追風のジン

追風のジン

各地を放浪していた忍者の少年・唐草ジンが、姿を消した伝説の忍者である叢雲グレンを捜すため、グレンの一人娘・緋鯉ココロと共に諸国を旅する姿を描いた和風アクション。芳文社「まんがタイムきららフォワード」2021年9月号から連載の作品。

正式名称
追風のジン
ふりがな
おいかぜのじん
作者
ジャンル
侍・忍者
レーベル
まんがタイムKRコミックス(芳文社)
巻数
全3巻完結
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あらすじ

配達人をしながら旅をしていた少年・唐草ジンは、訪問したモンゼ村の食堂「緋鯉亭」で看板娘の緋鯉ココロと出会う。食堂を訪れた野盗まがいの忍者・宿谷ズイキをジンが撃退したことがきっかけとなり、ジンとココロはなかよくなる。しかし、ココロが身につけていた伝説のお宝「風魔結晶」に気づいたズイキが、ココロを誘拐してしまう。ココロの母親の緋鯉トキハに請われたジンは、忍者の本領を発揮してズイキをみごと撃破し、ココロを助け出すのだった。帰宅したジンとココロは、病状が悪化して危篤状態となったトキハから、ココロの本当の父親は伝説の忍者である叢雲グレンであること、そしてグレンが今も生きていることを知らされる。トキハを見送ったココロは、ジンと共にグレンを捜す旅へと出るのだった。英雄でありながら最後に人々を裏切って討伐されたとされるグレンに思いをはせつつ、各地で悪さをする忍者を懲らしめながら旅していたジン一行は、忍者の竹塚タケシが率いる「稲穂刈」に支配されたヨツワ村を訪問する。村の守り神を奪い、莫大な奉納金と奴隷を要求する「稲穂刈」に苦しめられていた村人の窮状を見かねたジンは、ヨツワ村を掌握している忍者を撃破。そのままアジトに乗り込んでタケシと戦うジンだったが、その最中に奴隷としてアジトに捕らわれていた少女・スパナが正体を現し、巧みな技を使ってタケシを捕らえたうえ、お宝を奪って姿を消してしまう。次の目的地であるユザワ村を訪問したジン一行は、お祭り中に開催される古物の競売会を見学する。そこに目玉商品として出品された「七虹架大全」を奪って逃げたスパナを追ったジンは、彼女と対決することになる。その最中、自分の正体が妖怪退治に活躍した忍具を作った七虹架ゲンナイの孫・七虹架スパナであることをジンに明かしたスパナだったが、幕府の侍・雨谷マサムネによって「七虹架大全」を取り返され、スパナは撤退を余儀なくされる。さらに一連の競売騒動を、「灰尊商隊」の代表である灰尊フクジュと灰尊忍者が裏で手を引いていたことを知ったココロは、ジンたちにそれを報告。ジンはマサムネと一時的に共闘して、フクジュが率いる灰尊忍者たちを撃破する。再び旅に出たジン一行のまえに姿を現したスパナを、ジンは仲間に迎え入れるのだった。

登場人物・キャラクター

唐草 ジン (からくさ じん)

配達人を生業としている忍者。薄緑色の髪をしている。独特な忍び装束を着用し、マントを羽織っている。少し言葉遣いが乱暴だが、快活で正義感が強い性格の持ち主。生まれつき両の手のひらに渦巻き状の印がある。母親である忍者・唐草フウカから教えを受けた並外れたすご腕で、唐草流を冠する風を扱う強力な忍法を使用する。当初はフウカといっしょに旅をしていたが、かくれんぼ好きなフウカが書き置きを残して行方をくらましたため、フウカを捜しながら、忍牛のべこ丸と共に旅を続けていた。旅の最中に荷物を届ける配達人をして生計を立てていたが、モンゼ村を訪れた際に食堂の一人娘で、伝説の忍者・叢雲グレンの娘である緋鯉ココロと出会い、成り行きから彼女とグレンを捜す旅に出ることになる。配達人としてのプライドが高く、どのような荷物であっても必ず目的地に配達する「完全納品」を信条としている。また、ひとたび戦闘になれば忍法を駆使して勇猛果敢な働きを見せるが、女性に対してはシャイな一面があり、同世代のココロに対してはドギマギしてしまうことが多い。七虹架スパナからは「風ボウズ」というあだ名で呼ばれていた。

緋鯉 ココロ (ひごい こころ)

食堂「緋鯉亭」の店主代理を務める少女。ピンクの髪が特徴。明るく素直な性格で、かわいらしい顔立ちをしている。モンゼ村に住んでおり、病弱な母親・緋鯉トキハに代わって食堂を切り盛りしており、多くの村人から慕われている。野盗と化した忍者・宿谷ズイキにさらわれた際、配達人として村を訪問していた唐草ジンに救われる。その後、トキハからココロの実父が伝説的な忍者・叢雲グレンであること、本当の名前が「叢雲ココロ」であることを告げられる。母親を見送ったあとに、ジンといっしょにグレンの行方を捜す旅に出ることになる。赤ん坊の頃、ジンの母親・唐草フウカの手でトキハに託されたため、グレンのことはいっさい記憶にない。売れば領土すら買うことができるといわれる、希少なお宝「風魔結晶」をトキハからもらっている。忍法は使えないが、荷物を複数背負っても一向に苦にしないなど、並外れたパワーの持ち主。ジンと同じく、忍牛のべこ丸の言葉を理解できる。

七虹架 スパナ (なじか すぱな)

女忍者であるクノイチ。髪をツインのお団子状にして眼鏡をかけている。パワフルかつアクティブな性格をしている。忍法にも匹敵する強大な力を発揮する至天忍具の発明者・七虹架ゲンナイの孫娘。素早い身のこなしと、祖父譲りの発明品を武器にして各地を放浪し、金目のものを集めては売り払っている。戦闘能力も高く、唐草ジンとも互角に戦える実力を持つ。また、祖父が残した至天忍具の作成法が書かれた秘伝の書「七虹架大全」の行方を探し求めていた。当初は一匹狼的な立ち位置で、どの勢力とも手を組んでいなかったが、「七虹架大全」の偽物をつかまされたことで単独での探索に限界を感じ、ジンと緋鯉ココロの旅に同行するようになる。ジンのことを当初は「風ボウズ」と呼んでいた。

叢雲 グレン (むらくも ぐれん)

緋鯉ココロの父親で、「天忍」と称される超人的な技を身につけた伝説の忍者。「天叢雲」という忍者衆を率いて「鴇の国」に跋扈(ばっこ)する妖怪を狩り、人々を苦しめる悪党を懲らしめていた。人々からは英雄としてあがめられていたが、妖怪の大将「百夜丸」を追い詰めた際に、人間を裏切って妖怪側につき、仲間たちの手で「百夜丸」と共に討ち果たされたと伝えられている。緋鯉トキハはいまわの際に、叢雲グレンが生きていることをココロに伝えていた。

唐草 フウカ (からくさ ふうか)

女忍者であるクノイチ。黒髪を頭頂部で結んでいる。明るくちゃめっ気のある性格で、忍び装束を身につけている。唐草ジンの母親で、幼少の頃から彼に忍法を仕込んだ。うどんとかくれんぼが大好き。ジンといっしょに旅をしていたが、1か月前に書き置きを残して突如としてジンの前から姿を消す。叢雲グレンとはかつての仲間で、忍者衆「天叢雲」の一員だった。赤ん坊だったグレンの一人娘である緋鯉ココロを、友人の緋鯉トキハに託した張本人。

雨谷 マサムネ (うがい まさむね)

幕府直属の侍。黒髪のロングヘアをポニーテールでまとめ、黒いスーツをまとっている。自らの職務を忠実に果たそうとするクールかつ謹厳実直な性格をしているが、若干融通が利かないところがある。役職は東雲幕府火付忍者改。幕府の対忍者部隊である侍の一員として活動しており、往来から忍者を排除するという目的を遂行するため、精力的に国内の各所に赴いている。狼藉を働いている忍者を懲らしめ、捕縛して牢屋に移送していた。ユザワ村を任務で訪れた際に唐草ジンと遭遇し、「七虹架大全」を巡って争うことになる。妖怪退治に活躍した忍具「月虹」という刀を所持しており、単独で手練れの忍者とも互角以上に戦える。

緋鯉 トキハ (ひごい ときは)

緋鯉ココロの母親。モンゼ村の食堂「緋鯉亭」を営んでいる。唐草フウカの古くからの友達。目元が落ちくぼみ頬もこけ、やつれた風貌をしている。優しい性格で、物腰も非常に柔らかい。重い病に体を侵されており、日々のほとんどを寝て過ごしている。そのため「緋鯉亭」のすべてをココロに任せている。実はココロの実母ではなく、赤ん坊だったココロをフウカから託された過去を持つ。さらわれたココロをジンが救ったあとに危篤状態となり、ココロに出生の秘密を明かして事切れる。

竹塚 タケシ (たけづか たけし)

忍者衆「稲穂刈」の頭領を務める男性。前髪を垂直に立てたリーゼントで決め、つねに薄笑いを浮かべている。執念深く、弱者を平気で虐待する凶暴な性格をしている。手下の忍者と共に各地の村を襲撃し、村人から奉納金や奴隷をかき集めるなどの無法を繰り返している。ヨツワ村を占拠して村人を苦しめていた際に、村を訪問した唐草ジンと遭遇し、死闘を繰り広げていた。ジンの母親である唐草フウカのかつての仲間だが、フウカにフラれてしまったことを今でも根に持っている。

宿谷 ズイキ (すくや ずいき)

かつて忍者衆「天叢雲」に所属していた下忍の一人。アフロヘアに無精ひげを生やした小汚い身なりの男性。粗暴な性格で、自分勝手に振る舞っている。仲間の忍者と共に各地の村を訪れ、村人を脅して乱暴狼藉を働いている。モンゼ村の食堂「緋鯉亭」でひと暴れしようとしていたが、たまたま現地にいた唐草ジンによって妨害される。その後、緋鯉ココロが所持していた希少なお宝「風魔結晶」を手に入れるために彼女をさらうが、本気を出したジンによって叩きのめされた。

七虹架 ゲンナイ (なじか げんない)

七虹架スパナの祖父。忍具の発明家として知られている。天才的な発想と技術の持ち主で、忍法を扱う強力な忍者と互角に戦える力を与える「至天忍具」を数多く発明していた。そのため、稀代の発明家と称されている。七虹架ゲンナイ自身が発明した忍具の設計図を記した「七虹架大全」を書き残しているが、その内容は難解で誰にも解読することができない。

成瀬 ツバキ (なるせ つばき)

温泉処として有名なユザワ村の村長を務める女性。黒髪をショートボブにしている。物腰が柔らかく親切な性格で、疑うことを知らない。20年前にユザワ村を訪問した叢雲グレンと出会っており、彼が掘った温泉が今も皆を癒し続けていることに感謝している。そのため、今もグレンのことを裏切り者だとは信じておらず、忍者に対する嫌悪感も抱いていない。

灰尊 フクジュ (はいぞん ふくじゅ)

古物商の一団である灰尊商隊の代表を務める老齢な男性。サングラスをかけ、恰幅がよく杖をついている。人々の心を明るくするために、ユザワ村でお祭りを開催することを計画した成瀬ツバキに全面的に協力していた。古物商を装っているが実は忍者で、「七虹架大全」をエサに競売会を開催し、取り引きされた商品をあとで盗んで回収することを画策していた。

べこ丸 (べこまる)

唐草ジンといっしょに旅をしている忍牛。ジンの言葉を理解することができ、またジンもべこ丸の言葉を理解できる。そのため、ジンとはまるで家族のように仲がいい。体の側面に牛の印があり、体の大きさをある程度自由に変えられる特殊な忍法を使用できる。

影成 フブキ (かげなり ふぶき)

忍衆「天叢雲」の副頭領を務める男性。黒髪でスタイリッシュな風貌をしている。キザな言い回しをするのが特徴。叢雲グレンの仲間で、彼といっしょに諸国を巡って人助けをしていた。20年前にユザワ村を訪れ、幼少の頃の成瀬ツバキと出会っていた。

書誌情報

追風のジン 全3巻 芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉

第2巻

(2022-08-10発行、 978-4832273863)

第3巻

(2023-09-12発行、 978-4832274815)

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