美術作品の擬人化とパロディシーン
本作の舞台となるのは「ルブール高校」という架空の学校。パリのルーブル美術館をモチーフにしており、彫刻や絵画などを擬人化した高校生たちが多く通っている。主人公のダビデは、ミケランジェロ・ブオナローティの『ダヴィデ像』そのものといった風貌で、イタリア語のスラングである「パロラッチャ」を多用する。また、作中のシーンが、ミケランジェロの『アダムの創造』『最後の審判』といった絵画や、オーギュスト・ロダン作のブロンズ像『考える人』のパロディになるのが特徴である。美術パロディは西洋美術が基本だが、物語中盤以降は、クフ王、スフィンクス、浮世絵などバラエティに富んだ題材も登場する。
シュールな設定をベースにしたラブコメディ
主人公のダビデだけではなく、主だった登場人物は美術作品を擬人化したキャラクターである。ダビデの片想いの相手であるヴィーナスはサンドロ・ボッティチェッリの絵画『ヴィーナスの誕生』、クラスの巨乳美女モナリザは、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、親友の小便小僧は『小便小僧像』がモデルになっている。思春期をこじらせ冴えないダビデは、海水浴や夏祭り、体育祭といったイベントを通じ、これらユニークなキャラクターたちと交流を深めていく。本作は、シュールな設定とギャグをベースに、恋愛や友情を描いたラブコメディである。
美術の解説コラムが充実
「ルネサンスとは?」といった基礎知識や、作中に登場する個々の美術パロディについて、単行本の各話間に掲載されたコラム『ルネサンス美術入門』で詳しく解説されているのも本作の特徴である。また、美術解説の他にも、ダビデの口癖であるイタリア語のスラングを掲載した『パロラッチャ辞典』や、「やる価値のあることなら、たとえ最初は下手であっても、やる価値がある」といった『ミケランジェロの名言』などのおまけも充実している。
登場人物・キャラクター
ダビデ
ルブール高校1年B組の男子。ミケランジェロの『ダヴィデ像』そっくりの風貌をしている。父のミケランジェロ、母のアテナ、妹のレダとの三人暮らし。父からは「ダーくん」の愛称で呼ばれている。スケベで冴えない男子高校生だが、潜在能力は高く、好きな女性や大切な友人の危機や応援があると、覚醒して高い能力を発揮する。「パロラッチャ」というイタリア語スラングをよく口走る。「週刊少年ジャンプ」の熱烈なファンで、毎週全作品の感想をSNSに上げるほどのジャンプっ子である。クラスメイトのヴィーナスさんに片想いしている。
ヴィーナス
ルブール高校1年B組の女子。太い眉毛と長い髪が特徴で、ダビデの片想いの相手。ボッティチェッリの絵画『ヴィーナスの誕生』がモチーフで、初登場時は絵画と同じポーズで現れた。才色兼備で性格も良いクラスの女神で、その美しさと優しさに、人間のみならず動物たちにも慕われる。
書誌情報
思春期ルネサンス!ダビデ君 全4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2019-01-04発行、978-4088816708)
第2巻
(2019-03-04発行、978-4088817552)
第3巻
(2019-06-04発行、978-4088818627)
第4巻
(2019-07-04発行、978-4088820187)







