富士山さんは思春期

富士山さんは思春期

現代日本の中学校を舞台に、女子バレー部のエースである身長181cmの少女・富士山牧央と、同校の男子バレー部に所属する幼馴染のカンバ(上場優一)の身長差カップルを描いた作品。部活動や学校行事、年中行事などの日常を基軸に、思春期ならではのもどかしさや、甘酸っぱい青春が描写されている。『このマンガがすごい! 2014』で11位を獲得。

正式名称
富士山さんは思春期
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
アクション・コミックス(双葉社)
巻数
全8巻
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あらすじ

第1巻

中学2年生にして身長181センチで、女子バレーボール部のエースをつとめる富士山牧央と、身長160センチでもうすぐ廃部を迎える男子バレーボール部員の上場優一は、同級生の幼なじみ。思春期真っ只中で女子に興味津々な上場は、富士山の着替え中の大胆な姿を思いがけず目撃したのをきっかけに、富士山の事が気になり始める。玉砕覚悟で上場が富士山に交際を申し込むと、意外にも返事はOK。こうして晴れて恋人同士になった二人だったが、付き合うとは具体的にどうすればいいのか、よくわからずにいた。とりあえず周囲には知られたくないと、ノートの切れ端でやり取りをしたり、人気のない神社や隣町でデートをしたりと、中学生らしい付き合い方で二人は少しずつ距離を縮めていく。

第2巻

夏本番を迎え、三里第三中学校の運動部は、二泊三日で合同合宿を行う事になった。上場優一は、この合宿中に富士山牧央との関係が少しでも進展しないかと、期待をせずにはいられなかった。上場は風呂や食事などのさまざまなシーンで、近くに富士山がいる事にちょっとした喜びを感じながら、なにとかして誰もいないところで二人だけの時間を作れないかと試行錯誤。そしてようやく手に入れた二人だけの時間は、上下階に別れた各部屋のベランダでのひと時だった。二人はなんて事のない会話を楽しんだが、そこで上場にとっては願ってもないハプニングが発生。富士山は、とても恥ずかしい思いをする事になり、二人はなんとなく気まずい空気になってしまう。翌日の夜、女子の部屋に遊びに行く事になった上場ら男子は、富士山のいる女子バレー部員の部屋を訪れ、楽しい時間を過ごす。しかしそこへ、巡回のため副校長が登場。これがばれたら大変だと、男子は一斉に押し入れの中へ隠れるが、上場だけが逃げ遅れてしまう。絶体絶命の状況に右往左往する上場だったが、布団に入って寝たふりをしていた富士山からこっそり声がかかる。

第3巻

夏休みが終わり、二学期が始まった三里第三中学校では、夏の余韻を残しながらも日常が戻りつつあった。そんな中、上場優一は、同級生の男子・会田にやたらと絡まれている富士山牧央の姿を目にする。会田から暴言を吐かれているシーンを見ても、なにもできない事にジレンマを感じた上場は、みんなに内緒で付き合うのをやめようと富士山に提案し、彼女の意思を確認したうえで、交際を公にする事を決める。その作戦は朝学校の正門前で待ち合わせをして堂々と手をつないで歩き、疑問を持った友達から突っ込まれたら、付き合っている事を明かすというもの。考えただけで身もだえするほど恥ずかしいと赤面する富士山だったが、何とかカミングアウトにこぎつけたい上場は、予行練習と称して、焼却炉の横で隠れて手をつなぎ、二人だけの時間を楽しむ。翌日、緊張のあまり寝不足の状態で朝を迎えた二人は、約束通り校門の前で顔を合わせる。たくさんの生徒が行きかう中、手をつなごうと二人は互いに近づくが、不意に富士山の友達から声をかけられた事で二人の緊張は限界を突破し、作戦は失敗に終わる。しかし、学校でも富士山と二人の時間を作る事をあきらめたくない上場は、体育祭を前に、いっしょに委員をやらないかと富士山を誘う。

第4巻

文化祭当日。誕生日を迎えたばかりの高木は、富士山牧央と三好麻衣子を女子トイレに誘うと、彼氏からもらったという包み紙を二人に見せた。包みの中に入っていたのはセクシーなショーツだった。さらに、シャツのボタンを外した高木は、同じく彼からプレゼントされたという大人っぽい刺繍のブラジャーを二人に見せる。そして、彼氏からのプレゼントに「着て見せろ」という含みがあるのではないかと、困惑している事を相談するのだった。三好と富士山は、高木の彼氏のエロさに戦慄。そして、男とはそういうものだという高木の実感のこもった言葉を耳にして、富士山はその後、上場優一の顔をまっすぐに見られなくなってしまう。その日の帰り道、上場から声をかけられた富士山はその場から全力で逃走。それでも上場はめげずに彼女を追いかけ、プレゼントを手渡す。それは、成長痛でしばらく部活を休んでいた富士山にと、上場が用意した部活復帰祝いのプレゼントだったが、その包み紙はよりにもよって高木が彼氏からもらったのと同じものであった。高木がもらったセクシー下着の事で頭が一杯の富士山は、中身を下着と思い込み、それをかぶって見せてほしいという上場の言葉に激しく動揺する。

第5巻

秋も深まり、寒さが本格的になって来た頃、2年生の各教室では、三者面談が行われていた。富士山牧央も進路に悩んでいたが、三者面談を終わらせた帰り道、母親からはしっかりと悩んで、あせらずゆっくり時間をかけて決めていこうと言葉をかけられる。その後、富士山は上場優一と公園で合流し、タイヤのブランコに乗りながら互いの今後について話し合う。バレーボールを続けるうえで体格に恵まれた富士山には、スポーツ推薦という引く手あまたの選択肢が用意されていた。しかし、スポーツ推薦を受けるか、一般で受験するかで富士山はまだ悩んでおり、具体的な進路を決めるには至っていない状態だった。上場の方は、3年生になったら塾に通うようにと両親から言われている事を明かし、二人は高校受験に向けて周囲が静かに変化し始めている事を実感する。そして二人は互いに、小さな不安を口にし始める。

第6巻

年末も差し迫った日、三里第三中学校バレーボール部は、練習試合の遠征に来ていた。部活納めとなったこの日、校長からの計らいで温泉宿に宿泊する事になった一行は、内風呂に外風呂、打たせ湯、サウナ、足風呂に至るまでさまざまな温泉を満喫する。180センチオーバーの長身が災いして、いつもはほかの女子生徒達のようには楽しめない富士山牧央だったが、この温泉宿は外国人がよく来る場所という事もあり、大きいサイズの浴衣の用意があった。そのため、みんなと同じようにかわいらしい浴衣に身を包む事ができた富士山は、終始ご機嫌だった。風呂上がり、艶っぽい浴衣姿で出て来た富士山は、そこで上場優一と遭遇。話に花を咲かせていたところ、そこに青田が近づいて来る気配を感じる。二人はとっさにプリントシール機の中に身を隠すが、そこで上場は名案を思いつく。青田が去った事を確認すると、富士山の手を引き、上場は喫煙所へと駆け込む。ここなら中学生は絶対に来ないから見つかる事はないと自慢気に話す上場に、頭がいいと喜ぶ富士山だったが、次の瞬間、後ろに人の気配を感じて二人が振り向くと、そこにはまさに喫煙中の倉敷先生の姿があった。

第7巻

2月。バレンタインデーを目前に控え、井手ら女子は富士山牧央の家に集合し、チョコレート作りを始める。上場優一と付き合い始めてから、初めてのバレンタインデーを迎える事になる富士山は、みんなとチョコレート作りを楽しんだあと、一人で上場に渡すためのチョコレートにデコレーションを始める。そして迎えたバレンタインデー当日。先生達の厳しい持ち物チェックの目が光る中、三里第三中学校の生徒達はその目をかいくぐり、思い思いにチョコレートを受け渡していく。男子生徒達も朝からそわそわと浮足立っており、上場もまた、富士山からはきっとチョコレートをもらえるはずと、一日中心ここにあらずな状態でいた。しかし、下校時にげた箱を開けてもそこにチョコレートらしきものは入っていなかった。失意の中、家に帰る途中で、上場は富士山に遭遇。いっしょにいた小谷野は富士山が持っていた手荷物に気づき、からかうように中身を尋ねる。富士山が広げたその手提げバッグの中には、たくさんのチョコレートが入っていた。

第8巻

春を迎え、中学3年生になった富士山牧央上場優一は、奇跡的に同じクラスになる事ができた。新しいクラスでは、富士山に対していちいち絡んで来る男子・塙の存在が新たに浮上する中、中学最大のイベント、修学旅行に向けての準備が始まる。富士山と上場は、同じクラスであっても付き合っている事は誰にも秘密の状態が続き、必要以上にかかわる事がないまま、結局修学旅行の班も別々になってしまった。準備は、グループのまとまりのなさに翻弄され、なかなかスムーズにはいかなかったが、富士山は上場とこっそり協力する事で、無事修学旅行当日を迎える。目的地の京都へ行く新幹線の中では、みんなが思い思いに過ごす中、富士山は窓際の席でうたたねをしていた。窓の外に富士山が見えると、生徒達がざわめき始めた時、塙が、「富士山のせいで富士山が見えない」と難癖をつけ、ごね始める。いつもなら黙っている上場も、この時ばかりは我慢ならず、塙を制止しに入った。上場のこの行動が、塙の感情をよりヒートアップさせる事になるが、そこは、こちらに加勢した梅木のおかげで、何とか事なきを得た。これにより、ある意味肝が据わった状態となった上場は、気を遣って京都ではなるべく絡まないようにすると語る富士山に対し、二人の関係がみんなにばれてもいいと発言。そして、人目を気にせず行動する事を決意する。

登場人物・キャラクター

富士山 牧央

友人や母親からは「牧」と呼ばれている。三里第三中学校の女子バレー部に所属する中学2年生。身長181cmと恵まれた体躯で、バレー部ではエースを務める。胸はFカップ。中学生女子として高すぎる身長から、男子から「規格外」とからかわれたり、周囲から大きいことを頻繁に指摘されるが、本人はもう慣れており、いちいち気にするようなそぶりはない。 ただし、からかってくる男子には容赦なく鉄拳制裁をしている。身長はまだ伸びているようだ。服のサイズがない、映画館などで後ろの席を気にしたりと、高身長ならではの悩みを多く抱えており、幼馴染で恋人のカンバ(上場優一)もそのことを気遣っている。 おっとりとした性格で、子供っぽい言動がよく見られるものの、いわゆる「男女のお付き合い」についてはそれなりに興味がある。好きな科目は英語で、数学は苦手。

上場 優一

三里第三中学校の男子バレー部に所属しているが、活動態度はあまり良くない。部活の友人と女子の着替えを覗こうと目論んだ際、目当てでなかった幼馴染の富士山牧央の着替えを偶然目撃。その光景が忘れられず富士山を気にし始め、とあることをきっかけに交際を申し込む。富士山とは幼稚園の頃からの知り合いで、昔は幼い頃から体の大きかった富士山によく泣かされていた。 男子中学生らしい下品さや単純さはあるものの、富士山のことを気遣ったり用事を手伝うなど、真面目で気遣い屋な一面もある。160cmと中学2年生男子としては平均的な身長だが、彼女である富士山が181cmと高身長のため、姉弟に見られることも。 放送委員に所属。苦手科目は英語。

倉敷先生

三里第三中学校の養護教諭を務める女性。サバサバとした性格や男っぽいしゃべり方、それでいて大人の女性らしい色気があるため、男女ともに生徒から人気がある。主人公の富士山牧央や上場優一とは、合宿をはじめとする部活に関係した機会で接点が多い。独身ひとり暮らし。 作中で引っ越しをしており、富士山らにその手伝いをしてもらっている。喫煙者。

集団・組織

三里第三中学校

『富士山さんは思春期』に登場する中学校。主人公の富士山牧央は2年1組、上場優一は2年2組に属している。身長181cmのエース富士山を擁する女子バレー部は、大会で準優勝し地方紙のトップを飾るほどの強豪。他の部活動も盛んで、夏休み中には2泊3日の運動部合同合宿が行われている。

書誌情報

富士山さんは思春期 全8巻 双葉社〈アクション・コミックス〉 完結

第1巻

(2013年5月発行、 978-4575842388)

第2巻

(2013年8月発行、 978-4575842777)

第3巻

(2014年1月発行、 978-4575843361)

第4巻

(2014年7月発行、 978-4575844573)

第5巻

(2014年12月発行、 978-4575845525)

第6巻

(2015年4月発行、 978-4575846119)

第7巻

(2015年8月発行、 978-4575846744)

第8巻

(2016年2月27日発行、 978-4575847628)

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