概要・あらすじ
老境の徳川光圀は67歳の時に手打ちにした腹心 藤井紋太夫までに49人を殺めたことを振り返る。幼少の子龍という名乗りの頃は、父である水戸徳川家当主・徳川頼房からの世子(世継ぎ)に相応しいかを試す試練に耐え、青年となり傾奇者として町で暴れる中で宮本武蔵と出会い、そして儒家・林読耕斎との討論を経て三男でありながら水戸徳川家の跡継ぎとなった。
登場人物・キャラクター
徳川 光圀 (とくがわ みつくに)
水戸徳川家初代藩主・徳川頼房の三男であるが、世子(世継ぎ)として水戸徳川家藩主となる。幼少時に徳川頼房からの世子に相応しいかを調べる、「お試し」という過酷な試練を乗り越えた。青年期には谷左馬之助と名乗って傾奇者として町で遊び回っていた。儒学者の林読耕斎と出会い、三男でありながら水戸徳川家の世子(世継ぎ)となったことによる、兄の竹丸に対する不義について悩んでいたことを自ら悟り、不義を儀に変える道を探る。 歴史上の実在の人物、徳川光圀がモデル。
藤井 紋太夫 (ふじい もんだゆう)
1694年に小石川水戸藩邸内能舞台で能「千手」を舞った光圀が、舞台裏で手打ちにした腹心の家老。歴史上の実在の人物、藤井徳昭がモデル。
徳川 頼房 (よくがわ よりふさ)
徳川家康の十一男で光圀の父。水戸徳川家初代当主だが、生涯正室を持たなかった。幼い子龍(光圀)に世子(世継ぎ)に相応しいかを調べる、「お試し」といわれる過酷な試練を課す。歴史上の実在の人物、徳川頼房がモデル。
永野 九十郎 (ながの くじゅうろう)
元々は水戸徳川家初代藩主徳川頼房の家臣であったが、能役者になるべく出奔した。後に徳川頼房の前で能を舞い斬首される。子龍(光圀)は徳川頼房よりお試しとして夜中に永野九十郎の首を持ってくるように命ぜられる。歴史上の実在の人物、永野九十郎がモデル。
松平 頼重 (まつだいら よりしげ)
子龍(光圀)の6歳上の兄。水戸徳川家初代藩主徳川頼房の長子であるが世子(世継ぎ)の座を光圀に譲り、常陸下館にて、大名となる。歴史上の実在の人物、松平頼重がモデル。
亀丸 (かめまる)
水戸徳川家初代藩主徳川頼房の次兄で世子となるはずだったが体が弱く、万が一のために徳川頼房により、お長(光圀)を養子としている。幼くして亡くなったため、お長(光圀)が世子となった。歴史上の実在の人物、亀丸がモデル。
徳川 家光 (とくがわ いえみつ)
江戸幕府三代将軍で徳川秀忠の嫡男。子龍の9歳の元服の儀において、光圀の名を授けた。歴史上の実在の人物、徳川家光がモデル。
宮本 武蔵 (みやもと むさし)
身分を隠した徳川光圀が傾奇者の谷左馬之助として江戸市中で暴れている頃に出会う。歴史上の実在の人物、宮本武蔵がモデル。
林 読耕斎 (はやし どっこうさい)
青年期の徳川光圀と儒学談義をする。徳川家に使える儒者・林羅山の次男。若いときの病気で左目が見えない。歴史上の実在の人物、林読耕斎がモデル。
養珠院 (ようじゅいん)
竹橋の紀伊徳川家邸に住んでいる。徳川光圀の父・徳川頼房と伯父・徳川頼宣の母。歴史上の実在の人物、養珠院がモデル。
およつ姫 (およつひめ)
徳川光圀の伯父・徳川頼宣の家の姫。光圀の父・徳川頼房と伯父・徳川頼宣、祖母・養珠院は、およつ姫と光圀を娶せようとするが、光圀はそれを拒んだ。
細野 為景 (ほその ためかげ)
公家・藤原惺窩の息子で、途絶えた下冷泉家を継ぎ、第110代天皇・後光明天皇に学問を講ずる侍講となる。徳川光圀とは詩歌を通じて交流するようになる。歴史上の人物、冷泉為景がモデル。
徳川 義直 (とくがわ よしなお)
徳川家康の九男で尾張徳川家の当主。徳川光圀の伯父であり、日本の史書の少なさを憂い、自ら史書編纂事業を興し光圀に影響を与えた。
谷 久子 (たに ひさこ)
子龍(光圀)と竹丸の実母。徳川家光の妻となるために水戸随一の美女として選ばれたが、将軍・家光に差し出す前に水戸家に奉公していたとき、徳川頼房と出会い竹丸を身籠もる。歴史上の実在の人物、久昌院がモデル。
泰姫 (たいひめ)
近衛家の姫で後光明天皇の従妹。承応三年四月十四日に光圀と婚礼の儀式が執り行われる。歴史上の実在の人物、近衛尋子がモデル。
クレジット
- 原作