征神記ヴァルナス

征神記ヴァルナス

グラン・シャーナという大陸で宗教を利用して人々を苦しめる神殿の住人を倒すため、かつて神殿の住人であった青年が仲間とともに立ち向かっていく冒険ファンタジー。もともと神殿の住人であったせいでなかなか他人に信用されない青年が、力強さと実直さで徐々に信頼を獲得していき、かけがえのない仲間を作っていく姿を描く。

正式名称
征神記ヴァルナス
ふりがな
せいじんきゔぁるなす
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

大陸「グラン・シャーナ」の人々は、王であるサン・ギュードを神として崇める信仰に囚われ、厳しい奉公のため貧しい暮らしを強いられていた。大陸の西の果てであるヘーグ山にある神殿で暮らしていたヴァルナスは、弟のように可愛がっていたサピオ・シルマが処刑されたことにショックを受け、神殿を抜け出す。そして彼は砂漠にあるオアシスの村で、神殿にいては見られなかった人々の狂信的ともいえるギュードへの信仰心を目の当たりにすることになる。

信仰のために殺されることも厭わない村人たちの姿を見たヴァルナスは、人々の自由のため、ギュードを倒すことを決意する。

登場人物・キャラクター

ヴァルナス

グラン・シャーナの言葉で「傷」を意味する「ヴァルナス」を自称する少年。本名は「レヴァレンターレ・シルマ」。弟のように可愛がっていたサピオ・シルマを、同じく兄のように慕っていたレグノ・シルマに殺されたことで、神殿での生活を捨てて地上へ逃げ出した。その後、サン・ギュードの支配を打ち破り、人々の手に自由を取り戻すための戦いへと身を投じる。 仲間のためには命を顧みないところがあり、無茶をすることもある。実はギュードの後継者としてこの世に生を授かった「聖なる子(パーリタス・ネオス)」であり、デュール鉱石を媒介にすることで特殊な魔法を操ることができる。一部の信頼できる仲間以外は、元神殿の住人であり、魔法という人知を超えた力を発揮するヴァルナスに対し恐れをなしている者も多い。

ペンナ

オアシスの村で、姉のノール、兄のナパーと暮らしている少年。サン・ギュードを敬っておらず、似た考えを持つヴァルナスと親しくなる。重労働の末に働けなくなった父親が、昇天の儀という名目で処刑されることになった際、それを止めに入って神官に殺されそうになる。だが、ヴァルナスが間一髪で駆けつけ、神官を殺したため、処刑されかけていた父親とともに生き延びた。 その後は、姉のノールとともにマヴロス鉱山に連行され、ヴァルナスと再会するまでは重労働を課せられていた。ヴァルナスのことを心から信頼している。

ノール

オアシスの村で、弟のペンナ、兄のナパーと暮らしている少女。表面上はサン・ギュードを敬っているものの、父親が昇天の儀に選ばれ事実上処刑されることとなった際には、本来なら喜ぶべきところを、悲しみによる涙を見せた。この一件以降、弟のペンナとともにマヴロス鉱山へと連行され、重労働を課せられることとなった。 オアシスの村、マヴロス鉱山の双方で自身とペンナを救ってくれたヴァルナスに想いを寄せている。のちにルナの世話係を務めるようになる。

ナパー

オアシスの村で、弟のペンナ、妹のノールと暮らしている青年。体力に長けていたため、村でただ1人神人に選ばれた。信仰心に篤く、行き倒れていた見知らぬ男であるヴァルナスを助けたり、昇天の儀のために自らの父親の首を刎ねなければならなくなった際も、役割に忠実にあろうとしていた。ヴァルナスが儀式のまとめ役だった神官を殺してしまったため昇天の儀が中止となり、結果的に父親を殺さずに済む。 ヴァルナスの発言や、彼が殺した神官の体が死後すぐに腐敗したのを見て、サン・ギュードを盲目的に崇拝している現状が正しいのか疑問を抱き始める。

ゾナ

ボナス族の数少ない生き残りの1人。褐色の肌を持つ踊り子のような格好の女性で、意志の力に満ち溢れた力強い眼差しを持つ。仲間とともに一族の復讐と復興を企てており、グロス・バヒスの命を狙っている。そのため、神官に歯向かい、戦う実力を見せたヴァルナスに協力を仰ぐ。族長の後継者であるルナという義理の妹がおり、ヴァルナスにルナを守ってくれるよう依頼する。

アモス

ボナス族の数少ない生き残りの1人。褐色の肌を持つ、頭にターバンを巻いた男性。当初はゾナが連れて来たヴァルナスを心底では信じていなかったが、ボナス族のため、仲間のために奮闘するヴァルナスの姿を見て、次第に心から信頼するようになる。一族の生き残りであるゼルマと再会した後、ヴァルナスを仲間として認められないと言うゼルマに一族のことを任せ、自身はボナス族と合流せず、ヴァルナスとともに旅路を行く決意をする。 その後、マヴロス鉱山で奇しくも強制労働させられていたボナス族の仲間と、族長の後継者であるルナに出会う。ペンナの姉であるノールに心奪われるが、ノールがヴァルナスに好意を抱いているのがはっきりとわかったため、一瞬で失恋してしまう。 しかしその後命がけでノールを救ったことがきっかけで、彼女との距離を少し縮めることに成功する。

ゼルマ

ボナス族一の英雄。顎に十字の傷を持つ長髪の男性。責任感が強く、冷静で賢い。生き残った少ない仲間たちとともに族長の後継者であるルナを探し出し、一族を再建することを考えている。アモスと再会した際、彼がヴァルナスを引きつれていたため、当初はアモスが一族を裏切ったと思い込んでいた。ヴァルナスの身体を張った活躍によりその誤解は解けたものの、一族の者の手前、部外者であるヴァルナスを仲間に加えるわけにはいかず、ヴァルナスの旅についていくと決めたアモスとは袂を分かつ。 のちにヴァルナスと再会した際には、サン・ギュード打倒のため協力を申し出る。

ルナ

ボナス族の生き残りで、ゾナの義理の妹。もともとはボナス族ではなく、砂漠で記憶をなくし彷徨っているところをボナス族に拾われた。天候や風を操る特殊な力を持ち、コヴァ・ヘッドには「白い女神」「グラン・シャーナの救世主」と呼ばれていた。マヴロス鉱山に幽閉されており、サンガイス・アルムに見染められているが、無言の抵抗を続けている。 ヴァルナス自身も知らない彼の秘められた力を見抜いており、その力の強大さを恐れている。身体が弱く、能力を使うとすぐに倒れてしまう。

コヴァ・ヘッド (こゔぁへっど)

額に大きなこぶがある男性で、いつもダジャレを口にしている陽気な性格。マヴロス鉱山で労働させられていたが、普段からさぼりがちで同じ労働者たちからも疎まれている。背が低く非力に見えるが、賢者を自称するほどの知恵を持ち、ヴァルナスがマヴロス鉱山に現れた際には、その計算高い戦略で神人の居住区を壊滅させた。普段のおちゃらけた態度は実は照れ隠しによるもので、実際は女性や子供を逃がすために1人で神人に立ち向かう男気も持つ。 マヴロス鉱山で出会って以降もヴァルナスの旅に同行し、その知恵でサポートする。

ホルテス

第七精錬所近くの森の中の村に住む男性で、ヴァルナス一行を襲い、ペンナをさらった。ブーメラン型の刃物を投げて戦う。神官に「十歳位の子供」を貢ぎ物として捧げるように言われており、それができない場合は村人全員が昇天の儀という名目で処刑されることになっている。ペンナをさらったのはそのためだったが、ヴァルナスたちが第七精錬所の攻略を目論んでいると知り、自分も手伝いたいと申し出る。 楽観主義的な一面もあるが、家族のことを本当に大切に思っており、かつて貢ぎ物として差し出した息子のパスコの救出を最優先に動く。

パスコ

ホルテスの息子。小さい頃、森の中にある第七精錬所に貢ぎ物として捧げられ、強制労働させられている。正義感が強く、ホルテスが助けに来た時も第七精錬所の他の仲間を残して逃げるわけにはいかないと言って反抗した。その後、ペンナと仲良くなり、相棒のような存在となる。

ロサ

森の第七精錬所で精錬された剣の出来を試すために来た女性の役人。第七精錬所に侵入したヴァルナスと戦うが、ヴァルナスが仲間の子供を助けに来たと聞いて、手助けする。小さい頃にトリスト・ペジと仲良く遊んでいて、自分ならペジを説得できると思っていたが、成長してしまったロサを、ペジは幼なじみのロサと同一人物と認識できなかった。 第七精錬所の攻略以降は、女性ながら優れた剣術でヴァルナスに協力する。

トング・パタタ (とんぐぱたた)

グラン・シャーナの西の地で稼いでいた盗賊団の親玉をしている大柄な男性。森の第七精錬所が攻め落とされた噂を聞きつけやって来た中の1人。彼がたどり着いた時には第七精錬所の食糧がほぼ尽きていたにもかかわらず、1人で何十人分ものスープを飲み干したりする大食漢で、食糧問題をより深刻なものとしてしまう。その食糧難を解決するため、トングの提案でヴァルナスたちと共に西の大農場を攻め落としにかかる。 強大な力を持つヴァルナスを恐れている面もある。

サン・ギュード (さんぎゅーど)

グラン・シャーナを統べる王にして、神と崇められる存在の男性。不老不死になる特殊な薬を飲むことで、すでに500年以上の時を生きている。薬は一度飲むと、定期的に飲み続けなければ苦しみもがいて死んでしまう副作用があり、その製造法はサン・ギュードのみが知っている。そのため、誰もギュードに逆らうことはできないでいる。

サピオ・シルマ (さぴおしるま)

ヴァルナスが弟のように可愛がっていた少年。五大神の直系で神殿に住んでいた。身体が人一倍弱い代わりに、優れた頭脳を持つ。ヴァルナス、レグノ・シルマと仲良く過ごしていたが、「薬」を飲んで豹変したレグノによってヴァルナスの前で首を刎ねられた。これがきっかけでヴァルナスは神殿を飛び出すことになる。

レグノ・シルマ (れぐのしるま)

ヴァルナスが神殿の住人だった頃、親しかった兄貴分。ヴァルナスとともにサピオ・シルマの面倒をよく見ていた。ヴァルナスよりも先に一人前の神として「薬」を与えられる儀式「成神の儀」を受けたが、その後は成神の儀を拒むヴァルナスの前で、サピオを処刑させるなど、以前とはまったく違う冷酷な性格になっていた。サン・ギュードの居城、ディオ・サンワールで行われた授位の祭祀にて、欠席したサンガイス・アルムの代わりに「第一の神(プリメイロ)」の称号を授かる。 その後、五大神の1人であるバインに取り入り、五大神すべてを従わせ、「神を継ぐ者(ファタム・クレオ)」としてグラン・シャーナの全権を牛耳るようになる。

サンガイス・アルム (さんがいすあるむ)

五大神の直系で、「軍神」の称号を持つ男性。神殿の闘技場でヴァルナスと対戦したことがあり、負けた者は猛獣と素手で戦わされるというペナルティがある中、サンガイスが負けそうになった際にヴァルナスが剣を弾かれたふりをして投げ捨てたため、引き分けとなった。情けをかけられたことが許せなかったサンガイスはその後、自ら敗北を宣言し、猛獣と決闘するというペナルティを乗り越えた。 改めてヴァルナスに再戦するつもりでいたが、その前にヴァルナスが神殿から消えてしまったため、どこかにいるはずのヴァルナスを探し、追い求めている。ボナス族の族長の継承者であるルナを嫁にしようとしており、幽閉しているマヴロス鉱山に通っているが、その帰り際に、グロス・バヒスの近衛隊長であるアパゴから、ヴァルナスがマヴロス鉱山にいることを聞いて引き返し、ついに再戦した。 ザンガード・アルムの教えで自身にも自身の率いる兵士にもストイックな生活をさせている。

グロス・バヒス (ぐろすばひす)

アゴラ・チッタという砂漠の中の町を治める神官の男性。脂肪で顔も肉体もだぶついている。町人に貢ぎ物を要求して巡行しており、貢ぎ物ができないということは即ちこの世界での役目が終了したと見なし、昇天の儀の対象になると脅しつけている。貢ぎ物は金品に留まらず、差し出すものがない町人に年端もいかない娘を差し出させたりもしていた。 巡行をした夜はその収穫で一晩中宴会を行う。

アパゴ

グロス・バヒスに心酔している近衛隊長の神人の男性。昇天の儀の名目でゾナを連れ去ろうと考えるなど、立場を利用した横暴な振る舞いをすることも多い。アゴラ・チッタの町中でヴァルナスと対峙した際に負けたことを根に持っており、グロス・バヒスの城で再び戦う時もヴァルナスを倒すことにこだわっていた。神人の中では実力があり、城の上からアゴラ・チッタの外を馬で逃げるヴァルナスを、投げ槍で狙っていた。 その後もヴァルナスの後を追い、マヴロス鉱山から神殿に帰ろうとしていたサンガイス・アルムを引きとめ、ともにマヴロス鉱山へ向かった。

ドム・マゲル (どむまげる)

マヴロス鉱山を支配する神官の男性。自分こそが神であると公言している。実はボナス族出身であり、グロス・バヒスに仲間の情報を売り渡し、ボナス族を壊滅させた元凶でもある。マヴロス鉱山でサンガイス・アルムの命によりルナを幽閉していたが、労働者たちの反乱の際、ルナを人質に取ったところ、駆けつけたサンガイスに見つかってしまい、動揺している間にルナの特殊な力で吹き飛ばされてしまった。 その後もしぶとく生き延びていたが、ボナス族のゼルマによって身ぐるみを剥がされ砂漠に放り出された。

トリスト・ペジ (とりすとぺじ)

神官の少年。見た目や精神年齢はペンナと同じ10歳くらいだが、森の中の第七精錬所を治めている。実年齢は不明だが、同等の外見に見えるペンナに対して「君よりたくさん生きてる」と語っている。幼くして父親を亡くしたため、子供のまま「薬」を飲むことになってしまった。同年代の子供を貢がせて、馬乗りになって鞭で叩くなど、おもちゃにして遊んでいる。 人をものとしか思っておらず、貢がれた子供が「鞭で叩かれると痛みを感じる」ということさえ知らなかった。そのことを教えたペンナを気に入り、鳥かごのようなものに閉じ込めて近くに置いていた。乳母であるゼーア・ヴァーラを愛しているが、自分は彼女から愛されていないということにも気づいている。

ゼーア・ヴァーラ (ぜーあゔぁーら)

森の第七精錬所を実質的に支配している女性。子供だったトリスト・ペジの乳母であり、ペジをそそのかして父親を殺害させた。宝石に目がなく、きらびやかな装飾を常に身に着けている。ペジはすでに利用する対象でしかなく、半ば幽閉状態で愛情もないが、ペジの前では深い愛情を持った母親であるかのように振る舞う。

ザンガード・アルム (ざんがーどあるむ)

古くから「第一の神(プリメイロ)」として五大神のアルムに仕えていた五大神の直系の男性。レグノ・シルマが「神を継ぐ者(ファタム・クレオ)」という位に就き、グラン・シャーナの全権を握ることになった際、その異様さに気付いて反発したため、レグノに目をつけられることとなった。西の大農場が攻め落とされた後、五大神のアルムの命により第七精錬所へ向かう。 ヴァルナスの出自について知る数少ない人物であり、ヴァルナスこそがグラン・シャーナの次なる王に相応しいと考えている。

ネイル・アルム (ねいるあるむ)

五大神の次に位の高い「第一の神(プリメイロ)」の男性。第七精錬所に向かうザンガード・アルムの軍に同行する。実戦経験がなく、過酷な従軍の中で立ち寄った町でさえ休息する気がないザンガードに嫌気がさし、町で女や見世物を楽しんでいたところ、ザンガードに見つかって殴り飛ばされる。レグノ・シルマの協力者であり、レグノにとって邪魔なザンガードを殺す算段を企てている。

集団・組織

五大神 (ごだいしん)

サン・ギュードの息子や娘たちで、第一子から摂政の神「シルマ」、司法の神「モント」、情報の神「コルヴァ」、軍事の神「アルム」、運搬の神「バイン」の5人がいる。ちなみにバインのみ女性。のちに「薬」にまつわる秘密をレグノ・シルマに握られ、グラン・シャーナの実質的な全権をレグノに譲り渡すことになってしまう。

ボナス族 (ぼなすぞく)

サン・ギュードが現れる前から、砂漠で「砂ヤギ」と呼ばれる家畜を糧に遊牧生活していた民族。ギュードを信仰するという宗教観がボナス族の既存の宗教観と相いれなかったため、グラン・シャーナの神官から長らく目の敵にされていたが、砂漠に関する地の利で逃げ回っていた。しかしボナス族の中から命惜しさにアゴラ・チッタを統べる神官グロス・バヒスへ次の遊牧地を密告する者が現れてしまい、派遣された軍隊によってボナス族は壊滅し、生き延びた者たちもばらばらになってしまった。

場所

グラン・シャーナ (ぐらんしゃーな)

舞台となる大陸。西は山脈、東は砂漠が広がっている。全土がサン・ギュードの支配下にあり、ギュードを信仰する宗教が根付いている。遠い昔、隕石が大量に降り注いだとされ、そのため特殊な鉱石や不思議な力を持つ者が現れる。

神殿 (しんでん)

西にある山脈の中にあるヘーグ山に建造された街。サン・ギュードや五大神、そしてその直系の子供が住んでいる。五大神の直系には身体のどこかに五大神の直系であることを示す刺青があり、この刺青がある者を神殿の住人と呼ぶ。地上では神殿での生活は豊かだと思われているが、幼い頃から過酷な競争社会に放りこまれ、能力が劣っている者は処刑されるという厳しい環境である。 また、娯楽に飢えているため、血なまぐさい闘技場が流行っている。

マヴロス鉱山 (まゔろすこうざん)

砂漠の中にある鉱山。周囲には激しい流砂が流れており、跳ね橋を経由しなければ立ち入ることができない。鉱山採掘とともに、岩肌にサン・ギュードと五大神の彫像を掘らせている。役に立たない者は鉱山から突き落とし、流砂に巻き込ませて殺している。鉱山内は行き当たりばったりで掘っているらしく、蟻の巣のように複雑になっており、うす暗く視界が悪い。

その他キーワード

(らーけ)

飲むと不老不死を得られる秘薬。その代わり一度でも飲むと定期的に飲み続けなければ身体が朽ちて死んでしまう。その製造方法はサン・ギュードしか知らず、五大神でさえシルマが原料のありかを知っているのみである。神殿の役人は全員が薬を飲むことが義務付けられており、一度飲んでしまえば製造法を唯一知っているギュードに逆らうことができなくなってしまう。

デュール鉱石 (でゅーるぺとら)

グラン・シャーナにのみ存在する、鉄よりも軽く、丈夫な鉱石。剣にすると抜群の切れ味を誇る。この鉱石で作られた武器は神殿の住人しか装備を許されていない。マヴロス鉱山などの鉱山で採掘され、精錬所で武器の材料となる。剣の扱いに長けていればただの人でも、「薬」の力で肉体が強化されている神人を相手に戦うことができる。

神官 (しんかん)

「薬」を飲んだ者の役職の1つ。主に地方の支配や巡回、神人の選任と取り纏めを行う。支配下の町での権力は絶大で、無茶な貢ぎ物を住人に要求したり、気に食わない者は昇天の儀の名目で傷めつけたり、処刑したりすることも多い。神官になるには、場所や神官の役割にもよるが、他の神官や神殿の住人に選ばれるか、世襲である。

神人 (かみびと)

「薬」を飲んだ者の役職の1つ。「薬」を飲んだ者の中では最下級の役人であり、主に神官によって選任される。サン・ギュードへの篤い信仰心から職務を全うする者もいれば、神官の威を借りて人々に無茶な要求を押しつけたり、暴力を振るう者もいる。神官や神殿の住人に対しては忠実で、「死ね」と命令されれば喜んで死ぬ。

昇天の儀 (しょうてんのぎ)

働けなくなった者などを、この世での役割が終了したとし、天国へ送るために首を刎ねて処刑をするという儀式。「浄化」と呼ぶこともある。昇天の儀の名目で、神官たちに逆らう者、気に入られなかった者は暴行を受けたり、処刑されることもグラン・シャーナの人々にとっては日常である。

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