日常のあらゆる「ざわめく」をテーマにしている
本作は何げない日常に潜む、さまざまな「ざわめく」瞬間をテーマにしている。本作におけるざわめきとは、「エレベーター内での正しい立ち位置を知りたい」「マッサージ店で凝ったところをうまく伝えたい」「友人の興味がない話題を無難に切り上げたい」といった小さな悩みや疑問に対して、主人公の雄一の心がざわざわして考え込んでしまう状態のこと。日常の些細なことにざわめいてしまう雄一が、最適な答えを導き出していく様子が日常ギャグや社会風刺を交えながら1話完結形式で描かれる。
ざわめく時間に敏感な主人公
主人公の雄一は地味で平凡な青年ながら、日々のあらゆる出来事や小さな疑問に敏感で、そのたびに心がざわめいてしまう奇妙な癖がある。雄一がざわめくと「ざわ…」「ざわざわ」といった効果音が彼の心に響き渡り、そのたびに彼は緊張しながらも答えを導き出す方法や、相手を傷つけない無難な方法を考察している。雄一が遭遇するざわめく体験は、一般人であれば誰もが遭遇する可能性があり、読者がつい共感してしまうようなエピソードも多い。また、「ファストフードを食べる順番」「名前がわからない相手の名前を思い出す方法」といったざわめくエピソードがテーマとなり、そのテーマの最終結論となる「教訓」がオチのページに記されている。
アイドルネタを交えた日常ギャグも魅力
さまざまな出来事にざわめきながらも平穏な日常を過ごす雄一は、アイドルオタクで機械いじりが得意な斎藤君や、明るく前向きだけど都市伝説マニアなごうわん君をはじめとする個性的な友人に囲まれている。当初は雄一とモブキャラクターのみでストーリーが展開されていたが、二人が登場してからは、彼らとの交流や友情が見どころの一つとなっている。また、作者の中丸雄一が「KAT-TUN」を通して得た知識や経験をもとにしているため、アイドルネタには説得力がある。特にアイドルオタクの斎藤君が登場すると、アイドルファン必見の裏話が楽しめる。ちなみに中丸雄一は、この漫画は自らの実体験をもとに制作しているとインタビューで語っている。
登場人物・キャラクター
山田 雄一 (やまだ おいち)
会社員の青年。年齢は22歳。ふつうの社会人だが心配性で小心者な一面があり、日常の些細な出来事がついつい気になって心がざわめき、深く考え込む癖がある。そのたびに無難に事を運ぶために、もっとも効率のいい手段を探している。しかし、結局は予想外の展開に振り回されて失敗したり、杞憂や空回りに終わることが多い。ざわめくたびに脳内でうんちくを語る博識でもあるが、斎藤君やごうわん君が得意とするアイドル文化や都市伝説には疎い。優しい性格で他者を気遣うあまり、なかなか本音が言えずに損をしている。ふだんは思慮深いが、好きな女性を前にすると挙動不審になり、IQが著しく下がってしまう。好きな食べ物はエビチリ。
斎藤君 (さいとうくん)
雄一と仲のいい友人の青年。黒髪のキノコヘアで、丸い眼鏡をかけたオタク。休日や仕事帰りに雄一、ごうわん君といっしょに出かけたり、家で遊んだりしている。アイドル文化や推し活を好み、特に男性アイドルに造詣が深く、アイドルについて語り出すと人格が変わってしまう。また、一時期はオーディションに応募して、人気グループの一員になろうとしたこともある。機械いじりも趣味の一つで、パソコンやドローンの扱いも得意としている。好きな食べ物はラーメン。
ごうわん君 (ごうわんくん)
雄一と仲のいい友人の青年。茶髪を丸刈りにしており、笑うと八重歯が目立つ。いつも元気一杯で豪快な性格をしている。休日や仕事帰りに雄一、斎藤君といっしょに出かけたり、家で遊んだりしている。一瞬でプラス思考に切り替えるポジティブさを雄一から評価されているが、好物をおいしく食べられない状況に弱い。都市伝説マニアで都市伝説を語り出すと止まらなくなり、最長で6時間も語り続けたことがある。好きな食べ物はピザ。