忍者飛翔

忍者飛翔

謎の忍者・飛翔がその正体を隠しながら、愛する伍堂真琴を守り抜くアクションロマン。兄妹ではなく乳兄妹、幼なじみだが姫と従者の関係である真琴とね太郎の心は、飛翔の登場で複雑に交錯し揺れ動くという恋愛がベースとなる物語。一話完結の短編や連作の中編で構成され、「絆の章(第5巻)」で第一部終了となっている。作者の和田慎二はラストシーンまでの構想はできていると語っていたが、作者逝去に伴い未完となった。「花とゆめ」1980年12号から1980年14号、「コミコミ」1985年12月号、「デュオ」1983年5月号、「別冊花とゆめ」1991年12月号から1997年5月号にかけて不定期に、「コミックフラッパー」2002年3月号から2005年12月号にかけて不定期に掲載された作品。

正式名称
忍者飛翔
作者
ジャンル
侍・忍者
レーベル
ジェッツコミックス(白泉社)
巻数
全2巻
関連商品
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あらすじ

桜の章(第1巻)

風光明媚な赤穂梅市の名家の令嬢・伍堂真琴は、幼なじみで乳兄妹のね太郎に好意を寄せていた。ね太郎もまた真琴だけを見て生きて来たが、伍堂家の使用人という身分であり、亡き母の八重からは危険な運命にある真琴を守るよう言い聞かされていたのだ。ある時、大田原産業を牛耳る大田原華雀が、秘かに伍堂家を調べ、黄金伝説の道しるべとなる名刀・村雨丸の行方を探している事が判明。市長の娘が巻き添えとなり、伍堂家で爆死させられた事件を受け、真琴は市長の娘の妹ユッコの救出に向かう。その際、大田原Jr.率いる武装集団に囚われそうになるが、そこを真琴だけの下僕(げぼく)と名乗る忍者・飛翔に助けられる。真琴は先祖が隠したという村雨丸を見つけ出し、ユッコを救出すべく大田原家に向かう。ところが、真琴は華雀を隠れ蓑にしていたJr.に村雨丸を奪われ、Jr.つきの忍者・に連れ去られてしまう。真琴を救出しに現れた飛翔は、Jr.を斬り捨て、影の正体を暴いたうえで、村雨丸で切りかかるのだった。(エピソード「忍者飛翔」。ほか、2エピソード収録)

風の章(第2巻)

ある日、街に出たね太郎は、人形店で摩梨華という名の人形に見初められる。後日、伍堂真琴の誕生日会に、なぜか摩梨華が贈答品として送られて来た。それを見た人形コレクターの朝原は配下に魔梨華を盗ませる。真琴とね太郎は摩梨華を探すが、摩梨華はなぜか、ね太郎の小屋に佇んでいた。ある時、散歩に出た真琴は摩梨華に襲われ、飛翔に助けられるが、摩梨華は飛翔には目もくれず真琴を攻撃。ね太郎はなぜ摩梨華が真琴を狙うのかを調査する。そんな中、真琴がさらわれたと知った飛翔は、人形師・仲村導庵のもとへ向かう。導庵は事故に遭い瀕死となった孫娘の生命を人形に封じ込めた男だった。真琴とね太郎の仲を裂けないと知った摩梨華は、真琴になりたいと願い、不憫に思った導庵は真琴の中に摩梨華の生命を封じ込めようとしていたのだ。飛翔に飛びかかった摩梨華は、彼女の絶望を理解した飛翔に首をはねられる。(エピソード「生き人形」。ほか、2エピソード収録)

雪の章(第3巻)

伍堂家の総領である祖母は、村雨丸水晶丸を合わせてみたいと言い出し、黄金伝説の扉は決して開いてはならないとの信念を持つ伍堂真琴は猛反対する。祖母は五行連山の永観寺に、家宝の壺を2日間で届ける事ができれば、村雨丸の件は不問にするという。壺を届ける役目を受けたね太郎は、祖母と関係のある忍者スズメバチに狙われる。そこに飛翔が現れ、スズメバチと剣を交えるが、飛翔は姿をくらます。すると、真琴がね太郎の身を案じて追いかけて来た。それを見たスズメバチは奇妙な主従関係を訝しむ。再び、飛翔に追いつき戦いを挑むスズメバチだったが、飛翔はあっさりと村雨丸を置いて姿をくらませる。その後、永観寺に到着したね太郎は、伍堂家の人間に渡すよう寺にことづけられた村雨丸を渡されるのだった。(エピソード「雀蜂」。ほか、2エピソード収録)

塔の章(第4巻)

旧家・一条家からね太郎に正式な見合いの申し込みが入った。庭の五重の塔が落雷に遭い、妖刀「村正」の「こしらえ」を手に入れた一条美沙姫は、伍堂家に伝わる村雨丸を「幻の村正」と思い込み、その行方を追っていたのだ。同じ頃、伍堂真琴飛翔に興味を持ち、伍堂家に潜んでいたスズメバチは、居合の達人・美沙姫と飛翔を戦わせようと悪だくみしていた。そんなスズメバチの仕業により、崖から落ちた美沙姫は、ね太郎に助けられる。恋をした美沙姫は、ね太郎を正式に婿に迎えるべく伍堂家に向かうが、ね太郎に心は届かず、真琴への嫉妬と共に「村正」を手に入れるべく執念を燃やし始める。真琴を誘拐した美沙姫は、スズメバチが裏で手を回した事もあり、忍術を封じた飛翔と村雨丸を賭けて試合(しあ)う事になる。(エピソード「雀蜂ふたたび」「一条の姫」「姫とね太郎」「炎の姫」「塔の雨」「雷鳴」。ほか、1エピソード収録)

絆の章(第5巻)

伍堂真琴は、建設会社の相談役を務める父親・伍堂を快く思わない重役達に誘拐される。伍堂家に潜んでいるスズメバチの助けもあり、飛翔は悪玉の長である高級官僚を束ねる大物の息の根を止める。だが、飛翔に事件を収めるよう命じたあと、ね太郎が不在だと気づいた真琴は、二人が同一人物なのではないかと疑い始める。その気位の高さが災いし、真琴は次第に自分が騙されていた事が許せなくなっていく。ね太郎が飛翔かどうかを確かめるべく、真琴の行動は破廉恥な方向にエスカレート。ついに、真琴はね太郎を縛り付けた部屋に、飛翔を呼び出す。絶対絶命のね太郎だったが、飛翔はいつもどおり参上し、真琴は微妙な心境に陥る。後日、飛翔はスズメバチに村雨丸を手渡し、二度と伍堂家に出入りするなと釘を刺す。(エピソード「飛翔とね太郎1~5」。ほか、1エピソード収録)

登場人物・キャラクター

主人公

郊外の赤穂梅市にある格式の高い旧家・伍堂本家の令嬢。高校2年生で年齢は16歳。学校では生徒会長を務めており、運転手付きの車で通学している。生まれてすぐ母親が亡くなったので、ね太郎を生んだばかりの乳母・... 関連ページ:伍堂 真琴

主人公

伍堂真琴の屋敷で、真琴の小間使い兼庭師をしている男性。年齢は17歳。八重の息子で、真琴とは乳兄妹で幼なじみ。真琴が3歳の時、母親に連れられ伍堂家を出て行ったが、母親を亡くし行き場がなくなり、伍堂の屋敷... 関連ページ:ね太郎

主人公

伍堂真琴だけの下僕(しもべ)を自称する忍びの男性。目の部分以外が隠れる黒い装束の下に、鎖帷子を身につけている。初登場時には、「花あるところに飛翔あり」と、花を通して真琴を見ている旨を真琴に伝えている。... 関連ページ:飛翔

伍堂真琴の父親。政財界へのパイプラインとなる会社の顧問を多く引き受けているロマンスグレーの男性。仕事の事は家に持ち込まない主義だが、建設関係の会社の相談役としては、時代に合わない悪い慣習をやめさせよう... 関連ページ:伍堂

八重

ね太郎の母親で、伍堂真琴の乳母。髪を後ろでゆるく結った、優し気な雰囲気を漂わせている女性。真琴が3歳の冬、雪に誘われるように、ね太郎を連れて姿を消したが、その原因は不明。真琴は恐ろしい危険に晒される運命を抱えていると予見しており、ね太郎に真琴を守るよう遺言した。

伍堂家の本家、分家をまとめる総領を務める、高齢の女性。厳しい人柄で、血がつながっていても容赦しないという噂があり、伍堂の一族に無用の騒ぎが起きるのを忌み嫌っている。伍堂真琴とは気が合い、終戦も近い頃に... 関連ページ:祖母

伍堂総家の祖母に仕える忍者。誰にも動かされない主義だが、祖母には恩があるため、たびたび命を受けている。蜂をあやつる名手で、蜂をモチーフとした斬新な恰好をしている。伍堂家の血筋から外れた人物で、水晶丸を... 関連ページ:スズメバチ

伍堂真琴の屋敷の近くの寺の和尚で、伍堂家に仕える九耀星を束ねる忍者。伍堂の主治医のような役目も果たす。ハゲ頭で長いアゴヒゲを生やしている高齢の男性。伍堂家にかかわる黄金伝説について通じている人物で、大... 関連ページ:和尚

伍堂家に仕える忍びの一族で、和尚が束ねている。リーダーを務めているのはスクナという男性。シノという女性が紅一点で、ほかは男性で構成されている。村雨丸を狙う大田原Jr.に各人の技をすべて見抜ぬかれており... 関連ページ:九耀星

赤穂梅市の市長の娘で、女子高校生。ユッコの姉。丸くカールさせた黒髪にヘアバンドをした美人。女子高で人気のね太郎のファンで、川で溺れたユッコを助けてくれたね太郎に礼をするため、伍堂家を訪れる。その後、1... 関連ページ:市長の娘

ユッコ

市長の娘の妹。川で溺れていたところをね太郎に助けられた女の子。短いおかっぱ頭のやんちゃな娘であり、ね太郎から男の子と間違われていた。姉と共に大田原Jr.に連れ去られ、食欲の化け物と化した大田原華雀に食べられてしまう。

大企業「大田原産業」の中枢を担う男性。戦後のどさくさに安く手に入れた土地を元手に成り上がった悪人。政治家と手を結び、政府に自分の土地を開発用地として買い上げさせるという悪どい手を使っている。村雨丸を探... 関連ページ:大田原 華雀

大田原 Jr.

大田原華雀の息子。美意識の高い気取り屋で、カールさせた前髪を横に流している。黄金伝説の扉を開く伍堂家の守護刀・村雨丸を狙い、伍堂真琴との結婚を企んでいる。忍者を時代錯誤の産物と馬鹿にしており、最新兵器を操る黒ずくめの集団を率いている。

大田原Jr.に使える忍びの者で、黒いマント風の装束に黒いサングラスをかけている。伍堂家の情報を流し、Jr.をそそのかした張本人で、その正体は和尚。

金融界の若虎と呼ばれる男性。センター分けのカールがかかった短髪で、派手なスーツ姿で決めている。伍堂の持つ政財界への人脈がほしいがため、伍堂真琴を妻に迎えたいと伍堂家に結婚話を持ち掛けたが、一目見て真琴... 関連ページ:城島 健次

ボサボサの長髪で、ボロ布のような着物を身につけた老爺の忍者。秘技は七日殺し。城島健次に仕える者で、危険を察知して事前に敵を倒す能力がある。城島からは「地蟲」や「うじ虫」と呼ばれており、酷い扱いを受けて... 関連ページ:毒虫

西上 大吉郎

国会議員の中年男性で、図体が大きく、七三分けのヘアスタイルでちょびヒゲを生やしている。赤穂梅市の駅を急行列車の停車駅とするなど、市の発展に尽力するが、市の象徴である御神木を撤去すると公言し、伍堂真琴の反感を買う。

ね太郎に恋をした日本人形で、名人形師・仲村導庵の作。熱探知システムを備えており、瞳からレーザーを発する。導庵が瀕死の孫娘を救うため、その生命と心を人形に封じ込めた人形で、普段は奥岳の屋敷で導庵と暮らし... 関連ページ:摩梨華

名人形師の老人で、億の金を積んでも他人のためには人形を作らないといわれている奇人。奥岳に屋敷を構えて何不自由ない生活をしていたが、10年ほど前、事故で息子夫婦と孫を亡くし、それ以来街には降りて来なくな... 関連ページ:仲村 導庵

朝原

伍堂真琴の誕生日の会に招かれた、ショートカットのモダンな夫人。人形コレクターで、名人形師・仲村導庵の人形を喉から手が出るくらいにほしがっている。伍堂家から人形・摩梨華を配下の者に盗み出させ、のちに惨殺死体となって発見される。

昔、ある国にいた心優しく美しい姫で、この姫にまつわる「鏡姫伝奇」という伝奇がある。姫の性格は風変りで、小動物や虫、特に蜘蛛を愛でて穏やかに暮らしていたが、国に謀反が起こり無残に殺されてしまった。その血... 関連ページ:鏡姫

妙信尼

鏡姫ゆかりの手鏡が収められている寺の尼。伍堂真琴が連れて来た文芸部の女子達にその手鏡を見せたが、その際に鏡姫を見たと口にした部員達が、次々と怪死する事となった。これにより事件を仕組んだ首謀者と考えられていたが、のちに真琴達に手鏡を見せた夜に、蜘蛛の巣の母体にされた被害者だった事が判明する。

伍堂真琴の通う高校に転入して来た女子高校生で、長い髪をポニーテールにした美少女。真琴の住む赤穂梅市に越して来たため、真琴となかよくなる。自分に仕える忍者シジマには感謝しているものの、一度も会った事はな... 関連ページ:周旺 紫

周旺紫を守る忍者。肩にかかる位のロングヘアで、ノースリーブのシャツを着ている。紫の住むマンション近くの、森の中にテントを張って生活している。紫とはまだ一度も顔を合わせておらず、影の身分の自分は紫とは会... 関連ページ:シジマ

D国の王女で、さわやかな性格の美少女。内巻きのショートヘアで、その笑みは「水晶のほほえみ」といわれ、D国の国際親善に多大なる貢献をもたらしている。国際平和会議出席のため、国王の代理として日本に滞在中、... 関連ページ:クレリア

クレリア王女の幼なじみで、庭師の男性。少し長めの短髪だが、普段は衛士のヘルメットをかぶっており顔は見えない。王女を守るため衛士に志願して7年間、陰ながら王女を側で仕えていた。隣国と結託し、王女の生命を... 関連ページ:グスタフ

陽子

伍堂真琴の友人で、末広がりのボブカットの髪型をした少女。スキー旅行に訪れた北海道で、幽霊兵団の話を真琴と友人達に聞かせた人物。真丹村に住む叔母の家を真琴とね太郎と共に訪れるが、家に潜んでいた雪中行軍隊に斧で頭を割られ死亡する。

自衛隊に所属する男性で、階級は三佐。秘密裏に雪中行軍隊を統率している人物で、日本政府そしてロシアから自分達の動きを静観するとの密約を取っており、ある島に乗り込み、いずれは独立を勝ち取ろうと計画。独立を... 関連ページ:甲塚

鎌倉時代からの旧家の令嬢で、黒髪のロングヘアをした美少女。家系をたどれば伍堂家よりも古く、配下の者達からは、未だに姫と呼ばれている。実は居合の達人で、鍛え上げられた手練れの技を持つ女剣士。落雷が庭の五... 関連ページ:一条 美沙姫

省庁に勤める男性で、高級官僚を束ねる大物の一人。建設業界の悪しき慣習を阻止しようとしている伍堂の失脚を狙い、建設会社の重役達を従え、伍堂真琴の誘拐を指示した張本人。伍堂が相談役を務める建設会社を省庁の... 関連ページ:高級官僚を束ねる大物

集団・組織

雪中行軍隊

幽霊兵団の名をかたり殺人行を続ける15人の男達。飛翔と戦った際には、ただの狂信的な集団とは異なる気迫を見せた。実は、高度の戦闘訓練と過酷な演習で知られる自衛隊の特殊部隊。ある島を取り返そうと、甲塚のもと訓練を積んでいたが、計画が漏れる事を恐れ、行軍を見た者を殺害している。

場所

赤穂梅市

都心から急行電車でわずか1時間の距離でありながら、自然に囲まれた風光明媚な小さな市。昔の気風を尊び、血筋や家柄など格というものを大切にするのは自然の懐にある土地柄だとされている。伍堂真琴の伍堂家は赤穂梅市にあってその格式の高さを誇っている。

その他キーワード

村正

その昔、妖刀と呼ばれた刀。村正を二振りの刀に打ち分けたのが、村雨丸と水晶丸で、伍堂家の守護刀(まもりがたな)とされている。二つの守護刀を合わせれば、黄金への扉が開くという黄金伝説や、村雨丸と水晶丸が再... 関連ページ:村正

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その昔、妖刀といわれた「村正」という一振り刀を名高い刀匠がある言い伝えを秘めて、表と裏の二振りに打ち分けたといわれる刀のうちの一本で、戦いの時には霧を呼ぶ。表の剣が村雨丸で、裏の剣が水晶丸。伍堂家の総領で、伍堂真琴の祖母が、伍堂家の血筋から外れたスズメバチに持たせたが、その経緯は不明。

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北海道真丹村付近で語られている、比較的最近の怪談に登場する兵士達。雪中訓練のために山越えをしていた連隊が、秘密の訓練中に吹雪で全滅。それ以来、吹雪の夜には列を作って雪の中をさ迷う兵士達の姿が現れ、それを見た者は連れて行かれ二度と帰らないといわれている。

書誌情報

忍者飛翔 全2巻 白泉社〈ジェッツコミックス〉 完結

第1巻

(1986年5月発行、 978-4592130888)

第2巻

(1995年8月発行、 978-4592133988)

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