概要・あらすじ
昭和20年8月、ニューギニア北東ウエワク付近。加島小隊長率いる甲斐、金田、小磯、田村は、本隊とはぐれてジャングルをさまよっていた。飢えと疲労の極限状態の中、小磯はマラリアで病死。続いて田村も病気に倒れた。甲斐は彼らの小指を切りとって火にくべ、遺骨として本土に持ち帰ってやることにする。極限状況の中、加島は上官風を吹かせて威張り散らし、食料も独占しようとする。また金田の推測によれば、加島は軍隊での悪事がばれて、小隊ごと脱走しているのではないかという。ある夜、加島がいては帰国すらままならないと判断した甲斐は、ナイフで加島の首を切り殺害する。加島の小指を火にくべている時、金田は「自分の小指も頼む」といって倒れてしまう。どうやらアメーバ赤痢のようだった。一人になってしまった甲斐は、死体に湧いたウジを飯ごうで炊いて食べ、命をつなぐ。「生きて帰る」という、日本に残した彼女との約束を果たすため、甲斐は何としても生き延びる決意を新たにする。その2週間後、甲斐は日本の敗戦を知る。そして1年後、日本に帰り、それぞれの遺族に小指の骨を届けて回るのであった。
登場人物・キャラクター
甲斐 (かい)
高校教師。戦前は歴史を教えていたが、戦後は国語の教師になる。戦中は上等兵としてニューギニアの戦いに参加。本隊とはぐれ、加島小隊長他、4名でジャングルをさまよい、飢えと病気の極限状態を経験する。戦友3名は全員病死。帰国の弊害となる加島小隊長を自らのナイフで殺害し、ただひとりの生き残りとして帰国。それぞれの遺族に、彼らの小指の骨を遺骨として届ける。戦地での自分の行為を、道に外れたものだとして、生涯心を痛める。
クレジット
- 原作