概要・あらすじ
時は現代。夜の街で缶コーヒーを買う幸田ヒロユキのもとに、黒い子猫がやってくる。子猫の相手をしているヒロユキの背後から、数人の不良が声をかけてきた。彼らは、以前、ヒロユキにケンカでボコボコにされた連中だった。不良たちは、MMA(総合格闘技)の実力者である菊池洋平を引き連れて、復讐にやってきたのだ。ヒロユキはインターハイや国体で優勝経験のある空手家だった。
ケンカは御免だと、争い事を避けようとするヒロユキだったが、「空手」を馬鹿にされ、態度を急変させる。そして菊池とヒロユキのストリートファイトが始まった。タックルを取りに行く菊池に対し、目にも止まらない速さでカウンターを放つヒロユキ。しかし、菊池がヒロユキを捉えきれないうちに、警察が駆けつけ、二人は補導されてしまった。
翌日、池袋警察署に、ヒロユキが通う定時制高校の担任女教師、奥山倫子がやってきた。奥山は合気道の達人だった。釈放されたヒロユキを合気道の技で懲らしめると、彼を水道橋に連れて行った。奥山は、ヒロユキに神田川のドブさらいのボランティアを半年間おこなうように命じる。観念するヒロユキの前に、昨夜の子猫が現れた。
欄干の上を歩く子猫に触れた瞬間、ヒロユキの周りが暗くなり、水道橋も木でできた橋に変わっていた。ヒロユキが、わけもわからず佇んでいると、前方から着物姿の女性が息を切らして走ってくる。女性は、御書院番与力、佐々木矢太夫の娘、佐々木ユキと名乗り、供のものが斬られたので助けてくれという。
後方からは3名の武士が追いかけてきており、そのうちの一人が大上段に構えた剣を振り下ろす。ヒロユキは咄嗟に、手に持っていた缶コーヒーを武士に投げつけ、虚を突いて飛び膝蹴りを食らわせた。女性を逃したヒロユキに残り二人の侍が襲いかかる。中村士郎という侍との一騎打ちになり、覚悟を決めて突きを繰り出すヒロユキだったが、紙一重でかわされる。
中村が抜いた刀に斬られそうになった瞬間、後方から走り寄ってきた男の刃が、その刀を受け止めた。男はMMAの菊池洋平だった。菊池が小石川試衛館の藤堂平助を名乗ると、中村たちはその場を引いた。事情が飲み込めないヒロユキに、菊池は、ここが幕末の江戸の水道橋であることを話す。彼はヒロユキがやってくるのを2年待ったのだという。
現代の水道橋にいたヒロユキと菊池は、幕末の江戸にタイムスリップしていたのだ。
登場人物・キャラクター
幸田 ヒロユキ (こうだ ひろゆき)
定時制高校に通う18歳の男子学生。身長は176センチ、体重は72キロ。日本空手協会所属。高校一年生のときに、空手のインターハイと国体で優勝。二年生で国体に優勝するが、インターハイでは、決勝で相手のアゴの骨を折って反則負けの準優勝。根は優しいがキレやすく、子供の頃からケンカばかりしており、ヤクザも一目置くような存在。高校二年生の時に傷害事件を起こして退学処分を受けた。 ある日の水道橋で、突然、幕末の江戸にタイムスリップしてしまう。後に新選組三番隊隊長、斎藤一と呼ばれる運命にある。
菊池 洋平 (きくち ようへい)
18歳の男性。坊主頭で左眉の上に傷跡がある。身長は170センチ、体重は85キロ。MMA(総合格闘技)の実力者。現代の池袋で、幸田ヒロユキとストリートファイトを行い、警察に補導される。翌日、現代の水道橋にいたところ、なぜか幕末の江戸にタイムスリップする。ヒロユキより2年早い時代にタイムスリップしており、小石川試衛館の藤堂平助として、ヒロユキが幕末にやってくるのを待っていた。
奥山 倫子 (おくやま りんこ)
幸田ヒロユキが通う定時制高校の担任教師。警視庁で合気道を教えていた奥山勇という武道家の娘。ショートカットの小柄な女性だが、合気道の達人で、ケンカ自慢のヒロユキもねじ伏せてしまう。
佐々木 ユキ (ささき ゆき)
御書院番与力、佐々木矢太夫の娘。幸田ヒロユキがタイムスリップした幕末の水道橋でヒロユキと出会う。孝明天皇が水戸藩に下賜した勅諚(ちょくじょう)(戊午(ほご)の密勅)を手にしていたため、水戸天狗党の侍三人組に追われる。
中村 士郎 (なかむら しろう)
幕末の侍。21歳。身長は160センチ、体重は60キロ。剣術は窪田派田宮流。水戸天狗党の一員。勅諚を持った佐々木ユキを、三人組で追いかけるが、幸田ヒロユキと菊池洋平に阻まれる。