概要・あらすじ
王島巴は「首都高速の巴御前」と呼ばれ、ローラースケートをはいて首都高速を走る危険な行為を繰り返していた。しかしある日、友をローラー・バトルで亡くしてしまい茫然自失となる。そんな王島巴の前に氷室上総が現れ、スタントマン養成所だという緑の船に彼女を誘う。なんとなく日々をすごしていた王島巴だったが、緑の船がスパイやゲリラを養成する施設だと知ってしまい殺されそうになる。
緑の船から脱出した王島巴は、東条伊織に「あなたを殺そうとしている人がいる」と伝えに行く。そして彼女は東条家の後継者争いに巻き込まれていく。
登場人物・キャラクター
王島 巴 (おうじま ともえ)
17歳。女性。A型。子供の頃からスポーツ、武道に通じ、運動神経は抜群。1人で上京し進学してからは、ローラースケートをはいて首都高速を走るローラー・バトルに興じ、警察泣かせだった。友をローラー・バトルで亡くし、茫然自失となっていたところに氷室上総が現れ緑の船に誘われた。実家はすでに解散しているが、由緒正しいヤクザの家系。 兄の駒王と姉の静がいて三人兄弟の末っ子。結構悩んでウジウジするところもあるが、一度決めて吹っ切れるとただ前だけを見て走りだす性格。
東条 伊織 (とうじょう いおり)
19歳。男性。身長は183cm。ストレートの長髪で、みかけはかなり老けて見える。巨大コンツェルン、東条グループの総帥の隠し子で、陽光寺という寺に預けられて育った。人当たりがよく、温和でおだやかな印象を受けるが、実は火のように熱く意志が強い。やがて東条の家に入ることを考え、穏やかな陽光寺の生活の裏で、自分の身を守るために身体を鍛え、バイトなどをして知識を得るという人を欺いた二重生活をしている。
氷室 上総 (ひむろ かずさ)
緑の船の教官で、王島巴をスカウトする。タバコの好みはマルボロ。左利き。フランスの名だたる外人部隊に志願して、コルシカの落下傘部隊に3年、アメリカ陸軍のグリーンベレー予備軍に引き抜かれ、その後京極に引き抜かれる。母に暴力を振るう父を12歳の夏に殺している。ナーナという東条の隠し子だという女と深く愛し合っていた。 彼女が東条の刺客に殺された事で東条に強い恨みを持っている。
鏡子 (きょうこ)
緑の船の裏の顔を調べるために潜入している元スケバンの警察官。緑の船の裏の顔を知る前に王島巴に氷室上総は危険だと告げ、彼女を氷室上総や緑の船から遠ざけようとした。しかし王島巴に事実を知られたため、彼女に新宿の陽光寺にいる東条伊織という人物に会って彼を助けて欲しいと伝える。 その後、鏡子は氷室上総につかまり殺される。
麻鳥 九郎 (あさとり くろう)
バカがつくくらい人がよすぎる性格で仲間思いの暴走族のチンピラ。族のリーダーが緑の船で行方不明になったため、探しにきていた。王島巴が緑の船から抜け出そうとしているところで出会い、彼女を手助けする。王島巴を逃がし、自分はそのまま緑の船に残り、死んだ鏡子の意志を継ぎ、緑の船の裏の顔を暴くために動く。
風丸 (かぜまる)
東条伊織が飼っている犬。首にウエストポーチをつけていて、その中には東条伊織の認知の証明書や、東条伊織の父が母に贈ったというダイヤの指輪が入っている。東条伊織の指示で王島巴のそばにいて、王島巴がピンチに陥った時などには助けにくることもある。
青柳 司 (あおやぎ つかさ)
東条社長の第一秘書グループの1人。普段男にしか見えない格好をしているが実は女性。氷室上総の事を好きで、彼のまわりをうろちょろする王島巴に嫉妬している。東条に拾われ、東条のために育てられてきたため、東条によかれと思えることのみが正義。そのため東条に必要な人物となった東条伊織が殺されそうになったとき、彼をかばって氷室上総に撃たれて命を落とす。
王島 静 (おうじま しずか)
王島巴の姉。全日航機国際線のキャビンアテンダント。搭乗していた飛行機がハイジャックされたとき、ハイジャック犯をお盆で殴り、のしてしまうくらい強い。行平という恋人がいるが、海外に写真を撮りに行き、音沙汰がない。
海 (かい)
左のこめかみに縦に傷がある、いかつい男性。王島巴の父親のヤクザ時代の弟分。組をたたんだ後、王島家と共に横浜にきて隣家に住み、ケーキ職人になる。自分の店を持ち、おあいそ笑いしない怖さがミスマッチということで女の子に人気。王島静のことを大切に思っていて、彼女の恋人になれなくても盾や屋根になって彼女を守ろうと決めている。
シドニー・キャメロット (しどにーきゃめろっと)
15歳。京極のボディーガード。東京ドームでの事件の際に京極の命令で東条伊織のピンチを救う。京極の曾孫の京極月子と東条伊織の婚約話のために東条伊織のボディーガードとなる。幼い頃から銃などの扱いはプロに手ほどきをうけていて、銃を所持しているか見破れるくらいの眼を持っている。 大和撫子のような京極月子に好意を持っていて、彼女の裏の顔は知らなかった。
京極 (きょうごく)
昭和最後の大物とよばれる人物。政界を退いてからは、自社の会長業に精を出している。半世紀をかけて関西から西を制覇したが、東は東条がいたため進出できなかった。東条伊織を気に入り曾孫娘の京極月子を婚約者にし、二人の縁談によって日本統一の夢を果たそうとしている。
京極 月子 (きょうごく つきこ)
京極の曾孫娘。王島巴と同い年で17歳。香水は甘い香りの沙棗(さそう)を使っている。京極が東条伊織のことを気に入ったことから、彼の婚約者となる。見かけは儚げで、たおやかな大和撫子のようだが、本質は夜叉のような女。
集団・組織
緑の船 (ぐりーんしっぷ)
『巴がゆく!』に登場する団体名。スポンサーは日本有数の巨大コンツェルンの東条グループ。新宿まで車で2時間かかるくらいの山奥にあり、広さは後楽園球場の倍はあり、全寮制。氷室上総はそこで教官をしている。訓練生は不良上がりが多い。表向きはスタントマン養成スクールだが、裏では実弾を使った訓練や破壊工作などを教え、スパイやゲリラを養成する施設となっている。