱意に溢れるが、それゆえに壁にぶつかることも多い。桑田を尊敬しており、その言葉には素直に従う。後に調査官へと昇進する。
伊藤 りさ (いとう りさ)
緑山家庭裁判所勤務の事務官。まだ幼さの残る女性で、少年事件や家事審判に対する姿勢から桑田を支持すると同時に、異性としても憧れを抱いている。
篠原 繁蔵 (しのはら しげぞう)
緑山家庭裁判所に勤務するベテラン書記官。ごく普通の感覚を持つ常識人だが桑田との付き合いは長く、山本博や伊藤りさに過去の桑田のエピソードを語ることが多い。
浜口 (はまぐち)
緑山家庭裁判所に赴任してきた新所長。赴任前には高等裁判所の右陪席に座っていた人物で、優秀であるにも関わらず地方裁判所にこだわり続けている桑田の真意を測りかねていた。
細川 右近 (ほそかわ うこん)
緑山警察署に勤務する有能な刑事。少年事件を通じて桑田と知り合い、その少年審判に対する姿勢と推理力に惹かれる。強面だが実は繊細で、仕事の鬱屈は内側に溜め込んでしまうタイプ。後にその性格から夫婦仲が悪化し、離婚調停となるが、その案件を担当したのも桑田であった。
鳥海 和友 (とりうみ かずとも)
岩崎地方裁判所春河支部勤務の裁判官。上昇志向が強く、少年審判を嫌うなど、桑田とは対照的な人物として描かれるが、その内部は複雑で、有能な桑田に対して嫉妬を感じつつも、その信念に沿った行動に惹かれている。
桐島 (きりしま)
岩崎地方裁判所春河支部に赴任してきた女性判事。優秀だがフェミニスト的思考が強く、現実との間で悩むことが多いらしい。桑田のことはその見識も判事としての判断力も認めており、相談を持ち掛けることもあった。
石嶺 (いしみね)
岩崎地方裁判所春河支部に転任してきた若い判事補。ビジネスライクに徹しようと努めており、それが周囲に冷たい印象を与える。フランス人の妻を持ち、外国人に対する偏見を持つ東京地裁の所長と口論になったことから、前任地を離れたらしい。
渋谷 直正 (しぶや なおまさ)
岩崎地方裁判所春河支部勤務の調査官。がっちりとした体格で迫力ある顔つきだが、情には厚く、調査対象にも感情移入しがち。形式的で機械的な審判を下す判事を多く見てきたため、裁判官や自身も含む法曹界のシステムに不信感を抱きつつあったが、桑田の姿勢に感銘し、熱意を取り戻す。
大滝 信 (おおたき まこと)
岩崎地方裁判所春河支部勤務の調査官。渋谷直正の後輩であり、愚痴交じりの酒によく付き合わされている。また、山本博とは同期の仲。基本的には真面目だが、案件によっては桑田の方針に疑問を抱き、反発することもある。
今西 恭子 (いまにし きょうこ)
岩崎地方裁判所春河支部勤務の女性調査官。自身の仕事に誇りを持っており、同性の先人である桐島とは互いに信頼し合っている。
目黒 (めぐろ)
岩崎地方裁判所春河支部支部長。桑田の赴任後に、支部長として転任してきた。プライベートや身上も含めた部下の事情を探ることを趣味としていたが、桑田のことはなかなか理解できず、それゆえに認めることもできなかった。
徳川 政治 (とくがわ せいじ)
地方検察庁春河支部支部長。桑田のことを能力面でも人格面でも高く評価している。旧知の仲である目黒に桑田の交友関係の情報などを伝えるが、内心では目黒では桑田を御することはできないだろうと考えていた。
クレジット
- 監修
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山崎司平