作者の幼少期を基にした半自伝的作品
本作は、作者のヤマザキマリが、自身の幼少期を基に描いた半自伝的な作品である。単行本のあとがきによれば、海外に引っ越した際、日本から送られてきた段ボールの中に、小学生のときの日記が入っており、それが漫画のネタとして役立てられているという。舞台は昭和50年頃の北海道。父を早くに亡くした幼い姉妹ルミとマヤは、母と三人で暮らしている。音楽家の母、リョウコは留守がちで、ルミとマヤは少し淋しい思いをすることもある。しかし、幸せで元気な母の背中を見ながら生きる姉妹の毎日は充実していた。本作はそんな姉妹と彼女らを取り巻く人々の姿を、ノスタルジックに描いていく。
1話完結で描かれる心温まる人間ドラマ
本作は、1話40ページ程度の各話完結形式となっている。母のリョウコの海外公演のため、20日間祖父母の家で暮らすことになるといった、ルミとマヤのエピソードはもちろんだが、姉妹の周辺の人々をメインにした物語も数多く描かれている。例えば、姉妹の上の階に住む女子高生は、経済的な理由で美術大学への進学を諦めていた。しかし、音楽で生きるリョウコと姉妹の幸せな姿を見て考えを改める。また、失踪した息子の嫁と二人暮らしのハルばあちゃんが、血の繋がりがない嫁に迷惑をかけまいと家出をする「家族」をテーマにした短編など、心温まるハートフルな人間ドラマが本作の大きな魅力である。
登場人物・キャラクター
ルミ
北国に住む明るく元気で優しい少女。小学3年生(初登場時は7歳)で、音楽家の母と妹のマヤと三人で暮らしている。母の不在でさみしい気持ちになることもあるが、妹の面倒をよく見るしっかり者。
マヤ
北国に住む元気な少女。小学1年生(初登場時は5歳)で、音楽家の母と姉のルミと三人で暮らしている。さみしくて泣いたり、わがままを言ったりするが、ルミや周囲の人に励まれ、たしなめられて暮らしている。
書誌情報
ルミとマヤとその周辺 全3巻 講談社〈KC KISS〉
第1巻
(2008-01-11発行、978-4063406863)
第2巻
(2008-11-13発行、978-4063407273)
第3巻
(2009-06-12発行、978-4063407570)








