概要・あらすじ
昭和19年夏、主人公の風間進一は東京から富山へ疎開する。そこで進一はタケシという少年と親友になるが、級長であり同級生の少年達の中の権力者であるタケシは、学校では進一に冷たい態度をとり、支配下に置くようになる。二人きりの時の優しいタケシと学校での独裁的なタケシ。どちらが本当のタケシなのか、そしてタケシの支配に甘んじる自分自身の弱さに進一は悩み苦しんでいく。
登場人物・キャラクター
風間 進一 (かざま しんいち)
東京の国民学校の五年生で、弟の進二と富山の泉山村に縁故疎開してきた。東京では副級長をしており成績も優秀。疎開してきて初めて会った地元の子・タケシ(進藤武)とすぐに友達になるが、学校ではタケシの冷たい仕打ちにあう。
進藤 武 (しんどう たけし)
風間進一のクラスの級長で頭がよく、リーダーシップも強い。体の弱い父の分まで働いており周囲の大人からの信頼も厚い。しかし学校では学級を支配し、自分の言う事に背いた者はすぐに暴力を振るうため、同級生からは不満をもたれている。
フトシ
風間進一(進藤武)の級友で、大柄な体格でケンカも強い。タケシも一目おいており、唯一クラスでタケシの支配に従わない一匹狼的存在である。無口で愛想もないが、進一をいじめるノボルや、ケンスケを殴るタケシを止めるなど正義感も強い。
ケンスケ
風間進一の級友で、タケシ(進藤武)のライバル。体が弱く、長い間入院しており学校を休んでいたが、進一たちが進級し6年生になった時に復学した。父親は村の有力者で近所の人からは「ぼっちゃん」と呼ばれている。タケシに不満を持つ級友達を束ねタケシの独裁政権を崩壊させ、その後ケンスケが権力の座に就いた。
美那子 (みなこ)
校長先生の親戚で、風間進一と同じ時期に東京から疎開してきた女の子。お互い同じ境遇ということで進一と仲が良いが、このことで進一は同級生からひやかされてしまう。
風間 進二 (かざま しんじ)
風間進一の弟で東京にいた時は級長をつとめていた。おとなしい進一とは違いかなりやんちゃな性格である。
庵主さん (あんじゅさん)
風間進一たちの疎開を受け入れた光禅庵の尼さん。
ノボル
タケシ(進藤武)の子分であるが、内心タケシには不満を持っており一度クーデターを計画するも失敗する。性格はズル賢く、風間進一をいつもいじめている。キヨシ、コウジと仲が良い。
キヨシ
タケシの子分でノボル、コウジと仲が良く、いつも一緒に行動している。
コウジ
タケシの子分でノボル、キヨシと仲が良く、この三人で風間進一をいじめることが多い。
マサル
タケシの子分で太った少年。おっとりとした性格で風間進一と仲が良い。タケシがいない時は、進一、キスケと三人でのびのびと過ごしている。
キスケ
タケシ(進藤武)の子分で小柄ですばしっこく、性格もおだやか。状況分析をする能力に長けている。マサルと仲が良く、風間進一にも好意的である。
山本先生 (やまもとせんせい)
風間進一のクラスの担任で、怒ることがほとんどない優しい先生。大人達の間で評判の良いタケシ(進藤武)の本当の姿を知っており、転校してきた進一に「ともだちになるのと子分になることは違う」と忠告する。
シゲル
進一の前の席に座っている。風間進一の習字を褒めたことがタケシ(進藤武)の気に障り、ノボルたちから制裁を受ける。弟の敵を取ろうとしたシゲルの兄もタケシにやられたため、タケシには相当な反発を持っている。
おかあさん
風間進一、風間進二の母親で、二人を疎開先の泉山村へ連れて来た。転校の手続きなどを終えた後東京に戻り、戦争が終わるとすぐに二人を迎えに来た。
おとうさん
風間進一、風間進二の父親で、昭和20年2月二人に会いに東京から泉山村を訪れた。
場所
泉山村 (いずみやまむら)
『少年時代』に登場する場所。風間進一が東京から疎開してきた村で、本作品のほとんどのシーンがこの村が舞台となっている。藤子不二雄Ⓐが実際に疎開した富山県下新川郡山崎村(現朝日町)がモデルとなっており、藤子Ⓐが通った山崎小学校や山崎神社は、作中でもそのままの姿で描かれている。
クレジット
- 原作
-
柏原兵三
ベース
長い道