探偵はもう、死んでいる。

探偵はもう、死んでいる。

二語十の小説『探偵はもう、死んでいる。』のコミカライズ作品。幼い頃から極端に事件に巻き込まれやすい体質の君塚君彦は、名探偵・シエスタとの出会いをきっかけに、探偵の助手としての道を歩み始める。しかしシエスタの死後、己の無力さに打ちのめされ、無為な日々を送っていた。そんな君彦が、奇妙な依頼人・夏凪渚と出会って、再び助手として立ち上がる姿を描く、ラブコメミステリー。「コミックアライブ」2020年7月号より連載の作品。2021年7月にテレビアニメ化。

正式名称
探偵はもう、死んでいる。
ふりがな
たんていはもう しんでいる
原作者
二語 十
作者
ジャンル
推理・ミステリー
 
ラブコメ
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全6巻完結
関連商品
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あらすじ

探偵との出会い

極端に事件に巻き込まれやすい体質の君塚君彦は、ある日ハイジャック事件に遭遇する。その事件の最中、君彦は探偵のシエスタと出会い、それからは彼女の助手として行動を共にするようになる。しかしそれから3年後、シエスタは死亡する。君彦はシエスタを失った喪失感から助手を止めて高校生に戻り、その後、無為に1年を過ごしていた。そんな日々を過ごしていた君彦の前に、同じ高校に通う夏凪渚が現れる。渚は君彦を名探偵と見込み、人捜しを強引にお願いする。しかしその人捜しの依頼は、依頼人である渚も誰かわからないという奇妙なものだった。渚は心臓の疾患を持っていたが、1年前にドナー移植によってその命を拾う。しかしそれ以降、無性に「誰か」に会いたくなる時があるという。君彦はドナー移植が関係していると推理し、ドナー提供者を捜すため、加瀬風靡に協力を依頼するものの、警察官である風靡は軽々しく情報は明かせないとその申し出を断る。しかし風靡は、「別荘」に行けと遠回しに君彦に伝える。君彦は「別荘」が警察の隠語で、「刑務所」だと推測してその場所に向かう。そして君彦はそこで因縁深い男・コウモリと再会する。コウモリは君彦がシエスタと出会ったハイジャック事件の犯人で、人間離れした聴力を持つ人造人間だった。コウモリから心臓の真実を聞いた君彦と渚はその奇縁に驚愕する。

三十億の家宝を守り抜く簡単なお仕事

君塚君彦夏凪渚の心臓の真実をつかむものの、お互いにその真実に戸惑って、距離感を測りかねていた。依頼を達成したため、そのまま渚と別れようとする君彦であったが、そこに唐突に人気絶頂のアイドル・斎川唯が現れ、君彦に「家宝の時価30億円のサファイアを守って欲しい」と依頼する。立て続けに起こるトラブルに、流石に君彦もやる気をなくして断ろうとするが、渚が名探偵としてその依頼を引き受け、君彦も助手として手伝うこととなる。君彦は唯からサファイアを奪う犯行予告が届いており、警察に相談するものの、事件がまだ起きていないことを理由に断られた話を聞く。しかし君彦が調べたところ、警察にはそのような相談が持ち込まれた形跡がなく、唯には何か別の目的があるのではないかと推測する。唯のライブ映像を見た君彦は、「ドルヲタ」になったフリをしてリハーサル現場に入り込み、彼女が暴漢に襲われる現場を調べる。しかしそれは、実は君彦が知り合いに頼んで行った仕込みで、君彦は唯の本当の目的に思い至る。そしてライブ当日、君彦は今度は本当に唯が襲われると推測し、家宝の警備を加瀬風靡に任して、唯の警護に赴く。そして君彦は唯を助け、この事件の裏に隠れた恐るべき陰謀を明かすのだった。

関連作品

漫画

二語十の小説『探偵はもう、死んでいる。』のコミカライズ作品には、本作『探偵はもう、死んでいる。』のほかに、poniのスピンオフ作品『探偵はもう、死んでいる。 -the lost memory-』が存在する。『探偵はもう、死んでいる。 -the lost memory-』は、本作ではすでに死んでいる探偵・シエスタが生きていた頃の話を焦点にしており、彼女の目線で物語を展開し、彼女の死にせまる内容となっている。

小説

本作『探偵はもう、死んでいる。』は二語十の小説『探偵はもう、死んでいる。』を原作としている。イラストはうみぼうずが担当している。原作小説は第15回MF文庫Jライトノベル新人賞《最優秀賞》を受賞し、MF文庫Jより2019年11月から刊行されている。また2020年3月には「ラノベ好き書店員大賞2020」文庫本部門大賞を受賞し、「このライトノベルがすごい!2021」では、本作が文庫部門で第4位、新作部門で第3位にランクインしている。

テレビアニメ

2021年7月、本作『探偵はもう、死んでいる。』の原作小説『探偵はもう、死んでいる。』のテレビアニメ版『探偵はもう、死んでいる。』がTOKYO MX、BS日テレ、AT-Xほかで放送された。初回第一話は枠を拡大し、1時間スペシャルとなった。アニメーション制作はENGIが担当している。キャストは、君塚君彦を長井新、シエスタを宮下早紀、夏凪渚を竹達彩奈が演じている。

登場人物・キャラクター

君塚 君彦 (きみづか きみひこ)

歩いているだけで事件に遭遇する極端な「巻き込まれ体質」の男子高校生。黒髪で、年齢は18歳。幼い頃から数々の事件に巻き込まれており、14歳の時、黒ずくめの男たちから半ば脅されて謎のアタッシュケースを運ぶための仕事を引き受ける。アタッシュケースを届けるため飛行機に乗るものの、そこでハイジャック事件に遭遇。その事件で探偵のシエスタと出会い、それからはコンビを組んで行動していた。シエスタからは愛称と二人称の二つの意味を込めて「君」と呼ばれていた。シエスタの死後も巻き込まれ体質は健在なため、街で起きている事件の7割は第一発見者になっている。そのため事件解決にも貢献しており、「名探偵」と周囲から言われることもあるが、君塚君彦自身はこの呼び方を頑なに否定し、あくまで「助手」を自称する。

シエスタ

「名探偵」を自称する少女。白銀色のショートボブヘアで、青い瞳を持った白皙(はくせき)の美少女。自信に満ちあふれ、アグレッシブな性格をしている。「シエスタ」の名はコードネームで、本名は不明。名前以外のプロフィールもいっさい不明で、非常に謎が多い。異名は「昼寝のシエスタ」。自称「名探偵体質」で、類いまれな推理力と謎の人脈で事件を解決に導く。4年前、ハイジャック事件に巻き込まれ、君塚君彦と知り合うが、君彦が謎のアタッシュケースを運ぶ羽目になったのはシエスタの策略で、事件はすべてシエスタの手のひらで動いていた。君彦を助手として3年間、さまざまな事件を解決してきたが、1年前に死亡している。古いマスケット銃を武器にし、シエスタの血で作った「赤い弾丸」を放つ。赤い弾丸で撃たれた人間は、二度とシエスタに攻撃できなくなる効果があり、この力で敵対者を無力化する。

夏凪 渚 (なつなぎ なぎさ)

君塚君彦と同じ高校に通う女子高校生。年齢は18歳。生まれつき心臓に疾患があったために体が弱く、学校にもほとんど通っていなかったため、君彦とはほとんど接点がなかった。1年前に心臓移植を受け、本格的に復学することとなった。心臓移植を受けてから、無性に「誰か」に会いたくなる時があり、それを究明してほしいと君彦に依頼する。君彦に依頼した理由は、復学後に彼が事件を解決して名探偵として表彰された記事を見たから。明るく物おじしない性格で、ほぼ初対面の君彦ともあっさり軽口を叩き合う仲となる。一方でドM気質で、君彦にそれを指摘されてからはひそかに気にしている。君彦は夏凪渚の捜し人はドナー提供者に関係のある人物だと推理し、調査の末にコウモリと出会い、心臓のドナー提供者が1年前に死んだシエスタであったことを知る。渚は君彦からシエスタのことを聞いていたため、大きく動揺することとなる。君彦からは気にせず自由に自分の人生を生きるべきと諭されるが、斎川唯が偶然、依頼を持ってきた場面に居合わせたことをきっかけに依頼を引き受け、自分の意思で「名探偵」になることを決意する。シエスタのことを知って以降、夢にシエスタが出てきているらしいが、正反対過ぎるタイプなためにケンカをよくしている模様。

斎川 唯 (さいかわ ゆい)

現役女子中学生アイドルで、左目に眼帯をつけた美少女。年齢は14歳。ツインテールの髪型は黒をベースに、白とピンクのメッシュを入れている。君塚君彦に家宝の時価30億円のサファイアを守ってほしいと依頼する。少々あざとく腹黒い一面があり、眼帯もアイドルとしてのキャラ付けのため。小学6年生でアイドルデビューを飾り、その愛くるしい容姿や歌とダンスに対する天性の才能からあっという間に人気者となった。両親とはすでに死別しており、資産家である斎川家の当主を務めている。サファイアの盗難事件解決後は、君塚君彦たちとあらためて友達となり、彼らの協力者となることを約束する。

加瀬 風靡 (かせ ふうび)

刑事の女性で、階級は警部補。年齢は28歳。深紅色のポニーテールの髪型をした美女だが、荒事が多い警察で働いているせいかやたら言動がガサツで男っぽい。喫煙者で葉巻やタバコを吸っている。君塚君彦が幼い頃からの顔見知りで、当時、新人巡査だった頃から君彦が事件に巻き込まれるのを目撃しており、君彦が事件の原因じゃないかと怪しんでいる。一方で君彦のことを何かと気にかけており、君彦が夏凪渚のドナー提供者について訪ねに来た時には、職務上答えられないと断りつつ、遠回しに助言をした。君彦曰く、かなりの武闘派警官らしく、加瀬風靡一人で軍隊一個分の戦力になるとのこと。

コウモリ

「コウモリ」のコードネームで呼ばれる金髪の男性で、本名は不明。年齢は34歳。元SPESの構成員で、組織から人体改造に使う「核」の試作品を盗み出し、自らに移植した。肉体を改造された半人造人間とも言うべき存在で、「耳」を改造され、100キロ先の会話を聞き取れるほどの人外の聴力を持つ。耳の部分から黒い触手を生やして敵を攻撃することもできるが、その力の代償として視力を失っている。人外の力を持つに至ったが、SPESから裏切り者と見なされ、組織からハイジャック事件を起こして自分もろとも飛行機を落とせと命令される。ハイジャック事件を引き起こすものの、適当な口実を付けて中止して、警察に捕まる代わりに保護してもらおうと考えるが、居合わせたシエスタにすべてを見透かされる。シエスタの推理力を見て、危険な存在として処分しようとするが返り討ちに遭い、彼女の「赤い弾丸」を食らったことで完全に無力化された。その後、シエスタの計らいで死んだことにされ、警察に条件付きで保護される。刑務所で自堕落に過ごしていたが、4年後、面会に来た君塚君彦と再会。他人の心音すら聞き分ける能力で、夏凪渚の心臓が誰のものか教えた。その後、加瀬風靡と取り引きをして刑務所から出て、君彦に協力している。

集団・組織

SPES (すぺーす)

人造人間を生み出し、暗躍する秘密組織。「SPES」はラテン語で「希望」を意味し、「救済」を目的とする。あるものを「核」にして「人造人間」を生み出すことができる。人造人間は人間離れした能力を持ち、その力で各地で犯罪などを行っている。

クレジット

原作

二語 十

キャラクター原案

うみぼうず

書誌情報

探偵はもう、死んでいる。 全6巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2020-11-21発行、 978-4046800077)

第2巻

(2021-05-21発行、 978-4046803795)

第3巻

(2021-07-21発行、 978-4046806345)

第4巻

(2021-12-23発行、 978-4046809872)

第5巻

(2022-12-22発行、 978-4046817372)

第6巻

(2023-10-23発行、 978-4046828491)

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