寺島町奇譚

寺島町奇譚

戦前、戦中の東京の私娼街・玉の井に住む少年キヨシを中心に、友人や家族、経営するスタンドバーを訪れる人々の姿を描く。滝田ゆうの自伝的漫画にして代表作。

正式名称
寺島町奇譚
ふりがな
てらしまちょうきだん
作者
ジャンル
自伝・伝記
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概要・あらすじ

戦前、戦中の東京の私娼街・玉の井玉の井のスタンドバードンの息子キヨシを中心に、その家族や友達、スタンドバーを訪れる人々、銘酒屋の女や出入りする男たちの織りなす世界をユーモアと哀愁たっぷりに描く。

登場人物・キャラクター

キヨシ

玉の井に住む、スタンドバー・ドンの息子。おっちょこちょいだが心の優しい少年。子供らしく行き過ぎた遊びで大人達に怒られることもある。女性に対しては恥じらいがあるのか、よく顔を赤らめている。

キヨシの母 (きよしのはは)

『寺島町奇譚』の登場人物で、キヨシの母親。名前は不明。割烹着に髪を結った恰幅の良い女性。家のお使いに寄り道したり、勉強しないキヨシをいつも叱っている。

キヨシの父 (きよしのちち)

『寺島町奇譚』の登場人物で、キヨシの父親。名前は不明。スタンドバー・ドンのマスターで、厨房で料理をしている。妻であるキヨシの母とはたびたび口喧嘩をする。警防団員。

キヨシの祖母 (きよしのそぼ)

『寺島町奇譚』の登場人物で、キヨシの祖母。名前は不明。着物姿に眼鏡をかけている。キヨシと同じ寝室で、孫のことをかわいがっている。

カズエ

『寺島町奇譚』の登場人物で、キヨシの少し年の離れた姉。スタンドバー・ドンの看板娘。愛想が良く、バーに来る客のあしらいも上手い。

タマ

『寺島町奇譚』の登場人物で、キヨシの家で飼われている三毛猫。キヨシから乱暴に扱われたり、家族からイライラのはけ口にされたりと散々な目に遭っている。喋れないが、よくフキダシに三味線の絵が描かれている(滝田ゆう作品特有の表現で、フキダシにその人物の心境や状況を表す挿絵を描く)。

後家 (ごけ)

名前は不明で顔は影で見えない。キヨシの母曰く「出戻り後家」。キヨシの父が熱を上げていた相手で、キヨシの父とキヨシの母の大喧嘩となる原因を作るが、後家にその気はない様子。

久吉

名前は不明。静岡の興津の重太郎の息子でキヨシの遠縁。つかみどころのない性格。銘酒屋で一晩を過ごし、その後財布を落としたとキヨシの母に金をせびりに来た。

萬古屋染物店の息子 (ばんこやそめものてんのむすこ)

名前は不明。萬古屋染物店の息子で眼鏡をかけている。師範学校を出ているらしく博学な雄弁家。「危険分子のアカ(共産主義者)」と呼ばれ刑事に追われていた。

花井 ぼたん

旅芸人の座長を兄に持つ一座の花形役者で、器量の良い少女。騒動を起こした兄の捜索中、少しの間ドンに預けられキヨシがぼたんの遊び相手となる。

場所

ドン

『寺島町奇譚』に登場する、玉の井にあるキヨシの父の経営するスタンドバー。キヨシの父、母、姉のカズエで切り盛りしている。銘酒屋の客を始めさまざまな男達が訪れ、萬古屋染物店の息子など時折ちょっとした騒動を起こす者もいる。

銘酒屋 (めいしや)

『寺島町奇譚』に登場する、玉の井にある私娼を抱えて売春している店。「めいしや」と発音する。スタンドバードンに立ち寄る客も銘酒屋の利用客であることが少なくない。銘酒屋の前を通ると店の中から娼婦による客引きの声が聞こえてくる。

玉の井 (たまのい)

墨田区東向島5丁目、墨田3丁目、東向島6丁目の場所に存在していた私娼街。売春防止法施行によって現在は存在していない。「ぬけられます」「ちかみち」と書かれた看板が特徴的で、キヨシたちの生活、遊びの場になっている。

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