少年は荒野をめざす

少年は荒野をめざす

夢見がちな少女狩野都が、自分によく似た年上の少年黄味島陸と出会い、お互いに惹かれながらも、時に危うく揺れ動く姿を描く。

正式名称
少年は荒野をめざす
ふりがな
しょうねんはこうやをめざす
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概要・あらすじ

夢見がちな中学生の少女狩野都は幼い頃自分が男の子だと思っていた。自分によく似た少年黄味島陸のいる蒼陵高校に進学する。共に現実を遠ざけようとしていた二人は、お互いに惹かれながらも危うく揺れ動きながら自分の道を見つけていく。

登場人物・キャラクター

狩野 都 (かりの みやこ)

ウェーブのかかった腰まで伸びた髪の女子。兄狩野翠は自分が幼い時に亡くなり、それ以来しばらくは自分が男の子だと思っていた。夢見がちでどこか現実感が無く、成長を拒んでいるところがある。登場時は浅葱中学校の3年生で、クラスでは菅埜透、小林靫彦と共に「三大問題児」と呼ばれている。 文芸部に所属し、文化祭用に書いた作品『少年は荒野をめざす』が文学新人賞を受賞し小説家としてデビューする。自分によく似た少年黄味島陸と出会い、彼の在学する蒼陵高校に進学する。一人称は「狩野」。

菅埜 透 (すがの とおる)

登場時は浅葱中学校の3年生。クラスでは狩野都、小林靫彦 と共に「三大問題児」と呼ばれ、そのまとめ役になっている。狩野都が好きだが、その心情を良く知るあまり踏み出せないでいた。彼女の書いた小説『少年は荒野をめざす』が世に出るきっかけとなる。中学卒業後は男子校に進学する。 それぞれ別の高校に進学した狩野都、小林靫彦とは評論家の日夏雄高邸で会うようになる。

小林 靫彦 (こばやし ゆきひこ)

登場時は浅葱中学校の3年生。直情型で単純極まりない性格。狩野都・菅埜透と共にクラスの「三大問題児」と呼ばれ、盛り上げ屋としてクラスを扇動する。中学卒業後は甲子園を目指すべく私大付属高校に進学するが、野球部の先輩たちからは疎まれて度々傷を負っている。

天瀬 (あまがせ)

パーマの髪に眼鏡の男性。浅葱中学校3年4組の担任。クラスの問題児・狩野都や草埜透達に手を焼きつつも、彼らをかばおうとする。

黄味島 陸 (きみじま りく)

登場時は蒼陵高校の1年生で、狩野都より1歳年上。蒼陵高校の見学に来た狩野都と出会い、度々一緒に居るようになる。外見が狩野都に似ており、雰囲気もどこか共通するところがある。陸上部に所属し短距離の有望な選手。また、学校の成績も良い。女性に好きだと言われると「嬉しくて」誰でも付き合ってしまう。 そのため、複数の女性と付き合って手ひどくフラれることも多い。狩野都には次第に男女の恋愛とは別の何かを感じ、自分が揺らぎはじめる。格式のある家柄の生まれで大きな邸宅に住んでいる。

狩野 周防 (かりの すおう)

狩野都の父。身体が弱く、専業主夫をしている。心配性だが、狩野都を信じ見守っている。

狩野 瞳子 (かりの とうこ)

狩野都の母。小説家で、筆名は旧姓を使った草薙瞳子としている。テレビドラマの原作やエッセイを書き、トーク番組の司会者もしている。肝心の小説はぱっとしない。

菅埜 鑑 (すがの あきら)

菅埜透の10歳年上の兄。絢爛社の文芸誌EGOの編集者をしている。帰宅した時に弟菅埜透の部屋で見かけた狩野都の小説『少年は荒野をめざす』を読み、新人賞に応募させる。デビューした以降も狩野都の担当編集をつとめる。評論家日夏雄高の担当でもある。

日夏 雄高 (ひなつ ゆたか)

登場時は29歳。クールな優男。若手評論家で切れ味の良い文章を書くが、本人は変わり者と評判。絢爛社の新人賞授賞式パーティーで狩野都と出会って魅かれ、度々彼女の前に現れる。また狩野都も彼を頼るようになる。一人で住む大きな家は、狩野都や黄味島陸達の溜り場となり、寄り集う彼らの内面も鋭く観察している。

貴久 鳥子 (たかひさ とりこ)

ウェーブのかかったセミロングの髪の女子。登場時は蒼陵高校の3年生。卒業後は証券会社に就職する。黄味島陸の彼女の1人。複数の女性と付き合うことも多い黄味島陸と、唯一1年以上続いている。年上の包容力で黄味島陸の母親役になっているが、彼への想いは強い。狩野都とも仲が良く、相談相手になる。

海棠 了子 (かいどう りょうこ)

ボブヘアーの女子。登場時は浅葱中学校の3年生。卒業式に菅埜透に告白するが断られる。卒業後は蒼陵高校 に進学し、同時にショートヘアーになる。狩野都と同じクラス。気が強く狩野都は嫌いと本人に宣言するも、学校ではコンビを組むことが多くなる。

鹿内 月子 (しかうち つきこ)

おかっぱ頭の女子。登場時は蒼陵高校の1年生で狩野都と同じクラス。黄味島陸に手紙を出して告白し、付き合うようになる。思い込みが激しい性格。

篠原 海路 (しのはら かいじ)

口髭を生やした壮年の男性。茫洋としている。10数年日本を離れ、アラスカでパイロットをしている。貴久 鳥子の手紙を受け取り、日本に帰国した。

黄味島 克津也 (きみじま かつや)

和服姿が多い上品な女性。黄味島陸の母。 狩野都と出会って以降の黄味島陸の行動に心を痛めている。

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