あらすじ
第1巻
中学校で教師として働く織田信永は、実家に帰省した際に両親から蔵の整理を言いつけられ、蔵にあった古い茶碗を割ってしまう。すると突然、空中から着物を着た少女が光に包まれながら出現する。その少女は自分を斎藤帰蝶と名乗り、これから織田信長のもとへ嫁に行く途中なのだと語る。これが事実なら、戦国時代からタイムスリップして来たという事になるため、半信半疑の信永だったが、このままにはしておけないと彼女を自分の家へ連れて帰る。しかし帰蝶は父親である斎藤道三の命で、信長と政略結婚させられる立場であり、信長に対して愛情はないものの、子供を作る事が目的であった。信永を信長と誤解した帰蝶は何度も信永に迫るが、帰蝶が15歳の未成年と知った信永は彼女を拒むしかない。その後、戦国時代からタイムスリップして来たという帰蝶に現代社会のルールを教える目的で、信永は自身が働く中学校へと連れていくが、そこで帰蝶は全校生徒の注目の的となってしまう。さらに信永は、帰蝶がかつていた時代とは異なる時代に来た事を説明するために、かつての斎藤道三の居城だった稲葉山城へと連れて行く。
第2巻
かつて斎藤道三の居城だった稲葉山城は、現在は観光名所として戦国時代当時の遺品も多数展示されていた。戦国時代からタイムスリップして来た斎藤帰蝶をここに連れて来た織田信永は、偶然にも遺品の一つを割ってしまい、その結果、生駒吉乃という少女がタイムスリップして来る事となった。帰蝶と同じ時代からやって来た吉乃は、自らを織田信長の妾と名乗り、信永に対しても積極的に接して来る。信永が自分以外の人間と親しく接する事が気に入らない帰蝶は吉乃を監視すべく、共に信永の家で暮らすように提案する。そんな折、信永の教え子である枇杷島万結の体に、かつて信長の側室だったお鍋の方が憑依してしまう。もともと万結自身が、信永に対して思いを寄せていた事もあり、万結もまた帰蝶と吉乃と共に信永争奪戦に参戦するのだった。さらに信永の同僚である星ヶ丘友里にも、信長の子供の乳母である慈徳院が憑依してしまう。ここに至り信永は、自分が手を触れた相手がことごとく信長に関係がある者を呼び寄せるのではないかと考え始める。
第3巻
戦国時代からタイムスリップして来た斎藤帰蝶と生駒吉乃に加え、教え子の枇杷島万結と同僚の星ヶ丘友里にも織田信長ゆかりの女性が憑依してしまい、織田信永は途方に暮れていた。そこへさらに、万結の友人、熱田杏南の弟である熱田蘭真にも、信長の小姓だった森蘭丸が憑依してしまう。蘭真は、男ながらまるで少女と見紛うほどの美しさで、さらに料理も得意という事もあり、帰蝶と吉乃は危機感を高める。一方の信永は、信長ゆかりの人物が次々に現れる事態を収拾するため、仮説を立てる。それは、帰蝶達が信長に対して何らかの心残りがあるために現代にやって来たのではないか、という事だった。さっそく信永は万結に憑依したお鍋の方の心残りを解消し、無事に万結の体から成仏させる事に成功。同じように帰蝶や吉乃の心残りも解消しようとした矢先、新たな少女がタイムスリップして現れる。
第4巻
戦国時代から新たにタイムスリップして来た少女は、自らを明智光秀と名乗る。だが史実では男性であるはずの明智光秀は、なぜか少女の姿となっていた。光秀は自身が死亡したという自覚があり、心残りは織田信長の死を確認できなかった事だと語る。信長の首をとるために少女の姿として転生して来たという光秀は、その信長の子孫である織田信永を殺そうとするが、信永から自身の容姿を褒められた事から考えを変え、結局、斎藤帰蝶や生駒吉乃と共に信永のもとで暮らす事になる。そんな中、信永の妹の織田市香は、帰蝶の気晴らしのために信永とのデートを提案。実際に信永とデートした帰蝶は、自身が信永に好意を抱いている事を自覚する。一方、帰蝶の様子が変わった事を察知した吉乃と光秀は、帰蝶に負けじと信永を誘惑しようと試みる。
登場人物・キャラクター
織田 信永 (おだ のぶなが)
中学校で教師として働く男性。実家が織田信長の末裔だという言い伝えがあり、両親から信長と同じ読み方をする「信永」という名前を付けられた。そのため中学校の生徒からは、「ノブナガ先生」と呼ばれている。実家の蔵を整理している途中で古い茶碗を割ってしまい、それがきっかけで斎藤帰蝶を戦国時代から呼び出してしまう。その後も自身の手が触れた物は、人や物を問わずに信長ゆかりの人物を呼び出す要因となってしまったため、ふだんは手袋をして生活している。28歳の現在に至るまで彼女がいた事がなく、恋愛についての情報はもっぱらインターネットかゲームで仕入れており、そのためかやや偏った知識となっている。織田信永自身を誘惑して来る帰蝶達に対しては嬉しいと思いつつも、彼女達の年齢が未成年という事もあり、自らのモラルとのあいだで葛藤する日々を過ごしている。
斎藤 帰蝶 (さいとう きちょう)
戦国大名の斎藤道三の娘。織田信永が実家の蔵にあった茶碗を割った事がきっかけとなり、戦国時代からタイムスリップして来た。政略結婚のために織田信長のもとへ嫁ぐため、信長と勘違いした信永とのあいだに子供を作ろうとするが、あくまでも義務感からであり、恋愛感情はなかった。しかし、信永と共に生活をするうちに彼の優しさに惹かれていき、信永とのデートを経て彼への好意を自覚する。以降は「恥ずかしい」という気持ちが芽生え、積極的だったそれまでと違って、思うように距離を縮められなくなる。
生駒 吉乃 (いこま きつの)
織田信長の側室。斎藤帰蝶と同じく戦国時代からタイムスリップして来た少女。実年齢は29歳だが、タイムスリップの影響で10代の容姿となっている。帰蝶と異なり、最初から信永に対して恋愛感情を抱いており、義務ではなく自身の願望として信永との子作りをしたいと考えている。恋愛というものに疎い帰蝶とは対照的に、恋愛に対しては積極的で、嫉妬深い性格をしている。そのためやや面倒くさいところがあり、信永はできるだけ生駒吉乃から距離を置こうとしている。当初は信永を巡る恋敵である帰蝶を追い落とそうと考えていたが、帰蝶から恋愛についての相談を受ける事が多くなり、結果的によきライバルとなっていく。
枇杷島 万結 (びわじま まゆ)
織田信永の受け持つクラスの女子中学生。信永の事を周囲の生徒達が気軽に「ノブナガ先生」と呼ぶ中にあって、「織田先生」と名字で呼ぶなど節度ある性格をしている。信永に対しては以前から恋愛感情を抱いており、彼の周囲に次々と現れる斎藤帰蝶や、生駒吉乃といった織田信長ゆかりの人物の存在に危機感を覚えていた。男性同士の恋愛を漫画に描くという趣味があり、その趣味を信永に認められた事から彼の事が好きになった。やがて彼女にも信長の側室だったお鍋の方が憑依し、枇杷島万結自身の感情も加わって、信永に積極的にアプローチするようになる。
星ヶ丘 友里 (ほしがおか ゆり)
織田信永と同じ中学校で教師を務める女性。信永からは異性として意識されているものの、星ヶ丘友里自身はまったく信永の事は意識しておらず、同僚以上の感情はない。信永に触れられた事から、織田信長の子供の乳母である慈徳院が憑依してしまい、定期的に乳首を吸われなければ辛抱できない体になってしまう。乳母でありながら、あまり授乳できなかった事が心残りになっていると推測されている。信永にとっては合法的に星ヶ丘友里の乳首を吸う事ができるため好都合だが、友里にとっては耐え難い屈辱であり、早く元に戻してほしいと思っている。
熱田 杏南 (あつた あんな)
枇杷島万結の友人の女子中学生。万結と同じく織田信永の担任するクラスの生徒であり、思った事はすぐに口に出す直情型の性格の持ち主。万結とは親友同士であり、彼女が以前から信永に対して恋愛感情を抱いている事を知っていた。斎藤帰蝶や生駒吉乃の登場に戸惑う万結に対して、もっと積極的に信永にアプローチするようにけしかける事も多い。
熱田 蘭真 (あつた らんま)
熱田杏南の弟。織田信永が手を触れた事から、織田信長の小姓だった森蘭丸に憑依された。性別は男だが、少女と見紛うほどの容姿の持ち主であり、趣味は女装と料理。信永と結婚する事を夢見て、彼に好きになってもらえるようにふだんから女装して過ごしている。女装が趣味という事もあり、姉の杏南やその友人である枇杷島万結からは、その行く末を心配されている。
明智 光秀 (あけち みつひで)
かつて織田信長を本能寺の変で襲撃した男性。もともとの性別は男だが、若い少女の姿となって現代にタイムスリップして来た。信長の死体を確認できなかった事が心残りであり、それを解消するために織田信永の命を狙う。だが、信永から容姿を褒められた事で殺意が薄れ、その後は斎藤帰蝶や生駒吉乃と共に信永の家で共同生活を始める。
織田 市香 (おだ いちか)
織田信永の妹。恋愛経験が皆無な兄の前に次々と現れては、彼を誘惑する斎藤帰蝶達に対して、女性目線でのフォローやアドバイスを行っている。しっかりとした考えの持ち主で、信永の両親からも信頼されている。兄に対してはやや呆れている部分もあるものの、なにかとサポートしており、仲はいい。