概要・あらすじ
江戸時代、時は寛永。信州高遠の田舎侍、13歳の保科幸松は、腹違いの兄で、将軍の徳川家光に招かれて江戸城にやってくる。しかし家光は留守だった。仕方なく日を改めることにした幸松は、お供の爺に連れられて、吉原遊廓(ゆうかく)にやってきた。そこで幸松は、おみつという名のお姉さんに出会う。おみつに気に入られた幸松は、彼女に案内され江戸見物を満喫する。別れ際に聞いたおみつの話では、吉原は「拐(かどわ)かし」が立て続けに起きており、近づかないほうがいいという。彼女の忠告に従い、普通の宿に泊まろうとした幸松は、財布がないことに気がついた。心当たりの場所を探し回って1時間あまり、吉原の道端で財布を見つけた幸松は、同心に声をかけられる。「元服前の子供が吉原にいるなどけしからん」という理由で番所に連れていかれた幸松は、背後から同心に殴られて気絶する。幸松が目を覚ますと、そこは番所の地下にある拷問部屋だった。見回すと、おみつをはじめ、三人の女性が、両手を後ろ手にくくられて柱に繋(つな)がれている。そこへやってきたのは、町奉行所筆頭与力の杉浦八右衛門とその取り巻きだった。杉浦は、色街の女や少年をいたぶり殺すことを楽しみにする外道であった。幸松は、勇敢にも杉浦に立ち向かうが、あっさりやられてしまう。それを見たおみつは、隠し刀を使って自らの縄を解いた。おみつは男性であり、もろ肌を脱いだ右胸には「葵御紋の刺青」があった。杉浦はじめ、悪党どもをあっさり斬り殺したおみつは、自分が三代将軍家光であることを幸松に明かす。家光は、拐かし事件解決のために、自ら女装をして市井を探っていたのだ。こうして無事出会うことができた、女装将軍、家光とその弟、幸松。やがて彼ら兄弟は、もっと巨大で邪悪な存在と対決することになる。
登場人物・キャラクター
保科 幸松 (ほしな こうまつ)
信州高遠出身の田舎侍。13歳の元服前の少年。徳川家光の異母弟。家光に招かれ、江戸へやってくる。家光との対面後、「悪魔(でもん)」が嫌う力を持つ、三つ葉葵の「御紋(すてぃぐま)」がお尻に現れる。家光と力を合わせ、悪魔退治を行う。実在した保科正之をモチーフにしている。
徳川 家光 (とくがわ いえみつ)
江戸幕府の三代将軍。保科幸松の異母兄。ブラザーコンプレックスで、幸松に惜しみない愛情を注ぐ。13歳のときに、「悪魔(でもん)」が嫌う力を持つ、三つ葉葵の「御紋(すてぃぐま)」が右胸に現れる。女装して市井に紛れ、法が裁けない悪人を退治しているため、「あばずれん坊将軍」と呼ばれているらしい。柳生新陰流の使い手で、剣の腕は相当なもの。同名の実在人物をモチーフにしている。
柳生 三厳 (やぎゅう みつよし)
徳川家兵法指南役の柳生宗矩の娘。本名は茜。3年前、双子の兄の十兵衛が、「悪魔(でもん)」に殺された際、柳生家の対面を保つために、十兵衛に成り代わる。長い前髪で左目を隠している。保科幸松に剣術を教える。実在した柳生三厳をモチーフにしている。
その他キーワード
悪魔 (でもん)
戦国時代に流入した、南蛮の邪教が生んだ怪物。人間に化け、仲間を増やすために女性をさらう。かつて、織田信長と手を組み、天下を手中にしようと計画。しかし、本能寺にて徳川家康によって、計画を阻まれる。家康の力を受け継いだ者の身体に現れる、三つ葉葵の「御紋(すてぃぐま)」を見ると、その正体を現す。基本的に不死だが、体内にある「喉仏」を破壊することによって滅ぼすことができる。