物語の発端
本作の舞台となるのは、晶王朝という架空の中華風王朝。暗君が三代も続いたことから、国民は飢え、税の徴収に苦しんでいる。ある日、都に近い村に住む平民の少女・香蘭は、裏山で大怪我を負って倒れている、美しい青年・志季を見つける。第一皇子宗雲を殺して逃げたという、敵国の暗殺者かもしれないと思ったが、香蘭はけが人を放っておけず、毎日山に通っては傷の手当をしてやった。そんな中、宗雲が亡くなったため、帝位継承権を得た第二皇子林哨は、見せしめとして納税が遅れている香蘭の村に火を放つ。怒りに震える香蘭は、林哨の即位式に乱入するが警護の者に取り押さえられてしまう。しかし、そこに志季が現れ、香蘭を救う。実は、志季こそが亡くなったと思われていた第一皇子宗雲だった。自分の運命から逃げていた志季が、香蘭の優しさや平民たちの苦しみを知り、帝になることを決めたのだ。こうして志季は帝となり、王宮への出入りを許された香蘭と親交を深めていく。
身分違いの恋を描いた中華風ラブコメディ
香蘭は、身長146センチメートルで、18歳ながら子供にしか見えない少女。孤児であり、村医者で村長でもある老人に拾われて育った。一方、志季は身長181センチメートルのイケメンで、晶王朝の第一皇子から帝位についた青年である。香蘭に命を救われた志季は彼女を王宮に招き、二人は友人として関係を深めていく。やがて、志季のために大規模な見合いが開催されることになり、香蘭は志季への恋心を自覚する。しかし、志季の方は相変わらず香蘭のことを子供扱いし、「大切な友人」としか考えていない様子だった。本作は、香蘭の片想いが身分や容姿の壁を超えていく様子を描いた中華風ラブコメディである。
次第に変化していく志季の気持ち
香蘭の一方的な想いに、まったく気がつかない志季だったが、吏元という少年の行動で事態が少し変わっていく。吏元は占い師を生業としている12歳の少年で、行き場をなくしていたところを香蘭に拾われ、そのまま村に住み着くことになった。やがて吏元は、香蘭のことを好きになり、村祭の日にみんなの前で求婚する。一方、二人の様子を見聞きしていた志季は、原因不明の胸の痛みを訴えるようになった。作中では「肋間神経痛」というオチがついたが、志季の香蘭への気持ちに次第に変化が生じる姿が描かれた。
登場人物・キャラクター
香蘭 (こうらん)
平民出身の18歳の女性。146センチメートルの身長とかわいい容姿のため、子供にしか見えない。孤児だったが、村医者で村長のじっちゃんに引き取られ、現在は家業の手伝いをしている。優しい性格で頑張り屋。ひょんなことから第一皇子宗雲(志季)を助けたことで、王宮に出入りすることになり、身分違いの恋に悩む。
宗雲 (そううん)
晶王朝の帝。身長181センチメートルのイケメン。天然なところがあるが、武術に通じており、いざという時は頼りになる。まだ第一皇子だった時、第二皇子に命を狙われて大けがを負うが、香蘭に救われた。帝位に興味がなかったが、香蘭との出会いをきっかけに、より良い国をつくるために帝になった。本名は「宗雲」だが、作中のほとんどの場面で、幼名である「志季」が使われている。







